#1399 山羊座の試練①
俺がパラディンロードに転移すると待っていたのはシフォンだけだった。
「あれ? アーレイたちはいないのか?」
「う、うん。みんな、別々行動しているの」
「パーティーメンバーなのにか?」
「そ、そうだね。でもみんな強くなるために必死だから。責めないで欲しいかな?」
シフォンの様子が明らかにおかしい。これはミランダがこの状況を仕組んだな。アーレイが思いつくとは思えない。
「責めたり、出来るはずないだろう? 時間を使わせているのは俺の方なんだからさ。寧ろ責められるなら俺のほうだよ」
「タクト君を責めたりなんてしないよ! あ…えーっと…しないと…思います」
急に強く言ったからと思ったら、トールダウンするシフォンである。このまま話していてもしょうがないな。
「この話は終わりにしよう。なんか永遠に終わりそうにない気がする」
「そ、そうだね。それじゃあ、道案内するね」
俺たちが近況をお互いに話しながら歩いているとシフォンが反応する。
「タクト君! 危ない!」
「シャー! シャ!?」
精霊門からキャスパリーグが飛び出して来たが俺は素手で爪を受け止める。この結果にキャスパリーグは絶句だ。
「人に喧嘩売ったんだ。やられる覚悟があると判断させてもらうぞ」
俺がそういうと爪を持ったまま、キャスパリーグを持ち上げるとそのまま地面に叩きつけようとしたが脱出スキルで逃げられると精霊門に飛び込んで逃げられた。まるでとんでもない化け物に遭遇してしまったかのような逃げようだ。
「追うか…いや、星座の試練が優先だな」
「最初に追うが出て来るんだね…」
「引いているが今のシフォンや上級者たちならこれぐらい出来るだろう?」
「出来ちゃうのかな?」
シフォンの筋力を聞いてみると1000を超えていた。スピード特化で魔法も使うシフォンだが、一応騎士だ。俺よりも筋力があることは普通だね。
「シフォンのほうがムキムキじゃん」
「言い方!」
怒られました。やっぱり女の子ってそういうところは気にするんだね。因みに男の俺は自信喪失しそうですよ。そんなどうでもいい会話をしていると目的地に到着した。そこは草原で丘の上に草に隠された山羊座が描かれている魔方陣があった。
「地味に嫌らしいな」
「うん…普通に気付かずに魔方陣に触れて山羊座の試練を挑まさせられて、負けた人が結構いたみたいだよ」
「俺が最初に受けた牡牛座の試練と同じ感じのトラップなわけか。でも、これは一つなんだよな?」
「そうだよ。獅子座、魚座、乙女座、蟹座、天秤座は二つある試練だね」
一応綺麗に六ずつに分かれているんだよな。何故かは知れらない。重要なのは時間が無くて経験値が多い牡羊座とこの山羊座の試練が一つで行けるということだ。最も山羊座のほうは経験値の差がかなりある試練らしいけどね。しかもかなりトリッキーなクエストらしい。
「それじゃあ、行って来るな。案内ありがとな。シフォン」
「うん。頑張って来てね」
俺が消えたことは確認したシフォンが言う。
「なんか今の! なんか今の! きゃー! ありがとうー! ミランダちゃん!」
丘で地面を叩きながら発狂しているシフォンの絵面は結構やばい物があると思うが誰も見ていないし、セーフだろう。そして犯人はやはりミランダでした。
それじゃあ、山羊座の試練を始めよう。内容に変更なし。そんなわけで一対一形式で今回も行こう。まず最初のフィールドは普通の部屋の中、広さがそこまでない星座の試練ではお馴染みの部屋だ。
その部屋に黒い霧が発生すると山羊の悪魔が現れた。
パルマコス・ダイモーンLv60
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
パルマコスはギリシャ語でスケープゴートという意味だ。ダイモーンもギリシャ語でデーモンと同じ意味となる。つまり相手はスケープゴートの悪魔だ。
こいつには変わったスキルがある。それが痛覚共有。自分が受けたダメージを相手にも与えることが出来るスキルだ。更に回復無効や呪いも付与してくれるので、最初の敵と侮って挑むと最初で躓く敵となっている。
こいつに勝つには痛覚共有を使われる前に倒すかパルマコス・ダイモーンを超える生命力がある相手をぶつけるのが吉。しかも最後に使われるスキルの対策も考えないといけない。
俺が選んだのは恋火。勝負は一瞬で決まる。恋火が一瞬で距離を詰めて、連続で斬りまくると恋火にダメージが発生する。しかし生命力で恋火が上回っているので、恋火が負ける事はない。そして恋火は呪いを付与されそうになるがこれは神の加護で無効化されている。
そして最後、パルマコス・ダイモーンが倒れると恋火に道連れスキルが発動する。
「禊」
道連れスキルが禊の効果を受けて、消滅するとインフォが来る。
『特殊クエスト『山羊座の試練』の一階をクリアしました』
このゲームでは山羊は悪魔と動物の二通りに別れている。この星座の試練でもそれが反映させているんだよね。残された物を鑑定する。
スケープゴートのぬいぐみる:レア度8 通常アイテム 品質A
効果:身代わり
持っている人のダメージを一回だけ受けてくれる寝ている山羊のぬいぐるみ。
地味に嬉しいアイテムだな。ただぬいぐるみが両手で持つほどの大きさなのでそこが難点。ノワに挙げると枕にしそうだ。
「物凄く痛かったです…」
「お疲れ様。回復をかけてあげよう」
「ありがとうございます! はぁ…癒されますぅ~」
幸せそうで何よりだ。恋火の頭を撫ででから次の試練に向かった。次も同じフィールドだ。するとフィールドの中央で獄炎が発生し、デーモンが現れる。
アークデーモンLv65
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
以前にも説明したと思うがデーモン系の第五進化として登場するのがこのアークデーモン。武器は大斧と鎖。レベルは低いが実力は本物なので油断せずに仕留めない敵だ。俺が選んだのは月輝夜。同じタイプのガチンコの勝負と行こう。月輝夜の武器は顕明連だ。
「グォオオオオオ!」
「オォオオオオオ!」
お互いのパワーとパワーが激突する。この勝負は流石に月輝夜のほうが上だ。そして月輝夜が格闘も混ぜてガンガン押していくと壁際まで追い詰めた。するとアークデーモンは口から獄炎を月輝夜の顔に吐くと月輝夜は怯む。
その隙にアークデーモンは後ろに回ると月輝夜の足に鎖を引っ掻け、月輝夜をこかすと月輝夜の顔が壁に激突した。それを見てアークデーモンは笑う。弱い敵だと油断するとこうなるんだよ。月輝夜。
しかし月輝夜も成長している。起き上がると冷静に武器を構えた。そして殺気を持って、アークデーモンの笑いを止めた。そして本気の月輝夜がアークデーモンに襲い掛かる。
月輝夜は下段から顕明連を振るとアークデーモンの大斧を上に打ち上げるとアークデーモンと視線が合い、アークデーモンの目が爆発する。そして月輝夜は顕明連を持ちかけて刃の武器を下に変えるとそのままアークデーモンを斬り裂いた。これは上手い。俺たちの刀捌きをよく勉強しているな。
斬り裂かれたアークデーモンは後ろに下がると再び獄炎を吐く。これを月輝夜が受けながら前に進んでいるとアークデーモンの大斧が回転しながら月輝夜の頭に落ちて来る。それを月輝夜は片手で受け止めると投げ捨てた。
この結果にアークデーモンは拳を握ると月輝夜に接近戦を挑んで来た。月輝夜の斬撃を拳を刃の側面を殴ることで逸らすとそのまま月輝夜の腹に拳を連続で叩きまくり、アークデーモンの尻尾の蛇が月輝夜の足に噛みついて、神魔毒に月輝夜を侵す。
しかしアークデーモンは頭を月輝夜に捕まらるとあっさり剥がされ、デモンクラッシャーでぶっ飛ばされる。そして月輝夜はゴッドブレスをお見舞いすると顕明連の力を解放して、襲い掛かる。これを見たアークデーモンは鎖で月輝夜を攻撃しようとしたが攻撃を受けても月輝夜が止まることはなかった。
そして顕明連の斬撃がアークデーモンの首を飛ばす。すると月輝夜に道連れスキルが発動する。月輝夜は呑み込まれてしまうが顕明連の効果で蘇生する。月輝夜が勝利の雄叫びを挙げるとインフォが来る。
『特殊クエスト『山羊座の試練』の二階をクリアしました』
本来ならもっといい勝負が出来たはずなんだけどね。レベル差がかなり出た勝負だった。ただ月輝夜にとってはいい薬になった勝負になっただろう。太刀の腕前の向上心も見れたし、俺としては収穫十分な結果となった。だからアイテムが無くても怒りませんとも。
気持ちを切り替えて、次の試練にむこうとしよう。次の試練のフィールドは部屋であることは変わりないがオカルトの装飾がされた部屋だ。この部屋の絨毯に描かれた黒い魔方陣から魔素が吹き出し、悪魔が姿を見せた。
バフォメットLv70
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
こちらもサタナキアとの戦いの時に散々戦った悪魔だ。アークデーモンと分岐している魔法使いタイプのデーモンだね。俺が相手に選んだのはコノハ。魔法合戦で勝って貰おう。
この勝負は俺の予想通り激しい魔法の撃ち合いとなる。狭い部屋の中でやる勝負じゃない。しかも見た感じお互いに魔法で勝つという意志を強く感じる。コノハは影分身を使って突撃すれば、簡単に勝負を決めれると思うがそうは動かない。
コノハからすると魔法のレベル上げもしているな。
「ホーーーーー!」
「オオーーーー!」
部屋が大魔法の撃ち合いでボロボロになり、部屋が狭いせいで魔法同士のぶつかり合いで発生した爆発を両者受けながら魔法を絶え間なく撃ち続けた。結局この勝負は魔法のスキルレベルが高いコノハに軍配が上がった。
しかしバフォメットを倒すと道連れスキルが発動してコノハは倒されるが不死で復活して勝負あり。インフォが来る。
『特殊クエスト『山羊座の試練』の三階をクリアしました』
『コノハの神聖魔法のレベルが40に到達しました。神聖魔法【アルティメットブレス】を取得しました』
『コノハの神聖魔法のレベルが上限に到達しました』
コノハの狙い通り、魔法スキルのレベル上げには成功したらしい。一つの魔法をまず極めることが出来た嬉しさをコノハは爆発させる。
「ホー!」
「ホーじゃない! コノハ君? 大人しく答えなさい。早く終わらせないために手加減してましたね?」
流石に意味がないところで爆発が起きる事はありえない。そして証拠はこのフィールドの惨状だ。二人共ほぼ動いていないのに意味がないところが破壊されている。
「ホー…」
「目を逸らしたね。大人しく言わないとご飯抜きだぞ」
「…ホ」
「よし。素直でよろしい。ご飯抜きにはしないから遊ぶのはほどほどにしておくようにな。さっき月輝夜も足をすくわれたばかりだ。気をつけるように」
「ホ!」
コノハが素直に頷いたので、軽く叱って終わりにした。後、最後の敬礼はどこで覚えたかは謎だ。さて、これで悪魔ゾーンは抜けた。次の部屋から経験値アップエリアだ。気合い入れて挑むとしよう。




