#146 遺跡の壁画と忍者
イベント五日目。いつもの生産活動をしてからイオン、チェス、ぷよ助、セグロと朝から湖の中を探索するが何も成果がない。
やはり浮島にあったのに同じ場所の湖にはないか…とすればバーサークキングコングのベースエリアと多分もう1つあるはずだ。
俺は午後から森の探索を開始。メンバーはリリー、セチア、グレイ、リキュール、ダーレーだ。そしてリリーが操縦すると言い出す。
「リリーお姉様のお気持ちを汲んで上げてください。タクト様」
ぐぬ…逃げ道を封じられた…
ダーレーに乗るといつもの暴走が始まる。
ロデオしてる人の気持ちが分かった…だがこのままじゃダメだったな。
「リリー、ストップだ」
「も、もうちょっと待って!」
ダメだこりゃ。俺は後ろからリリーの手綱を握っている手を優しく握り締め、ゆっくり手綱を緩める。するとダーレーも落ち着く。
「あ…」
「まず落ち着かせたい時は手綱を強く引かないこと。手綱を引きすぎるとダーレーが苦しいからな。ほら、前に進む指示を出してごらん」
「う…うん」
リリーが前に進む指示を出すと手綱を強く握る。これが原因だな。俺はリリーをサポートし、手綱を強く引かないようにする。
するとダーレーはいつものように走る。
「わぁ!」
リリーは気持ちよさそうだ。
「この感じを覚えておくんだぞ? 手綱を強く引くときは急に方向転換をしたいときや危ないから止まって欲しいときだ。普通の時はこれくらいでいいんだよ」
「うん! ありがとう! タクト」
その後、俺の手助け無しでも、リリーの操縦は安定していた。ダーレーに乗りながら、ウルフマンを軽々ぶっ飛ばしたほどだ。
「リリーお姉様の脅威がなくなったのは、嬉しいことですが…納得行きません」
セチアは何が不満なんだよ…ちゃんと操縦出来るようになっていいことじゃないか。
改めて俺は次のベースエリアに向かう。ベースエリアの場所は大体の察しはついている。
最初のベースエリアは俺たちは北から南下して発見した。そして東西に2つのベースエリア。残すは南だけだ。
しかし南下して発見したのはベースエリアではなかった。
「ここは…遺跡か? セチア、毒はあるか?」
「あります」
ということはやはりベースエリアではないのか…だがいかにも石板ありますよ的な感じだ。一応ルインさんに連絡する。
「忙しいところすみません。最初のベースエリアから南にベースエリアとは違う遺跡を発見しました」
『まぁ、南にもあるわよね。でもベースエリアじゃないの?』
「セチアによるとここには毒があるそうです。恐らく違うのではないかと」
『なるほどね。私たちが向かうには距離があり過ぎるから探索してちょうだい。メルたちには私からはなしておくわ』
「お願いします」
これでよし。許可も出たし、探索しよう。
リキュール、ダーレーを代えてイオン、恋火を呼び出す。さぁ、遺跡探索と行こうか。
遺跡の中は罠だらけだった。落とし穴や壁から矢や槍が沢山出てくる。まぁ、恋火が察知してくれるので楽だ。
そしてモンスターも出てきた。それがこちら!
ゴーストLv4
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
荒野で見た幽霊さんだ。憑依されるとやばいメンバーなのでセチアとマジックバレットで仕留めた。
というわけで遺跡の中は俺とセチアが大活躍。途中の戦闘でインフォが流れる。
『杖のレベルが20に到達しました。武技【トライデントマジック】、【シフトチェンジ】を取得しました』
ふむ。折角だし、使ってみた。まずトライデントマジック。最大三体まで狙った敵に魔力弾を放つ技みたいだ。一体に三発撃つことも出来る。ちょっと便利な技だな。
だが、それよりも便利なのがシフトチェンジだ。シフトチェンジはパーティーメンバーの場所を入れ替える技だ。例えば俺が敵に狙われた際にリリーと場所を入れ替えて、リリーに戦闘を託すことも出来る。
他には色々な戦略があるだろう。例えば噛み付いているグレイとぷよ助を変えるとか、ひよりと黒鉄をチェンジもありかな。
問題は一組しか入れ替えることが出来ないところだな。そしてこの武技は一度の戦闘で一回しか使えないみたいだ。入れ替えし放題にはさせてくれないよな。
ライトを使いながら安全に探索をしていき、どうやら終点に辿り着いた。そこは大きい広間だった。
そして何かが出現する。
ファントム?
? ? ?
やっぱりボスがいるわけね。
意味は同じ幽霊だがこいつは亡霊って感じだったな。そしてこいつは武器に鎌を持っていた。死神の進化前と言いたげだな。
さて、どうするか…幽霊のボスは予想外だ。
そんなことを考えているとファントムがリリーに憑依した。ファントムに操られるリリーがイオンに襲いかかる…狙う相手を間違えたな。
結果いつものごとくイオンにぼこぼこされるリリー。あまりの容赦の無さにファントムがイオンに乗り移り、今度は俺を狙う。
結果イオンを離れるファントム。いや、だって、いつもの訓練と変わらないんだもん。むしろ訓練よりも遥かに弱くなっている。イオンの考えで動いてないから当然なんだけどさ。
そして次は俺に来る。こいつ…頭悪いな。この場にはお前の天敵がいるのだよ。
「悪いけど恋火。血醒、頼めるか?」
「は、はい! 行きます! 血醒!」
恋火が白銀色のオーラを纏い、呪文を唱える。
「一切の罪穢れを祓い浄め奉る」
輝く剣を見て、慌てて逃げ出すファントムだが、手遅れだ。
「一閃!」
恋火は一瞬で間合いを詰めて、ファントムは両断する。そしてインフォが来る。え?一撃?俺が思っている以上に恋火の血醒はやばいのかも知れない。
『『古の遺跡』をクリアしました。スキルポイント3ptを獲得しました』
『恋火の刀のレベルが10に到達いたしました。武技【抜打】を取得しました』
スキルポイントゲット!これで俺の残りスキルポイントは39ptになった。
そして恋火が覚えた抜打は抜刀術の一つだな。最初の抜刀で牽制して二刀目で仕留める技だ。
スキルポイントが少ないのは…ボスが弱かったからか?ここがやっぱりベースエリアじゃないことが原因なんだろうな。じゃあ、この場所はなんなんだろう?
「「ひ、酷い目にあった…」」
まぁ、憑依された二人は御愁傷様だ。
さて、ぼろ雑巾になったファントムを解体する。結果はこちら。
布切れ:レア度3 素材アイテム 品質E
普通の布切れ。燃えやすいのが特徴。
闇性石:レア度3 素材アイテム 品質E
闇属性を宿した石。武器の素材や魔石に使われる。
布切れの用途が不明だな。ハンカチサイズの布切れなんて何に使うよ?よし、ミュウさんに渡そう。
それよりも闇性石が手に入った!これは楽しみだな。
呆気なく倒してしまったがよくよく考えると恋火がいなかったら、詰んでたな。
目当ての石板はあるかなーと周りを照らすと壁には壁画と石板があったであろう場所を見付けた。文章と窪みがあるから間違いないな。
壁画は古代エジプトの壁画みたいだな。かつての戦闘の一部始終が描かれている。
まず空から鉄の船がやってくる。その後、この島にドラゴンに跨り、小さい悪魔達を使役している巨大な女性の存在が島に攻め込んでくる。
島は毒に侵され、ついにドラゴンと巨大な女性は鉄の船に攻撃を仕掛ける。
するとロボが現れ、ロボとドラゴンと巨大な女性は戦い、ロボが勝利する。
毒に侵されたこの島の人たちは死ぬまでロボを称えた。
ざっくりだが、こんなストーリーみたいだ。
早速ルインさんにコミュニケーションで連絡。
「例の遺跡を攻略しました。そこで壁画と石板の元になった物を発見しました」
『あっさり凄い報告してきたわね。壁画はスクショで送ってくれる? 文章はどうだったの?』
「『空から来たりし』は最初の言葉ですね。次の言葉が不明でその次に『災いをもたらししもの』最後が『と戦い、これを滅する』です」
『文章からすると空から来た存在とラスボスが戦って、空から来た存在が勝ったのね』
「みたいですね。壁画にはその様子が書かれてます。ロボと同サイズの悪魔っぽいのが戦っている壁画がありますよ」
『なるほど。その場所はきっと石板のヒントが無くても、攻略法を伝えるための場所ね。ボスはいたの?』
「いましたが弱かったです。ファントムだったんですが、恋火で一撃でした」
『幽霊が相手なら神官がいれば楽に攻略出来るんでしょうね。浄化魔法は対アンデット専用魔法って話だし』
ほう。そんな魔術があるのか。それがあれば楽だろうな。
『とにかくラスボスとロボを戦わせるのがこのイベントの攻略法と見て、間違いないわね。これであのロボの化け物のような設定にも納得がいくわ』
確かにラスボスと戦って勝てる存在ならあの強さの説明がつくな。
『この情報…一旦私が預かるわ。広めるとろくなことにはならないから。先走る奴とか絶対いるからね』
「了解です。イベントが動くとしたら、最終日辺りですよね? 俺はここのスクショを撮った後、そちらに戻ります」
『わかったわ。信頼出来る人たちを集めて作戦会議をしましょう』
俺はスクショを撮影してルインさんにそれを送る。リターンで戻れれば良かったんだが、ここに戻ったので、リリーとイオンを戻して、リキュールたちを召喚して戻ることにした。
夜に作戦会議を開くことになったので、到着したのちログアウトした。
そして夜、集まったのは俺とルインさんたち生産職たち、俺からの推薦でメルたち、シフォンたち、ルークたち召喚師、更にトリスタンさんに雷電さんの推薦で猛獣使いたち数人が集まった。
最初にルインさんがこれからの内容は掲示板や他の人たちには伝えないことを釘を差す。
そして俺が話をするわけだが…その前に俺は不届きものに語りかける。
「盗み聞きとは感心しないな…姿を見せるか俺の召喚獣に襲われるか好きな方を選べ」
俺がそう告げると慌てて、姿を見せたのは忍者5人のパーティーだった。
「ま、待つでござる! 拙者たちは怪しいものでは」
「盗み聞きをしようとしてよく言えるわね」
ルインさんには事前に彼らのことは伝えてある。流石に忍者とは知らなかったけどね。
「ぬぐ…それについては謝るでござる! ただ皆様の動きが怪しく、良いことが聞けると思った次第で」
「どうします? ルインさん」
「掲示板で喋られても問題だし、忍者は戦力になるわ。ここは会議の参加を認めましょう」
「おぉ! かたじけない! 役に立つでござるよ! あ、拙者は火影と申す」
他のメンバーは風影、水影、土影、雷影を名乗る。有名アニメネタだな。しかし当然疑問の声が上がる。
「大丈夫なのか? ルインさん?」
「大丈夫よ。もし掲示板や向こうの奴らに話したら、どうなるかぐらいのことはわかるわよね?」
ルインさんが怖い。
「当然でござる。皆の者も厳禁でござるよ? もしすれば生産職のブラックリスト入り、掲示板での名前の晒しぐらいは覚悟するでござるよ」
『しないでござる』
「あら? 私はそんなことするとは言ってないんだけど?」
嘘だ!絶対するつもりだった!その場にいた全員がそう思ったはずだ。
「しかし、拙者たちの気配遮断をどうやって破ったのでござる?」
「お前たちがここに来るときに硬糸に触っただろ? 大蜘蛛には糸察知があってな。バレバレだったぞ」
「なぬ!? まさか侵入者察知のトラップの役割もあったとは…しかし来たことは分かっても、場所まで正確には」
すると彼らの背後の木からコノハ、サビクとルートが現れる。
『ひっ!?』
「ヘビは熱察知を持っていてね。気配消しても無駄なんだよ。後はうちのフクロウも気配遮断を持っていてね。ずっと見張ってて貰った」
「か、完敗でござる…」
こいつらの不運はアラネアが糸をせっせと作ってる最中に来たことだな。
そして改めて会議が始まった。
名前 タクト 中級召喚師Lv10
生命力 44
魔力 88
筋力 31
防御力 22
俊敏性 28
器用値 63
スキル
格闘Lv7 蹴り技Lv14 杖Lv19→Lv20 片手剣Lv10 投擲Lv3 高速詠唱Lv9→Lv10
召喚魔術Lv21 封印魔術Lv3 錬金Lv9 採掘Lv14 伐採Lv15 解体Lv22→Lv23
鑑定Lv12→Lv13 識別Lv18 風魔法Lv20 火魔法Lv21 土魔法Lv21 水魔法Lv20
闇魔法Lv20 光魔法Lv28→Lv29 雷魔法Lv20 爆魔法Lv18 木魔法Lv18 氷魔法Lv16
時空魔法Lv18 水泳Lv5→Lv8 読書Lv8 料理Lv26 餌付けLv6 釣りLv14 シンクロLv5
名前 セチア エルフLv26→Lv27
生命力 32→33
魔力 82→84
筋力 24
防御力 19→20
俊敏性 21
器用値 82→84
スキル
杖Lv9→Lv13 弓Lv6 木工Lv10 採取Lv10 調薬Lv5 風魔法Lv3 火魔法Lv7 水魔法Lv12
土魔法Lv13 木魔法Lv15 樹魔法Lv5 エルフの知識Lv12 精霊召喚Lv4
名前 恋火 セリアンビーストLv23→Lv24
生命力 52
魔力 48→50
筋力 52
防御力 31
俊敏性 56→58
器用値 43→44
スキル
刀Lv9→Lv10 二刀流Lv1 炎魔法Lv5 狐火Lv9 気配察知Lv9→Lv10 危険察知Lv5→Lv8
妖術Lv1 血醒Lv3→Lv4
名前 サビク ブラックマンバLv2
生命力 36
魔力 10
筋力 26
防御力 15
俊敏性 25
器用値 20
スキル
噛みつきLv5 巻き付きLv4 猛毒Lv5 熱探知Lv2→Lv3
名前 ロコモコ クラウドシープLv2
生命力 52
魔力 20
筋力 5
防御力 32
俊敏性 20
器用値 6
スキル
体当たりLv3 危険察知Lv2 逃げ足Lv1 育毛Lv4→Lv5 採乳Lv4→Lv5 耐寒Lv1
名前 エアリー アイベックスLv5
生命力 43
魔力 19
筋力 25
防御力 17
俊敏性 33
器用値 18
スキル
角擊Lv3 登攀Lv1 危険察知Lv4 跳躍Lv1 疾風Lv3 光魔法Lv6 採乳Lv4→Lv5
釣りスキルのレベルが上がっていませんでしたので、修正しました。