#1414 終焉龍王アポカリプスドラゴン戦、中編
竜となった俺たちはアポカリプスドラゴンに突撃する。
『「ドラゴンクロー!」』
アポカリプスドラゴンは身体を起こして二足歩行になるとお互いのドラゴンクローが激突し、爆心と紅炎の効果で大爆発と炎にお互いが包まれる。しかし力は拮抗し、アポカリプスドラゴンの七つの首が俺たちを狙って来る。
「「「「「「ドラゴンブレス!」」」」」」
『炎化!』
『溶断! 時空切断! 星光刃!』
『溶接!』
俺たちは炎化でドラゴンブレスを躱すとカウンターで両手に装備している神剣天羽々斬とインフィニットエクスカリバーでアポカリプスドラゴンの首を二つ斬り裂いて復活不能にした。
俺の予想が正しいならこれで強欲門と怠惰門を使用不能に出来たはずだ。ここまでの戦闘で使用された七つの大罪スキルはそれぞれ別の首が使用していた。つまり七つの首が七つの大罪スキルをそれぞれ割り振られており、他の首が別の七つの大罪スキルを使用することは出来ないのではないのかいうのが俺の推理だ。
間違っていても首を潰すことは間違いではない。攻撃回数が減ることはだいぶ楽になる。逆にアポカリプスドラゴンは苦しくなるはずだが、中央の首は歓喜する。
「俺様たちの首を斬るか! そうでなくては! 魔素解放! 物質化!」
斬った首から魔素が噴き出すとドラゴンの姿になり、俺たちに襲い掛かって来た、
『魔素吸収!』
アポカリプスドラゴンの魔素を俺たちは吸収して、攻撃を阻止した。
「炎の魔神の娘の力か! いいぞ! 実にいい! 今のお前たちは俺様たちとほぼ同等の存在といっていいだろう! しかしまだまだ力は足りていない! 憤怒!」
『それならこっちも使えるわよ! 憤怒!』
「魔竜技! ドラゴンラッシュ!」
『魔神技! シャイターン・ラッシュ!』
「『おぉおおおおお!』」
俺たちの炎の拳のラッシュとアポカリプスドラゴンの首による連続噛みつき攻撃が激突するとその度に大爆発が発生する。そしてお互いにドラゴンノヴァを使用した状態で接近し、お互いの拳が決まるとドラゴンノヴァでお互いに吹っ飛ぶ。
「はっはー! 竜魔法!」
『魔神魔法!』
「ドラゴニックアポカリプス!」
『シャイターン・アイン!』
灼熱の炎のドラゴンが俺たちに向かってくるとシャイターン・アインの光線と激突し、大爆発が発生したが灼熱の炎のドラゴンが俺たちに向かってきて、俺たちはガードすると大爆発する。倍化の力が効いて来た。はやく何とかしないとやばい。
「「「「ドラゴンブレス!」」」」
『精霊門!』
「異界に逃げたか…しかし」
俺たちが奇襲すると俺たちの剣が首に噛みつかれることで止められてしまう。これでいい。精霊界で遅延魔法でストックしたエクリプスが発動する。これで全てのバフは消滅した。俺たちは剣を離すとアポカリプスドラゴンの胴体に拳を叩き込み、上に上がると二つの首にアッパーをお見舞いすると神剣天羽々斬とインフィニットエクスカリバーを手元に戻して首をまた二つ斬り裂いた。この際に狙った首を別の首が守りに入って来た。
これで残すは三つの首のみ。首を守った理由は恐らく守りに入った首がそこまで重要な七つの大罪スキル持ちじゃなかったんだろう。因みに俺が狙ったのは憤怒と嫉妬門を使った首で嫉妬門の首が守られてしまった。
残っているのは傲慢、色欲、暴食。この中で必要がないと判断するなら傲慢がどんな効果のスキルからは知らないが恐らく色欲門を使用不能にした。何故なら色欲門を使うならとっくに使っているはずだからだ。たぶん今の俺たちはマリッジバーストの効果で融合状態にある。男と女で融合しているから色欲門が封じられている可能性が高い。
「ははは! また二つの首を持っていかれたか!」
「何喜んでいるんだよ! お前もあいつらもムカつくぜ!」
「妬ましいけど、認めるしかないね。もう使っちゃっていいんじゃない?」
「そうだな。お前たちの強さを認め、俺様たちの真の姿を見せてやろう! 神格解放!」
世界が真っ赤に染まるとアポカリプスドラゴンの姿が変貌する。無事だった三つの首が無くなり、巨大な身体だった姿が縮んでいく。それなのに放たれるプレッシャーはどんどん増していく。そして首一つの真紅のドラゴンが降臨した。
終末魔龍神王ジエンドゴッドドラゴン?
? ? ?
身体は小さくなったがそれでもゴッドマナドラゴンと同等の大きさはある。他の変化で言うとドラゴンの翼は十枚に増え、胸には一つ目がある。そして俺はこのドラゴンから発生する気配を知っていた。
『アポカリプスビーストから感じたプレッシャーと同じ…』
『ほぅ…あいつと出会った事があったのか。同等なのは当然のことだ。我らは世界を破壊し、終末を与えし存在であり、必要悪を背負った同士でもある。生まれた時からその業を背負ってきた。他の存在とは覚悟も強さも違うのは当然のことだ。お前の中にいる魔神の娘なら少しは気持ちが分かるのではないか?』
『本当に少しでしょうけどね。私も生まれた時から魔神の子供だったからいっぱい悩んで苦しんでいた時期もあったわ。暴れても周りは弱いし、破壊しても愉悦感より虚無感のほうが強かった。そして私は何のためにこの世界に生まれたのか分からなくなったわ』
この話は初めて聞くな。まぁ、魔神の娘なんだからそれなりの悪さはしていたことは理解していた。それを敢えて話さないということはファリーダ自身にも罪の意識があり、それを俺に伝えることを避けていたんだと思う。
ここでそれを話すということはファリーダが俺たちに聞かれても大丈夫だと信頼してくれた証拠だろう。もちろん俺は追及はしない。ファリーダが過去に犯した罪を突かれるならその贖罪をするのが俺の役目だ。
『ファリーダ殿…』
『でもね。燎刃。今の私はそれを見つけたわ。私はタクトやあなた達と出会うためにきっとこの世界に生まれたの。そしてこの力は神も魔神もドラゴンの王も倒す為に持っているんだと今はそう思っているわ』
『くくく。そこは俺様と違うところだな。俺様は世界を終わらせるためにこの力がある。そして俺様だけがドラゴンの中で唯一創星龍神に挑む資格があると思っている。破壊と創造は表裏一体だからな』
『そう…私の救いがタクトたちであるようにあなたの救いは創星龍神なのね』
これほどの力を持っていても創星龍神という更に上の存在がいるということはジエンドゴッドドラゴンにとっては最大の救いだったに違いない。目指すべき目標があるというのはそれだけで生きる糧になる。世界を呪って自殺まで考えた俺だからこそそこは理解出来る。
『…話が過ぎたな。お前たちはどうする?』
『このままじゃあ、勝てないからもちろんありったけの切り札を使わせて貰うぜ』
『アポカリプスドラゴン様…いえ、ジエンドゴッドドラゴン様。本当に申し訳ないと思っていますがここであなたに勝って、先に創星龍神様に挑ませて頂きます!』
おぉ。燎刃がはっきり言ったな。ファリーダの言葉が相当燎刃に勇気を与えたらしい。
『く…ははははは! この姿の俺様を前によくぞ言った! そうだ! それでこそ火竜! 俺様の眷属だ! 全力で来い! どちらが創星龍神に挑む資格があるのが決めようぜ!』
『『『神格解放!』』』
俺たちも神格解放を発動して、魔神の力を解放したドラゴンとなる。ここに二匹の神の力を有する火竜が相対することとなった。いよいよこの勝負も佳境だ。絶対に負けない。




