#1410 聖輝龍王ドォーンドラゴン戦、前編
俺とリリーが山頂の真ん中に辿り着くと天から光の柱が発生し、聖輝龍王が降臨した。改めて識別してみよう。
聖輝龍王ドォーンドラゴン?
? ? ?
まだレベル見れないか。見れると思ったんだけどな。まぁ、これはしょうがない。ドォーンドラゴンが話しかけて来る。
『よくここまで辿り着きました。あなたとリリーが出会ったあの日からあなたたちの成長を見守っていた私からすると感慨深いものがありますね』
「俺たちの出会いから見ていたんですね」
ここでリリーが声を挙げる。
「聖輝龍王様! 一つ聞いてもいいですか!」
『いいですよ』
「リリーとタクトが出会いを決めたのは聖輝龍王様なの?」
リリーの質問にドォーンドラゴンが答える。
『いいえ。違いますよ。彼を選んだのは他ならないあなたです。リリー。あなたは覚えていないでしょうけど、彼が私たちの世界にやって来たあの日、あなたは彼と言う光を見つけました。そして望んだのです。自分の意志で彼の所に行きたいと』
「リリーの意志で…タクトを選んだんだ…」
『そうですよ。配下の意志に口出しするほど、私たちは野暮でも優しくもありません。私たちはただ配下の成長を見守る。そして』
ドォーンドラゴンが翼を羽ばたかせると強風が俺たちを襲い、ドォーンドラゴンからとんでもない殺気と重圧が放たれる。
『私たちと同等までに成長した配下と戦い、力を試す存在です。あなたたちは今、ここに辿り着き、その資格を得ました。問いましょう。私を戦う覚悟はありますか?』
俺とリリーが手を繋ぐ。
「「あります!」」
『では、龍王としてあなたたちを倒しましょう! あなたたちが培って来た力の全てを持って私にぶつかって来なさい!』
「「はい!」」
俺とリリーが切り札を早速発動する。
「「マリッジ」」
『日輪!』
俺とリリーは天から降って来た特大レーザーを回避する。
『言ったはずですよ? 優しくはないと! 羽投擲! 神雨!』
ドォーンドラゴンが上昇すると羽ばたき純白の羽と神雨を俺たちに向かって降らせてきた。流石にずっと一緒にいたらただの的だ。ここはリリーと一度離れるしかない。
俺たちが離れるとリリーがレガメファミリアと星天の神剣アルカディオンを構える。俺は旭光近衛だ。
『光剣! 光槍! お行きなさい』
「魔力切断! でぇえええい!」
「魔力切断! は!」
俺たちに向かって無数の光の剣と光の槍が降り注いでくる。これに対してリリーは大剣の大振りの一撃で纏めて消し飛ばすと続く攻撃も大振りで消し飛ばす。俺のほうは間合いに入った剣と槍を片っ端から斬り裂いて消滅させる。
俺たちの動きを見たドォーンドラゴンは光の剣を俺たちの左右や背後に回して攻撃して来た。
「む! 甘いよ! 聖輝龍王様! やぁああああ!」
「閃電! はぁあああああ!」
リリーは大剣二本を横に構えると回転して全ての攻撃を弾く。すると上から光の槍が降って来たがリリーは自分が動くことで攻撃の全てを弾いた。ミョルニルの回転に振り回されたのはいい経験になったみたいだな。リリーの目も回っていない。
俺の方は単純に刀を振る速度を上げて全ての攻撃を弾くと隙を見て攻撃する。
「飛梅! 飛梅! 飛梅!」
飛梅の効果で斬撃が飛び、ドォーンドラゴンの体に攻撃が決まるがドォーンドラゴンは攻撃の手を緩めてくれなかった。それもそのはずで俺の攻撃のダメージはすぐ回復してしまっている。瞬間再生とに光合成による回復効果のせいだ。
これでドォーンドラゴンにダメージを蓄積するためには多段攻撃か大技を決めていくしかない。最もこの様子からしてまともにダメージが残る気がしないがとにかくドォーンドラゴンがどれだけの回復能力を持つのか把握しないとね。
『接近して攻撃を連続で叩き込むぞ! リリー! 連携攻撃だ!』
『任せて! タクト!』
俺とリリーはドォーンドラゴンの降り注ぐ激しい攻撃を弾きながら接近すると間合いに入った。最初にリリーが仕掛ける。
「カラミティカリバー! カラミティカリバー!」
「霹靂閃電! 閃影! 竜穴!」
「天涯両断! いっけえええええ!」
「超電磁! 雷光刃! 居合斬り!」
リリーのカラミティカリバー二連撃が決まるとドォーンドラゴンはリリーにドラゴンクローを使って来た。これを俺が霹靂閃電で弾いて更に残りの攻撃を叩き込むとドォーンドラゴンの上に回り込み空を蹴る。
閃影を放った俺はドォーンドラゴンの上の首を斬り裂くとドォーンドラゴンの喉仏付近に移動して竜穴を決めると距離を取り、力を溜める。
その間にリリーが天涯両断を放ち、俺も旭光近衛の必殺の斬撃を放つことで丁度リリーが縦、俺が横の斬撃となってドォーンドラゴンに炸裂する。
『神雷! 神撃!』
リリーに神雷、俺に神撃を落として来たドォーンドラゴンの攻撃を躱して俺たちはダメージを確認する。攻撃は通っている。だが溶接の効果は解除されて、斬り口に光が集まるとみるみる治っていき、全回復してしまった。しかも俺たちのことをよく知っているだけはある。ちゃんと俺に雷系のスキルを避けて来たな。
「えぇ~…」
『これが私の絶対回復能力です。そして』
ドォーンドラゴンの鱗が輝くと変化する。ドォーンドラゴンの身体が大きくなり、鱗が分厚く進化する。
「それがあなたの力ですか?」
『はい。私の力は回復強化。回復すればするだけ私の力が増していきます。最も器用値や魔力、俊敏性は上がりませんけどね』
生命力と筋力、防御力が上がるだけで十分でしょうが。しかも回復封じが通用しないと来たもんだ。これがドォーンドラゴンが与える絶望。圧倒的な回復能力を持って敵に攻撃しても勝てないと思わせる。
ライフドラゴンと似ているがライフドラゴンは攻撃手段を潰して来た。それに対してドォーンドラゴンは攻撃を許している。ここが決定的な違いだな。どちらがいいかは俺は知らない。一つだけ言える事はどちらも性質が悪い。
ここで俺は考える。流石に回復封じを解除してからじゃない回復を行えないはずなので回復スキルの使用を遅らせることは可能だな。厄介なバフもエクリプスがあるので、何とかなる。流石にバフ解除の無効化は出来ないだろう。してきそうな感じがあるのは怖い所だな。
俺たちがドォーンドラゴンの攻撃を躱しながらリリーが聞いて来る。
『ど、どうやって倒せばいいの? タクト?』
『俺たちのダメージは確実に通っていた。ドォーンドラゴンの自動回復能力より俺たちが与えたダメージのほうが上ってことだな。ただ俺たちの連続攻撃にも限度があるし、中途半端に弱い攻撃をしても回復させてしまうだけだ。後はタイミングを合わせる必要があるのだろうな』
『タイミング?』
『そうだ。今の強化でどれだけ強化されたのか知らないが確実にさっきのダメージより通用しなくなった。つまり俺たちが最大ダメージを叩き込む為にはエクリプスでバフを解除した後にありったけの火力をぶつける必要がある』
問題があるとするならそれを簡単に許してくれる相手じゃないってことだな。俺たちの守りが通用する相手じゃないし…さっきから無数の攻撃で俺たちに切り札を使わせる気が無いことは明白だ。本当に困ったぞ。
『タクト! リリーに出来ることなら何でもするから遠慮しないで言って!』
『リリー…それじゃあ、俺はこれからアジ・ダハーカの召喚に入る。当然ドォーンドラゴンは妨害に動くはずだ。しかも召喚中は俺が身動きが取れず、無防備な状態になる。俺を守ってくれるか? リリー』
『っ! もちろんだよ! タクト! リリーに任せて!』
滅茶苦茶嬉しそうだな。それだけ俺がリリーを頼ったことが嬉しいんだろう。かなりの賭けになるがリリーを信じてみよう。俺は千魔悪龍の封印杖を取り出し、地面に着地する。空にいるより地面にいたほうがリリーは守りやすいはずだ。
『アジ・ダハーカを召喚するつもりですか! そんな隙を私が与えるとでも』
「竜化!」
リリーが竜化してドォーンドラゴンに突撃する。
『タクトの邪魔はさせないよ! 聖輝龍王様!』
『ふ。あなたに愛する人を守れますか? 光槍! 光剣!』
『あ!?』
ドォーンドラゴンはリリーを無視して俺に向かって光の槍と光の剣を飛ばして来た。そう来るよね。俺、無防備だもん。リリーが慌てて俺の所に駆けつけて攻撃を爪で消し飛ばして守ってくれるが次々容赦なく攻撃が降り注ぐ。
『う!? わぁあああああ! タクトー! あ、危なかった…う! 天鎧! 天障壁!
『透過』
『くぅううう! わぁあああああ!』
リリーが慌てて戻るとギリギリで両手の爪で攻撃をはたき落した。しかしホッとしたのも束の間、次々空から攻撃が降り注いでくる。リリーは防御スキルを展開するが透過で天障壁がすり抜けなんとか天鎧で攻撃を受け止めた。
するとリリーが守っていた方向とは反対、つまりリリーの背後と左右に天剣と天槍が移動して俺を狙って来た。これを察知したリリーは尻尾で弾き飛ばしたが無数に飛んで来る攻撃を爪で弾くが空からの天剣と天槍に加えて神雨、羽投擲、流星群まで降って来た。
一生懸命守っていたリリーだが、流石に全ての攻撃を弾くことが出来ず、翼と尻尾、そして自分の体で俺を包み込むように守る。
『なんとしても愛する人を守るその姿は評価いたしましょう。しかしそれで守れるほど私は甘くないですよ。惑星! 光球! 日輪! 神撃! ドラゴンブレス! む?』
次々リリーに大攻撃が降り注ぎ、直撃する。しかしリリーは生きていていた。流石にこれらの攻撃の直撃を受けて耐えられるはずがない。答えは単純明快。ドォーンドラゴンがしたことと同じことをリリーはしたのだ。
即ち包み込んでいる空間にエンゼルタクトを展開して、手にレガメファミリアを持ったことで回復魔法を自分にかけて耐えているのだ。攻撃も防御も捨てた故の判断だ。しかもちゃんとドォーンドラゴンが気付けないようにレガメファミリアを隠していた。
しかし流石に自分の真似をされたことにドォーンドラゴンも気が付いた。
『回復魔法で耐えましたか…ならば私の竜魔法に耐えられますか?』
ドォーンドラゴンが竜魔法を展開した。リリーにはちゃんと聞こえているがもうリリーは自分の身体を盾に俺を守り切ることしか考えていない。頼む。間に合ってくれ。
『竜魔法! セイントアニヒレーション!』
「封印石召喚! 頼む! リリーを守って俺たちを勝たせてくれ! アジ・ダハーカ!」
俺たちに降れただけで全ての存在を消滅させる極大のレーザーが降って来ると俺たちを包み込んだ。
『遅かったですか…リリーの作戦に時間を取られてしまいましたね』
『『『ドラゴンブレス!』』』
『神バリア!』
光の中から三つのドラゴンブレスがドォーンドラゴンに襲い掛かると神バリアでガードした。そして光の中からアジ・ダハーカと俺を守りきってくれたリリーの姿が現れるのだった。




