#1420 竜魂の森
ドラゴンゾンビたちから逃げている俺たちは目の前に見えた巨木の枯れ木で構成された森の中に逃げ込むことに成功した。
そこでようやく休憩出来ると思っていたがそんな甘さはこの闇のドラゴニックマウンテンには存在しなかった。俺たちは一息ついて座り込んで休もうとした瞬間に俺はかつて感じたことがある殺気を感じてその場から転がると俺がいたところにドラゴンの爪が突き刺さった。
この攻撃と同時に敵の姿を認識する。そいつは青白いガスの身体が特徴的な以前邪竜の住処で戦闘したことがある敵だ。
ネクロドラゴンLv65
テイムモンスター 討伐対象 アクティブ
こいつはデビルドラゴンよりは流石に格上だよな。
「…にぃ!」
「おのれ! こっちは疲れておるというのに!」
二人が攻撃すると空間転移で逃げられる。みんなが警戒するが攻撃して来ない。しかし俺たちに一度攻撃してきたということは向こうは確実に俺たちを補足していると考えるのが自然だ。つまりあいつの狙いは俺たちが休もうとした瞬間や気が緩んだ瞬間を狙った奇襲だと予想される。
「最悪の状況だな…」
この状況でも最低でも回復だけは済ませておきたいので、一人ずつポーションを飲んでいくことにした。するとその度にネクロドラゴンが奇襲を仕掛けて来た。そして奇襲に失敗すると霊化で逃げられる。
「一匹だけじゃないな」
「…うん。でも数がわからない」
「俺の空間索敵にも反応なし。隠密重視のアサシンタイプのドラゴンだったんだな」
恐らくこいつを探知できるスキルは魂探知だろう。ここでコノハやぷよ助がいないことが響いてしまったが選んでいない以上、現状の戦力でなんとかするしかない。とにかく空間転移には時空支配で対策可能。霊化も本来なら一度使えば使えないスキルだ。敵の数は不明だが、一度霊化で逃げたネクロドラゴンはどこかで奇襲から俺たちと戦闘しなければならない。そこを切り抜くことが出来れば休憩出来る可能性が出て来る。
俺たちは回復アイテムで敵の攻撃を誘っていると遂に敵が仕掛けて来た。奇襲に失敗してから逃げずに攻撃してきたネクロドラゴンに俺たちが狙いを定めると他のネクロドラゴンたちが一斉に他のみんなに奇襲を仕掛けて来る。これに対してみんなは攻撃を避けて、俺は杖を構える。幽霊にはやっぱり神聖魔法だろう。
「「「「「サンクチュアリ!」」」」」
五重の聖域が展開されるとネクロドラゴンたちは発狂して、身体から白い曇りを発生される。この怯んだ瞬間をセフォネは逃さない。
「デススライサーなのじゃ!」
セフォネが神鎌ハルペーが一体のネクロドラゴンを横一閃に両断して即死させる。余りにも簡単に殺されすぎだ。次の瞬間、セフォネがいる地面からネクロドラゴンが現れる。道連れスキルだ。
「思った通りじゃな」
そういうとセフォネは首を斬られてしまったが不死身の効果で蘇生する。セフォネは自ら最初にネクロドラゴンを倒す事を志願していた。これはネクロドラゴンが道連れスキルを保有していると予想したからだった。
俺たちが戦ったネクロドラゴンは邪竜の住処にいたドラゴンだ。ここにいるネクロドラゴンより格下と考えるのは寧ろ当然と言えた。これで俺たちはネクロドラゴンの道連れスキルが怖くて下手に攻撃出来なくなった。
しかし道連れスキルにもちゃんとした攻略法が確立されている。一番いいのは今回の攻略同様に呪いや封印の付与だ。呪いは効果が無かったので、封印で対処可能。そんなわけでルーンスキルを使用してネクロドラゴンを倒して、なんとか休憩出来ると思っていると別のドラゴンに奇襲を受ける事になった。
「く…!?」
「…す、吸われる」
「妾の魔力が…生命力もか!?」
「ガァ!」
優牙が空に浮かんでいるドラゴンを見つけて爪で一撃で倒してくれたがその優牙が一気に生命力と魔力が減らされる。そして俺たちは敵を補足した。
ソウルサーペントLv60
テイムモンスター 討伐対象 アクティブ
ゴースト化したサーペントを大量に捕捉した。こいつらはもう明らかに吸収特化のドラゴンだろう。しかも動きが徹底している。自分が殺される瞬間になっても吸収し続けて、倒されると呪滅コンボが発動するという完全に嫌がらせ特化のドラゴンだ。
俺たちはこいつらを倒すしかない。そうじゃないと無限に生命力と魔力を吸われ続けてしまう。それはつまり回復アイテムの枯渇と死を意味している。ダメージを最小限にするためには一刻も早く倒すしかないのだ。
「吸収特化がここまで厄介とは思っていなかったな…」
「…一体だけなら問題ないけど、数が揃うと厄介」
「防御スキルで防げる攻撃ではないしのぅ。勉強になったぞ」
セフォネも吸収特化の素質は十分にある。今回の戦闘で吸収特化が敵の厄介さを認識したことでセフォネの戦闘が更に進化しそうだ。まぁ、俺だったら分身を出して吸収スキルを使うね。恐らくセフォネも同じことを考えていると思う。
その後も敵は俺たちにゆっくりとした休憩をさせることなく奇襲を続けて来た。かなりしんどいが寧ろ今までのドラゴニックマウンテンが優しかったと再認識させられた。そしてここの山は他の山と違うぞと俺たちに伝えているように俺には感じた。
「…にぃ!」
「誘い込まれたな」
上空から強大な邪悪な気配が降りて来る。数は二体。気配に差があるので、恐らく邪竜と魔竜だ。休憩がままならない状態でのボス戦は相当きついがこうなってしまった以上、逃がしてくれるほど甘い相手でもない。
「全員急いで回復! 戦闘するぞ!」
こうして俺たちはこのゴーストドラゴンの森でボス戦に突入するのだった。




