#1399 治癒星竜戦
俺たちが戦闘開始している頃、ブランもヒーリングスタードラゴンの戦闘が始まった。というのもブランの役割はまずヒーリングスタードラゴンを俺たちの戦いに介入させないことだ。逆にヒーリングスタードラゴンは仲間と一緒に戦いたい。この駆け引きが戦闘に現れていた。
『はぁあああ!』
「行かせません!」
通せんぼするブランとブランをどかそうと攻撃するヒーリングスタードラゴンの対決だ。ヒーリングスタードラゴンの攻撃でまず警戒しないといけないのが天の披帛。これにブランが捕まると通せんぼが出来なくなる。
この天の披帛が空間歪曲で飛んできたがブランはしっかり神槍リープリングアテナで対処しているとここでヒーリングスタードラゴンはドラゴンブレスを使って来た。これを神盾アイギスでしっかりガードする。
『天鎖!』
「く…! 溶波動!」
『くぅうう~!』
「はぁ!」
天鎖がブランを拘束しようとしてきたがブランは空を飛び回り回避するとその間にヒーリングスタードラゴンは抜けようとした。これに対してブランは溶波動を放ち、ヒーリングスタードラゴンの動きを止めるとヴィーザルサンダルで蹴り飛ばした。
『やりますね…』
そういうとヒーリングスタードラゴンは先程受けたダメージをすぐに回復させてしまった。それを見たブランはヒーリングスタードラゴンをみんなのところに行かせてはならないと再認識して、戦闘を続行した。
『拡散光線! 星雨! 星光刃!』
ヒーリングスタードラゴンは拡散光線を放つとブランはこれを回避すると星雨をブランに降らせてきた。これをブランは盾でガードするとそこに手に星光刃を発生させたヒーリングスタードラゴンが襲い掛かって来たがこれも止めて反撃するが後ろに下がられると天の披帛が伸びて来る。これをブランは槍に浄炎を宿して焼け斬って見せた。
その後もこのような戦闘が続くとブランは遺憾感を持つ。
『おかしい…彼女は確かに攻めてきている。でも彼女から必死さが伝わって来ない。何か狙っていることは確か…しかし攻めに転じていいんのか…今のまま続けるとしましょう。彼女が何かするときに対処するばいい』
本来ならヒーリングスタードラゴンはドラゴンダイブなどで強引にブランをどかすような動きをしてもいいドラゴンなのだ。何せ突撃の結果ダメージを受けても回復するなら突撃のリスクはかなり低い。なんとしても他のドラゴンたちと戦闘したいならこういう行動があるのが普通だと言える。
しかしヒーリングスタードラゴンの動きは攻撃はしつつも自分の命を大切にしている動きだった。回復役ならその動きも当然なんだけど、最後に回復役だけ残っても本来なら意味がない。しかしブランが感じた通りにヒーリングスタードラゴンにはちゃんと狙いがあった。
そしてヒーリングスタードラゴンが動いたのはミラースタードラゴンが倒されたのを認識した時だった。ヒーリングスタードラゴンの動きが急に変化する。
『ドラゴンフォース!』
『っ!?』
『ドラゴンダイブ! ドラゴンクロー! ドラゴンテイル!』
突撃のドラゴンダイブは盾でガードして、続く左右のドラゴンテイルも止めれたが最後のヒーリングスタードラゴンが一回転してからの振り落とされたドラゴンテイルにはブランは対処出来ず、地面に叩きつけられる。
『光圧支配! 光牢!』
ブランは光の圧力を受けて動きを鈍らせられると光の檻に飛び込められてしまった。
「しまった! この!」
『残念ですが遅いです。私の竜魔法を見せて上げましょう! 竜魔法! ミラクルドラゴンサークル!』
天に巨大な竜の魔方陣が展開されるとそこから光の雨が発生するとヒーリングスタードラゴンの左右に倒されたスターライトドラゴンとミラースタードラゴンが完全な状態で蘇生してしまった。
『これが私の切り札です。自分の生命力を犠牲に範囲内にいる味方を完全な状態で蘇生いたします。そして私は失った生命力は自分で回復することが出来る。これが無限に繰り返されてあなたたちは私たちに勝てますか?』
近くに味方を蘇生出来るならわざわざ合流を目指さなくていいよな。これがヒーリングスタードラゴンが強引に動かなかった理由だ。ブランが自力で光牢を破壊したところに俺たちが合流する。
「すみません…皆さん…しくじりました」
「別にしくじってはいないだろう? 俺が命令したわけじゃないんだからさ。それに…リヴァイブ!」
俺がリヴァイブを発動させてリースを蘇生させた。
「これで条件は同じだ」
「主…」
「ん…ここは…戦いはどうなりましたか?」
「主とリースたちはちゃんと倒しました…しかし私が彼女に蘇生魔法を許してしまった状況です」
完全に凹んでいるブランに俺は前に出て、命じる。
「役割分担に変更はない。ただブランは早急にヒーリングスタードラゴンを仕留めるために動いてくれ。あいつの言い分は間違いは言っていないんだろうがあいつ自身の生命力を犠牲にして使う魔法である以上、あの魔法の発動に必要な生命力がないと恐らく魔法が発動出来ないはずだ」
これはリスクを支払うスキルや魔法で全て共通されている弱点だ。俺の命令を受けてブランはウリエルの聖双剣に装備を変える。鎖や天の披帛があるヒーリングスタードラゴンが相手だと槍と盾より双剣のほうがいいと判断したようだ。
「お任せください。もう蘇生はさせません」
「頼んだぞ。リース、何が起きたのか教えてくれ」
「は、はい!」
俺たちが話している間にドラゴンたちも会話していた。
『ったく。折角気持ちよく負けたっていうのに蘇生させるなよな…お前』
『これでは僕たちの立つ瀬がありませんよ』
『あなたたちのことなど知りません。このドラゴンの聖域の山を守るのが力あるドラゴンの使命であることを忘れたわけではないでしょう? 悪いですがどれだけでも戦って貰いますよ。死んで役割を放棄するなど私が許しません』
『おぉ…こわ。まぁ、折角だし俺様たち三星竜の本気の姿と連携をみせてやるとするか』
『ですね。天』
三匹が天昇を使おうとした時だった。地面で激しい雷鳴が轟く。三人が地面を見るとそこには雷化を使用した旭光近衛を持つ俺の姿があった。
「切り札なんて使わせるわけないだろう? お前らの手の内は大体わかった。蘇生してばかりで申し訳ないがもう一回倒させて貰おうぞ」
『あの男が一番やばいです! 拡散光線! 日光! 星雨! 変光!』
『らしいな! 乱反射! 全反射! 反射壁!』
『まだ回復しきっていませんからね! 拡散光線! 星雨!』
俺たちに無数の光線と星の雨が反射して時に反射せずに不規則に動きを変えながら殺到してきた。これに対して俺は構えを取る。
「魔力切断…百花繚乱!」
花びらが舞うと俺たちに襲い掛かって来ていた光線が全て斬られて消滅する。流石に全ては無理だが、俺たちの周辺に限定出来れば対処可能だ。そして花びらから雷光が一直線に三体のドラゴンに向かう。
『近づけさせてはいけません!』
『わかってるつーの! 念動力! 光速激突! 何!?』
俺に鏡が飛んで来ると俺はその鏡を踏み台にすると空に浮いていた星も蹴り、次に鏡、星と次々踏み台にして不規則に動き回る。そんな状況でも俺を狙い撃っていくスターライトドラゴンは流石だが、俺は魔力切断で全て斬っている。
ここでリリーたちも突撃して来た。
『くそ! おい! ヒーリングスタードラゴン! 俺様だけじゃ鏡の強化復活が間に合わねーよ! 手を貸せ!』
『分かりましたよ!』
俺の狙いは鏡と星の破壊だ。それともう一つある。スターライトドラゴンは俺の一撃の怖さを知っている。そんな相手が彼らの周囲を飛び回って一撃必殺の一撃を狙っている状況に俺は追い込んだ。これで彼らは下手に動けない。
『く…星光刃!』
「やぁあああ! 行って! ブランちゃん!」
『くそったれが! 虚像!』
鏡が俺たちの姿を映すと俺たちの偽物を作り出した。魔法ではなくスキルでもこんな能力があったんだな。しかし俺の偽物は俺が瞬殺した。それはみんなも同じだ。姿形装備が同じなら勝負が決するのは戦闘能力でしかない。残念ながら近接戦闘を挑んだ時点で虚像の敗北は決まっていた。
「折角機会を頂けたんです。全力で行きますよ! スピカさん! 光分身!」
「ヒヒーン!」
「「「「「超連携!」」」」」」
スピカに乗ったリースが二人の光分身で増えると分身全てに超連携が発動した。
『嘘だろ!? 星鎧! ぐわぁあああああ!? な…なんなんだよ…お前ら…最初の時と動きが全然違うじゃねーか…』
「当たり前です。召喚獣は召喚師と一緒に戦っている時が一番力を発揮するんですよ」
『ち…蘇生された結果が集団戦でも負けることを教えられるなんてな…』
リースとスピカの攻撃で身体のガラスがボロボロで穴が開いているミラースタードラゴンは消滅した。全開状態で蘇生されても奇跡のような一回の戦闘で一回しか使えないスキルは発動することは出来ないので、勝負ありだ。そしてリリーとスターライトドラゴンの鍔迫り合いに俺が襲い掛かる。
『っ! 閃光!』
「朧」
『っ!?』
俺が首を狙った斬撃を見たスターライトドラゴンは閃光で後ろに下がることで避ける。しかし閃光で逃げると背中に何かがぶつかって完全に逃げることが出来なかった。グレイが完全に動きを見切っていた。
『またあなたですか! っ!?』
朧でフェイントした俺がスターライトドラゴンの目の前に現れるとスターライトドラゴンの首を跳ねた。そして俺とリリー、グレイでボコボコにして二度目の死を迎えた。
最後にブランとヒーリングスタードラゴンの戦闘は先程までの戦闘とは打って変わる。ブランがガンガン攻めに出て、ヒーリングスタードラゴンは天鎖と天の披帛で対抗しようとしたがブランは全て弾いてヒーリングスタードラゴンが次々斬られて炎上する。
ただ燃えてもヒーリングスタードラゴンは回復した。しかし問題なのは回復役なのに接近を許してしまった事だ。
『ドラゴンクロー!』
ヒーリングスタードラゴンもドラゴンなので一応接近戦は出来る。ただその接近戦はかなりお粗末なものだ。大振りされたドラゴンクローがブランに当たるはずもなく、ブランの斬撃が止まらない。
『く…おのれ! 離れろ! ドラゴンーーがは!?』
ドラゴンノヴァでブランを離そうとしたがゼロ距離でそんな溜め技が使えるはずがない。ブランの蹴りが腹に決まるとぶっ飛び、ぶっ飛んだヒーリングスタードラゴンを更に上から蹴り、ヒーリングスタードラゴンは地面に落下する。
「神鎖! 惑星魔法! ウラノス!」
『く…私たちは守らないといけないのだ! あぁあああああ!?』
惑星魔法のウラノスが直撃して消し飛んだ。流石に回復特化と言ってもミラクルドラゴンサークルの代償は大きかったな。しかも仲間を蘇生させたことで全ての情報が俺たちにばれた状態で戦闘することになった。
ただこれをしなくても攻めに転じたブランは完全にヒーリングスタードラゴンを圧倒していたから流石に結果が変わったとは思えないな。
「お疲れ様」
「はい…反省が多い戦闘でした」
「何が正解がわからないだろう?」
「え? あ、はい」
ブランの顔を見て、俺はブランの気持ちを当てれた。まぁ、当てれて当然なんだけどね。
「私はどうすればよかったんでしょうか?」
「正解を言うなら攻めていれば楽に勝てていただろうな。でも、それは結果論から来る正解だ。戦闘している時に攻めていれば勝てるなんてわかるはずがない。だからさ戦闘しているときは何が正解とか考えないほうがいいぞ。そこはリリーを見習うべきところだと思う」
「失礼だよ! タクト! リリーも色々考えているもん!」
色々考えた結果が突撃、大振り攻撃って言うのは大問題なんだよな。俺は怒っているリリーの頭を撫でながらブランに言う。
「大切なのは答え合わせだと俺は思っている。戦闘の後に何が正解で不正解だったのか考えて次に活かすことで成長していくんだ。だからブランももちろん俺もみんなもしっかり今回の戦いを見つめ直そうか」
俺たちは回復しながら今回の戦闘の反省点を話し合う事にした。これでブランと死んでしまったリースは随分顔色が良くなった。自分の気持ちを話せてだいぶ楽になったようだ。これなら先に進んでも大丈夫だろう。俺たちは山昇りを再開するのだった。




