#1431 ヴリトラ対決
月輝夜とクレッセントドラグーンとの戦闘が始まる同時刻、夜空で同じ姿のドラゴンが睨み合い、お互いにドラゴンブレスをぶつけあってからヴリトラ同士の対決が始まった。
「ギー!」
「ギャオオオー!」
空中でドラゴンクローがぶつかり合うのそのままお互いに至近距離で激しくドラゴンクローをぶつけあうと同時にドラゴンテイルを発動されて、ぶつかり合うとお互いに弾け飛んだ。そしてお互いに死滅光線の拡散光線を撃ち合い、お互いの光線は激突を避けて両者ダメージを喰らう結果となった。
ここで両者の体が空間に固定されるがその瞬間に時空支配で自分に掛けられた次元歪曲を解除した。同じ種類のドラゴン同士だと持っているスキルも同じなので、勝負が中々付かないだろう。こうなるとお互いのレベル差と戦闘経験の差が勝負に直結すると思われる。
叢雲とヴリトラの戦闘は激しい接近戦をしたのち、お互いに弾け飛ぶとドラゴンブレスや黒星や冥波動、光線の撃ち合いとなるのだが、戦闘を続けていると戦闘の均衡が崩れ始めた。押されているのは叢雲だった。原因は主に接近戦だ。
接近戦で叢雲はヴリトラに押されている。しかしそこまで実力差があるようには見えない。実力差があるならもっと明確にもっと早くに崩れているからだ。それなのになぜ負けているのか。その原因は叢雲の性格にあった。
元々叢雲は好戦的な性格ではない。そこが戦闘に影響を与えている。積極的に攻撃を仕掛けて来るヴリトラに押されて、防戦状態になっているのだ。いつもなら接近戦で勝てるし、次元歪曲でカウンターも狙えているのだが、それが今回は通用しないことでかなり追い込まれていた。
「ギャオオオーーー!」
「ギ、ギーーー!」
防戦一方の叢雲にヴリトラがもっと攻撃を仕掛けてこいとばかりに叫んできた。叢雲は苦しい状況化で必死に叫び返して攻めに転じるががら空きになった腹に蹴りをくらうと吹っ飛ぶと空間転移で先回りにされると真上からドラゴンクローの覇撃を喰らう結果となってしまった。
そしてここで一気にヴリトラはドラゴンダイブで地面に落下した叢雲に追い打ちを仕掛けて来た。
「ギ、ギー…」
心が完全に折れそうになっている叢雲は目を瞑ってしまうと脳裏にノワの姿が映った。
「ギー!」
次の瞬間、叢雲は衝撃放射でドラゴンダイブで突撃して来たヴリトラを弾け飛ばすとドラゴンテイルで吹っ飛し、更に刑罰で追撃を与えた。その叢雲の姿は心が折れた者の目ではない。その目には燃えるような炎が宿っていた。
確かに叢雲は好戦的な性格ではない。しかし叢雲には守りたい存在がおり、ここでヴリトラと戦って勝たなければいけない理由があった。それに気付けたならもう遅れを取ることはないだろう。
叢雲のカウンターを受けたヴリトラは飛び出して来ると叢雲にドラゴンクローで襲い掛かるとそれを見た叢雲はドラゴンクローを発動されると飛び掛かって来るヴリトラの下に潜り込むと強烈なドラゴンクローのアッパーがヴリトラの顎に炸裂する。
好戦的な相手にはカウンターが非常に有効であることを思い出して、冷静に相手の動きを見て決めたな。
「ギー!」
そこから連続でドラゴンクローを浴びせるとドラゴンテイルで山肌にぶつけるとドラゴンダイブで追撃に出る。
「ギャオオオ―!」
しかしこれは叢雲自身がカウンター可能であることを示したことだ。だから叢雲はヴリトラに向かわずにヴリトラが押し付けられている岩肌の上にドラゴンダイブすることで岩をヴリトラに落とす選択をした。これに対してヴリトラは羽で落ちて来る岩をガードしたがそれは自分の視界を奪う行為だ。賢い選択とは言えないな。
「ギー!」
「グギャ!?」
叢雲のドラゴンダイブがヴリトラの真上から決まると叢雲はドラゴンノヴァの発動体勢になる。先手を取られたヴリトラは衝撃放射で叢雲を吹っ飛ばしてドラゴンノヴァから逃れようとしたが間に合わず、呑み込まれた。
「グゥウウウ…」
ここでヴリトラは叢雲の中で何かがあったことを理解して、爪を構えると叢雲も構えを取り、両者が再び激突する。今度は攻撃とカウンターの応酬となる非常に高度な接近戦となった。しかも爪だけでなく、尻尾と蹴りまで合わさった激突だ。
お互いの蹴りがぶつかり合って、距離が開くとスキルの撃ち合いとなり、最後に両者のドラゴンブレスがぶつかると両者が睨み合う。
このやり取りでお互いに同じくらいのダメージを受けた。実力は拮抗している。こうなるとやはり切り札を使うかどうかが一つの分かれ目となるだろう。そして最初に仕掛けたのはヴリトラだった。まぁ、ヴリトラからするとここで本気を出しても何も問題はないだろう。
問題は叢雲のほうだが、叢雲も迷わず切り札を使用して二体のアスラドラゴンが夜空で睨み合う状況となった。
「ギャオオオオオーーー!」
「ギーーー!」
お互いに距離を詰めると腕が増えた分、激しい殴り合いとなった。両者の拳がぶつかり合う中、両者の拳が互いに何度も顔や体に決まる。両者いい攻撃が決まった時に一気に勝負を決めようとするがカウンターでそれを阻止している。
「ギャオオオオオーーー!」
「ギーーー!」
ここで両者は逆鱗スキルを発動されて、更に接近戦が激しくなる。同じスキルで実力がほぼ拮抗しているならやはり接近戦が一番差が生じやすいよな。
「ギ、ギー! ギ!?」
「ギャオオオーーー!」
激しい殴り合いの中、ここで両者の逆鱗スキルが切れて両者の生命力が残り少ない状況で叢雲の顔面に拳が決まってしまい、一瞬怯んで慌てて攻撃しようとしたがそこにカウンターが腹に決まってしまった。そしてアスラドラゴンは叢雲をタコ殴りにすると渾身の王撃で叢雲に止めを刺した。
「ギャオオオーーー!」
ヴリトラが勝利の雄叫びを挙げるがここからが本当の勝負だ。アスラドラゴンに呪滅コンボが発動する。そして叢雲は蘇生した。俺は叢雲にヴリトラと戦う時に呪滅封陣がキーポイントになることを伝えていた。まず封印の状態異常が相手に発生しないとお互いに不死身スキルで蘇生をし合って勝負が決まらない。
逆鱗状態でスキルが使えない状態だったら、話は別だけどね。まぁ、そこは相手が警戒するところだと思うので、叢雲はあの状況でわざと顔面に拳を決めさせて自分が先に倒されるように仕込んだ。これで叢雲が有利に思えるが叢雲だけがヴリトラに戻されているので、絶対的な有利な状況とはいえない。
だから叢雲は自分が有利な状況を作り出した。雲海を発動されると襲い掛かって来る叢雲の数が増えた。影分身だ。
「「「「ギーーー!」」」」
「ギャオオオ―――!」
雲海に紛れて襲い掛かる叢雲だったが全部アスラドラゴンの拳でぶっ飛ばされてしまった。そして全ての襲い掛かった叢雲が消えた。その結果にアスラドラゴンが目を見開くとアスラドラゴンの背後の上に霊化で回った叢雲が王撃でぶっ飛ばすとこれに耐えられた。
そして封印スキルの効果でスキルが使えないアスラドラゴンは叢雲のスキルを浴びながら突撃して来る。
「ギャオオオーーー!」
「ギーーー!」
アスラドラゴンの腕の爪が叢雲の身体全体を貫く中、叢雲の爪はアスラドラゴンの腹をぶち抜いていた。そして両者が死ぬ光に包まれる。勝敗は決したな。封印の状態異常になったアスラドラゴンの負けだ。
お互いに死んでしまった状態なので道連れスキルの発動は対象がいないので、発動は無し。一人だけ不死身スキルで蘇生した叢雲が勝利の雄叫びを挙げる。
「ギー! ギーーー! ギーーーーー!」
ここまで嬉しさの感情を爆発される叢雲は初めて見るレベルだ。それだけ厳しい戦いだった。同じ存在に勝てたことで叢雲は何段の男としての格を挙げた戦いになったと俺は思う。本当にお疲れ様だ。




