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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
空天狐戦と創星龍神の試練
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#1370 和狐の最後の空天狐の試練

俺たちが転移で元の伏見稲荷大社に帰って来ると目の前にきつねうどんといなり寿司を出されて、今まさにいなり寿司を食べようとしている和狐の姿があった。


「あ~…あ」


「何しているんですか…お姉ちゃん」


恋火が珍しく怒りに震えている。流石にこれを見た和狐は焦る。


「ち、違うんよ! 恋火! これは…その…ほら。出された物は食べないと失礼になるから」


「言い訳不要です! 妹が物凄く大変な試練を挑んでいるのに! 信じられません!」


これは恋火の言う通りだな。恐らく和狐は待っている間、暇だからという理由でおもてなしを受けたんだとは思う。そうなると断るのは失礼になるという主張も正しくはあるのだが、流石に妹が物凄く大変な試練に挑んでいると知っている状況でこれを受ける訳にはいかないよな。


一番非があるのはおもてなしを出した狐たちなんだろうが和狐が慌てている隙に逃げ出しているし、狐の妖怪をしているなって感じがした。


「機嫌直してや。恋火。怒った顔は恋火には似合わへんよ」


「つーん!」


姉妹喧嘩が勃発したが二人の姿を見ているとやっぱり仲良し姉妹だなって感じがする。ここで空天狐が言う。


「これから試練に挑むんやから仲直りしいや」


「う…はい。空天狐様に言われたしょうがないので、許してあげます」


「ありがとな。空天狐様もありがとうございます」


「うちはそのままの状態やと試練に全力で挑めへんから助け船を出しただけどす」


確かにそれはそうなんだろうけど、やっぱり眷属のことを心配しているんだと俺は思うな。こういうのをみると空天狐は立派に女王をしているんだとわかる。


「なんや?」


「いえ。なんでも…回復してからでいいですか?」


「もちろんどす。というかうちが回復させたるよ」


空天狐がそういうと俺が全回復して、損傷した武器も元の状態に戻る。これを見ると手抜きされていた感じがするんだよな。何はともあれこれで和狐の試練の準備が整った。


「ほないこか」


「はい」


「よろしくお願いします!」


俺と和狐が転移するとそこは京都の上空だった。しかし人の気配はなく、空は紫色の雲に覆われていた。恋火とフィールドを変えるとは思ってなかった。恐らくこのフィールドは空天狐が試練のために作った偽りの京都なのだろう。そもそもこのゲームの京都は平安京だしね。建物からして違いは歴然だ。


俺たちと空天狐は二条城の上で相対する。


「白蔵主にしごかれてどれだけつようなったかは見せて貰うわぁ」


「期待に答えられるように頑張ります!」


「いくぞ。和狐」


「はい! 行きましょう! タクトはん!」


俺たちが武器を構えると空天狐も武器を出した。


「格納。空天狐の錫杖」


全体的には黄金の錫杖で錫杖の先端の輪っかの部分の中央には狐がある錫杖が現れた。恋火の時と武器が違う。和狐の試練に合わせて武器を変えているのか。となると戦闘スタイルも変わっている可能性がある。


和狐が得意なのは遠距離戦。それに空天狐も合わせて来るとなると俺としては結構厳しいかもしれない。俺は遠距離戦より近距離戦タイプだからな。正直不安だが、自分の遠距離戦がどこまで通用するか知るにはいい機会かもしれない。そういう気持ちで挑もう。


「「太極波動!」」


最初から空天狐と和狐の太極波動が激突する。そして爆発すると空天狐から護符が無数に飛んで来る。これに和狐も護符を取り出し、投げつけるとお互いの護符がぶつかり合い、爆発する。爆発の護符だね。


「「狐稲爆!」」


更にお互いが狐稲爆を発動して、空で次々爆発が発生する。そしてここで空天狐が接近戦を挑んで来た。これに和狐も応じる。ここは恋火と同様に最初は二人の対戦を見守るとしよう。


「はぁ! はぁあああ!」


「やぁ! やぁあああ!」


最初はお互いに強打が激闘すると一度離れてから錫杖同士の連打戦となった。最初はお互いに踊るように錫杖を操り、攻防が行われると空天狐は鋭い突きの攻撃で和狐を押すと和狐が空天狐の錫杖を白蔵主の錫杖で止めた瞬間に白蔵主の錫杖を蹴り飛ばした。


「あ!?」


「伸びよ。空天狐の錫杖」


「かは!?」


空天狐の錫杖が伸びて和狐の腹に炸裂するとそのまま京都の建物を破壊して墜落してしまった。流石に近距離戦は空天狐が圧倒的に有利だな。そこをカバーするのは俺の役割だろう。錫杖や杖で通用するかは分からないけどね。


「ゴッドブレス!」


「う…負けまへん! ゴッドブレス!」


和狐は必死に粘る。しかしゴッドブレスの激突から和狐の背後に空間転移で跳んだ空天狐が和狐に襲い掛かり、和狐はなんとか攻撃を止めるが周囲が猛爆の効果で京都の町が一気に破壊される。そして二人が市街地を空中浮遊で移動しながら接近戦を続ける。


「くぅ…やぁ! 格納! 芭蕉扇! 爆風波!」


和狐が攻撃したタイミングで和狐は地面を蹴り、一気に空天狐との距離を開けると白蔵主の錫杖を投げつけた。これに対して空天狐はあっさり弾き飛ばすがその隙に和狐は芭蕉扇を取り出して地面を再び蹴って距離を詰めると渾身の力で爆風波を放ち、空天狐を吹っ飛ばしたが空天狐は地面の尻尾で身体を覆うことで直撃をさけていた。


そして尻尾が離れると空天狐の周囲に氷柱と尖った岩が展開されている。


「氷柱、氷柱石つららせき


和狐に降り注ぐがこれを和狐は避ける。これを見た俺は驚く。氷属性と土属性の技を使って来るとは思わなかった。しかしその驚きとは裏腹に空天狐の攻撃は続く。


「氷雷、石化雷、火山雷、黒雷」


「うぐ!?」


四種類の雷が降り注ぎ、和狐は被弾して、片足が凍り付き、片手が石になると空中浮遊のコントロールを失い、建物に突撃してしまう。そして空天狐の周囲に魔方陣が展開される。


「「「「「ウルトラバイオレットレイ」」」」」


和狐に放射能が降り注ぐ。


「まぁ、これを決めさせてはくれはりませんか」


ここで俺は和狐を助け出していた。


「助かりました…タクトはん」


「リフレッシュ。まだいけるよな? 和狐」


「はいな」


俺と和狐が並び立つと空天狐に聞く。


「氷属性と土属性も使えたんですね」


「不思議ではなんと違いますか? 雪国にも砂漠にも狐はおることは知っているはずどす」


確かにそう言われると北海道にはキタキツネがいるし、砂漠のキツネというと世界最小の狐として知られているフェネックがいる。そう考えると狐って環境適正能力が高い動物なのかも知れない。


「流石に二人が相手となるとうちもこれを出させて貰うわ。格納」


空天狐の周りに赤い六芒星が描かれた黒い本が展開される。それを見た俺は京都という土地と狐のとある歌舞伎の話から嫌な説が脳裏に過る。


「うちらの伝説をよう知っておるようで嬉しいわぁ。これでうちらが式神や護符、霊符を使える意味が分かりはりましたな」


あぁ…もう間違いない。あれは安倍晴明ゆかりの魔導書で安倍晴明と狐が関わりがあるから式神や護符、霊符を和狐たちは使うことが出来るということだったみたいだな。ただ巫女というだけで納得してしまっていたよ。


この安倍晴明の話は室町時代に安倍晴明の出生を題材にした歌舞伎から来ている。この歌舞伎では安倍晴明の母親であるくずという人物が狐であり、稲荷大明神との関わりも話の中で語られていたはずだ。


さて、これは困ったことを知ってしまった。このゲームでは安倍晴明は桜花に実在している。その実力は桜花の魔法使いとしてはトップクラス。陰陽師という職種では間違いなくこのゲーム最強の存在だ。その母親の更に神となると魔法戦での実力は計り知れないことになる。これは戦闘前に魔法のレベル上げをしておいて正解だったな。


「いきますえ?」


「格納! 来るぞ! 和狐!」


「格納! はいな!」


俺たちのウルトラバイオレットレイ、アークフレア、ソーラーフレア、ニュークリアエクスプロージョン、ミーティアが京都の空と地面で激突する。もう京都はボロボロです。


「おもしろうなってきたわ! 大噴火! 火砕流!」


「火砕流!」


「「炎熱支配! はぁあああああ!」」


京都の町の地面に亀裂が走るとそこから大噴火が発生する。もう京都は終わりです。俺たちはこの攻撃を回避すると空天狐と和狐が火砕流で激突し、お互いに譲らないが和狐が押されている。すると俺たちと空天狐のところに巨大な魔方陣が展開されて、お互いに逃げるとスーパーノヴァが炸裂した。


その後も魔法の撃ち合いをしていると俺の予想通りに押し負けている。もう魔法とスキルの操作能力が決定的に違いすぎる。魔法を操った上で飯綱と幻炎狐まで操作しているんだからとんでもない。俺たちはそれらを二人で分けて対処するのでいっぱいいっぱいだ。一人では勝てない存在だと教え込まれている感じだな。


「「惑星魔法! マーズ!」」


「核撃!」


「星核!」


マーズが激突し、間髪入れすに核撃が放たれると俺も星核でこれを返した。流石に俺たち二人が別れて戦闘を続けるのが難しくなってきた。ここで俺は和狐にマリッジバーストを発動させる時間を作ってもらい事にした。


「式神召喚! 天魔雄神はん! 天逆毎はん! 白蔵主はん!」


和狐が式神を召喚した。これに対して空天狐も答えた。


「ほなうちも式神召喚! 玉藻前! 騰蛇とうだ! 匂陣こうじん!」


以前に試練で戦闘した玉藻前と新たな炎の東洋タイプのドラゴンと黄金の東洋タイプのドラゴンが現れる。騰蛇と匂陣は安倍晴明が従えた式神として知れらている十二天将に属されている存在だ。


「あんさんたちにはうってつけの存在とちゃいますか?」


わざわざドラゴンを召喚してくれたわけね。でもね…騰蛇は最強の闘将で匂陣は京の守護を司っている闘将だったはずだ。騰蛇はいいよ。でも匂陣は納得いかない。俺たちも京都を壊してはいるけど、圧倒的に空天狐のほうが壊しているよ。


「おいきやす」


「迎え撃ってください!」


問答無用らしい。騰蛇と天魔雄神、匂陣と天逆毎、玉藻前と白蔵主が激突する。


「まさか白蔵主と戦う事になるなんてな」


「手加減無用。お互いに式神として召喚された身だ。全力で戦闘しようぞ」


「相変わらずかったい人やわぁ」


そういいながら玉藻前と白蔵主は激突した。そして当然この相手にも空天狐は攻め手を緩めてはくれない。


「紅蓮の鉄扇!」


「それは面白い武器どすな。では、それは知っとるよぉ」


「格納! 白蔵主の錫杖! やぁあああ!」


分離した紅蓮の鉄扇の攻撃を躱す空天狐に和狐は錫杖で襲い掛かり、動きを止めに入ったが動きながら攻撃を止められる。そこに俺も参戦するが結果は同じだ。押してはいるんだけどな。


「神波動! ゴッドテイル!」


そう思っていると神波動を撃たれて、躱したところで尻尾で俺たちはぶっ飛ばされ、紅蓮の鉄扇が弾き飛ばされる。もう確信している事だが、恋火の時にこの戦闘スタイルを持ち込まれていたら、更に厳しい戦闘になっていたはずだ。


逆に言うと和狐相手に小狐丸を使っていたら相当厳しい戦闘になる。これはもう二人の試練として自分がどういう戦闘をするのか空天狐は決めているとしか思えないな。


「樹海支配!」


「タクトはん! 樹海支配!」


俺に巨大な木の根が襲い掛かって来ると和狐がそれを止めに来る。しかしその結果、和狐が空天狐に狙われる。


「部位獣化! ッ!?」


「せい!」


空天狐の狐の爪が和狐に迫った時、白蔵主が空天狐に正拳突きを放つがこれは躱される。


「白蔵主はん」


「ここは儂に任せてゆけ!」


「は、はいな!」


空天狐と白蔵主が相対する。


「うちの邪魔をするつもりどすか?」


「何をおっしゃいますやら。あの二人の全力を貴方様が何より欲しているから儂は手助けしておるだけじゃよ」


「すみまへん。空天狐様。あのお爺ちゃん、接近戦に容赦がなくて」


「そうやろな。ほな、とりあえずあんさんから消えて貰おか?」


和狐が俺に合流すると和狐がいたところで大爆発が発生する。


「白蔵主はん…タクトはん! 今どす!」


「あぁ!」


「「マリッジバースト!」」


俺たちのマリッジバーストが発動すると空天狐と玉藻前がやって来る。


「やられたなぁ」


「ほならうちも時間稼ぎさせて貰いますぅ」


空天狐が神格解放を発動する。それを玉藻前は守るように陣取る。


「邪魔させまへ…ん!?」


和狐の気持ちが俺に流れて来る。その瞬間に俺たちの拳は玉藻前の腹に突き刺さっていた。とりかえずこいつは仕留めさせて貰う。


「悪いがあの時よりかなり俺たちは強いぞ?」


俺は吹っ飛んだところで玉藻前の尻尾を掴むと急降下し、地面に叩きつけると再び飛ぶと踵落としと猛爆の効果で玉藻前を消し飛ばした。


「確かにそうみたいやね」


空には稲荷大明神の姿があった。ここから俺たちの本当の全力戦闘が始まる。

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