#1412 聖輝龍王ドォーンドラゴン戦、後編
俺はリリーの天言の効果で全ての武器の奥義を知り、連続攻撃をイメージする。後はメシアゴッドドラゴンの攻撃にどう対処してコンボを決めていくかだ。
「リリー、魔導書とロンギヌス以外の解放できる全ての武器の力を解放してくれ! 防具も含めて全部だ!」
『うん! 任せて! タクト!』
メシアゴッドドラゴンを相手に魔導書は最後の攻撃にしか使えない。下手に展開すると一瞬でハチの巣にされて、魔導書を失う事になるだけだからな。ロンギヌスは本当に最後の切り札だ。ルシファー戦の前に試すのもありかもしれないけど、どこで情報を手に入れているのか分からない以上、ここで本物のロンギヌスを見せたくはない。
こうして俺たちの周囲に武器が展開され、防具を装備している俺たちと周囲の武器たちが一斉に力を解放した光を放つ。これでもう後には引けない。ここで倒しきる。俺たちの力の解放を見たメシアゴッドドラゴンは思う。
『やはり勝負に決めに来ますか。当然ですね。私に勝つためには私の回復能力を上回る攻撃をし続けるしかありません。あなたたちの全力とあなたたちが考えた作戦で私を倒しけれるか見定めて差し上げますよ! ドラゴンフォース!』
『ドラゴンフォース! 雷化!』
最初に俺が選択したのは相棒の旭光近衛と神息。まず接近しないとどうしょうもない。雷化した俺たちが飛び出すとメシアゴッドドラゴンは翼を広げて、羽投擲と神雨、天剣と天槍、拡散光線を飛ばして来た。それを次々斬り裂いて距離を詰めていく。
『神波動! ドラゴンブレス! 神撃! 日輪!』
距離を確実に詰めているとメシアゴッドドラゴンの両手から神波動が放たれ、それを躱すとドラゴブレスの追撃が飛んで来て、回避し、続く空から落ちて来る神撃と日輪を躱したが距離を詰める事を許してくれない。
魔力の回復を最大限まで利用した弾幕と距離を潰させないように放たれる大技。滅茶苦茶厄介だが、狙いが分かれば大丈夫だ。俺は弾幕を弾いて前に進んでいくと変光で動かされて背後から迫る拡散光線も一回転して弾くと空間歪曲で俺たちの左右斜め上から神波動が飛んで来て、後ろに下がって回避する。
こっちが対応したと思ったら、手を変えて来る。戦闘をよく理解しているよ。そう来るならこっちも動きを変えよう。俺が真っ直ぐ進むのではなく、残像スキルを使いながら不規則に動きながら距離を詰める。すると狙いが定めにくくなり、波動技などは避けるとギリギリを通って、距離を詰めていく。
波動技が通っているところは俺たちから死角となり、そこをメシアゴッドドラゴンは狙って来たが狙って来ると分かっていれば対処可能だ。こうして俺たちはついにメシアゴッドドラゴンを捉えた。
「嵐影湖光!」
俺たちがまず一撃を与えた。続いて神息の永劫回帰を発動させて無限アタックを使用とした先だった。メシアゴッドドラゴンと目が合う。やばい…何かやばい攻撃が来る。
『忘却』
俺たちに白い霧に包まれると俺たちは不思議な感覚に襲われた。
『ん? 俺は何をしていたんだっけ?』
『え? あれ? リリー、タクトのマリッジバーストしている?』
『は? あ、あぁ…そうみたいだな。でもなんで…っ!』
『ドラゴンクロー! 王撃!』
俺たちはメシアゴッドドラゴンの爪にぶっ飛ばされる。
『っ!? この攻撃を受け止めた!? なんという闘争本能』
俺はメシアゴッドドラゴンの攻撃を受け止めていた。これはやばい攻撃が来る気配を察知して咄嗟に身体が反応しただけだ。両手に刀を持っていてよかった。そして白い霧から出たことで状況を思い出す。
『そうだ! 聖輝龍王様と戦っているところだったんだ! あれ? でも、なんで忘れていただろう?』
『それがメシアゴッドドラゴンの力って事だろう?』
この力は相当やばい。認知症になったらこんな感覚なのだろうか?本当にあの一瞬、自分が何をしていたのか全く理解出来なくなったぞ。
『全部忘れちゃう力…これってどうなるの? タクト?』
『俺たちが攻撃しようとした瞬間に攻撃することもその後どうするつもりだったのか全部忘れてしまうってことだ』
『へぇ~。あれ? それって攻撃出来るの?』
『普通に考えたら、無理だな。武技は発動させれば自動で動くから攻撃可能だけど、その状況になって攻撃を続けられるのか全くわからない』
白い霧がスキルのトリガーなのは間違いない。あれを吹き飛ばして攻撃しろってことだろうけど、難易度が更に跳ね上がったな。それでもやるしかない。もう解放スキルを使ってしまった。タイムリミットが決まった以上急がないと攻撃のダメージが足りなくなる。
『行くぞ! リリー!』
『うん!』
俺たちは再び降り注ぐ攻撃に対処しながら距離を詰めていく。そして再度仕掛ける。
「嵐影湖光!」
ここだ。メシアゴッドドラゴンはわざと攻撃を受けて、技終わりの俺たちに狙いを定めて来た。俺は神息を構えるフェイントを見せて、旭光近衛を振るう。
『忘却!』
「大嵐!」
とんでもない暴風雨がメシアゴッドドラゴンに襲い掛かる。これで白い霧は吹き飛ばした。これなら行ける。
「永劫回帰!」
メシアゴッドドラゴンに永劫回帰の無限連続攻撃が発動する。しかしそれを簡単に決めさせてくれるほど甘い相手じゃなかった。
『物質化! ドラゴンテイル!』
俺たちの動きを完全に見切って雷状態の俺たちに対して物質化を使ったうえでドラゴンテイルをぶつけた。それでも十回は斬れた。次だ。永劫回帰はキャンセルされたがドラゴンテイルに攻撃を当てている。まだコンボは継続中だ。
「天悪英嵐破!」
俺たちの天悪英嵐破はメシアゴッドドラゴンは翼で受け止めて来た。しかし止めきれずにぶち抜いた。アジ・ダハーカのお陰で障壁スキルが使えなくなっているのは大きいな。これなら行ける。武器を神剣エスカトンリープリングと竜人族の聖剣の二刀流に変える。
『リリー!』
『うん! 行くよ! リリーの聖剣!』
これが解放された竜人族の聖剣の力だ。
竜人族の聖剣(聖剣解放、聖竜解放):レア度10 専用装備 品質S+
重さ:80 耐久値:7000 攻御力:3700
効果:光のドラゴニュート全ステータス+50、万物切断、破魔、透過、星光刃、粒子分解、陽光、残像、魔素吸収、光閃、後光、聖波動、光化、奇跡、聖輝龍王の加護
聖竜の紋章が刃に刺繍されている光のドラゴニュート専用の剣。聖なるドラゴンの力が宿っており、邪竜や魔王に対抗するために作られた剣で魔素を吸収し、浄化する力を持っている。
必殺技はないが聖竜解放が必殺技となっている。まずは神剣エスカトンリープリングの一撃からだ
「エスカトン・フローガ!」
『いけぇえええ!』
エスカトン・フローガの巨大な剣がメシアゴッドドラゴンの片翼を斬り裂いた。続くリリーの聖剣解放の一撃は片翼の破壊には繋がらない。火力不足だな。それにしても腕とかを守っているのは本当に凄いな。翼でよく隠しているよ。ここら辺も戦闘センスの高さを感じる。
そして俺たちは聖竜解放の力で光の竜となって、光速で突撃する。これをメシアゴッドドラゴンは両手で止めて来た。ここで俺たちは後ろに下がって武器をゼノ・ゲイボルグとパラス・アテナの槍を構える。
「魔槍技! スカー・ゼノ・ゲイボルグ」
ゼノ・ゲイボルグが三十の鏃となって、降り注ぐ。これを見たメシアゴッドドラゴンは片翼でガードしようとしたが次の瞬間、鏃全てが消えるとメシアゴッドドラゴンに降り注いで両目を潰した。影転移で消えたスカー・ゼノ・ゲイボルグを翼で作られた影から出すことで回避も対処も不可能な攻撃となった。
「巨大化! 神槍技! クイーントリートーニス!」
巨大化されたパラス・アテナの槍にクイーントリートーニスを使用するとメシアゴッドドラゴンに直撃して地面に叩き落した。最後の装備は星天の神剣アルカディオンとインフィニットエクスカリバーだ。
『メメント・モリ!』
リリーがメメント・モリを発動されるとこれもメシアゴッドドラゴンに直撃したがここでメシアゴッドドラゴンの背中の巨大な光の車輪がメシアゴッドドラゴンに移動すると魔方陣が車輪の内側に発生するととんでもない力が集まる。
『あなたたちに何もかも忘れる救いがあることを教えてあげましょう。私のもう一つの竜魔法で! イグジスタンスフォーゲット!』
白い極大の光線が放たれる。それは光を受けた存在を忘却されるいかなる防ぐことが不可能な即死魔法だった。
そんなことは俺たちには理解出来ないが忘却の魔法であることは理解出来た。しかしビビッていられない。ここで引いたら、仕留めきれないからだ。受けて立つしかない。それにメシアゴッドドラゴンの言葉で俺とリリーは一緒に旅をして来た記憶がフラッシュバックする。
「『忘れることが救いになるもんか(ならないよ)!』」
俺たちがもしこのゲームが終わって別れる時が来たら、俺のことをリリーたちが忘れたほうが辛い思いをしないで済むかもしれない。そう言う意味では確かに救いにはなるだろう。別れた俺も忘れたら、元の生活に戻るだけだ。一見すると救いに見える。
でも、リリーたちが事実は残るし、俺もこのゲームがきっかけでいい方向に変化があったと思っている。そしていつか疑問点に気が付き、記憶が戻った時、間違いなく忘れたことを後悔するはずだ。それを認めるわけにはいかない。故にインフィニットエクスカリバーに力を込める。
「『インフィニット・コールブランド!』」
両者の一撃がぶつかり合うと俺たちが押される。というか技が消されている。これが忘却の力を込めた一撃の強さだった。
『タクト! このままじゃ負けちゃうよ!』
「いいや。負けるもんか」
『え?』
「無限を忘れることなんて出来やしない! 頂点もなければ底辺もない。そしてゼロも存在しない。それが無限だ。俺たちの思い出と一緒さ。消せるもんなら消して見ろよ!」
俺の言葉に答えるようにインフィニット・コールブランドが一気に押し返してそのまま車輪を呑み込み、メシアゴッドドラゴンに直撃して大爆発する。まだ火力が足りていない。でもかなり生命力は削れた。これなら行ける。
『竜化! 星角! ドラゴンダイブ!』
俺たちは竜化する。回復アイテムを使っておいたのは正解だった。そして竜化した俺たちが突撃すると倒れているメシアゴッドドラゴンは目を見開き、爪をぶつけてきた。これで突撃のコースが変わった。しかし体はぶつかっている。これなら押し切れる。
「(エクリプス)」
遅延魔法でストックしておいたエクリプスをここで発動させた。これでバフが消滅した。俺たちが発光するとメシアゴッドドラゴンも発光する。ここでドラゴンノヴァを合わして来るだと!?
『『ドラゴンノヴァ!』』
メシアゴッドドラゴンは地面があったので、吹っ飛ぶことは無かった。結果俺たちだけが吹っ飛ぶとメシアゴッドドラゴンはドラゴンダイブで俺たちの胸に角が突き刺さる。
『『がは!? ドラゴンクロー! あぁあああああ! 王撃! 』』
俺たちはドラゴンクローで殴って突き刺さっているメシアゴッドドラゴンを抜くと殴り合いに突撃する。しかし既にボロボロ状態のメシアゴッドドラゴンに俺たちの攻撃は対処出来ず、王撃が炸裂した。
『決めるぞ! リリー! 星核!』
『うん! 光球!』
二つの技を放つと同時に全ての杖と魔導書を展開すると一斉に魔方陣が展開される。
『いっけぇえええええ!』
『捨て身の一撃! ドラゴンブレス!』
俺たちの魔法と展開されている武器の全てがメシアゴッドドラゴンに降り注いで最後はリリーがドラゴンブレスを放ち、これが直撃すると大爆発が発生し、その場でたっているメシアゴッドドラゴンが言う。
『見事です…本当に…成長…しました…ね』
そういうとメシアゴッドドラゴンは元の姿に戻り、地面に倒れると姿が消えていく。そして勝利を教えてくれるインフォが来る。
『ドラゴニックマウンテンの五つ目の山をクリアしました。セーブポイントが解放されました。中断することが可能です』
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント5ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント5ptを獲得しました』
『リースのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
『グレイのレベルが60に到達しました。成長が可能です』
『封印魔術のレベルが50に到達しました。封印魔術【アルティメットルーン】を取得しました』
『封印魔術のレベルが上限に到達しました』
『ブランの二刀流のレベルが50に到達しました。二刀流【グランドサザンクロス】を取得しました』
『ブランの炎魔法のレベルが40に到達しました。炎魔法【コロナホール】を取得しました』
『ブランの神聖魔法のレベルが40に到達しました。神聖魔法【アルティメットブレス】を取得しました』
『リースの天剣のレベルが50に到達しました。天剣【バスターカリバー】を取得しました』
『リースの槍のレベルが20に到達しました。槍【ペネトレイター】を取得しました』
『リースの天盾のレベルが50に到達しました。天盾【キャッスルランパード】を取得しました』
このインフォが聞こえた瞬間、俺とリリーの感情が爆発する。
『『勝ったぁああああああ!』』
俺たちの嬉しさも雄叫びは竜の咆哮として光のドラゴニックマウンテンに響くのだった。




