#1386 絶海龍王アブソリュートドラゴン戦、前編
俺たちはどんどん深海に潜っていくと地面が見えた。しかしそこには絶海龍王アブソリュートドラゴンの姿が無いと思ったら、地面が砕けるとそれにより発生した水流に俺たちは流される。形としては俺たちは滝の中にいるような状態だ。そして地面が砕けた瞬間に絶海龍王アブソリュートドラゴンの気配を感じた。
流された俺たちは絶海龍王アブソリュートドラゴンがいるとんでもない広さを持つ地底湖に落下した。その地底湖は一言でいうと宇宙の海。地底湖の水が宇宙のようになっている。その海の中に落ちるともう宇宙といるのと区別が付かないくらいの光景が広がる。もちろん原初の加護の影響は健在だ。
俺たちが水面に顔を出すと目の前で水が盛り上がると水が弾けて絶海龍王アブソリュートドラゴンが姿を見せた。
絶海龍王アブソリュートドラゴン?
? ? ?
絶海龍王アブソリュートドラゴンが俺たちに話しかけて来た。
『お前たちのような若輩者がよくここまで強くなったものだ。正直俺様の領域まで来れるとは思ってなかったぞ』
「そこは信じるべきではないですか?」
『ふん。期待した結果、躓いたらお前はどうするんだ? そこに残るのは失望だけだろうが。俺様はそんな思いはしたくない。故に期待はせず、ただここに辿り着いた者を称賛するのみと決めているのさ』
口ではそうは言っているが成長を手助けしている時点で期待はしていると思うのは俺だけかな?それに期待と言うプレッシャーを与えないことも一つの優しさなんじゃないかなと俺は思う。
『さて、俺様と戦うのは誰だ? 好きな人数で挑んで来い』
「俺とイオンの二人で戦わせて貰います」
『ほぅ…よかろう。来るがいい。俺様の名は絶海龍王アブソリュートドラゴン! お前たちが絶対の理を否定したいのなら俺様に勝って見せるがいい! それが出来ないなら俺様の絶海に沈め!』
なんとも絶海龍王アブソリュートドラゴンらしい名乗りだな。そして絶海龍王アブソリュートドラゴンは絶対を司っていることを思い出した。スキルの中で絶対という絶対防御のことだと思うがそれ以外のスキルもあるだろう。
絶対の言葉の意味的には間違いなくとか他に並ぶものがいないなどの意味がある。言葉としては絶対にそうなるとか絶対王者とかの言い方がされているね。よく似たことで必ずとかあるが絶対のほうが強い言葉だと国語の先生に教えられた。
俺はこの言葉が好きな言葉じゃない。この世に100%はないと思っているので、俺は絶対の理を否定したい側の人間と言うことになる。
「「マリッジバースト!」」
俺とイオンがマリッジバーストを発動されると神剣草薙剣と神剣天羽々斬を構える。そしていよいよ絶海龍王アブソリュートドラゴンとの対決が始まった。
先手は俺たちが取る。スピードを活かして一気に接近する。
『海流支配!』
『海流支配! う!?』
俺たちは海流支配のぶつかり合いにあっさり負けてしまう。いくらなんでも負けるのが速すぎる。まるで最初から勝負にすらなっていない感じだ。
『こんなあっさり負けるなんて!?』
『これは…まさか勝利の加護か?』
『え!?』
絶海龍王アブソリュートドラゴンが勝利の加護を持っているならこの不自然さの説明が付く。何より相手に同じ加護がないか無効化されない限り必ず勝つ勝利の加護は絶対を司る絶海龍王アブソリュートドラゴンを持つに相応しさを感じる。ただ言いたいことはあるな。
「このフィールドの影響を受けていないのは反則じゃないか?」
『ここは俺様の海だ。そもそも俺様一人に対して二人で挑んで来ているお前たちに俺様を非難出来ると思っているのか?』
それは出来ないね。ただ反論させて貰うと挑む人数を自由にしているのは絶海龍王アブソリュートドラゴン本人だと言いたい。
『氷雪刃! 接近戦が得意なんだろう? かかって来い』
アブソリュートドラゴンは身体の全身に氷の刃を作り出した。
「ルーンスキル。あぁ、思う存分戦ってやるよ!」
俺たちはファミーユタクトを展開して勝利の加護を封印した上で俺たちは接近戦を挑む。すると俺たちのスピードにアブソリュートドラゴンは完全に対抗して来た。全身の氷の刃を実に器用に使っている。だがそれも俺たちのスピードに見切れていないと不可能な芸当だ。
『武装射出!』
俺たちが攻めあぐているとアブソリュートドラゴンが作った氷の刃が外れて、無数に飛んできた。それを弾いているとアブソリュートドラゴンが拳を握りしめた。それを見た俺は剣を手放すとコントロールをイオンに任せて拳を握る。
「『海震!』」
お互いの海震が激突すると俺たちがぶっ飛ばされるとアブソリュートドラゴンが距離を詰めて来た。
『王撃!』
「はぁ!」
俺たちは振りかぶられた王撃にカウンターでアブソリュートドラゴンを斬ったがこの攻撃は装甲に阻まれる。そして連続攻撃しようとするが尻尾で止められて、弾かれるとアブソリュートドラゴンが振り向くと拳を構えていた。また海震だ。
「海割れ!」
『海震! ほぅ…上手く不発させたな』
海が割れたことで海震が不発する。海震は水中でないと使用出来ないスキルだから不発したのだ。
するとアブソリュートドラゴンが接近戦をしてきた。俺たちが受けてたっていると氷の刃を砕けるがすぐに復活してしまう。さっきのカウンターで俺たちの攻撃が通用することは確信した。硬さは感じたが他の龍王たと比べるとかなり柔らかいほうだ。これなら勝てる。
「はぁ!」
『ミーティアエッジ!』
『あめぇ!』
俺が強引に攻撃を弾いて距離を詰めるとイオンが好意を考えて、ミーティアエッジを使う。その瞬間にアブソリュートドラゴンは後ろに下がるとミーティアエッジの初撃がアブソリュートドラゴンの爪で弾かれる。これじゃあ、武技の発動が成立しない。
『死ね!』
『部位竜化!』
アブソリュートドラゴンの爪が振り下ろされるとイオンは尻尾を巨大化されて攻撃したがその尻尾を掴まれる。
『おらぁ! 冷凍光線! 拡散光線!』
「『ぐ!?』」
俺たちがぶん投げられると割れた海の側面が凍り付き、俺たちは氷に背中をぶつけられた。わざわざ氷に変えてこちらのダメージを上げてきやがった。
『氷原支配!』
更に俺たちの身体全体が氷の棘に串刺しにされる。これはまずい。ダメージもやばいが動けない。
『王撃!』
俺たちにアブソリュートドラゴンの王撃が炸裂して、アブソリュートドラゴンが作った氷の壁が砕けて、俺たちは宇宙の海に戻されると海割れも元に戻った。
「強い…」
『すみません。タクトさん、私の判断ミスで』
「いや、俺も接近戦でアブソリュートドラゴンに勝てていないからな。純粋にアブソリュートドラゴンの技量の高さを褒めるべきだ。あの大きさで俺たちのスピードに対応するなんて普通じゃない」
恐らくは未来予知系のスキルを使っているんだろうけど、未来が見えたとしてもそれに対応出来るかどうかは本人の技量で決まる。俺たちの攻撃に対応出来るほどの速度と技量は褒めるしかない。俺ならあの巨体で人間の攻撃に全て対応するなんて出来る気がしない。
『これで終わりだと思ってないよな!』
俺たちは武器を手元に戻して、アブソリュートドラゴンを受け止めると再び接近戦をする。アブソリュートドラゴンの攻撃を最小限の動きで躱して、俺が攻撃を受け止めるとアブソリュートドラゴンはドラゴンクローを使用して来た。
「竜穴!」
『グランドサザンクロス!』
俺は前のめりになったアブソリュートドラゴンの首に竜穴を決めるとグランドサザンクロスを決めて、アブソリュートドラゴンを下がらせる。するとアブソリュートドラゴンは傷付いた自分の身体を触る。
『その二本の剣は厄介だな。面白くなってきたじゃねーか!』
アブソリュートドラゴンが纏っている気が増幅する。俺とイオンはこれからアブソリュートドラゴンの強さが更に上がっている事を予感し、剣を構えるのだった。




