#1376 牡羊座の試練②
次の部屋は先程とほぼ変更が無かった。違いがあるとするなら地面の雲が金色になっているところだ。そして金色の雲からぴょこっと顔を出したのはこいつだ。
アリエス・ネペレーLv75
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
まぁ、出て来るよね。このクエストで確実にアリエス・ネペレーを識別することができるからこのクエストはレベル上げの観点からかなり重要なクエストとなっている。正直ここまで到達して、識別出来たら勝ちと言われているほどだ。
俺は突破するけどね。識別はしたかったけど、試練をクリアすることが目的だから。そんなわけで相手に選んだのはレベル上げが必要でアリエス・ネペレーを捉えることが可能と判断した和狐だ。
和狐が白蔵主の錫杖を構えて、パイアビブリオ、ディヴァインタクトを展開するとアリエス・ネペレーも戦闘態勢なる。
「メェ―!」
「ん!」
「メェ――!」
「猛爆!」
先手を取ったのはアリエス・ネペレーで光速激突で突撃してくると和狐は白蔵主の錫杖で受ける。しかしアリエス・ネペレーは想定しており、電弧放電を使うと同時に和狐も猛爆を使用して、相打ちとなる。
『『『『『ウルトラバイオレットレイ』』』』』
『『『『『ウルトラバイオレットレイ』』』』』
お互いに距離が開くとパイアビブリオ、ディヴァインタクトからウルトラバイオレットレイが放たれ、アリエス・ネペレーは回避すると雷轟で応戦してきた。これを和狐も負けじと回避し、お互いに光線を撃ち合い、アリエス・ネペレーは雷、和狐は炎スキルで応戦している。
これでは正直勝負はつかない。お互いに操作系スキルも使用して変化を受けているけどね。決定打にはならない。特に和狐に求めてられているのが脱出スキルを持つアリエス・ネペレーをどうやって捉えるかだ。
これを達成できれば和狐は一瞬で勝負を決めることができる。ここで和狐が動き出す。
「飯綱! 爆発の護符!」
和狐は飯綱を出すと飯綱はアリエス・ネペレーを追尾している間に爆発の護符を取り出すと念動力で操って、護符を飛ばす。アリエス・ネペレーは非常にうざそうだ。そして更に追い打ちを仕掛ける。
「千本鳥居!」
空から無数の鳥居が落ちて来る。これを回避するが流石に千本鳥居、護符、飯綱の全てを回避するのは無理だ。寧ろこれを実行している和狐の集中力が凄い。ただ命中してもアリエス・ネペレーには脱出スキルがある。鳥居を喰らってもすぐに抜けられてしまうのだ。
それでも確実にダメージを与えて、追い詰めていく。ここでアリエス・ネペレーも勝負を仕掛けて来た。雷霆を作り出すと和狐に向かって突撃し、ゼロ距離からの雷霆をお見舞いして来た。
「ハーミットテイル!」
「メ!? メェエエーーー!」
「この程度の電撃ではうちはた倒せまへん! はぁ! 神岩結界!」
和狐はアリエス・ネペレーを尻尾で拘束すると電弧放電を受けるがそのまま地面に叩きつけて、神岩結界を発動する。これで神の加護が消えた。すると飯綱と爆発の護符がアリエス・ネペレーに決まる。
「ルーンスキル! これで脱出スキルも奇跡も神格解放を封じました…終わりどす。炎分身!」
「「「「狐稲爆!」」」」
「メーーー!?」
最後は炎分身で増えた和狐たちによる狐稲爆が降り注いで守り切れずにアリエス・ネペレーは力尽きた。
『特殊クエスト『牡羊座の試練』の四つ目の部屋をクリアしました』
『和狐の炎魔法のレベルが40に到達しました。炎魔法【コロナホール】を取得しました』
『和狐の炎魔法のレベルが上限に到達しました』
『和狐の連続詠唱のレベルが50に到達しました。連続詠唱の最大数が1増加しました』
『和狐の連続詠唱のレベルが上限に到達しました』
『和狐の同時詠唱のレベルが50に到達しました。同時詠唱の最大数が1増加しました』
『和狐の同時詠唱のレベルが上限に到達しました』
流石に50レベルには到達しないか。それでも二レベルアップは凄い経験値なんだけどね。まぁ、今回に限ってはロコモコで情報の全てを獲得していたから和狐も攻略法を決めて、確実に追い詰めた和狐が偉かった。
「髪の毛、ボサボサになっちゃったから後でブラッシングしてあげるな」
「え! …はい」
もじもじと照れていて可愛い。解体するとゴールデンフリースをゲット出来た。進化素材はない。俺としてはゴールデンフリースを手に入れたほうが嬉しい。それじゃあ、最後の試練だ。次の部屋に行くとそこは草原の部屋だ。そこには羊の角を持つ青年。
ドゥムジLv80
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ドゥムジはシュメールの牧羊の神。前の部屋で登場したタンムーズの源になった神で恐らくこの設定から第三の部屋にエゼキエルとタンムーズが選ばれたんだと考えられている。そして源になった神だから当然タンムーズより強いので、最後の部屋に配置されているという形だ。
ドゥムジの話としては一番有名なのがイシュタルとの恋愛がある。概要を話すと最初はドゥムジとエンキムドゥという神がイシュタルとどちらが結婚するかという話から始まり、イシュタルはドゥムジを嫌ったがエンキムドゥが辞退したため、ドゥムジと結婚することになる。
その後ドゥムジはイシュタルが冥界下りで死にそうになった時、ドゥムジが身代わりになることでイシュタルは助かり、ドゥムジが死ぬことになるのだが、イシュタルが彼を蘇らせる話となっている。
神話からもかなり優しく穏やかなイメージだが、強さは本物だ。気を引き締めて、挑むとしよう。そんなわけで選んだ相手は恋火だ。
恋火が恋輪と恋白を構えるとドゥムジの周囲に四つの石板の魔導書が展開する。そして戦闘が始まった。
「閃影!」
最初に仕掛けたのは恋火だ。この攻撃は石板の絶対防御で止められる。
「群羊!」
「「「「「メーーーーー!」」」」」
「ふぇえええええ!?」
恋火が羊の群れに襲われる。ここで恋火が猛爆で羊たちを吹き飛ばす。しかし猛爆が石板に吸収される。そして恋火が猛爆に襲われる。
「猛爆を吸収して、跳ね返すわけですか…っ!?」
「石壁! 自然波動!」
恋火に次々石板が飛んで来る。これを恋火は次々切断すると自然波動が放たれる。これを恋火は前に跳躍するとそのままドゥムジに襲い掛かる。
「使役!」
恋火の斬撃がドゥムジから現れた死神に止められる。これがイシュタルを助けるためにドゥムジが身代わりとなることで引き受けた死神か。その死神の眼が赤くなると恋火は離れ、目を閉じる。即死の魔眼だ。
そして死神は目を閉じている恋火に襲い掛かるが恋火は気配と空気の音で攻撃を把握して躱していると攻撃を受け止めると手を弾く。完全に力量を図ったな。
「ゴッドブレス!」
「ギャアアアアアーーー!? アァアアアーーー!」
「っ!? 仙郷移動!」
恋火は反撃で放たれた魔神波動を仙郷移動で回避する。
「ゴッドブレスが効いてない? 違う…」
恋火が外に出ると再び死神が襲い掛かって来る。恋火がカウンターで切り裂いても死神にダメージが通っていない。ここで恋火はドゥムジを見て、絡繰りを把握する。
「使役した者のダメージを身代わりで受けているわけですか」
普通は逆なんだけどね。使役で召喚した者のほうが強ければこういう使い方にはなるのだろう。
「流星群!」
「アァアアアーーー!」
ドゥムジから流星群、死神から死滅光線の拡散光線が放たれる。対する恋火は地面を走り回り、回避していく。
「閃影!」
「絶対防御!」
「これで一つ目!」
恋火は石板を破壊する。この石板の防御能力が恋火は邪魔だと判断したわけだ。
「神撃!」
「アァアアア―――!」
神撃と冥ブレスが恋火に使われ、恋火が逃げると再び襲い掛かり、石板を次々破壊していく。そして石板を破壊しきると次は死神の攻撃を弾いた後にドゥムジを狙う。
ドゥムジから神雷と電弧放電を受けながら連続で斬りまくると死神が援護に来る。しかし恋火は死神の攻撃を刀で止めるとハーミットテイルでぶっ飛ばし、更に火炎車で追撃、最後は狐炎之舞で倒しきる。
しかしここで道連れスキルが恋火を襲う。
「禊! あたしにそのスキルは通用しません!」
しかし倒したドゥムジは奇跡で復活する。また最初からのやり直しで今度は脱出スキルまで使い出したがどんどん超加速で早くなる恋火と連続攻撃に脱出スキルで対応出来なくなったところで詰みだ。
『おめでとうございます。牡牛座の試練をクリアしました』
『称号『牡羊座の試練の攻略者』を獲得しました』
『恋火のレベルが50に到達しました。成長が可能です』
称号『牡羊座の試練の攻略者』
効果:オリュンポス山の試練に挑戦できる、物理耐性
牡羊座の試練をクリアした者に贈られる称号。
倒すことは出来たが恋火は息が上がっている。
「二対一はきついですー…ドゥムジは脱出スキルで逃げますし」
「そうだったな…でも恋火は勝てた。ちゃんと攻略法を見つけて、自分の接近戦での強さを信じて戦い抜いた。凄かったぞ」
「えへへへー。そうでしょうか?」
「そうだよ」
最後に解体して終わりだが外れ。本来は神石と死神の専用アイテムが手に入るらしいがそこまで重要じゃないので、俺としては外れでも問題はない。流石に今日の午後はこれで打ち止めだな。ログアウトする前に恋火たちをブラッシングしてあげてから和狐が覚えた禁呪を除いて最強の炎魔法を見る。
「コロナホール!」
広範囲の地面に溶岩のフィールドが作られるとプロミネンスが発生し、その場に立っている者が溶岩の中に引きずり込まれてしまう。その間、ダメージを受け続ける。しかもプロミネンスが魔法発動中ランダムに発生するしようとなっており、飛行での脱出はかなり厳しい。現実的なのは泳ぐ方法でこちらは熱に耐えながらの泳ぎとなる。いずれにしても決まると脱出が困難な魔法だ。
それじゃあ、夕飯のために小休憩を取るとしよう。俺がソファに横になると恋火と和狐が飛びついて来て、それを見たリリーたちが続く。本当に甘えん坊なのは変わらないな。そう思いながら俺はログアウトした。




