#1403 ケテルの神
俺はここでストラに変えて、イクスを呼び出す。流石に城の中でストラを使うのは相性が悪いからだ。シルフィは変える様子はない。もうシルフィは切り札を使う気満々だな。
そんな俺たちが城の中に入ると一言で言うとダイヤモンドの城だった。床から壁まで全部ダイヤモンドだ。こんな光景現実ではあり得ないんだろうけど、目が悪くなりそうだ。そして俺は嫌な予感を言う。
「まさかとは思うけど、攻撃が反射しないよな?」
「試したら、どうですか?」
「日光!」
リリーが日光を床に放つと反射してリリーの髪の毛に直撃して、焦げる。そして日光はそのまま壁から天井、床を次々反射しているとイクスがあっさり撃ち落とした。こういう計算でイクスに右に出る者はいない。これはイクスを選んで正解な気がする。
「リリーの髪の毛が!?」
「自分で撃ったんでしょうが…本当にリリーはいつまでたってもリリーですね」
「どういう意味!? イオンちゃん!」
そのままの意味だと思うけど、それがリリーのいい所でもあり、悪い所でもある。俺としてはリリーはそのままでいいと思う。楽しいし、これが無くなるとリリーじゃなくなる気がするんだよね。
そんな俺たちは部屋を物色していくと宝箱があり、開いていくとダイヤモンドシリージが手に入った。更にはダイヤモンドのドレスまで発見する。
「これはシルフィかな?」
「いえ…貰っても着ないですよ? こんなキラキラのドレス似合いませんし、それに重いし、大変…なんですか? 皆さん? その期待に満ちた顔は? ぜーったいに着ません!」
ドレスの種類によってはシルフィも許容したんだろうけど、ウェディングドレスのようなドレスが全部ダイヤモンドだからな。流石の王族のお姫様でも着こなすのは難易度が高いか。するとイオンがリリーに聞く。
「リリーは着たくないんですか?」
「いらないよ? こけたくないもん」
似合うとかのレベルじゃなく、長いドレスが嫌いなだけだった。とにかくこれは売りだね。ミュウさんが驚く顔が目に浮かぶぜ。
俺たちが部屋を物色していると大きな扉の部屋を見つけた。ここがゴールだね。最終チェックを済ませて、扉を開けるとそこは玉座ではなく裁判所のような場所だった。中央にはダイヤモンドで作られた神の像がある。
そしてその部屋の天井に描かれた神の壁画が光るとケテルの神が降臨する。
エヘイエー?
? ? ?
現れたのは白のフードに白く長い髭の老人姿でブルーダイヤモンドの王杖を持つ神だった。
「よく来たのぅ。ここがエデンの終着地点じゃ」
「あなたを倒せばロンギヌスが手に入ると考えていいですか?」
「うむ。お主たちが持っておるロンギヌスの欠片を貰う事を条件にお主たちが通って来たルートに応じたロンギヌスを渡す事を約束しよう」
交換なんだ。そういえばアザゼルがルシファーからロンギヌスの欠片を借りて、複製したとか言っていたな。するとエヘイエーが俺の頭に過った疑問に答えてくれる。
「お主が考えておる通りじゃ。ルシファーが盗み出したロンギヌスの欠片は儂らにとって汚点の一つ。何としても回収せねばならんものじゃ。しかしただ回収するだけでは儂らの教示に関わる。だからこそこのケテルの世界を制覇した者に代わりとなる本物のロンギヌスを与えることを決めたのじゃ」
それは元々天使が管理していたものなので没収します。それだと反感は間違いなく喰らうだろうね。しかしただでロンギヌスと交換しますでも体裁が保てない。となるとやはりゲームの流れ的にはクエストの報酬で交換というのが筋になってしまうんだろう。
しかしそうなるとロンギヌスのクエストは後で追加されたクエストと言う事になる。つまりこのエデンのクエストの報酬とは別にある可能性が高い。俺がそう思っていると肯定された上で天使の専用装備が手に入ることが告げられた。
それを聞いたブランは自分の武器を見ると苦笑いを浮かべる。今のブランの武器を超えれる武器は早々ないだろうからな。まぁ、報酬を見て判断するとしよう。
「話はこんなところかのぅ? では、始めるとしよう」
エヘイエーが戦闘態勢になると俺たちは一斉に襲い掛かった。相手は魔法使いタイプ。接近戦を選択するのは当然だ。するとエヘイエーは空間転移で姿を消すとシルフィの前にやって来た。シルフィは咄嗟に距離を取るがエヘイエーの狙いは接近戦では無かった。
「ルーンスキル。これでマリッジバーストは封じたぞい」
初手でシルフィを潰して来た。
「さて、次はどうするかね?」
鋭い眼光が放たれる。この強者の圧力、本物だな。それに臆することなくイオンが攻撃を仕掛けた。するとイオンの斬撃に対してエヘイエーは手に聖剣を出すとガードし、王杖に出現させた星光刃でイオンを薙ぎ払い攻撃をしてきた。これをイオンはガードするが吹っ飛ばされる。
これに続いたのがリリーとブラン。二人が挟む形となったが聖剣と王杖でガードされると衝撃放射で二人は吹っ飛ばされた。
草薙剣、ミョルニル、リープリングアテナの攻撃を止めるか…流石にリリーとブランの二人の攻撃を押し返すほどの筋力はないようだが、止めただけでも凄すぎるぞ。しかしエデンの最後の神だ。この程度では終わらない。
ウェルシュドラゴンたちが襲い掛かると聖剣から別の聖剣に変える。その聖剣は俺たちも知っている聖剣だった。
「アスカロン。王撃!」
ウェルシュドラゴンたちが返り討ちにあう。アスカロンは聖ゲオルギオスの剣だ。聖ゲオルギオスは当然キリスト教徒。ならばエデンの神が使っても不思議じゃない。
「ほれ。神撃」
ウェルシュドラゴンたちに特大の神撃が炸裂したかに見えたがリオーネが守りに入ってくれた。すると俺とイクスが襲い掛かる。
「こりゃあ、ちときついのぅ…日輪! 聖剣解放!」
俺たちが日輪を回避するとその隙にアスカロンの聖剣解放が放たれた。これを俺たちが回避するとリリー、イオン、ブランが再び仕掛ける。するとアスカロンを変えて新しいアスカロンを取り出した。
「聖剣解放」
「「「いぃ!?」」」
「神鎖」
やばい。拘束されたリリーたちもヤバいがリリーたちの後ろにはウェルシュドラゴンたちがいる。
「閃影!」
「ぬ。ほっほ。流石に速いのぅ」
閃影で強引にアスカロンを振られるのを阻止した。
「どうも!」
俺が蹴りを放つが避けられると王杖を向けられる。
「マジックバスター」
「神障壁!」
俺がマジックバスターをガードするとイクスが狙撃する。それをエヘイエーはアスカロンと王杖で弾くと距離を取った。神鎖に拘束されたリリーたちはシルフィとリオーネに助けられて、俺たちに合流する。ここでシルフィは下がり、リオーネが護衛に付いた。
そして俺たちと激しい接近戦になる。俺たちとの接近戦でアスカロンが弾かれるとすぐさま新しいアスカロンを出して来た。このシステムなら聖剣解放は打ち放題となる。そして弾かれた無数の明アスカロンが浮かび上がったり、空でくるくる回転していると俺たちに向かって飛来する。
「聖波動」
俺たちの手前で無数のアスカロンから聖波動を放たれる。これに俺たちが反応して回避するとエヘイエーは俺に向かって、王杖で突いて来た。これを止めるとゼロ距離から神波動が使用されるが俺は王杖を蹴り飛ばして、神波動のコースを変えると斬りかかる。
「ルーンウェポン」
「く!? っ!?」
俺は武器を封じられて、旭光近衛が手から離れる。そして俺の目にアスカロンを振りかぶるエヘイエーの姿を映る。俺は拳を握る。
「聖剣解放!」
「クロスカウンター!」
「ぬ!?」
俺のクロスカウンターがエヘイエーに炸裂する。流石にあの状況で懐に飛び込んで顔面にカウンターを決めて来るとは思えなかったらしい。更に俺はエヘイエーに後ろ回し蹴りをお見舞いしてぶっ飛ばすと落とした旭光近衛が超電磁を使って、エヘイエーに飛来する。
ルーンウェポンで封じられるのは武器を手に持つこと。エヘイエーがアスカロンを操っているのと同じように地面に落ちた武器を念動力などで操ることが出来る。俺の攻撃にリリーが合わしている。さて、どうする?
「空間転移」
ここは逃げを選択した。しかしこちらにはイクスがいる。転移して現れた瞬間にイクスの銃撃がエヘイエーに炸裂するとイオンとブランが左右から攻撃する。
「武装創造! 天槍!」
光の槍がエヘイエーの頭上に現れるとイオンとブランに降り注ぐ。それでもイオンたちのほうが速いが多重障壁に阻まれて、回避を選択したが背中に槍が刺さる。
「神技! オスカル!」
俺たち全員の頭上から光の巨剣が落下して来た。その落下の衝撃でダイヤモンドが砕ける。俺たちは全員攻撃が直撃していた。反応はしていたのに命中した…敵全員に対する必中攻撃だった。更にここで俺たちが一番危惧していた攻撃をして来る。
「神技! アイン・ソフ・オウル!」
エヘイエーの王杖から無数の光線が降り注ぐ。その光が地面や壁に次々反射して、部屋中が光線に包まれた。しかも王杖から発生する光線が止まらない。アイン・ソフ・オウルは無限の光と略される。この通りの意味なら技が止まることはないはずだ。
「少しだけでいい! ブランを守れ!」
「遮断結界!」
俺たちはブランに迫って来る光線を弾いて、遮断結界を展開する。これで取り敢えずはなんとかなったがそんな甘い相手では無かった。
「神技。アイン」
遮断結界が暗黒に染まると消滅した。ここで強制解除技!?やばいと思っていたら、イクスが神杖コズミックトラベラーを構えた。
「時空波動」
光線などお構いなしにエヘイエーを狙った。流石にこれは回避行動を取る。逆にこっちはブランがガーティアンエンジェルで光線から守ってくれた。確かに後手に回ってばかりではいられないな。
「リリー、イオン!」
「「ドラゴンブレス!」」
「ふぉっふぉ。守りながら攻めて来るか。しかしいつまでも守れるものでもないぞい!」
エヘイエーが周囲に光の槍と魔方陣を展開する。ここだ!
「イクス!」
「次元アンカー、発射します」
「ぬぅ!? ぬぉおおおおお!?」
次元アンカーがエヘイエーを拘束するとダイヤモンドの壁にぶつけた。老人の姿でダイヤモンドの壁に背中を強打するのはさぞ痛いだろうね。やはり別次元からの攻撃は探知できないよな。これこそがエクスマキナの神の天敵と言われる所以の一つだ。そしてこの攻撃で全ての技が止まった。それでも光線は反射し続けている。
「時間停止! タクトさん!」
イオンが時間を止めたことで光線も止まる。これなら切り札が使える。
「やるぞ! みんな!」
「「「「「マリッジバースト!」」」」」
リリーたちの姿が光になると俺のマリッジリングに吸い込まれると膨大な光が発生する。降臨したのは八枚の青と白のドラゴンを持ち、頭上には天使の輪、身体にはスラスターなどが装備されているメタリックボディの竜騎士だ。
「使われてしもうたか…エクスマキナという存在は本当に厄介なものじゃな」
「ここからは一気に勝負を終わらせて貰うぜ? 無限属性の光の神様」
ここまでの戦闘でこれはもう確定的だ。無限に光線を撃てるはずがない。ただし無限に魔力があるなら話は別だ。そして一人の神が魔法と天槍、神技の三つを同時使用も本来は出来ない。これも無限連撃があれば可能となる。そして遮断結界を消した技も無限属性の攻撃だった。ここまで証拠が揃っていればエヘイエーがどんな神様が流石に分かる。
これを聞いたエヘイエーは笑う。
「ふぉっふぉ。儂の本質を見抜いたか! 流石じゃのぅ。しかし分かったからと言って簡単に終わらせることが出来るかのぅ?」
俺たちが部屋の前で敵対する。ここから本気の勝負が始まろうとしていた。




