#1428 黒鉄VSタラスク
戦闘終了後の補足説明に汚い表現があるので、苦手な人や食事中の人などはご注意ください。
黒鉄とタラスクがお互いに構えを取ると戦闘が始まる。
「グォオオ!」
最初はタラスクがドラゴンホイールで突撃してきた。これを黒鉄は受け止める気だ。最初の時のリベンジだね。今回はちゃんと地面に足が付いているぞ。
黒鉄が身体で受けた後に両手でタラスクを掴もうとしたが身体と手から激しい火花が散る。しかも中々回転が止まらない。それだけタラスクのドラゴンホイールは強力である証拠だ。
ただ徐々に回転が弱まり、遂に動きが止まろうとした時だった。尻尾で地面を叩いて後ろに飛んで逃げようとした。流石にこれは黒鉄も逃がさない。電気網が発射されて、捕まるとそのまま黒鉄は地面に叩きつけた。
そして空いている腕をドリルの変えて、レールガンロケットパンチをタラスクに向けて放つとタラスクの身体がダイヤモンドに変化して黒鉄のレールガンロケットパンチが直撃すると火花を散らしながらも弾かれてしまった。やはり両者の防御力は相当なレベルだ。
それを見た黒鉄は腕を戻して、再び接近する。次はパイルバンカーだ。しかしここで電気網がタラスクに食い破られてしまう。電気網自体も相当な硬さなんだけどな。それをかみ砕く牙にも注意したいところだ。
それでもパイルバンカーは決まる距離だ。黒鉄がパイルバンカーを放つとそれを見たタラスクはその場で横回転の高速回転をするとパイルバンカーを横に流されて空振りしてしまう。これは上手い。パイルバンカーに横の力を加えて力を分散させたな。
パイルバンカーは槍の先端に全ての力を一点集中させることでとんでもない貫通力と破壊力を生み出している。逆に言うとその一点集中がブレると貫通力も破壊力も失われてしまう。そこをタラスクは狙ったのだ。
そしてパイルバンカーが空振りしたことでそのまま黒鉄はタラスクの回転激突を足に喰らうとそのまま足が宙を浮き、黒鉄は綺麗に顔面を地面に叩きつける形で転んでしまう。これは屈辱だな。もちろんただで出来る芸当ではない。黒鉄とタラスクの間で荷重支配と重力支配のせめぎ合いが発生しており、黒鉄が負けてしまった形だ。
流石にこの星でずっと物理法則や体重を操って来たであろうドラゴンとのスキルレベルの差が出たな。
「グォオオ!」
タラスクが叫ぶと竜魔法を発動させる。黒鉄に巨大な隕石が落下してくる。チクシュルーブメテオだ。これに対して黒鉄は電気網を発射した腕を地面に殴りつけて、身体をひっくり返すと神波動でチクシュルーブメテオを破壊する。
すると今度はタラスクが黒鉄にのしかかって来た。荷重支配と物理法則での有利性を認識したからこそ攻勢に出て来たな。
「舐められているぞ。黒鉄」
黒鉄がのしかかって来たタラスクを両手を握りしめて拳を放つとタラスクの重力場に阻まれるが黒鉄の物理無効が重力場を消し去り、タラスクにパンチが決まると衝撃放射と爆心がタラスクに炸裂する。
「グォ!? ッ!?」
完全に怯んだタラスクの下腹に黒鉄のパイルバンカーが発射させる。タラスクはありったけの防御スキルで固めたがパイルバンカーはそれらの防御スキルを突破し、タラスクを吹っ飛ばす。そう。吹っ飛ばすだけだった。命中はしたが貫いてはいない。それだけタラスクの防御力が高い証拠だ。
ここで黒鉄は起き上がるとタラスクの追撃に動いた。ミサイルを放ちながら接近するとタラスクはミサイルを受けた後、地面に落下すると背中から落ちて、ひっくり返ってしまっている状況だ。そこに黒鉄が迫るとタラスクはその場で高速回転すると砂嵐が発生する。
それはただの砂嵐ではなく、黒鉄の電子機器を狂わせる磁気嵐も同時に使われており、黒鉄は当てずっぽうにパイルバンカーを放つが空振りすると横から高速回転するタラスクに襲われる。バランスを崩した黒鉄に再度タラスクは突撃して来た。
状況の悪さを認識した黒鉄は遮断結界を展開したが、タラスクの突撃で破られると黒鉄のありったけの防御スキルを使い、ガードを固めて、タラスクの猛攻を凌ぐ。
ここで砂嵐と磁気嵐が止むと黒鉄はタラスクを補足する。黒鉄からだいぶ距離が放たれていた。それには理由があった。黒鉄がタラスクを発見するとまだひっくり返ったままだった。あの状態でずっと黒鉄に体当たりをしてきていたんだな。
それを見た黒鉄は重力砲のチャージを始めて、タラスクに向かって、重力砲を放った。これに対してタラスクは重力場を展開する。両者が激突し、タラスクは更に重力支配も発動して重力砲を破ろうとしていた。
しかし重力を圧縮された重力の球体を破ることは出来なかった。重力のスケールが違い過ぎたせいだろう。ようは小さなブラックホールをぶつけられた形だ。流石にこれを重力支配で一瞬で無効化するのは難しい。ましてやタラスクは恐らくブラックホールなんて知らないだろうからな。ただ本能でやばさと重力を感じ取った形だろう。
ただタラスクも直撃は許さない。反射装甲を使った上で尻尾で重力砲を弾き上げた。そして再び砂嵐を発動させると黒鉄は地面に潜る対策を取った。地中なら砂嵐と磁気嵐の効果外だ。ただタラスクの狙いは攻撃では無かった。
砂嵐の中から閃光が放たれると砂嵐を消し飛ばして新たなドラゴンが降臨する。
原初交竜タラスコヌス・ドラコ?
? ? ?
そのドラゴンの手は熊のようになっており、下半身はサファイアのような鱗に変化し、尻尾の先端には毒針が現れた。そして顔にはライオンのような鬣も出現し、トリケラトプスと同じ角が生えた。
これがこのゲームでのタラスクの真の姿だ。タラスクはレヴィアタンと鬣を持つ雄牛ボナコンとの交配で産まれたドラゴンだと言われている。つまり半獣半魚、このゲームでは半獣半竜の姿こそタラスクの本来の姿だった。
それにしてもひっくり返った状態を元に戻すために切り札を使うか。甲羅を背負った者の宿命を感じた。まぁ、ひっくり返った状態で勝てる相手じゃないと認識している証拠とも言えるか。
ここで地面から黒鉄が両手のドリルで奇襲を仕掛けた。するとジャンプして黒鉄の攻撃を躱した。今までのタラスコヌス・ドラコにはない動きだ。熊のように二足歩行が可能になった分、自分の巨体を支える為により手足が太くなっている。それがタラスコヌス・ドラコの華麗な動きを可能にしていた。
「グォオオオオー!」
攻撃を躱したタラスコヌス・ドラコは黒鉄にドラゴンダイブで突撃していく。これを黒鉄は腕を拳に変えて、迎え撃つ。最初になんとかしないといけないのはタラスクの角だ。腕よりも先にまず角の攻撃が先に届く。
黒鉄は姿勢を低くし、アッパーの構えを取る。そしてタラスクのドラゴンダイブに合わせて、タラスクの顎に神拳のアッパーが炸裂し、爆心の効果で爆発もする。
「グォ…グォオオオ―――!」
ドラゴンダイブは止まっていたが黒鉄のアッパーを喰らったタラスコヌス・ドラコのびくともしていなかった。そしてドラゴンクローで黒鉄が吹っ飛ばされると更に接近し、覇撃をお見舞いしてきた。かなり吹っ飛ばされた黒鉄は腕を砲台に変えると魔導砲を放つ。
これをタラスコヌス・ドラコは甲羅に引っ込み、回転激突で突っ込んで来ると腕二つ分の魔導砲を受けながら突撃していく。これを見た黒鉄は電磁支配で流れるように後ろに下がりながら胸の砲台を展開し、荷電砲を放つ。
しかしこれも回転激闘してくるタラスコヌス・ドラコには通用していない。徐々に黒鉄との距離が縮まっている状態で黒鉄は目から放射熱線で攻撃したがこれは弾かれてしまい、ギリギリのところで星核を放ったが爆発の中からタラスコヌス・ドラコが現れ、高速回転の突撃を受ける。
そして数発突撃を受けると黒鉄はここでタラスコヌス・ドラコを手で再び受け止めようとした。すると回転が止まる。安心していると甲羅に引っ込んでいたタラスコヌス・ドラコが顔を出すと黒鉄の腕に噛みついた。
すると黒鉄の腕が軋む。今までどんな攻撃を受けてもびくともしなかった黒鉄の体に深刻なダメージを受けた瞬間だった。
「ま、まさか…」
流石の俺もこれは予想外だ。そしてその予想外は現実のものとなる。黒鉄の腕が初めて破壊された。その光景はワニガメの噛みつきを彷彿とさせた。
しかし黒鉄もただで腕を破壊されない。光輝いていた黒鉄の全身から烈日が発動する。しかし光を受けてなおタラスコヌス・ドラコはもう一つの黒鉄の腕に噛みつき、黒鉄に地面に叩きつけられながらもまたしても破壊に成功する。
ここで両腕を破壊された黒鉄は距離を取りつつ、腕の自動修復を待つがそんな時間をくれる相手ではない。タラスコヌス・ドラコは逃げる黒鉄を追跡する。黒鉄は機関砲や光線で応戦するがタラスコヌス・ドラコは勝負を決めるつもりだ。ドラゴンフォースを発動して、更に速度を上げた。
タラスコヌス・ドラコがドラゴンフォースを発動させた瞬間、黒鉄が俺の方を見た。まるで俺が禁止したことの使用許可を求めているようだった。俺は頷きで返す。俺に出来るのは黒鉄の考えに賛同することしか出来ない。
黒鉄の身体が真っ赤に染まる。炉心暴走だ。そして黒鉄の身体が再び閃光を放つと腕がない状態で黒鉄はドラゴンフォース中のタラスコヌス・ドラコに突撃していく。
これにタラスコヌス・ドラコは突撃で答えた。黒鉄がやばいことを考えていることはわかっているはずだ。それでも真っ向勝負を選んだ。ドラゴンの誇りもあるだろうがそれよりも自分の防御力に対する絶対の自信がタラスコヌス・ドラコに真っ向勝負の選択をさせたように思えた。
この突撃で黒鉄はタラスコヌス・ドラコの角を受け、身体が角を貫通してしまう。ただこれは意図的だ。何せ黒鉄は防御スキルを使っていない。そして黒鉄の閃光が更に増していく。
「グォ!?」
次の瞬間、黒鉄は自爆し、土のドラゴニックマウンテンで超爆発が発生した。自爆スキルは俺が使わないように言っていたスキルだからな。黒鉄が許可を求めていたのはこれだった。
「グ…グォ…グォオオオーーー!」
黒鉄の自爆をゼロ距離で受けたタラスコヌス・ドラコは吹っ飛ばされて、全身ボロボロになっていたが起き上がると勝利の雄叫びを上げる。俺にはしっかり見えているぞ。黒鉄。お前はまだ死んじゃない。不屈スキルの効果が自爆での死を止めていた。
しかし黒鉄は爆発地点で倒れたまま動かない。そしてタラスコヌス・ドラコがゆっくりと黒鉄に接近した次の瞬間だった。地面から現れた鋼索にタラスコヌス・ドラコは捕まってしまう。そして倒れていた黒鉄が浮かび上がると黒鉄の両足が無かった。
自爆した後、黒鉄は両足をドリルに変えてロケットパンチと同じように地面に向けて放っていた。そして地面を進んでいた両足から鋼索を放ち、タラスコヌス・ドラコの拘束に成功したのだ。
「グォオオオーーー! グォ!? グォオオー! グォオオ―!」
タラスコヌス・ドラコが拘束から抜けようとしたが目の前の黒鉄の胸から重力砲が展開される。そしてタラスコヌス・ドラコは慌てて暴れまくるがそれが逆に鋼索を身体に巻き付けてしまう。逃げられないと悟ったタラスコヌス・ドラコは力を口に溜める。
そして黒鉄の重力砲とタラスコヌス・ドラコの地核スキルが激突する。しかし黒鉄の重力砲はタラスコヌス・ドラコの予想を遥かに超える大きさだった。何せ黒鉄はリミッタ解除を使っていたのだ。この結果、重力砲が威力で上回り、タラスコヌス・ドラコに炸裂する。
大逆転の一手だった。なんか倒れたふりをして罠を考えているところは俺の悪影響な気がする。遂にゴーレムの黒鉄にまで俺の悪いところが伝染してしまったと思う瞬間だった。
「グォオオオーーー!」
重力砲が直撃したタラスコヌス・ドラコは起き上がると黒鉄に襲い掛かって来た。タラスコヌス・ドラコもまた不屈スキルを持っていたのだ。そして重力砲の炸裂で鋼索も消えている。このままだと両手両足がない黒鉄は接近戦で負けてしまう。
するとタラスコヌス・ドラコの左右の地面から黒鉄の足が現れるとタラスコヌス・ドラコを蹴り、そのまま宙に浮かぶと機関砲を展開すると黒鉄の本体と共に機関砲の雨をタラスコヌス・ドラコにお見舞いすると不屈スキルの効果が切れて、タラスコヌス・ドラコはタラスクの姿に戻ると倒れ込んだ。これで勝負ありだが、また起き上がって来そうな恐怖を感じる。
『そう警戒するな。勝負ありだ』
「「「はぁ~」」」
ファフニールに言われて、俺とリビナとユウェルと息を吐き出す。それだけ緊張感がある戦闘だった。
「まさか黒鉄がここまでボロボロにされるとは思ってなかったよ。それでもよく勝ってくれた。ありがとう。黒鉄」
俺が黒鉄に感謝すると黒鉄が浮かびながらうろうろする。手がないからな。リアクションに困っているようだ。こういう人間らしい姿が見えると嬉しくなるし、可愛い。
因みに補足しておくと今回の戦闘はタラスクの本来の戦闘とはだいぶかけ離れていた。本来ならもっと水系のスキルや毒、腐蝕ブレス、火山弾などを多様して来る。腐蝕ブレス、火山弾はボナコンが持っているスキルだ。
伝説ではボナコンの最大の武器はうんちだったとされている。広大な範囲にとんでもない悪臭をばらまき、触れる物を焼き焦がしたとそうだ。この伝説からこのゲームのボナコンは火属性と土属性を持っている。
ただ黒鉄に毒も腐蝕も効かないし、水も強いからタラスクはそれらで戦うよりもパワーで勝つほうを今回は選んだ形だ。実際にこっちのほうが黒鉄は苦戦しただろうからこの判断も合わせてタラスクは強かった。
『もういいか?』
「あぁ。いけるな? ユウェル?」
「もちろんだぞ! タク!」
そしていよいよ最後の決闘が始まろうとしていた。




