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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ドラゴニックマウンテン
1486/1718

#1390 疾翔龍王ケレリタスドラゴン戦、前編

俺たちが頂上に到達すると天から声が聞こえて来た。


『よく我々の山の頂に到達しました。龍王としてあなたたちの激闘を称え、私への挑戦権を与えましょう』


暗雲から巨大竜巻が発生すると天からエメラルドのドラゴンが降臨し、巨大竜巻が消し飛ぶと暗雲も晴れて青空が姿を見せた。改めて識別しよう。


疾翔龍王ケレリタスドラゴン?

? ? ?


まぁ、見えないよね。ケレリタスドラゴンが言う。


『我が名は疾翔龍王ケレリタスドラゴン! 六体しか存在しない龍王の一角にして風と雷を司りしドラゴン! さぁ、我が眷属とドラゴニュートに愛された稀代の英雄、その仲間たちよ! 時は来ました。思う存分全力で殺し合うといたしましょう』


滅茶苦茶テンション上がっているな。冷静そうだったのに随分と言葉に熱が籠っている。するとその訳を教えてくれた。


『この試練に挑む者は中々いませんからね。最近だとここに到達出来たのはシルフィ・フリーティアくらいです』


「あれ? 獣魔ギルドのカインさんなどは到達出来ていないんですか?」


『はい。あなたたちは違いましたがドラゴンとドラゴニュートの混成部隊に対処出来ずにリタイアしていましたね』


ドラゴニュートが敵対していたのか…それはきつすぎるわ。ドラゴンだけでも結構きつかったからな。それに対処できたシルフィは流石の強さと言わざるを得ない。ドラゴニュートがどれだけ強いかは知らないけどね。


とにかく久々に全力で戦う機会が来たからテンションが上がっていることが分かった。ここで俺はアリナと二人だけ前に出る。


『お二人で挑むつもりですか?』


「はい。本気で挑ませて貰います。アリナ」


「うん。疾翔龍王様、これがアリナとお兄様の全力なの!」


「「マリッジバースト!」」


俺たちのマリッジバーストが発動する。そして俺たちは速攻で切り札を使う。


「『竜化』」


俺たちに光の柱が発生するとアリナとの竜化した姿で降臨する。そして両手にはインフィニットエクスカリバーと神剣天羽々斬を装備する。


『いきなり切り札を使って来ますか…しかしよろしいのですか? もう後がありませんよ?』


『俺たちの普通が通用する相手ではないですよね? ここに来るまで戦ったドラゴンたちのスピードでギリギリだった俺たちがあなたに勝てるはずがない。それなら最初から切り札を使ったほうがまだ勝機があると判断しました』


『流石これまで魔神や神と戦って来ただけはありますね。過小評価せず最初から全力で挑んで来るところは評価しないといけません。では、始めましょうか。我々風と雷のドラゴンの戦いを』


俺たちが構えを取る。まず俺たちの速度がどこまで通用するか見ない事には始まらない。


『神速なの!』


「は!」


俺たちが距離を詰めて斬撃を放つと目の前からケレリタスドラゴンが消えると心眼を発動するよりも早く横から爪が迫り、俺たちはぶっ飛ばされる。攻撃は読めていた。攻撃した側の剣の方向か背後から攻撃してくるのは普通だからだ。それでも対処が全く出来ない程にケレリタスドラゴンの移動速度と攻撃速度が速かった。


『ドラゴンウイング』


『時空断層なの』


ケレリタスドラゴンはそういうと翼が輝くと俺たちを滅多打ちする。俺たちは防御スキルで耐えるが速いなんてもんじゃない。完全に目で追えていない。光速激突や雷化なら光や雷を目視することでぎりなんとかなっていたが今回のはダメだ。単純なスピードで目が追えていない。


しかもただ速いだけじゃない。俺たちにドラゴンウイングを使うと同時に今まで味わったことがない空振が俺たちを襲っている。そして最初の爪もドラゴンウイングも威力が普通にある。というかたぶんパワーでも俺たちは負けている。


これが風と雷のドラゴンの王に君臨している六体しかいない龍王の一角の強さかよ。俺たちはとにかく防御スキルを使いながら飛び回る。こちらも飛ばないとただでさえ致命的な速度差が超加速の効果でどんどん差が広がって行ってしまう。


『どうするの? お兄様』


『現状俺たちの優位性は武器しかない。なんとか捕まえて、一気に畳みかけるしか勝機が無いというのが本音だ。筋力はあっても流石に防御力は低いだろうからな』


『それが出来たら、苦労していないの』


『そうだな…とにかくやれるだけのことはしてみよう。アリナ、超低周波を頼む』


俺たちのドラゴンから超低周波が放たれる。


『ドラゴンウィング。む!?』


俺は初めてケレリタスドラゴンの攻撃をインフィニットエクスカリバーで受け止めると神剣天羽々斬で斬りかかるがこれは逃げられる。距離を取るのも早いし、多乱刃などの飛ぶ斬撃はケレリタスドラゴンの神鎌鼬で防がれてしまった。


『惜しいの! でも今のって…』


『あぁ…迷彩スキルで姿を消していたな…道理で目で追えないわけだよ』


体が大きいし、特徴的なエメラルドの体を完全に視認できないのは可笑しいとは思っていたが、風景と同化していたなら視認は出来ないだろう。そしてケレリタスドラゴンも俺たちが仕掛けたことに気が付いた。


『音である程度、私がいる方向を把握し、戦闘の勘で攻撃を予測。カウンターを狙って来ましたか。しかも透過スキルを私が使っていたら、致命傷を受けていましたね。あの刹那の瞬間に私に二択を迫らせるとは流石です』


透過スキルで俺のガードをすり抜けて攻撃していたら、俺は攻撃を受けながら神剣天羽々斬でカウンターを決めていた。逆に言うとこれを狙っていたから攻撃が僅かに遅れたんだけどね。これは俺の読み負け。あの瞬間なら透過スキルで攻撃を当てて来ると思っていた。


そしてケレリタスドラゴンは迷彩スキルで姿を再び消して来た。


『お兄様!』


『次は手数でいくぞ! アリナ! 風は任せた!』


『はいなの!』


「はぁあああああ!」


俺は回りながら手あたり次第にインフィニットエクスカリバーと神剣天羽々斬を振るう。その結果、周囲に多乱刃の斬撃がばら撒かれた。そして俺がカバーできない上と下はアリナが翼を羽ばたかせて神鎌鼬を放ってくれる。


こうして全方位に斬撃をばら撒くとケレリタスドラゴンは対処に回った。神鎌鼬ならケレリタスドラゴンのほうが威力は上だが、武器から放たれる斬撃は流石に俺たちのほうが威力は上だ。しかし神鎌鼬は自分のほうが有利だと知っているケレリタスドラゴンは俺たちの上に回り込んで攻撃に対処しながらドラゴンブレスを放ってきた。


これを回避するとドラゴンブレスが山頂に直撃して大爆発が発生した。全てのスキルの威力が段違いだ。明らかにスキルのレベル差が影響している。このクエスト、絶対にもっとレベルが上がって挑むクエストだろ。


しかし文句を言っても始まらない。ドラゴンブレスを回避した俺たちは剣での斬撃を上にまき散らすとこれをケレリタスドラゴンは回避して、俺たちの死角に回ろうとしたが俺たちは身体を回転しながら飛び回り、斬撃を放ちまくる。


体の大きさだけはドラゴンたちはどうしようもないところだ。それを最小限の攻撃で対処しているケレリタスドラゴンは戦いをよく理解している。俺たちがしている攻撃は正直体力をかなり消費している。それだけ剣をずっと振り回すのはきついことなのだ。わからない人は剣道部がやっている素振り百回をやってみるといい。どれだけきついことをやっているか知ることになるはずだ。


そして俺は剣を振るのを止めると神鎌鼬と波動技をそれぞれの剣から放つ。これは当然回避されるとここでケレリタスドラゴンはお返しにドラゴンブレスを放ってきた。これを回避し、お互いに拡散光線の荷電光線を放つと互角で終わる。


俺たちが接近戦を挑むとケレリタスドラゴンは麻痺毒スキルを乗せた羽投擲で攻撃してきた。これを暴風壁で俺たちはガードする。このやり取りで俺たちはあることに確信した。


『お兄様…これって…』


『あぁ…テンションがあがっているとか言っていたけど、とんでもない。滅茶苦茶冷静にかつ確実に俺たちを殺しに来ているな』


俺たちが剣での攻撃を止めた瞬間にケレリタスドラゴンなら一気に攻めれたはずだ。そして俺たちの二回目の突撃に対しても距離を取ることを優先した。このことからケレリタスドラゴンはもう危険を犯す接近戦を挑むつもりはないことがはっきりわかった。


俺たちの竜化は時間制限があるし、マリッジバーストも時間制限がある。魔力にも限界があるし、このままの戦闘が続けば負けるのは確実に俺たちだ。それを理解した上でケレリタスドラゴンは冷静に戦闘を続けている。この冷静さも一つの強さだ。正直俺にとってはかなり苦手なタイプと言っていい。しかしケレリタスドラゴンも最初は接近戦を挑んでいたし、最初の気持ちの高ぶりは本物だった。まだ付け入る隙はあると思う。


『武器の力を解放して雷化すれば接近戦出来ると思うか?』


『思えないの…たぶん雷化の速度よりケレリタスドラゴンのほうが速いから』


『逃げ回れて終わりか』


『たぶんそうなるの』


試しに黒雷を使うと電磁場で黒雷が消させた。完全にこちらの雷化を誘っているな。電磁場で対応してくれるなら電磁場外からの必殺技が撃てるがそもそもそんな戦闘して来ないと予想する。


『空間転移!』


「は!」


『ふふ。ドラゴンテイル』


俺たちの奇襲はあっさり回避されるとカウンターでドラゴンテイルでぶっ飛ばされる。


『ドラゴンテイルなの!』


『当たりませんよ。羽投擲、超電磁。お()きなさい』


レーンガンとなった羽が俺たちを貫く。この瞬間に麻痺の状態異常になるとドラゴンブレスが直撃した。そして荷電球が放たれると俺たちは回避し、雷轟が降り注いで来たので、電磁場でガードした。


ケレリタスドラゴンほどの力があるドラゴンだったら、荷電球を使わずに接近戦をしていたら、俺たちをボコボコに出来ていた。しかしそれには命の危険があるから遠距離攻撃を選んだ感じだ。


『まずいの…お兄様』


『これでケレリタスドラゴンに接近戦を挑むチャンスがあるとするなら光化しかないな』


光化なら一応接近戦を挑めるだけの速度はある。ただ俺たちが光化を読んでいるようにケレリタスドラゴンも動きを読んで来るだろう。そこで隙だらけの俺たち相手に接近戦になるか光化から距離を取る選択をしてくるかが問題だ。


後はこちらが用意した切り札で隙を突けるかどうかと俺たちがまだ展開していない武器たちでどうにかすることが出来るかだな。


とにかく最初に切り札である竜化を使った以上、最低でも一回はケレリタスドラゴンを倒していないとお話にならない。俺たちが飛び回りながらお互いに牽制し合っていると俺たちは武器たちを周囲に展開すると神剣天羽々斬の力を全解放する。


『勝負に来ますか。さて、あなたたちの攻撃は私に届くでしょうか?』


『天変地異なの!』


天候か悪化すると巨大な(ひょう)と竜巻、雷が降り注いでケレリタスドラゴンに迫る。それをケレリタスドラゴンは冷静に観察する。


『ふむ…力比べが望みのようですが展開した武器たちの強化で勝てるとも思っていないはず…何か企んで接近戦を挑んで来るつもりでしょうが…ここは乗ってあげましょうか。真の天変地異を見せて上げましょう!』


俺たちの天変地異を遥かに超える天変地異が発動する。俺たちよりも巨大な竜巻が周囲に五つも出現し、雷の大きさもサンダーボルトを超えている上に数が段違いだ。雹の大きさも俺たちはサッカーボールほどだがケレリタスドラゴンは大岩サイズである。


この結果、俺たちの天変地異はあっさり負けてしまう。ここでこんなにもレベルの差を見せつけて来るとはね。ありがたい。風と雷の龍王として天変地異だけは譲れないものがあったのかも知れないな。後は装備を信じるのみだ。


『行くぞ! アリナ!』


『うん! ドラゴンウィングなの!』


俺たちは巨大竜巻に飛び込む。


『最初の試練を思い出すの』


『奇遇だな。俺も同じことを思ってたよ』


『あの時はお兄様に頼りっぱなしだったの…でも今は違うの』


『あぁ…頼りにしているぞ。アリナ』


『アリナにお任せなの。アリナとお兄様の竜化が最強であることをここで証明して見せるの』


アリナがそういった瞬間に何故か脳裏で怒りマークを受けたリリーたちの姿が浮かんだ。気のせいだと思いたい。流石にここから聞こえるはずないしな。


俺たちは巨大竜巻を無傷で突破するとそのまま雹も雷、風も無効化してケレリタスドラゴンに迫る。


『環境無効ですか!』


俺たちが装備したのはヴェズルフェルニルアリエスシューズ。この日のために和狐たちに依頼して作って貰っていた切り札だ。ヴェズルフェルニルアリエスシューズの環境無効はどんな悪天候でも無効化する。それが例え天変地異でも例外じゃない。


『脱出!』


『光化なの!』


「天空雷覇斬!」


『時空断層! …見事です』


天変地異の発動中だったが故にケレリタスドラゴンは脱出スキルでの回避しか逃げる手段がなかった。そして俺たちは光化で逃げた先に先回りしてケレリタスドラゴンの上を取った。


そして俺たちの天空雷覇斬は上から放たれ、時空断層をぶち抜くとケレリタスドラゴンに直撃する。神剣天羽々斬は竜殺しがある。この一撃は致命傷だ。


『武装創造! 神剣天羽々斬! 空間歪曲! 武装射出なの!』


アリナがハピネスタクトの効果で神剣天羽々斬を増やすとそれを空間歪曲に向けて発射すると技が直撃して落下しているケレリタスドラゴンの背後から神剣天羽々斬が現れて突き刺さるとケレリタスドラゴンは山頂に落下して大爆発する。


『空間転移なの!』


『グランドサザンクロス!』


空間転移で一瞬で距離を詰めるとグランドサザンクロスを叩き込んでケレリタスドラゴンを足で踏みつけ、逃げ場を奪うと俺たちの体が発光する。


『水爆、星核。超集束!』


『ドラゴンノヴァなの!』


『こいつで決まりだ!』


最後はドラゴンノヴァとレヴィアタングリモワールの水爆と俺の星核を超集束で融合させた攻撃を叩き込んでなんとか倒しきった。本当にワンチャンス。切り札を注ぎ込んでの一点集中攻撃。これが成功していなかったら、俺たちの負けは確定していた。なんてギリギリの勝負だよ。


俺たちが竜化状態から戻るとケレリタスドラゴンも奇跡の効果で蘇生する。さて、取り敢えず竜化を使用しての第一関門は突破出来た。ここからが本当の勝負だ。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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