#1423 ドラゴンの血の池
俺たちはようやく休憩を取らせて貰えたがまだこの枯れた森は続いているらしい。そんなわけでじっくり休憩を取ってから攻略を再開しようとした瞬間に空間索敵に敵の反応を確認した。ただ空間索敵にはその敵の位置も確認出来てそれが問題だった。
「これは…建物か?」
俺がそういうとノワとセフォネが跳びかかって覗き込んで来た。
「確かに建物に見えるのじゃ。じゃがドラゴンにこんな建物を作れるのか?」
「うーん…ドラゴニュートが家を作っていたからな」
「…にぃの言う通り可能性はゼロじゃないと思う」
問題はここに向かうかという話になって来る。とにかく山の進路上にはあるので、とにかくそれを目指して進んでいくと枯れ木の下が沼地になっているフィールドに辿り着いた。土のドラゴニックマウンテンで見た毒沼のフィールドみたいだが、ここの沼は毒というより血の池のようになっていた。
その血の池にはドラゴンの死骸と思われるものが浮かんでいる。そしてこのフィールドにはある特徴があった。
「「う!?」」
ノワたちが鼻に大ダメージを受ける。俗にいう死臭というものがフィールドから発生していた。優牙は完全にギブアップ状態で叢雲もヤバそうだ。
「ここは避けられないか? タクトよ」
「…きつい」
「避けれる道がないか流石に探してみるか」
俺たちがそう言っていると血の沼地から死臭弾が飛んで来て、みんなが躱すと破裂して強烈な臭いが発生する。俺も含めて顔を歪めてしまうほどの強烈な臭いだ。そしてこれを飛ばして来た懐かしい敵が大量に現れた。
ヘドロドラゴンLv60
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
恐らく瞬殺出来るだろうがそれよりもノワたちは一刻も早く臭いをなんとかしてほしいそうなので、離脱してから遠回りで回避可能か試してみたが結論は無理だった。完全に道をこの血の池が覆っていた。
「残す避けるルートは空だが」
「…それで行く」
「絶対に何かあると思うがやってみるか」
俺は月輝夜だけ一旦召喚石に戻してみんなで空を飛んでいくと俺の予想通りの展開となる。血の池から泡が発生すると何かが飛び出して来た。
ブラッドワイバーンLv70
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
血の身体を持つワイバーンが次々現れて、空を飛んでいる俺たちに襲い掛かって来た。
「「う!?」」
しかも強烈な臭いを発している。ここはもう戦うしか道がない。俺たちが臨戦態勢になるのを見てもブラッドワイバーンたちは真っ向から突っ込んで来た。
「舐め過ぎじゃ! ブラッティレイドボム!」
「…影死針」
「ワオーン!」
「ギー!」
セフォネの血の蝙蝠たちがブラッドワイバーンたちと空でぶつかり、大爆発すると数体倒されたが他のブラッドワイバーンたちが止まることなく、突っ込んで来る。凄く嫌な予感がしているとノワの影死針、優牙の毛針、叢雲の羽投擲がブラッドワイバーンたちに襲い掛かって来たがここでブラッドワイバーンたちの身体が液状化するとそのままの状態で突っ込んで来る。
「吹き飛ばせ!」
「ギー!」
俺と叢雲が風で吹き飛ばそうとしたが吹き飛ばずのそのまま俺たちに次々突っ込んで来た。俺たちは回避を選択したがブラッドワイバーンたちも俺たちを逃がすまいと液状化した身体を飛びつらせて俺たちにじぶんたちの血液をぶつけて来た。
「血など妾に通用するわけない…のじゃ?」
セフォネがそういうと口から血を流した。そしてそれは俺たち全員に発生した異常だった。ステータスを確認すると毒と出血状態となっていた。俺はこの状態異常にピッタリの言葉を知っている。
「出血毒か」
その言葉の通り出血を発生される毒だ。現実では主に蛇や蜘蛛が持つ毒でニホンマムシが持つ毒として俺たちからすると身近な毒と言える。
出血するだけなら怖くないと思うかも知れないがこの毒は最悪の場合、死に至る危険な毒として知られている。毒の効果としては赤血球の破壊と血が固まるのを阻害するというもので一見すると大したこと無そうだが、俺たちが怪我した時に血が固まることで止血していることから血が固まる効果は非常に重要な能力となっている。
この能力が無くなるとまず損傷した血管や内臓の出血を止める手段が無くなる。その結果、出血多量で死に至るというわけだ。なのでニホンマムシなどに噛まれた場合には、急いで病院に行ってほしい。効果がすぐに出る毒ではないのが救いなのだ。
ただ時間があるから余裕だと思っていると助かっても後遺症が残ったりする毒なので甘くみず、すぐに病院に行くようにしよう。
さて、その出血毒に侵された俺たちの血が液状化から元の姿に戻ったブラッドワイバーンたちの口に中に入ると身体から赤雷を発生されて、超強化される。俺たちの血を吸血したことで俺たちの力を得たらしい。
そんな彼らが強くなった自分たちの力を試そうと俺たちに再び突撃して来た。
「百花繚乱!」
「イレイズスライサーなのじゃ!」
突っ込んで来たブラッドワイバーンたちは身体をバラバラにされて、終わった。
「…調子に乗り過ぎ」
「自分が急に強くなるとこうなる気持ちは分からなくはないけどな」
「力が強くてもそれで戦闘の勝敗が決まる訳じゃないってところかの?」
「そういうことだな」
俺たちが先を進んでいくと次々新たなブラッドワイバーンたちが襲い掛かって来た。彼らは鮮血爪を使うなど吸血特化のドラゴンであることは間違いない。この他には血晶やセフォネが覚えていない血の斬撃を飛ばして来る技を披露してきた。
ただ血の攻撃はセフォネの血流支配で無効化したので、脅威ではなかった。そう思っていると黒雷や死滅光線を使って来たので、弱くはない。そもそも俺たちに状態異常を付与してきただけで十分強者なんだよな。
ただ他のワイバーンたちよりはスピードがだいぶ落ちる。本当にわが身を犠牲にしても敵を出血させて、吸血して強化することを目的に動いている。そう思っているとここで死臭弾が口から放たれて、ノワに直撃する。
「…影移動。ドラゴンノヴァ!」
ノワの怒りのドラゴンノヴァが炸裂して群れを吹き飛ばすとここで血の池のゴールが見えた。そこまで長いフィールドではないらしい。ただフィールドである以上ボスは登場する。血の池から血の水柱が発生して、俺たちの行く手を阻むように発生すると新たな邪竜が現れるのだった。




