#1375 樹氷竜と湖の主
距離はあるが識別出来た。
樹氷竜ハードライムドラゴンLv80
通常モンスター 討伐対象 ノーアクティブ
まだアクティブになっていない。どうやら眠っているらしい。それが逆に不気味なんだよな。こちらの攻撃を誘っているように見える。
ハードライムは後から調べてみたがこれは樹氷が溶けそうにない状態のことを言うらしい。いうなれば樹氷の完成形を指す言葉なわけだ。この森のボスとしては相応しい名前なのかもしれない。
「どうしますか? 先輩。やっぱり最初は魔法でしょうか?」
「効かないだろうけどな。凍った湖から木の根が出て来ることは目に見えているから初手はそれでいこう。折角だ。派手に行こうぜ。クリュス、悪いけど防御の準備だけ頼む」
「了解よ」
俺たちが魔法を詠唱して俺たちの魔法がハードライムドラゴンに直撃し、大爆発する。まさか攻撃を通してくれるとは思ってなかった。
「ギャオオオオオ!」
ここでハードライムドラゴンはアクティブにいると雄叫びを上げて猛吹雪が発生する。そして最初にイオン、リアン、ルミが挑むと三人は側面から氷の茨から攻撃を受けた。苗木スキルの氷バージョンか。
三人が攻撃を掻い潜っていくが流石に苗木の数が多く三人は接近よりも苗木の処理を優先することにした。その間はクリュスとディアンが攻撃するが魔氷壁を次々展開して攻撃を耐えてきた。
「おかしいな…」
「えぇ…あのドラゴン。どうしてあそこから動かないのかしら? あそこから動いたらブレス以外にも私たちに攻撃する手段がありそうに思えんだけど」
「そうだよな…あそこから動けないドラゴンなんてあり得るんだろうか? 翼はあるようには見えないからありえそう…」
「「「「ッ!?」」」」
俺たち全員がやばさを感じ取る。イオンたちは慌てて引くが遅かった。湖が割れると巨大な青い蛇の尻尾が現れる。これでイオンたちは退路を防がれ、左右からの苗木の攻撃を躱しきれずに攻撃を受けてしまった。
そしてそのまま極寒の湖に落ちてしまう。イオンやリアンは大丈夫だろうがルミに水は不味い。水中行動用のスキルをルミは持っていない。
「ルミ!」
水に落ちてしまったルミをイオンが地上に連れて行くがそこで湖から現れた大蛇と目が合ってしまう。
氷底湖竜ニヴルヘイムオルムLv80
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ミドガルズオルムの亜種だな。そんな存在は現実には登場しないので、このゲームのオリジナルだ。氷底湖は氷河の下にある湖のこと。南極にあるボストーク湖が一番大きい氷底湖として有名だ。この場所が氷底湖という定義に入るのかは俺には分かりません。
ニヴルヘイムオルムの目を見てしまった二人は恐怖の魔眼の効果で身体が膠着するとニヴルヘイムオルムの体に締め付けられてしまう。
「ディアン! クリュス! 湖に行くぞ! ッ!」
俺がそう指示を出すと俺たちの背後の雪の中からハードライムドラゴンが現れると氷の木の根で攻撃してくると俺たちは拘束されてしまう。動けない!というかニヴルヘイムオルムの動きに完全に合わせて来たな。ボス級のドラゴンが二体とは流石に予想外過ぎる。
拘束された俺たちの体が凍り付いて行く。当然のように耐性無効と加護無効持ちだよな。これは大ピンチだ。俺に向かってハードライムドラゴンが大きな口を開けるくらいに大ピンチ。しかしリアンはイオンたちを助ける為に動いており、ディアンとクリュスも慌てる様子がない。やれやれ。そんなに信頼されていたらなんとかしないといけないでしょうが。
「電弧放電!」
旭光近衛から稲妻が発生すると電熱で氷が溶けて、更に氷の木の根が破壊される。そして俺はハードライムドラゴンに構えを取る。
「次元震!」
これでハードライムドラゴンを吹っ飛ばした。そしてディアンとクリュスの拘束も斬り裂くとニヴルヘイムオルムから大海ブレスが飛んで来る。これを躱して襲い掛かるが身体をくねらせて攻撃を躱されると更に動いて攻撃してきた。
急に蛇独特の動きをされると対処出来ないが、もう見切ったぜ。そして狙いもしっかり見えている。後は斬撃が通るかどうかだ。
「雷光刃! 超電磁! せあ!」
俺の雷光刃と氷の鎧を纏った蛇の身体が激突する。
「おぉおおおおお! 全部ぶった斬れ! 旭光近衛!」
俺の気会いに呼応するように旭光近衛の雷光刃はニヴルヘイムオルムの身体を斬り裂くとそのまま次の蛇の体に行き、次々斬り裂くとイオンたちを縛っている体まで斬撃が届き、イオンたちを救い出した。
「シャーーー!?」
流石にこの一撃は効いたようだ。このまま一気に仕留めようとしたが溶接の効果を受けた場所が脱皮スキルで剥がれるとニヴルヘイムオルムの切断箇所から氷が発生し、切断された身体の箇所が氷でくっつくと身体が元通り…いや以前よりも恐らく身体が大きくなったぞ。
そして自分の身体を斬られたことにニヴルヘイムオルムはお怒りらしい。ここで逆鱗を発動されると雄叫びを挙げると天変地異が発動する。そしてニヴルヘイムオルムの隣に現れた逆鱗状態のハードライムドラゴンが氷旋風を発動させた。
これにより天変地異で発生した大雨が全て凍ることで無数の巨大な雹に変化すると竜巻と合わさって、とんでもない速度で俺たちに襲い掛かって来た。二体のドラゴンのコンビネーション技…もう間違いないな。この二体のドラゴン、お互いに協力し合っている。
『一度引いて態勢を整えるぞ』
俺たちは全員合流して、ルミが雪洞で地面に穴を空けるとそこに入ることで入り口をキャッスルランパードで塞ぐことで飛来してくる竜巻を避ける。後はここは雪の中だから相手が来るかどうかだ。しかし雪の中でルミが警戒していたが相手は攻めてこない。寧ろ空から氷山や氷雷を降らせてきた。
ここで敵の情報を共有する。
「湖の中はニヴルヘイムオルムの身体で覆われていました。一応隙間があるので泳げはしますが水中戦はしないほうがいいと思います」
「だろうな…さて、どうするか」
「相手があの湖から動かないならディアンに任せばいいわ。ただ相手は怒るでしょうけど」
「毒域で湖を侵すわけだな…確かにそれは怒るし、黙ってやらせてくれるとも思えない」
ここでルミから連絡が来る。スノーライムドラゴンが次々襲い掛かって来ているらしい。周囲に敵影がないことは俺が確認している。つまりこのスノーライムドラゴンは使役スキルか何かで召喚された可能性が高い。こんなことをやるとしたらもちろんハードライムドラゴンの仕業だろう。
「相手にも時間を与えることになった。恐らく苗木スキルをあちこちに使っているはずだ。まずはそれを排除して確実に接近。湖に毒域を使ってから真っ向勝負する。天候はリアン、頼めるか?」
「はい!」
「苗木の排除は俺とイオンがいる。ルミはハードライムドラゴンの排除。ディアンとクリュスは遠距離攻撃で相手を牽制しつつ防御を意識してくれ」
俺の指示にみんなが頷くと俺たちは外に出て仕掛ける。
「天候支配!」
リアンがなんとかしようとしているが相手のほうが上手らしい。それでもだいぶ押さえつけてくれている。そして俺の予想通り湖までに苗木がたくさん発生されていた。
俺たちが排除に動くと当然そこを狙う撃って来る。氷結光線や極寒ブレス、大海ブレス、ドラゴンブレスを躱しながら俺とイオンは苗木を消し去り、道を作る。そしてディアンが接近すると毒域を発動させると海流支配で俺たちとニヴルヘイムオルムとの間で押し付け合いが発生した。
これは海流支配スキル持ちが多いこちらが勝ち、湖がディアンの毒に侵された。この結果、ハードライムドラゴンは湖を凍らせて避けたがニヴルヘイムオルムはディアンの毒を受ける。
「シャー!!」
当然大激怒。しかし相手の弱体化を逃すわけにはいかない。俺たちが襲い掛かると地面から無数の氷の木の根が発生して邪魔して来た。
「ッ!? まずいです! タクトさん! 大津波が来ます!」
「何!?」
やられた。ニヴルヘイムオルムはディアンの毒に侵された水を俺たちに大津波としてぶつける気だ。湖の水が天に上がって行く。逃げれそうにない。
「なめんじゃないわよ! 大津波!」
クリュスが純粋な大津波を使うが相手の大津波には氷の塊がいくつもあり、二つの大津波が激突した結果、クリュスが押し負ける。恐らく氷がたくさん含まれている分で負けた。俺が知らないスキルだが、名前を予想するなら流氷スキルだろうな。
「天氷壁!」
「かまくら!」
イオンとルミがガードしてくれるがここでニヴルヘイムオルムのドラゴンテイルが襲い掛かって来た。それを感じ取った俺たちはかまくらから逃げるとかまくらはあっさり破壊される。身体が大きい分、振りが大きくなり威力が上がっているな。
「ギャオオオオオ!」
ここで雪の中からハードライムドラゴンが現れて、俺に噛みつき狙いでみんなには怒りの木の根が回転激突で襲い掛かって来る。それは勝負を焦り過ぎだ。
「部位竜化!」
「ハイドロダイブ!」
イオンが巨大化した竜の尻尾でハードライムドラゴンを顔面を弾くとそこにリアンが突撃して地面に叩き落した。そしてハードライムドラゴンの腹をディアンの尻尾が逆に貫くとクリュスとディアンが噛みつき、完全に動きを封じた。
「シャーーー!」
これを見たニヴルヘイムオルムは遂に湖から出るが空を身体で覆う。流石に空の全てを隠すまではいかないがそれでもその姿は圧巻の迫力を感じた。
ここで身体中から氷結光線と氷柱を放ってくる。
「いくぞ! イオン!」
「はい! 流水乱舞!」
「霹靂閃電!」
草薙剣と旭光近衛の斬撃で身体がバラバラになる。しかしこいつは脱皮からの復活がある。なら一気に決めるまでだ。
「黒星!」
「彗星!」
「シャー!」
ルミの黒星、リアンの彗星が直撃すると更にディアンから重力球が放たれる。ここで重力球で消滅したニヴルヘイムオルムの身体を見た俺は思いついた。
『ディアン、俺たちが斬った身体を空間捕食で食べちまえ』
「「「「シャー!」」」」
それでも復活はするだろうが巨大化はしなくなるはずだ。そもそも脱皮してから復活するまでの手順が長いから俺たちが身体をバラすほうが圧倒的に速い。そして俺たちは追い詰めるとニヴルヘイムオルムは雄叫びを上げて、俺たち全員に氷山を落として来た。
「…雪だるまさん。止めて」
ルミが召喚した雪だるまさんたちが氷山と激突して止めてくれる。この間に俺たちは勝負を決める。
「神撃!」
「「「「シャー!」」」」
クリュスの神撃とディアンのブレスが炸裂している間に俺とイオン、リアンが空に超連携を発動させる。
「雷霆!」
「大雷霆!」
「雷轟!」
三つの雷スキルが合わさった巨大な雷の球体が残ったニヴルヘイムオルムの顔に炸裂した瞬間にとんでもない稲妻を発生させて、ニヴルヘイムオルムを黒焦げにした。ハードライムドラゴンもディアンとクリュスの毒にやられて既に息絶えていた。俺たちの勝ちで全員息を吐く。
「強いですね…」
「今回はボス級二体で手を組んでいたから尚更厄介だったな。相手が仕掛けるタイミングを焦って接近戦をしてくれて助かった」
相手からするとこのまま接近されても詰む状況だったから何処かで仕掛けないといけず、あのタイミングがベストだったと思ったんだろうな。確かにタイミングは良かったと思うけど、俺はディアンの毒を逆に利用されたほうがずっときつい状況になっていた気がする。ディアンの毒の影響は受けていたし、あのまま湖で戦闘するのはきつかったのかな?そこは相手側の事情なので俺には分からないところだ。
とにかくこれでここは突破。休憩してから先に進むとしよう。




