#1421 大自然竜戦
出現した大自然竜グレートネイチャードラゴンに合わせてフォレストドラゴンとウッドドラゴンが大量に沸いて来た。流石にフォレストドラゴンのほうが圧倒的に数は少ないがそれでもこの状況は大変よろしくない。
俺たちが周囲のドラゴンに意識を向けているとグレートネイチャードラゴンの腕が動く。
「グォオオオ―――!」
腕を振っただけで爆風波が放たれて、俺たちは吹っ飛ばされるとフォレストドラゴンとウッドドラゴンたちの襲撃を受けるが流石に吹っ飛ばされただけでやられる俺たちじゃない。逆にカウンターでウッドドラゴンを次々倒しているとここでグレートネイチャードラゴンの狙いに気が付いた。黒鉄だけ耐えてしまい、孤立している。
黒鉄にフォレストドラゴンが樹海支配で拘束するとグレートネイチャードラゴンが腕を上げて、ドラゴンクローを使うと黒鉄吹っ飛ばれて、大ダメージを受けた。黒鉄の強さを持ってしてあのダメージはやば過ぎる。しかもさっきのドラゴンクローで地面まで吹っ飛んでいる。
「巨体なだけあって筋力がとんでもなく高いな」
俺が分析していると黒鉄は起き上がり、肩腕を砲身に変えると空気が砲身に流れ、周囲の倒れた木やドラゴンクローで発生した土煙が砲身が集まる。そして重力砲が放たれた。これがまさかのノーガードでグレートネイチャードラゴンの腹に炸裂すると腹に巨大なあざ穴を空ける。しかしその穴が一瞬で木が集まり、修復される。
「なんて再生能力だ」
俺たちが経験して来た敵の中でも一番ではないかと思える程の修復速度と回復能力が見えた。これを封じないと俺たちに勝ち目は恐らくない。幸い溶接などを俺たちは結構豊富に持っているから安心ではある。
そう思っていると黒鉄はまた木の根に拘束されそうになるが流石に何度も同じ手をくらう黒鉄ではない。斥力場で木の根を自分への接近を封じると空と森にいる敵をロックオンし、全身から拡散光線の放射熱線を浴びせた。
しかし黒鉄が立っている片足の地面が隆起すると黒鉄は完全にバランスを崩して空から地面に落ちる。次の瞬間、黒鉄の頭上に惑星が落ちて来る。これに対して黒鉄は胸の砲身を開くと力が集まる。そして神波動を放ち、惑星を破壊したが神波動の反動で地面に落下した。
「ギャオオオーーー!」
黒鉄に木牢スキルが発動されて、拘束される。黒鉄は斥力場で強引に木の拘束を解くが斥力場に木がくっつき続けている。ここでグレートネイチャードラゴンが動き始めた。
ここで俺たちはウッドドラゴンをある程度、倒して黒鉄の元に駆けつける。そしてグレートネイチャードラゴンに挑むわけだが、グレートネイチャードラゴンの目から石化光線が放たれて俺たちは回避するとグレートネイチャードラゴンは地面を踏みつけると苗木スキルで茨の木が周囲に一斉に生えて、俺たちを襲って来る。それを俺たちが斬って対処しているとリビナが言う。
「あぁー! もう! 折角強い新スキルを手に入れて喜んでいたのにいきなり使わないでくれる? 消滅弾!」
リビナの気持ちは痛い程わかるな。オリジナルのスキルじゃないからそりゃあ、いつかは同じスキルを使って来る敵が現れるものだと思うがそれでも出会うのが速すぎると一気に熱が冷めてしまうものだ。
しかもグレートネイチャードラゴンのほうが一度に大量の苗木を生やしていることが余計にダメージが来る。この辺りは装備のスキルと自分のスキルとの差が出ているんだと思う。装備のスキルは成長しないけど、自分のスキルはレベルが上がって行くからね。この結果、どうしても差が出る。まぁ、そこはスキルを持っている側が有利にならないとダメなところではあるんだろう。結構互角なところは見て来たけど、流石にこのレベルの敵が相手だと話が違うようだ。
そして俺たちが時間を取られている間にもグレートネイチャードラゴンは動き続けて黒鉄に向かって、ドラゴンクローを発動される。
「やらせるか! 虎徹!」
「ガウ!」
「いくぞ! ストラ! ドラゴンブレス!」
「「「シャー」」」
俺たちが振り上げられた腕を切断し、ユウェルのドラゴンブレスが決まった後にストラの極寒ブレスが決まり、グレートネイチャードラゴンは凍り付く。この間にリビナが黒鉄の救出に向かうが茨の木の妨害を受ける。
逆にこれが発動しているということはまだ勝負は決まっていないという事だ。すると斬られた腕が脱皮スキルで溶接スキルが剥がされる。更にグレートネイチャードラゴンの体から生えた木の根が氷を次々貫き破壊して、氷結を解除した。そして斬った腕は元通りにくっつく。
「どうすればいいんだよ…こいつ」
「ギャオオオーーー!」
グレートネイチャードラゴンの全身から生えた木の根が一斉に伸びて俺たちに襲い掛かると再びグレートネイチャードラゴンはドラゴンクローを発動させる。俺たちが妨害に動こうとしたが木の根に叩かれてまくり、助けにいくのを封じられた。
「しま…黒鉄ー!」
黒鉄はありったけの防御スキルを発動させるが全て一撃で破壊され、黒鉄が吹っ飛ばされた。更に俺たちへの攻撃を続く。回避に精一杯の俺たちに翼を広げるとそこから寄生木を無数に発射してきた。
『寄生木だけには絶対に当たるなよ』
俺たちはそれぞれ寄生木には対処に成功するが木の根の攻撃までには対応出来ず、追い込まれていく。更に追い打ちとばかりにフォレストドラゴンたちまで戦いに参加してきた。すると二体のフォレストドラゴンに立ち上がった黒鉄のレールガンロケットパンチが炸裂して、吹っ飛ばした。
「黒鉄…無事…ッ!?」
グレートネイチャードラゴンの魔力の高まりを感知する。間違いなくこの規模の魔力は竜魔法だ。
「阻止しろ! くっ!」
「「「「ギャオオオーーー!」」」」
しっかりフォレストドラゴンと残りのウッドドラゴンたちがグレートネイチャードラゴンの前に陣取り、俺たちの妨害を阻止して来た。その結果、グレートネイチャードラゴンの竜魔法が発動する。
「なんだ? どんな魔法…上か! …は?」
俺たちが上を見ると空から無数の廃墟となった高層ビルが俺たちに向かって落下して来ていた。ほぼ同じタイミングでの落下だ。ビルの隙間に俺たちなら逃げれそうだが、黒鉄とストラは無理に決まっている。
『黒鉄、ストラ! 集まってくれ! その頭上の建物を集中攻撃で破壊するぞ!』
『『わかった!』』
俺たちは高層ビルの破壊には成功したが他の高層ビルが地面に落下した衝撃波で俺たちは吹っ飛ばされる。この結果、あっという間に竜の森が廃墟なった高層ビルの森と化した。それにしてもなぜ木属性のドラゴンが使う竜魔法にこんな魔法があるんだ?俺の疑問に知らない声が脳内で答えてくれる。
『これこそ知性を持つ生命体の終わり。どんな生命体でも自然には敵うことが無いという証明の竜魔法。シビライゼーションルインス』
廃墟の文明って意味かな?これでエンダーフォレストドラゴンが時間停止を使えた理由が分かった気がした。彼らは自然を体現しているのだろう。どんな建物でもいずれは老朽化して朽ちていく。ここに時間の要素と自然の要素が含まれている。長い年月、雨風に晒されて、災害も発生することで建物は自然に敗北すると言いたいのだろう。
「確かに俺たち生き物は自然に敵うことはないだろうさ。寧ろ俺たちは自然に生かされていると言ってもいいくらいだからな。けれど、ここで俺たちは引けないんだよ」
「そうだぞ! タク! 私たちは負けれないのだ!」
『この世界の終わりが既に決まっているとしてもですか?』
こいつもこの世界の終わりを知っているのか。道理で強いだけだよ。レベルは同じでは恐らくウェルシュドラゴンたちより上の存在だ。心当たりがあるとするならマザードラゴンと同格の存在とみてよさそう。そんなグレートネイチャードラゴンの問いにユウェルが迷わず返事をする。
「そうだぞ! この世界が終わるとしても私たちは私たちが望む最高の終わりを迎える為に戦う!」
ユウェルのこの答えが俺たちが戦い続けている理由だ。
『なるほど。ならば私もあなたたちが望む未来の障害として戦うとしましょう』
「やるぞ! タク! ここで負けたら、私は凄く恥ずかしい!」
「あ、なんか負けたくなってきた」
「リビナ」
俺はリビナの頭を小突く。これに対してリビナを痛いと言いながらも舌を出して、悪びれている様子だ。ここで俺はみんなに指示を出す。グレートネイチャードラゴンに手加減などして勝てる相手ではない。全力で戦わないと負ける相手だ。
俺が作戦指示していると落下した高層ビルが木の根で持ち上がると俺たちに向かって投げ捨てて来た。これを黒鉄が前に出て、パンチと自身の身体で破壊していく。そして俺たちは一斉に動いた。
まず俺と虎徹が接近戦を挑む。木の根が邪魔だが、俺と虎徹なら対処可能だ。しかし俺たちが飛び込むと全身から毒霧を発生させて、斬撃を拒んで来た。しかもこれが目くらましにもなって、毒霧の中から現れる木の根に対処するのが遅れる。
目の前の木の根に対処していると今度は茨の木に左右か背後から攻撃される。しかしここでリビナ、ユウェル、黒鉄、ストラの援護が来て、破壊された。これが俺たちの基本的な陣形だ。俺と虎徹が相手の攻撃の引き付け役とダメージを担当し、黒鉄とユウェルがミサイルや大砲で遠距離攻撃を担当、リビナとストラが俺と虎徹の完全なサポートを担当している。
「はぁあああー!」
俺と虎徹は毒霧が無くなるととにかくグレートネイチャードラゴンを斬りまくる。脱皮されない限り溶接の効果は有効だ。とにかく攻撃しまくって脱皮を間に合わなくさせる。これをすればダメージは通る。
逆に相手は時間をかけたいから積極的に毒霧を使って来た。これにユウェルと黒鉄が合わせて、爆風で毒霧を散らしてくれた。周囲のフォレストドラゴンたちもリビナとストラが隙を見て、確実に仕留めている。こうして確実に俺たちはグレートネイチャードラゴンにダメージを与えていく。
しかしこれはもう耐久勝負となっている。俺も虎徹もずっと刀を振り続けるのはしんどい。しかしやらないと回復されて、ここまでの努力が水の泡と化す。だから俺と虎徹は極限状態で刀を振りづ付けている。
「ギャオオオ―――!」
ここでグレートネイチャードラゴンは雄叫びを上げると天候が悪化し、竜の森に巨大な砂嵐を雹、雷が降り注ぐ。天変地異だ。これを全員が受けてしまう。
「く…おぉおおー!」
「ガ…ガァアアー!」
ダメージを受けた俺と虎徹だが、すぐさま接近して斬撃を再開する。ここで止まる訳には行かないんだよ。そしてようやく俺と虎徹の頑張りが報われる瞬間が来た。グレートネイチャードラゴンの生命力がようやく倒せるところまで減ったのだ。
黒鉄が両手を砲身に変えると胸の砲身も出現させて、魔力を高める。更にユウェルもここで切り札を切る。
「人が自然に勝てないなら神の力で勝つまでだ! 神剣シュルシャガナ! 神威解放!」
神剣シュルシャガナ(神威解放):レア度10 大剣 品質S+
重さ:300 耐久値:7000 攻撃力:12000
効果:神技【カーミ・ターミス・シミター】、神気、破魔、紅炎、万物破壊、魔力切断、溶断、溶接、戦闘高揚、肉体活性、神火、炎熱支配、荷重支配、溶岩壁、熱波、火砕流、大噴火、溶波動、神撃、巨大化、勝利の加護、神の加護
戦神ザババが持つ大剣のうちの一本。ザババの戦神としての力が宿った大剣で攻撃に特化している。浄化の炎で穢れを祓い、灼熱の刃は切り口を溶接することで復活を封じる出来る神の大剣。
ストラに乗っているユウェルの背にザババ神が現れる。
『俺様の炎の一撃を持ってして、竜殺しを果たして見せろ!』
「言われなくてもやってやるぞ!」
これを見たグレートネイチャードラゴンは口と両手、更には腹に巨大な花が咲くと魔力が集まる。これを阻止するのが俺たちの仕事だ。
「タクト! 虎徹! やっちゃって!」
「あぁ! 雷光刃、溶断、溶接。行くぞ! 森羅万象!」
「ガァアアア!」
俺がグレートネイチャードラゴンの顔を切断して、ドラゴンブレスを不発させる。そして虎徹は三日月宗近の力を解放して、三日月の斬撃が縦に放たれ、腹の花と両手を切断した。これで決まったかに見えたがまだ身体をくっつけようとして動いている。そこにストラのドラゴンブレスが炸裂した。
この瞬間に黒鉄の攻撃のチャージが完了し、リミッター解除まで使用する。力が限界を超えた状態で黒鉄の両手から魔導砲、胸から荷電砲、身体中から追尾光線と拡散光線が放たれる黒鉄の必殺技とも言える武装の一斉掃射が放たれた。
これをグレートネイチャードラゴンは巨木壁で対処しようとしたが砲撃が全ての巨木壁を貫通して、直撃すると更にミサイルと光線の雨が炸裂してグレートネイチャードラゴンは大爆発が発生した。最後はユウェルだ。
「神技! カーミ・ターミス・シミター!」
ユウェルが剣を振り落とすと無数の炎の剣がグレートネイチャードラゴンに降り注いでグレートネイチャードラゴンのバラバラに切断すると更にグレートネイチャードラゴンの身体が燃える。武装射出や強欲門と違って、武器を飛ばすのではなくあくまで武器で斬ることに特化した必殺技だった。
「頼むから奇跡で最初からやり直しとかはやめてくれよ」
本来ならこういうことをいうとフラグとか言うのだが、今回は蘇生は無かった。それに気が付くのは戦闘が終わって、かなり時間が立ってからだ。それだけ戦闘の緊張感が高まっていた。
「はぁ~…倒したな」
「「はぁ~」」
俺が倒したことを伝えて、ようやくみんなの緊張の糸が切れて、倒れ込む。今はとにかく休息が必要だが、これでまだ土のドラゴニュートの村に行っていない状況だ。恐らく中ボス的な立ち位置だと思うがそれにしても難易度が高すぎる。
「誰だよ…一日でこんなクエストをクリアしようとか考えた奴は」
「タクトでしょ」
「タクだぞ」
「そうだな。完全に甘く見積もっていたよ。ごめんなさい」
ぶっちゃけると黒鉄がピンチになるレベルはボス戦くらいだと高をくくっていた。俺は自分の見通しの甘さを反省しながら休憩するのだった。




