#1378 竜の氷河洞窟
俺たちは洞窟の中に入るとそこは氷河の洞窟だった。一面凍り付いている洞窟を進んでいくと分かれ道に出る。その両方の道から川が流れていた。ドラゴニュートの少女の話だとこの川は頂上から流れて地下を通り、ドラゴニュートの村がある地底湖まで続いているそうだ。つまり川を遡ると頂上ルートで川を下るとドラゴニュートの村に行くことになる。
「ん? 敵が来るな。それも結構な数だぞ」
「大変! それはたぶんアンダーグラウンドリンドヴルムかグレッチャーリンドヴルムだよ!」
二種類ともリンドヴルムの上位種か?アンダーグラウンドってことは直訳するなら地下の川のドラゴン。意味的には地下水脈のドラゴンってところかな?それならここに来るのも分かる。
グレッチャーはドイツ語で氷河という意味だ。つまりグレッチャーリンドヴルムは氷河の川のドラゴンって意味になる。
「「「「ギャオオオーーー!」」」」
アンダーグラウンドリンドヴルムLv77
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
上の鱗が青、下の鱗がエメラルドグリーンのリンドブルムが現れた。イオンとリアンが迎え撃つと二人の攻撃が弾かれて、二人はそのまま弾き飛ばされる。
「また!」
「硬い!」
「ディアン!」
「「「「シャー!」」」」
ディアンがアンダーグラウンドリンドヴルムたちと激突するとアンダーグラウンドリンドヴルムの能力が判明する。ディアンが噛みついても毒になっていないばかりか噛みついたダメージと全然発生していない。能力と名前からみて間違いないな。
「土属性と水属性を合わせ持ったドラゴンか」
これは厄介なドラゴンが出て来たものだ。水属性のドラゴンはスピード特化の遠距離攻撃タイプが多い。だが、アンダーグラウンドリンドヴルムはスピードと防御、恐らく筋力も併せ持っている近接攻撃タイプ。道理でいきなり俺たちに突っ込んで来るわけだよ。
「…即死の魔眼。…ダメ。効かない」
「状態異常に強そうだからな」
イオンとリアンもディアンと共に攻撃しているがここでディアンが抜かれてしまう。すかさずクリュスの蛇たちが応戦するがガンガン接近戦を挑んで来た。
「お父様? どうすればいいかしら? こいつら?」
「どうせ魔法や遠距離スキルにも強いだろうからな。そっちがそう来るなら望み通り力で潰してやろう」
「ふふ。了解よ! ゴットクラッシャー! ゴットクラッシャー!」
クリュスが拳でぶっ飛ばしていく。それでもすぐに起き上がり、挑みかかって来る闘争本能は流石ドラゴンって感じだな。洞窟の中という狭い空間でお互いに接近戦を譲らない戦いとなる。ここでクリュスの蛇達にアンダーグラウンドリンドヴルムは集中的に噛みつき、強引に一匹のアンダーグラウンドリンドヴルムをここで抜いてきた。
ただぶつかるだけじゃない。ちゃんと狙うべき敵とその為の作戦を考えている。他のドラゴニックマウンテンでも知性はしっかり感じていたがここのドラゴンたちは連携力が段違いに高い。
「ひ!?」
「大丈夫だ」
「部位竜化!」
俺がドラゴニュートの少女にそういうとイオンが自分の手をドラゴンの手に変えて、アンダーグラウンドリンドヴルムを壁に押し付けた。そして手を元に戻すと神剣草薙剣とクリュセイオン・アオルを構える。
「水分身!」
イオンが増えるとアンダーグラウンドリンドヴルムの走り出した。
「「「「時空切断! ミーティアエッジ!」」」」
水分身のイオンたちと一緒にアンダーグラウンドリンドヴルムを斬り刻んで倒しきった。クリュセイオン・アオルを選んだのは正解だったな。クリュセイオン・アオルが持つ巨人の加護で自身の筋力を底上げした。
「次!」
「…」
イオンが勇敢にアンダーグラウンドリンドヴルムに挑んでいく。それを無言で見つけるドラゴニュートの少女に俺は声を掛ける。
「あのお姉ちゃんもちゃんと強いだろ?」
「ま、まぁ! あれぐらい水のドラゴニュートなら出来て当然ですけどね!」
「ギャオオオーーー!」
「ヒ!? ごめんなさい! へ?」
俺たちを噛み付こうとしたアンダーグラウンドリンドヴルムの牙を掴んで俺は止めた。そして顎を蹴り飛ばすとアンダーグラウンドリンドヴルムは地面に激突する。そしてそいつにイオンが襲い掛かり、空中でバラバラにした。
「人間があんな大きいドラゴンを片手で受け止めた?」
「まぁ、信じられない気持ちは分かりますけど、それが今のタクトさんなので気にしちゃダメですよ」
「私たちの仲間の炎の魔神と同等の筋力を持っているものね…」
そうなんだよな。流石にファリーダのほうがまだ高いがもうすぐで追い付いてしまいそうだ。炎の魔神を超える筋力を持つ召喚師って一体なんなんだろう?スピードがぶっちぎりで一番な時点で言う資格はないけども。
『先輩! 新しい氷のリンドヴルムが現れ…あぁあああ~!?』
『どうした!? リアン!』
『う…これって…まずいです! 魔力枯渇と魔力吸収を使って来ます! はぁああー!』
魔力を失ったリアンが襲い掛かるがトリアンナの突きが勢いを失う。
『衝撃吸収!? きゃ!? あぁあああ~!? うぅ…生命力まで』
『リアン、下がれ。ディアン、アンダーグラウンドリンドヴルムはもういい。グレッチャーリンドヴルムの相手を頼む!』
吸収特化のドラゴンか…本来なら闇のドラゴンにそういうドラゴンが多そうだが、確かに水属性にも吸収系のスキル持ちはいる。ぶっちゃけかなり俺たちと相性が悪いドラゴンだが、ディアンなら絶対に負ける事はないだろう。
ここで相手の識別が出来た。
グレッチャーリンドヴルムLv77
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
全身が氷のリンドヴルムだ。このリンドヴルムたちにディアンが挑む。早速グレッチャーリンドヴルムはディアンの魔力を無くして来た。そして遠距離から生命力を吸って来る。そして最後に接近戦でディアンを仕留めようとしてきたがここでディアンの尻尾の一撃が炸裂するがそれに耐えてディアンに噛みつき、ディアンも不屈で耐えて、噛みつき返すが倒される。
「「「「ギャオオオーーー!」」」」
ディアンが倒されたことで次はクリュスに狙いを定めて接近して来た。甘いね。
「「「「シャー!」」」」
ディアンが不死身スキルの効果で蘇生すると接近して来たグレッチャーリンドヴルムたちに噛みついた。慌てて吸収スキルを使い、ディアンの生命力と魔力を無くして倒そうとしたがディアンは不屈で耐えて再び蘇生する。
勝負あったな。ディアンの重圧まで受けてグレッチャーリンドヴルムは冷静な判断力を失ってしまった。彼らがディアンを倒す方法は一応ある。不死身スキルにも蘇生には魔力が必要だ。つまり魔力枯渇で魔力を無くしてそのタイミングでディアンを倒せたら、一応倒すことは出来る。
ただし魔力超回復で魔力の回復量はかなりのものだし、不屈スキルを使うかどうかは本人次第だ。つまり魔力枯渇で魔力を無くしても不屈で時間を稼がれたら蘇生されてしまうし、それなら不屈が切れるタイミングでスキルを使えばいいとなるが途中で不屈を切られると蘇生を許してしまう。
それなら不屈中に魔力枯渇を使い続ければいいとなるんだが、スキルの再使用には時間が必要だ。仲間と手分けすればワンチャンあると思うがディアンの重圧と殺気に当てられて、同じことを繰り返している。それじゃあ、ディアンは倒せない。
「「「「シャー!」」」」
結局ディアンの不死身勝ちで終わった。その間にアンダーグラウンドリンドヴルムも俺たちで倒している。クリュスのフルングニルの槍がかなり有効だった。やはり硬い敵にはドリルが効果的だと証明されてしまったよ。
戦闘を終えた俺たちは先に進むと二回のアンダーグラウンドリンドヴルムとグレッチャーリンドヴルムの襲撃を返り討ちにすると洞窟の出口に出る。
「あそこを抜けたら、私たちの湖が見えてきますよ!」
思わぬ妨害を受けたがいよいよイオンの故郷だ。楽しみでしょうがないね。




