#1419 不死の魔竜
みんなが戦闘開始してから俺とセフォネが武器を構えながら不死魔竜イモータルデモンドラゴンと睨み合っていると不死魔竜イモータルデモンドラゴンの目から死滅光線が放たれ、戦闘が開始される。
攻撃を躱した俺とセフォネが接近すると不死魔竜イモータルデモンドラゴンの体から黄色いガスが発生する。これを見た俺とセフォネは後ろに下がると地面の石がガスで溶けていくのが見えた。
「腐蝕ガスか」
このスキルも魔王ベルゼブブ戦で昆虫軍団が使用したスキルだったから躱す判断が出来た。このスキルはガスに触れた存在に腐蝕を付与してガスに触れている間継続ダメージ、それに加えて武器の耐久値をガン下げする効果が確認されている。
「おぉ…いくら不死身でもあんな風に溶けるのは嫌じゃぞ。タクト」
「だろうな。風で吹き飛ばすにしてもみんなが戦闘していない所を狙わないとな」
「それぐらいタクトならよゆうじゃろう? 行くぞ!」
「言ってくれるね! 旋風刃!」
俺が狙い定めて旋風刃で腐蝕ガスを吹き飛ばすとセフォネが神鎌ハルペーで接近するが次はイモータルデモンドラゴンの体から無数の怨霊が発生するとセフォネに襲い掛かった。瞬時にセフォネは闇潜伏で逃げて俺の後ろに移動すると俺は旭光近衛の後光の光で迫ってきている怨霊全てを消し去った。
そして後光の光が収まるとイモータルデモンドラゴンの胸から特大の冥波動が放たれて、俺たちは回避を選択すると俺たちに黒雷が放たれる。これは俺が吸収して斬撃で返すとイモータルデモンドラゴンの背中から骨が生えると魔素刃と大量の魔素を発生させて俺の斬撃を止められた。
「骨ぐらい斬れると思ったけど、大量の魔素が邪魔したか」
「威力が下げられていたな。それでもタクトの斬撃を止めるとはあの骨も相当硬そうじゃ」
通常の属性攻撃は魔素に弱いからな。それでも力関係は存在していて属性攻撃が魔素を超えているとその攻撃は貫通するようにこのゲームではなっている。それはつまりイモータルデモンドラゴンの魔素がそれだけ強いことを証明していると言える。
「ずるとか言ってられる相手じゃないの。生物創造! いでよ! フェンリル!」
「ワオーン!」
「グオ」
「ガ!?」
セフォネがフェンリルを召喚するとフェンリルはイモータルデモンドラゴンに突撃していく。しかし次の瞬間、イモータルデモンドラゴンの身体中から骨が飛び出し、骨にフェンリルが触れるとフェンリルの身体が白骨化してしまった。
「なんじゃ!?」
「俺も知らないスキルだな…オリジナルの竜技か?」
これはスカルイビルドラゴンが使ったスキルと同質の技だった。骨が刺さるとその存在を白骨化されることで即死させる恐ろしい技だ。幽霊、元々骨のアンデッドモンスターには効果ないけど、不死の存在は倒すことが可能な必殺技だった。それをセフォネも肌で理解してしまう。
「タクトよ…あの技、妾でも攻撃喰らうのは不味そうじゃぞ」
「アンデッドドラゴンのボスなだけあるか…不死身の敵対策はばっちりらしいな」
その上、フェンリルの防御スキルを防御無効と万物貫通で抜けて来た。しかも骨が体のどこからでも出てくる上に真っ直ぐだけでなく曲がって襲い掛かって来る骨もある。流石にフェンリルでも初見でこれを躱すのは難しい。ましてや自分が最強だと思っているところにこの技は反則だ。
俺たちが警戒しているとスカルイビルドラゴンの同じように骨を飛ばして来た。俺たちが回避を選択すると念動力で追尾して来る。俺たちがそれぞれ消し飛ばしているとここでイモータルデモンドラゴンは闇潜伏で消えると俺の真上に現れる。
そして身体から生える無数の骨が俺を狙う。
「タクト!?」
「電子分解! 雷光刃!」
イモータルデモンドラゴンの身体を雷光刃の刃が貫く。そして俺に無数の骨は当たっていなかった。ギリギリのところで躱している。
「確かに厄介な技だけど骨が出るまで遅すぎだな。それじゃあ、攻撃を見切れる俺には攻撃当てれないぜ?」
「グォオオオオオ!」
俺の言葉を受けて身体中から腐蝕ガスを発生させる。骨で退路が塞がれているからこれは不味い。俺は雷光刃を解除して骨を破壊して離脱する。結構ギリギリだった。やはりこいつ相手に接近戦はかなり辛いな。
そう思っているとドラゴンダイブで突っ込んで来ると俺はそれを回避して地面に突撃したイモータルデモンドラゴンはドラゴンクローで俺に襲い掛かって来た。それを見た俺は旭光近衛を鞘に納めて、構えを取る。
「超電磁! 雷光刃! 居合斬り!」
俺の必殺のカウンターが炸裂してイモータルデモンドラゴンの体は横に真っ二つになった。
「おぉ! 流石タクトじゃ! ん? 妾何もしていなくないか?」
「安心していいぞ。そんな楽な相手じゃないらしい」
真っ二つになったイモータルデモンドラゴンの身体から赤雷が発生すると身体がくっつき、身体が大きくなり、鱗も分厚くなった気がする。
「これが不死の魔竜の本質か。不死殺しも復活封じの熔解スキルまで無効化して来るとはな。しかも強化付きかよ」
「グォオオオオ!」
俺たちに向かってドラゴンブレスが放たれた。これを回避した俺たちが接近するとイモータルデモンドラゴンの目が赤くなると姿がスリムな二足歩行のドラゴンに変化した。超覚醒だ。これはやばい。
「が!?」
「ぬわ!?」
向かって来ている俺たちをドラゴンクローで力任せて振って来ると俺たちは吹っ飛ばされる。そして俺はすぐさまその場から離れると俺がいた場所にイモータルデモンドラゴンが落下してくると逃げた俺に向かって両腕から複数の刃を出すと魔剣と同じオーラを放つ刃を俺に向かって飛ばして来た。
俺は弾くが当然のように追尾してくるとイモータルデモンドラゴンも俺に接近戦を挑んで来る。俺は後手後手の戦闘を余儀なくされる。下手に飛び込むと骨とガスが使われる。俺が危惧しているのは骨で囲い込まれて、ガスを使われた場合だ。これをされると旋風刃を使ってガスに触れる前に吹き飛ばせれるかかなり微妙なところだと思う。
「お、おのれ…妾を踏みつけた上に無視するとはいい度胸じゃな!」
セフォネは俺が踏みつぶされそうになった時に踏まれていた。ここで俺はセフォネに指示を出した。そしてセフォネがルーンデスサイズを取り出す。理屈はルーンノワールと同じだ。全てスキルを封印してこいつを倒す。
「ぬぅえええい!」
俺に攻撃が集中しているので、セフォネが横からイモータルデモンドラゴンの背後の首を斬り裂いて封殺スキルが発動する。封印のデバフは確認出来た。これなら勝てると思ったがイモータルデモンドラゴンは攻撃しようとしたセフォネに黒雷を降らせながら俺に攻撃を集中してくる。
「ぎょわわわ!? そ、そんな攻撃で妾が止まると思うなよ!」
思いっきり感電して悲鳴まであげて止まっていたわけだがそこは許してあげてください。それでもセフォネが次々攻撃すると中、セフォネは飛び出す骨とガス、飛来する魔剣の刃に対応しながら攻撃を決めて行った。この辺りはもう歴戦の戦士としての実力だね。念動力で操られても速さが無いなら怖くないって感じだ。
確実に俺たちはイモータルデモンドラゴンを追い詰めていたはずだったがイモータルデモンドラゴンも甘い相手じゃなかった。イモータルデモンドラゴンの胸の赤い宝石が急激に魔力を挙げるとイモータルデモンドラゴンは咆哮をあげて俺に突っ込んで来た。
「やば!?」
「ギャオオオオオ!」
次の瞬間、大爆発が発生する。
「タクト!?」
「あっぶね…ギリギリ魔導書を取り出すの間に合ったぜ」
俺はテレポートで本当にギリギリで離脱に成功していた。そう思っていると自爆で散った肉片が集まり、通常状態のイモータルデモンドラゴンが蘇生する。当然封印は解除されており、全回復状態で蘇生だ。
「自爆による強制封印解除…これはきつい戦いになるな」
「どうするんじゃ? タクト?」
「先に自爆スキルを封印した上で不死殺しを無効化しているスキルを封印するしかないな」
封印は物に寄るが攻撃による封殺スキルは完全ランダムだ。これは流石に俺もルーンスキルを使いたいところだが、それをさせてくれる相手じゃない。俺は完全に餌となり、当たりを引くまで粘るしかないな。
俺たちが戦闘をつづけているとノワもルーンノワールで参戦して封印が加速したことでなんとか当たりを引けて倒すことが出来た。
「はぁ…はぁ…し、しぶとかったのじゃ…」
「…にぃ、痛かった。それに疲れた」
「そうだな。流石に休憩しよう。俺も攻撃受けてばかりで流石に疲れた」
セフォネとノワはドラゴンテイルや魔素の腕で殴り飛ばされるなどしっかりダメージを受けていた。間違いなく邪竜より格上で恐ろしいほどの強いドラゴンだった。こちらの作戦にも対応して来たし、ドラゴンの中でもかなり上位に来るドラゴンだと思う。
こんな魔竜がうじゃうじゃいることを想像するとこの先が嫌になるが進むしかない。
「「「「ギャオオオオオ!」」」」
「休憩中じゃぞ!?」
「…ゾンビでも空気読んでほしい」
「ゾンビだから空気読めないんだろう? これは先に進んだ方がいいな。無視して一気に行くぞ!」
こうして俺たちはドラゴンゾンビの群れに追われながら次のフィールドに向かうのだった。




