#1421 悪霊邪竜と死霊魔竜
俺たちが回復アイテムを使用しようとした瞬間、赤い煙から死滅光線の拡散光線が放たれ、回復アイテムが撃ち抜かれた。みんなはそれを察知して回避しようとしたのに撃ち抜く技量はやはり知性がある敵だな。
そして赤い煙と黒い煙から二体のドラゴンが姿を見せた。
悪霊邪竜イビルゴーストドラゴンLv80
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
死霊魔竜デモンリッパードラゴンLv83
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
予想通り邪竜と魔竜だな。赤い煙の身体なのがイビルゴーストドラゴン。明らかにネクロドラゴンの上位存在だろう。
デモンリッパードラゴンは骨のドラゴンでボロボロの黒衣が身体を隠しており、どうやら肋骨と手が巨大な鎌になっているドラゴンのようだ。デモンリッパードラゴンを一言で言うなら死神のドラゴンという表現が一番しっくりくる。
俺たちが警戒しているとデモンリッパードラゴンの肋骨部分の鎌が動くと分離して俺たちに向かって飛んで来る。その鎌はどす黒い赤いオーラを放っていた。あれは斬られたら、ダメな代物だと肌で理解してしまう。
「全員逃げろ! あの鎌に斬られるとやばい!」
「…ん!」
「妾でもヤバさを感じるぞ! 絶対に受けるでない!」
そうはいっても身体が大きい優牙と月輝夜、叢雲は回避が難しい。当然のように鎌は追尾して来た。これはもう受けて立つしかない。
「ギー!」
叢雲が叫ぶと斥力で飛んで来る鎌を弾こうとしたが効果を受け使えない。物理無効だ。これで重力で押し潰すことも斥力場も通じない。恐らく透過スキルや防御無効持ちの可能性が高い。並みの属性スキルも魔力切断で突破されるだろう。となるとやるべきことは限られていく。
「月輝夜! 吹っ飛ばせ!」
「グオ! グォオオオオ!」
月輝夜が覇撃で鎌を粉々にする。鎌の耐久値は高くないな。そう思っていると砕けた鎌の破片が空で集まると復活する。そして再びこっちに向かって飛んできた。まぁ、そんな簡単に行かせてくれる存在じゃないよな。
「ガウ!」
優牙が俺に任せろと言って来た。そして口を開けてアピールして来た。それで優牙が何を狙っているか理解した。その為には鎌を纏めて消し飛ばしたい。しかし今は鎌が俺たちを囲い込むように動いて俺とノワ、セフォネが優牙と月輝夜、叢雲をフォローしている状況だ。
みんな鎌の破壊は出来るけど、側面や背後の攻撃は巨体であるが故に防御が疎かになる。そこを俺たちが守らないといけないのだが、やはり透過スキルでガードを抜けて来る。俺はノワとセフォネに防御スキルで防御した後に攻撃を弾くように指示を出す。
透過スキルで抜けれるのは一回のアクションで一回のみ。攻撃を抜けてから障壁などでガードしようとすると防御無効で攻撃が抜けられる。当然これは最初の防御を防御無効で突破されても同じことだ。だが、俺とノワとセフォネはそれに対して武器に一度透過スキルを使わせた状態で鎌と同じ速度で後ろに下がりながら攻撃を弾いた。
すると相手も鎌の一点突破を狙って来るようになる。連続で迫って来る鎌を対処するのは相当厳しい。俺は速さでなんとかとなるがノワとセフォネは無理だ。
「…影分身!」
ノワが影分身を出す。分身の攻撃に鎌をぶつけることでノワは見事に解決した。これなら透過を一回使わせることが可能だ。ただまずこの鎌を何とかしないとどうしようもない。そう思っているとデモンリッパードラゴンが両手の鎌を振りかぶる。その瞬間にとんでもないオーラを感じた。
「鎌の斬撃が来る! 全員躱せ!」
俺がそういった瞬間に真紅の斬撃が横一線に放たれた。俺たちは躱すことには成功したが次の瞬間山が斬られたことで地滑りが発生し、飛ぶ手段がない月輝夜が大きくバランスを崩するとそこに無数の鎌が飛来する。あれは躱せない。
「ノワ!」
「…影分身! 身代わり!」
月輝夜が受けた攻撃をノワの分身が身代わりとなって、無かったことにした。危なかった。ノワのこのコンボには本当によく救われる。
「グォオオオオオ!」
自分に鎌が集まったことで月輝夜は魔素解放を発動されると魔素の手が鎌を掴んで一か所に纏めると月輝夜は覇撃で全ての鎌を破壊する。それを見た優牙は口を開いて鎌を全て食べることで復活を阻止した。流石に完全消滅した代物は復活出来ない。
もし新しいものを再びゼロから生み出すとするならその存在は創造の力を持っている事になる。因みに腕など身体と繋がっている部位は身体という部品の一部という設定なので身体が完全消滅しない限りは一応復活可能となっている。それはもう蘇生の領域だとは思うけどね。
この理論が正しいなら肋骨の鎌が復活する可能性があるが復活は無し。どうやら体の一部というより武器という設定らしいな。これは助かった。しかしまだ両手の鎌があるし、鎌を封じただけで楽に倒せる相手でもないだろう。
俺たちが警戒していると無数の神鎌鼬が飛んできた。これだけの神鎌鼬を放てるということは鎌を振る速度は相当早いはずだ。俺たちが防ぎながら警戒しているとここで傍観していたイビルゴーストドラゴンが謎の竜魔法を発動される。
空に描かれた竜の魔方陣から赤い身体のドラゴンの霊が無数にイビルゴーストドラゴンに降りて来るとイビルゴーストドラゴンの吸収されるとイビルゴーストドラゴンのオーラがどんどん増幅していく。強化の竜魔法か?俺たちが警戒しているとイビルゴーストドラゴンの口が開くととんでもない魔力を感じる。
「躱せ!」
俺がそういった瞬間、とんでもない威力の真紅のドラゴンブレスが放たれた。そして直撃した地面が大爆発する。イビルゴーストドラゴンを見ると口から煙を出していると竜魔法の効果で高まっていたオーラが消滅していく。
「一つのスキルをとんでもなく強化する竜魔法って感じか? みんなは大丈夫…月輝夜!?」
月輝夜はあの状況で霊化などを使用せず、徒歩で逃げた後に跳躍までして回避しようとしたがドラゴンブレスの後の大爆発は避けきれなかった。霊化を使用しなかったところを見ただけで月輝夜のこの先の戦闘を見据えているのが分かる。
それでも月輝夜のダメージは深刻だ。ずっと倒れたままなほどとんでもないダメージを受けてしまった。鎌の対処に時間をかけ過ぎた結果だ。鎌のプレッシャーに完全にしてやられたが下手に動くと恐らく殺されていたし、どうすればよかったのか正解が見つからない。
そう思っているとここで一気に倒れている月輝夜にデモンリッパードラゴンが霊化で襲い掛かって来た。思いっきり鎌が振りかぶられた瞬間に俺とセフォネが両方の鎌を止める。結果、デモンリッパードラゴンは鎌を振り切ることが出来ない。これが鎌という武器の弱点だ。振れると遠心力も加わってとんでもない威力を発揮されるんだけど、触れる前に止められると逆に力が出せなくなる。
本来なら恐らくセフォネのほうが圧倒的に筋力で負けているはずだが、振っている鎌と振られていない鎌の力の加わり方の差で力が拮抗している。二人の筋力の差が埋まってしまうほどに武器の力の加わり方の差は大きいのだ。
「これ以上はもうさせない!」
「絶対にこの鎌だけは振らせないのじゃ!」
これを見たイビルゴーストドラゴンが動こうとしたが空間転移が不発すると逆に空間転移から狩らわれた叢雲が冥ブレスを放つとイビルゴーストドラゴンは回避する。実はアンデッドモンスターに対して冥ブレスなどの冥界スキルは有効であることが判明している。
どうやら死者の世界のスキルなので現世に留まっている存在に対しては特攻効果があるらしいのだ。それを恐らく知っているので、イビルゴーストドラゴンは回避したな。そして次は俺に危険が迫る。
「…ん? にぃ! 危ない!」
「何!?」
「ガウ!」
俺に透明にされた鎌が迫るとそれを空間転移で現れた優牙が口で咥えて止めた。確認するとこの鎌はデモンリッパードラゴンの尻尾の先にある鎌だった。黒衣の中に隠していたな。ノワが気付けたのは尻尾の影が地面に出来ていたからだろう。透明になっても実態はあるので、影が出来てしまうんだよね。
「グ…グオ…っ!? グォオオオオオ!」
ここで気が付いた月輝夜は状況を認識してゴッドブレスを放つ。これがデモンリッパードラゴンに炸裂して吹っ飛ぶ。俺たちとせめぎ合っており、優牙に尻尾を捕まえてられていたから月輝夜の攻撃から逃げれなかったな。
ただそこまでのダメージは受けていないようだ。これは黒衣の効果だろうな。死神の黒衣と同質のものなら属性攻撃には強い防具のはずだ。ただ尻尾の鎌は優牙によって破壊されている。優牙は逃がさないようにしていたんだけど、鎌の耐久値が持たなかったな。強すぎるというのも問題だね。
たださっきの月輝夜の一撃はデモンリッパードラゴンを怒らすには十分な一撃だったらしい。ここで超覚醒が発動されるとデモンリッパードラゴンの背中から翼の代わりに巨大な鎌が生え、更に骨のドラゴンの手が左右に一本ずつ増えた。
それを見たセフォネが鼻で笑う。
「ふん。大したダメージを受けておらんのにもう切り札使うとは随分怒りやすい性格みたいじゃな? タクトよ。月輝夜を頼むのじゃ。こいつは妾と優牙で倒す」
「ガウ!」
「…大丈夫?」
俺の代わりにノワが聞いてくれるとセフォネは自身満々に返す。
「任せよ。ちょうど試したいものもあるしの。相手にとって不足なしというものじゃ。というかノワのほうが心配じゃぞ」
「…問題ない」
そんなわけでノワと叢雲がイビルゴーストドラゴン。セフォネと優牙がデモンリッパードラゴンと戦う流れとなるのだった。




