#1411 聖輝龍王ドォーンドラゴン戦、中編
恐怖で目を瞑っていたリリーが目を開けると俺と目が合う。
『あ? あれ? 生きてる?』
「生きているよ。よく俺を守ってくれたな。リリー。ありがとう。それとアジ・ダハーカはごめんな。盾に使ってしまって」
『全くだ。我らに不死身の特性が無ければ消滅していたぞ』
アジ・ダハーカの特性。それはこの世界の存在では勝てないという特性だ。龍王であってもこの世界、この星の生命体であることに変わりはない。故にアジ・ダハーカは必殺の竜魔法を受けてもなお生きていた。本当になんでこんな化け物が龍王じゃないんだろうね。
『お久しぶりですね。千魔悪龍アジ・ダハーカ。まさかあなたとこうして戦う事になるとは思いませんでしたよ』
『そうか? 我らはこうなると思っていたぞ? 光に闇をぶつけるのは当然の選択だからな! 黒星! 黒星!』
『光球! 光球!』
黒い星と光の太陽が激突し、大爆発を発生させるとアジ・ダハーカは嬉々としてドォーンドラゴンに襲い掛かると全身で無数の攻撃を受けながら接近し、ドラゴンクローでドォーンドラゴンの多重障壁をぶち壊すと爪は胴体を貫き、アジ・ダハーカの三つ首がドォーンドラゴンの首と両翼に噛みついた。
これに対してドォーンドラゴンは足で蹴り飛ばてアジ・ダハーカを引き離した。この時に首の鱗と両翼が部位破損となる。しかし光が集まり、胴体の傷と共にすぐに回復する。
『お得意の回復能力か!』
『えぇ。あなたの毒も魔素も攻撃も全て無かった事にしてあげますよ。そして光速激突!』
『『『ぐ!?』』』
ドォーンドラゴンが突撃すると逆にアジ・ダハーカに噛みつくとアジ・ダハーカは浄化の力を受けながら振り回されると投げ飛ばされた。信じられない…あのアジ・ダハーカを噛み付いて振り回したよ。これが龍王の力か。
俺たちが感心しているとドォーンドラゴンがこっちを向いた。そうですよね。アジ・ダハーカを狙うより俺たちを狙った方が断然いいですよね。
『ドラゴンダイブ!』
『タクトはリリーが守る!』
『『テレポーテーション』』
俺たちはアジ・ダハーカの元に転移させられる。
『お前たちは手出しするな』
『これは我らの戦いだ』
『光の龍王との戦いをお前たちであっても邪魔はさせぬ!』
助けてくれたというよりドォーンドラゴンとの全力バトルをしたい感じだな。まぁ、それならそれで好都合だ。今のうちにリリーの回復とドォーンドラゴンを倒すための準備を進めさせて貰おう。俺がそれを伝えるとリリーは竜化を一旦解除する。
『邪魔ですね…』
『ふん。魔法においては我らに叶うドラゴンはいない。我らとの戦いに集中することだな。 聖輝龍王ドォーンドラゴン。お前がこちらをどれだけ狙っても無駄だと分かっただろう?』
『はぁ…いいでしょう。あなたの召喚の時間切れまで相手をしてあげますよ!』
『そうこうなくてはな!』
ドォーンドラゴンとアジ・ダハーカの両者が爪を構えるとお互いに接近して激突する。お互いの爪が激突するとアジ・ダハーカが押し負けてしまった。そしてドォーンドラゴンの爪がアジ・ダハーカに決まるがそんなの構わないと言わんばかりにアジ・ダハーカの三つ首がドォーンドラゴンに噛みつく。
これに対してドォーンドラゴンも噛みつき返してお互いの爪がお互いの胴体にダメージを与えて、尻尾が激しくぶつかり合う。そしてお互いに息を吸い込み、ゼロ距離でのドラゴンブレスがお互いに決まり、お互いにぶっ飛ばすと大爆発する。
『光球!』
『黒星!』
『拡散光線! 日光!』
『拡散光線! 死滅光線!』
距離が放たれたことで光球と黒星がぶつかり合い、大爆発するとお互いに無数の光線を撃ち合うとお互いに本体狙いであったことで光線はぶつかることなく、両者に炸裂する。
『『『溶ブレス! 冥ブレス! 荷電ブレス!』』』
『ゴッドブレス!』
『ぬぅうううん! 重力球!』
『はぁああああ! 核撃!』
両者のブレスが激闘すると互角に終わりにお互いに力を溜めてアジ・ダハーカが重力球、ドォーンドラゴンが核撃を使用して、ぶつかり合うと超爆発する。
『星核! 星核! はぁあああああ!』
『水爆! 水爆! はっはー!』
ドォーンドラゴンが両手に星核を作り出して接近するとアジ・ダハーカは両手に水爆を作り出してドォーンドラゴンの接近戦を向かい撃つと両者は再びお互いに防御ガン無視の殴り合い、噛み合いを繰り広げた。そして両者の身体が白と黒に発光する。
『烈日!』
『魔素放出!』
太陽の光と大量の魔素が激突すると両者が技の衝撃でぶっ飛ぶんだ。するとドラゴンダイブを両者が発動させて再度激突する。
『太陽風! 磁気嵐!』
『怪風! 火炎旋風!』
『『天変地異!』』
両者の風がお互いの身体を傷付けるとお互いに天変地異を発動させて、巨大な竜巻が激突してお互いの雷が激しく激突して隕石と雹がぶつかり合うと山の地面がひび割れる。そして巨大竜巻の勝負は互角で弾けるとここでアジ・ダハーカの体が消えだす。
『時間切れのようですね』
『ち…本当に出鱈目な回復能力だな。ここまで手ごたえを感じて倒せない経験は早々出来るもんじゃない』
『お褒めの言葉ありがとうございます。私も久々に熱くなる真っ向勝負でしたよ』
『そうかよ。なら今日はお前にとって最高で最悪の日になるだろうな』
アジ・ダハーカがそう言うと光の柱が発生して俺たちのマリッジバーストが発動した。当然ドォーンドラゴンがこちらを見るとアジ・ダハーカが接近してドォーンドラゴンに魔方陣を展開した手で触れる。
『エクリプス』
『く…ドラゴンテイル! やってくれましたね』
『消える前に嫌がらせぐらいはしておかんとな。悪龍は名乗れん』
本当に仕事が出来るドラゴンだな。俺が感心しているとアジ・ダハーカが俺たちを見て来た。
『『『勝てよ』』』
そういうとアジ・ダハーカは消えた。
「あぁ。勝たせて貰うさ」
『うん! 後は任せて! アジ・ダハーカ!』
俺たちがそう言っているとここでドォーンドラゴンが決断する。
『流石にダメージを負い過ぎました…強化も解除されましたし、いたしかたありませんね。神格解放!』
ここでドォーンドラゴンが本気の姿になる。身体は更に巨大化し、鱗は虹色に変化して角は二つに変化して、背後に巨大な光の車輪が出現した。
救世龍神王メシアゴッドドラゴン?
? ? ?
これがドォーンドラゴンの本気の姿か。恐らく何かしらのヤバいスキルはあるんだろうが攻略法が大きく変わることはないと予想する。つまり俺たちがやるべきことは変わらない。
『やるぞ! リリー! 俺たちが今出せる最大コンボをぶつける!』
『うん! やろう! タクト!』
俺たちが今出せる最大火力でメシアゴッドドラゴンを倒しきれたら俺たちの勝ち。倒しきれなかったら、俺たちの負けだ。勝つための準備は完了している。いよいよ光のドラゴニックマウンテンが攻略成功か失敗が決する時が来たのだった。




