#1388 雷の騎士竜
イクスと蒼穹がジルニトラと激突している頃、俺とヒクスも雷騎士竜サンダーボルトドラグーンとの戦闘が始まった。
「行くぜ。ヒクス! 超連携!」
「ピィ!」
『真っ向勝負とは舐められたものだ。インパクトカウンター!』
俺とヒクスの超連携は盾で止められるとサンダーボルトドラグーンの体中に稲妻が発生する。本来ならスサノオの加護や超充電の効果でなんとも思わない攻撃だが、危険を察知した俺はヒクスに足で指示を送るとヒクスは脱出スキルでサンダーボルトドラグーンの紫電を回避する。
『荷電ブレス!』
「ピィ! ピィーーー!」
「飛梅!」
荷電粒子砲のようなブレスをヒクスが羽ばたいて回避するとヒクスが旋風刃、俺が飛梅で斬撃を飛ばすがこれは盾でガードされた。遠慮なく雷スキルを使って来るところから見て、一つ確信した。やはりこのレベルのドラゴンになって来ると当然加護無効とかは持っているよな。
『雷轟!』
「超充電!」
『ぬるい! 電磁支配!』
サンダーボルトドラグーンの雷轟を一応試しに超充電させて貰おうとしたが電磁支配で超充電がキャンセルされた。電磁支配にはこんな使い方もあったのか。考えてみると充電された電気を消すことも充電されそうになった雷を操ることも電磁支配なら可能だろう。
もちろんこれは電磁支配での有利性に左右されるものだ。つまりサンダーボルトドラグーンはそれだけ電磁支配に自信があるということを意味している。それにしてもまだまだスキルの使い道で知らないことが一杯あるものだ。この知識も俺たちの強さに繋がっていくことだろう。
「ヒクス。悪いけど、俺の実験に付き合ってくれるか?」
「ピィ!」
「ありがとな。行くぞ! ヒクス! 突撃からの烈日だ! 電磁場!」
「ピィ!」
ヒクスが光速激突で飛び込むと同時に俺は電磁場を展開する。これを見たサンダーボルトドラグーンも電磁場を展開して、二つの電磁場が激突した。
『愚かな。電磁場のせめぎ合いで勝てると思うな! 電磁支配!』
「そう言われると試したくなるもんでね! 電磁支配!」
俺とサンダーボルトドラグーンの電磁支配がせめぎ合うと俺のほうが電磁場が弱まることで負けていることがわかった。それでも粘れるだけ俺の電磁支配も相当強力な物だと理解出来た。そして時間を掛けれたら、ヒクスの烈日が炸裂することになる。
『バスターカリバー!』
サンダーボルトドラグーンはここで剣を使って来た。その剣を俺は受け止める。流石にこれにはサンダーボルトドラグーンも驚愕するが風のドラゴンの共通の弱点は筋力の無さだ。もちろんレベルが高いし、サンダーボルトドラグーンも騎士の姿であることから筋力にはそこそこの自信があったんだろうが俺のほうが筋力では上らしい。
そしてこの結果、ヒクスの烈日が炸裂する。それに合わせて、俺はサンダーボルトドラグーンの剣を上に弾いてヒクスが突撃するとサンダーボルトドラグーンは盾を構える。するとヒクスは盾の横をギリギリで通り抜けると俺と一緒に溶断で灼熱の翼となった翼で俺と共に華麗な胴を決めた。
盾に突撃してばかりのヒクスじゃない。本来なら機動力で勝負するのがヒクスの強みだ。ただダメージはあまり効いていない。というのも鎧が硬かった。俺は片手での攻撃だったがありったけの力を込めた。それで鎧には切り傷のみ。鎧も武器も一級品だな。
『やってくれる…それにしても勝負所で一気呵成に攻めて来るものだな。挑戦を恐れぬ勝機を逃さない戦闘眼、心に仲間との絆も見事。これは認めねばなるまい。お前たちは強い。俺も本気を出させて貰うぞ』
ここまで動きなかったサンダーボルトドラグーンが遂に動き出した。雷光で一瞬で俺たちの前に現れると雷光刃を発生させた剣で斬りかかって来る。俺も雷光刃で対抗すると激しい斬撃の応酬になる。
しかし剣戟の応酬では俺に分があった。だが盾で上手く防がれて、その後から尻尾の先が三叉槍になっている攻撃が来た。ご丁寧に電子分解まで使って来ている。それを避けると今度は口からドラゴンブレスが飛んでく来た。
ヒクスが回避して、お返しのゴッドブレスを放つがこれは盾でガードされる。すると盾の中央にあるドラゴンの口が開いた。
『ドラゴンブレス』
「星波動! ヒクス!」
「ピィ!」
俺は盾から放たれたドラゴンブレスに星波動をぶつけて、時間を稼ぐとヒクスが回避に成功する。まぁ、普通の盾じゃないよな。そう思っていると俺たちの逃げた先にサンダーボルトドラグーンが現れた。
『電磁場! 雷轟』
俺たちは電磁場に囚われて、雷轟で逃げ道を防がれた。そしてサンダーボルトドラグーンが紫色に発光する。ドラゴンノヴァだ。
「ヒクス!」
「ピィ!」
俺たちも太陽の力を放つ。こうなったら、相打ち覚悟だ。
『ドラゴンノヴァ!』
「烈日!」
「ピィーーー!」
お互いに吹っ飛ぶと俺たちは雷轟の雷も受けた。やはりスサノオの加護は無効にされているよな。
「神鎌鼬! 多乱刃! ヒクス! 超連携!」
「ピィ!」
『効かん! 来るがいい! ぐ!?』
俺の斬撃は鎧と盾で止められる。そして俺とヒクスの超連携がサンダーボルトドラグーンの盾にぶつかる瞬間にヒクスは空間転移でサンダーボルトドラグーンの背後に回り、超連携が炸裂する。
『ドラゴンテイル!』
「ピィ!」
『雷光刃! ぬ!?』
ヒクスはドラゴンテイルを回避すると超連携が解除されたことでサンダーボルトドラグーンは雷光刃で振り向きざまに斬撃を放つ。ヒクスはそれを回避するがそこでサンダーボルトドラグーンはヒクスの背中に俺の姿が無い事に気が付いた。
俺はドラゴンテイルを放たれた瞬間にヒクスから離れて、真上に逃げていた。そして旭光近衛を両手で持ち、上段の構えを取るとありったけのスキルを付与する。
「叩き斬れ! 旭光近衛!」
『電磁場! 黄金障壁! 堅固! 竜鱗装甲!』
かなり粘られたが俺の袈裟斬りが決まる。だがやはりダメージは少なかった鎧が相当邪魔だな。こうしてみると鎧の重要性を改めて実感するよ。だが今回の攻撃で鎧にもかなりのダメージを与えた。その代わりに俺はサンダーボルトドラグーンに蹴飛ばされたがヒクスが俺を迎えに来てくれて手綱を掴んで再び騎乗する。
そして俺たちにサンダーボルトドラグーンの紫電、火山雷、黒雷、氷雷が降り注ぎ、その全てが電磁支配で俺たちを追って来る。相当お怒りなようだ。しかしヒクスは空間転移を駆使して、攻撃を躱しつつ、サンダーボルトドラグーンに溶ブレスや羽投擲、旋風刃、荷電光線、放射熱線、極光で攻撃する。これらの攻撃は流石に盾で防がれる。
ここで盾から荷電光線の拡散光線が放たれ、空から雷雨が降って来る。流石にこれは回避しきれず雷雨を俺たちが受けるとここでサンダーボルトドラグーンは雷化を使用としてドラゴンダイブで突っ込んで来た。
これに対してこちらも雷化を使うしかなく、ドラゴンダイブを回避した後、激しい斬撃の応酬になる。お互いに魔力切断や電子分解がある斬撃だ。雷化の状態で斬撃を受けるのは避けないといけないし、逆に言うと勝負を決めるチャンスでもある。
「『覇撃!』」
そんな極限状態の斬撃の応酬はお互いに斬撃が決まらずに終わる。しかし雷化が切れたタイミングを両者共に狙っていた。
「大気震!」
「く…雲海! 大雷轟!」
「ぐぁあああ!?」
「ピィ――ー!?」
俺が大気震でサンダーボルトドラグーンをぶっ飛ばすと俺たちの周囲が雲に包まれ、そこに大雷轟が降り注いだことで俺たちは雲の中で感電する。
「ヒクス! 暴風壁で浮き飛ばせ!」
「ピィ!」
『超覚醒! ぬぅううう!』
「ヒクス! 神威解放だ!」
「ピィ―!」
俺たちが雲を吹き飛ばしている隙にサンダーボルトドラグーンが超覚醒を使用したので、こちらも切り札を切った。超覚醒したサンダーボルトドラグーンはスリムなボディが筋肉で膨張し、身体中から稲妻の形をした角が生えた。
『よくぞ! ぬぅん! 超電磁! 電子分解! 自動攻撃! 荷電光線!』
サンダーボルトドラグーンの身体中に生えた角が分離するとレールガンとなって、飛んできた。ただの突き攻撃ならいいが荷電光線まで撃ってくる。これじゃあイクスのフライヤーの万能バージョンだ。
ヒクスも必死に回避するが神威解放で体が大きくなったことで回避がしきれていない。被弾しながら吹き飛ばしているがそれでなんとかなる状況じゃない。何せサンダーボルトドラグーンもフリーで攻撃してこれる。ここはもうヒクスを信じて決断するしかない。
「ヒクス! 真っ向勝負を挑むぞ! 超連携!」
「ピィ―!」
『キャッスルランパード! ふん』
俺たちが超連携で突撃すると盾でガードされる。そして動きが止められたことで角が俺たちを狙って来る。
「チィッ! 神鎌鼬! はぁあああ!」
「ピィ!?」
『電弧放電』
俺は上から飛来する角は全て弾いたが下や横から飛来した角は対処出来ない。ヒクスを貫いた角は電弧放電でヒクスにダメージを与える。するとヒクスは距離を取ると光球を作り出す。それに俺が合わせる。
「ピィ!」
『荷電球!』
「星核!」
『ふん!』
光球と荷電球の激突は互角で終わるが続く星核は対処出来ないと思っていたがまたしても盾で止められた。
「ヒクス! もう一度、超連携だ!」
「ピィ!」
『無駄だ! キャッスルランパード! 終わりだ。む!?』
俺とヒクスが激突すると盾にひびが入る。やっと来たぜ。この瞬間を待っていた。
『ぬぅうう! ドラゴンブレス!』
盾からのドラゴンブレスがヒクスに直撃して吹っ飛ばされて、爆発するがヒクスは耐えた。盾が壊れそうになったことで攻撃を順番を間違えたな。あそこは角からの攻撃、電弧放電を使ってからでもドラゴンブレスは当てられる。
「ピィ!」
「ヒクス! ここで決めるぞ!」
「ピィーーー!」
ヒクスが逆鱗を発動させて、俺との超連携が発動する。ヒクスに角が飛来するが超連携で発生した竜巻が全て弾き飛ばして、サンダーボルトドラグーンに迫る。ここでなんとサンダーボルトドラグーンは剣を背中に背負った。
『ドラゴンフォース! 逆鱗! オォオオオ!』
サンダーボルトドラグーンが盾で受け止めると盾が限界を迎えて砕け散る。それが分かっていたサンダーボルトドラグーンは両手を広げてドラゴンクローを発動させると俺たちの超連携を潰すように攻撃して来た。
ドラゴンクローと鎧から火花が散っていると鎧までひびが入る音がした。これを聞いたサンダーボルトドラグーンは横に体をずらし、俺たちを片手で投げるように超連携から逃れた。この瞬間にドラゴンクローがヒクスに入った。するとここで剣をまた手に取る。
『雷竜解放! 我が奥義、受けてみるがいい!』
「行くぞ! ヒクス! これで決める! 超連携!」
「ピィイイイーーー!」
『オォオオオーーー!』
荷電粒子のドラゴンと俺とヒクスの超連携が空で激突する。俺たちが荷電粒子で焼かれる中、突き進み、サンダーボルトドラグーンの剣に超連携が到達すると竜巻を発生させながら激しく回転するヒクスと荷電爪がぶつかり、火花が散ると剣が弾かれた。
そして鎧に激突し、鎧も破壊する。そのままサンダーボルトドラグーンに超連携が決まるが電弧放電と至近距離からのドラゴンブレスで対抗される。
勝負の結果はサンダーボルトドラグーンの腹をヒクスは大きな穴を空けるがここでヒクスが爆発する。ドラゴンブレスが通っていた。
『ぬぐ…まだだ! 雷光! オォオオ!』
「霹靂閃電」
サンダーボルトドラグーンに霹靂閃電が炸裂する。ヒクスとの騎乗戦闘に徹したことで俺の剣術を甘く見たな。
「決めろ。ヒクス」
「ピィ! ピィ―――!」
『見事』
最後はヒクスのゴッドブレスが炸裂するとサンダーボルトドラグーンは力尽きた。それを見届けたヒクスは元に戻る。
「ピィ~~~…」
「あぁ…疲れたな。お疲れ様。ヒクス」
「ピィ!」
激闘に勝利したことが嬉しいらしい。切り札を使ってもなおギリギリの勝負だったからな。勝利の味もまた格別な物だ。こうして俺たちの勝負も終わった。




