#1395 賢者の森と射手座の試練①
俺たちは森の中に入るとケンタウロスたちの襲撃を受けた。森の中を走りながら木と木の隙間を狙撃してくるケンタウロスたちが非常に厄介だ。射手座のモデルになっているだけあって、狙撃の腕前は相当なものだ。
しかもボトムレススワンプで泥沼に沈めようとして神足通で泥沼に沈むことなく走り抜けてしまう。そして神足通を持っているということは空を走って、狙撃することも可能だ。本来なら弓矢や銃などの攻撃に弱い召喚師にとっては結構苦戦を強いられる場所なのだが、みんなが強すぎて話になっていない。
本来なら狩る側のケンタウロスたちがグレイたちに追われている形だからな。ただケンタウロスたちはグレイたちを狙撃しながら逃げており、グレイと白夜がいなくなったところで俺たちを襲撃する頭脳派の狩りを展開した。
「光速激突。粒子分解。星光刃。遠距離狙撃。必中」
セチアの神弓シャールンガを構えて弓矢を放つと射線上にある木を弓矢は全て貫通し、ケンタウロスたちに命中する。空からの襲撃もセチアの狙撃の餌食だ。ここにロコモコも加わっているから万全です。
そんな状態で突然空気がひりつく。
「ミノケンタウロスの強弓の覇撃が来るぞ。月輝夜」
「グォ! …グォオオオ!」
月輝夜が神剣イガリマを構えて集中していると森の奧から覇撃の弓矢が森の木を破壊しながら接近してくる。この攻撃に月輝夜は神剣イガリマで攻撃を合わせると弓矢を弾き飛ばした。お見事。
「モォ…」
「グォ」
「モォ!? モォオオオオオ!」
月輝夜がかかって来いよと挑発するとミノケンタウロスは両手に大斧を出すと接近して来る。これに対して月輝夜も前に出て、激突する。
最初のぶつかり合いは月輝夜が押し勝つとミノケンタウロスはまだフリーの大斧で月輝夜の首を狙う。するとミノケンタウロスに魔拳がカウンターという形で決まると至近距離から獄炎でミノケンタウロスを燃やすとミノケンタウロスは空に一度引く。
「モォオオオオオ! モォ! モォ! モォオオオオオ!」
ミノケンタウロスは狂戦士化と逆鱗を発動させると持っていた大斧を投げると手にハルバードを出し、頭上でハルバードを回しながら諸刃の一撃まで発動させて月輝夜にハルバードを叩き込む。左右からは星光刃を発生させた大斧も向かって来ている。いい攻撃だな。
「グォオオオオオ!」
「モォ!?」
月輝夜が魔素解放を発動させると物質化も使用して魔素の手で大斧を止めるとミノケンタウロスの渾身の一撃に覇撃で合わせるとミノケンタウロスを吹っ飛ばす。そして鬼神の咆哮が炸裂すると上空から神撃が降ると最後は地面に倒れるているミノケンタウロスに神剣イガリマを突き刺して、倒した。
相手が悪かったな。まぁ、それを見越して月輝夜を選んでいる俺が一番悪いんだけどさ。一応解体しているとグレイたちが戻って来る。どうやら目的地を見つけてくれたようだ。
グレイたちの案内で辿り着いたのが森の中にある泉。ここには一人の優しいケンタウロスが住んでいる。
「ようこそ。フリーティアの召喚師と召喚獣たちよ。歓迎しますよ」
現れたのは金髪のロン毛のケンタウロス。通常のケンタウロスと違って普通の服を着ており、背中には弓と矢筒、手には杖と魔導書、下半身の馬の部分には剣まで取り付けていることから他のケンタウロスと全く違うことが分かる。識別してみる。
人馬賢者ケイローンLv75
通常モンスター 討伐対象 ノンアクティブ
射手座のモチーフとなったケンタウロスだ。本来の伝説通りならケンタウロスは野蛮で粗暴な種族となっている。それが知的なイメージに変えたのがこのケイローンである。戦闘を好まず、アキレウスやヘラクレス、イアーソーン、アスクレーピオスの英雄たちの先生として有名なケンタウロスだね。まさに賢者と呼ばれるだけはある確かな実績があるケンタウロスだ。
そんな彼とはここでは敵対はしないので、普通に会話していく。
「ありがとうございます。でも、俺たちはここに用事があってきました」
「わかっていますよ。射手座の試練を受けにきたのですね。試練の入り口はこの泉の中にあります。挑む前に少しだけお話をさせてくれませんか?」
「いいですよ。なんのお話でしょうか?」
「あなたが星座の試練に挑む理由を教えて貰いたい」
この流れは俺が初めてだな。恐らくケイローンほどの賢者ならとっくに察していると思うが素直に全部話すとしよう。
「俺に力を貸してくれているテューポーンとの約束を守る為です」
「なるほど。テューポーンはやはりゼウスとの戦いを望みますか…テューポーンの力は強大です。世界を破壊するほどの力を持っています。それでもあなたはテューポーンの望みを叶えるのですか?」
「はい。それが俺とテューポーンが交わした約束ですから。約束は守らないとダメでしょう?」
「ふふ。そうですね。止めてしまってすみません。どうぞ試練に挑んで下さい」
みんなを一度召喚石に戻して、俺が泉の中に入ると海底に射手座が描かれた魔方陣を見つけた。それじゃあ、射手座の試練に挑むとしよう。内容は今までと一緒だ。今回も一人ずつ敵を相手にしていこう。
フィールドは部屋の半分が水になっているかなり大きい部屋だ。一応柱が足場もなっているが立てる場所は多くない。陸地は使えるけど、不利になることを承知で選ぶように言っているかのような部屋だ。
そして最初の敵が現れる。
イクテュオケンタウロスLv60
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
上半身が人間。下半身が魚のケンタウロスだ。武器や銛。ケンタウロスの分岐している進化先だ。相手に選んだのはサフィ。俺がサフィを召喚すると戦闘が始まる。
「ボェーーー!」
サフィが巨大化すると足場に設置させた柱も全て破壊してイクテュオケンタウロスに体当たりした。サフィからすると小さい部屋を用意したのが間違いだったな。サフィはそのまま壁にめり込んでいるイクテュオケンタウロスに連続で体当たりして倒した。
『特殊クエスト『射手座の試練』の一階をクリアしました』
「お疲れ様」
「ポエー!」
雑魚の相手をさせたのに元気に返事を返してくれるサフィは本当にいい子だね。一応解体する。
ケンタウロスの魚肉:レア度8 食材 品質A-
イクテュオケンタウロスの下半身から取れるお肉。賢くなる魚肉と言われているが好んで食べる人は非常に少ない食材として知られている。
そりゃそうだよ。上半身筋肉質のおっさんの肉なんて誰が食うか。しかも下半身を強調するな。余計に食べにくいだろうが。こんな肉を食べて賢くなるぐらいなら普通に勉強したほうが俺はマシだ。
一応サフィに食べるか聞いてみると身体を左右に揺らして拒否の構え。召喚獣にまで避けられる可哀想な食材だな。迷惑だろうが売ろう。何か新しい発見があるかもしれない。それでも俺が食べる事はないだろう。
それじゃあ、次の部屋に行こう。フィールドは変化ない。そして新しい敵が出現する。
ヒッポケンタウロスLv65
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
上半身が人、下半身が馬で尻尾が魚のケンタウロス。召喚獣として登場しているヒッポカンプスのケンタウロスバージョンだね。海の中を走り回りながら狙撃して来たり、槍や銛で突撃してくる戦闘が得意。今回は武器は三叉槍のようだ。青色でかっこいいね。相手はイオンで武器はエウロペトライデントで戦闘して貰う。
戦闘が始まるとイオンとヒッポケンタウロスがお互いに突撃して、槍が激突するとお互いに泳ぎながら突き合いになる。筋力でもスピードでもイオンのほうが上のようだが、武器に慣れていないのが原因で上手く攻め込めていない。
寧ろ真っ向勝負を挑みたいイオンをヒッポケンタウロスが上手くその戦闘をさせていない感じだ。突撃してきてもいなしている。それでもイオンは槍での戦闘を続ける。これもまた勉強だ。イオンには頑張って貰いたい。
戦闘を続けているとイオンも槍のガードから反撃する手段を覚えて来る。これはヒッポケンタウロスと戦闘させたのは正解だったかな。どんどんイオンの槍の使い方が上手くなっている。そしてヒッポケンタウロスも既に自分が槍を使った戦闘の勉強に使われている事を理解しているな。
だからこそ強引に攻めに出て来た。ヒッポケンタウロスの槍の武技である三連星をイオン下がって回避すると逆に懐に潜り込む。
「海竜一突!」
槍に宿った海竜の一突きがヒッポケンタウロスの心臓を捉えると爆氷の効果で爆発する。これを受けたヒッポケンタウロスは後ろに下がることで槍を抜く。そして逆鱗を発動させると魚人技のマーマンダイブを使って来た。人魚技のマーメイドダイブと同じ系統の技だ。
「水圧切断。やぁあああ!」
イオンはエウロペトライデントに水圧の刃を作り出すと突撃し、マーマンダイブしてきたヒッポケンタウロスの下を通ると水圧の刃がヒッポケンタウロスの体を真っ二つにした。そして爆氷の効果で爆発するとこれを起死回生で耐えた。そして反撃しようとしたところに部位竜化したイオンの巨大なドラゴンの尻尾の一撃でぶっ飛ばされて、倒れ込んだ。
『特殊クエスト『射手座の試練』の二階をクリアしました』
「時間を使っちゃいました」
「槍を使った戦闘の勉強の時間だったんだから大丈夫だよ。最後の決め手はまだ剣よりだったけどな」
「意地悪言わないでくださいよ。勝てばいいんです」
そこは確かにそうだな。それに槍の戦闘でもイオンらしさは必要だ。そう言う意味では最後のやり取りはイオンらしさが出ていたと思う。解体結果はこちら。
ケンタウロスの魚馬肉:レア度8 食材 品質A-
ヒッポケンタウロスの下半身から取れるお肉。刺身で食べることが出来、通常の馬刺しに魚の味が加わった不思議な味が極一部の人に人気があると言われている。また食べると賢くなるという話もあるが好き好んで食べる人は本当に少ない食材。
馬刺しと魚の刺身の美味しさを知って入るが食べません。気にはなっているけど、絶対に食べてやらないもんね。
「イオン?」
「食べるか聞いてきたら、怒りますからね? タクトさん。後、悪戯で使うのは禁止します。すぐに売ってください」
「はーい」
先手を打たれた。まぁ、流石に自分の妻にこんな謎肉を食べさせることなんてしないけどね。ただ悪戯されたら、やり返さないといけない。そういう意味では非常に優秀な食材なのかもしれない。
「こっそり持っておこうとか考えてませんよね? タクトさん」
イオンが笑顔が怖いです。これは売るしかなさそうだ。さて、次から難易度が格段に上がって来る。気を引きしめて挑むとしよう。




