#138 イベント情報収集
ベースエリアに50人ぐらいのプレイヤーが集まった。彼らにベースエリアと現状の説明とイベントの情報集めはトリスタンさんに丸投げした。
今回のイベントでベースエリアの説明以外でわかったことは以下の事。
・モンスターにはイベントモンスターと通常モンスターがいる。
・通常モンスターよりイベントモンスターのほうが強い。
・毒食材を食べると即死。
・ベースエリアの近くに通常モンスターと食べられる食材がある。
ざっとこんなところだろう。未確定なのが以下のこと。
・ベースエリアを狙ってくるイベントモンスターはプレイヤーを無視する可能性がある
・イベントモンスターのほうが強い。
・戦功ポイントはイベントモンスターの方が多い可能性がある。
・防衛に成功するたびに戦功ポイント、貢献ポイントを貰える可能性がある。
俺は現在、グレイ、白夜、優牙、ロコモコ、ゴートというモフモフ天国で釣りをしている。リリーたちがいると騒ぎになるので、とりあえず戻すことになった。
お!ヒットきた!魚を釣り上げる。ワカサギだった。
ワカサギ:レア度3 食材アイテム 品質E-
湖などに生息する冷水性の食用魚。小ぶりなものは骨も細くて柔らかく、丸ごと食べられる。
マジで!?ここ、ワカサギ釣れるの!?テンション上がってきた!でも天ぷら、唐揚げに出来ない悲しみ…また一つ目標が出来た。
「タ、タクトさん!」
ん?声をかけられ振り返るとユグたち女性プレイヤーがいた。あー…このパターンは。
『モフモフさせて!』
「今、釣りしてるから後でならいいよ」
「そ、そんな…」
「羊さん、だけでいいから」
「あ、私が狙っていたのに!」
バチバチ。女性の戦争勃発です。仕方無い…変えるか。ロコモコチェンジでサビクを召喚する。
女性達が一斉に距離を取った。やれやれだ。サビクは俺の首に巻き付いてきた。馴れてきたな。
「お前はいつからインド人になったんだ?」
あ、海斗だ。
「噛まれてみるか? 世界最強レベルの毒を味わえるぞ」
「ごめんだ。もうリンゴ食って死に戻ったからな」
あー…海斗だもんな。
「ところで俺、まだお前とフレンド登録してなかったんだな」
「そういえばそうか。これが俺のフレコ」
フレコとはフレンドコードのことらしい。とにかく登録する。
そして海斗のアバター名も判明。アーレイというそうだ。
海斗だから海、船、イージス艦になったわけだな。
「ゲームでは大将か…随分な自信だな」
「は? なんの話だ?」
こいつ…何も知らずに名前つけたな…船の名前は偉人の名前が付けられることが多い。ワシントンが有名だな。
当然アーレイも人物名だ。日本にとっては海上自衛隊の創設に協力した人物として知られている。
俺にはそんな偉人の名前を名乗る勇気はない。
「後でネットで調べてみろ」
「? わ、わかった。それよりなんか攻略に血眼になってる気がしていたがゲーム楽しんでるみたいだな」
「お陰様でな」
「ところで幼女は?」
「自然を装ってるつもりか?」
サビクに海斗の首に移動するようにシンクロで伝える。サビクは海斗の首に移動した。
「ま、待て。冗談だ…話し合えばわかる…」
「罰としてしばらくそのままでいろ」
「ひ、ひでぇ…」
酷くないだろ。騒がしくなってきたから釣りはやめるか。
「お久しぶりです」
おや?彼は確か交流会でヒヨコを仲間にしていた…名前は確か…
「センターさん、お久しぶりです。進化おめでとうございます。ハヤブサカッコいいですね」
「はは、ありがとう。お陰様でなんとか進化出来たよ。でもまだたくさんヒヨコを育てなくちゃいけなくてね…ヒヨコサモナーなんて言われているよ」
彼の頭にはヒヨコが二羽いる。そう呼ばれても仕方無いだろ。俺は幼女だが。
「先程のゴーレムは見事でしたね。餌付けではないんですよね?」
「はい。ゴーレムはリスト召喚です。木を伐採していたら、ウッドゴーレムと戦うことになりまして」
「…強かったですか?」
「はい。めちゃくちゃな相手でした。ダメージはほとんど通用しない上に徐々に回復までしてきて、レギオン召喚で数のダメージで押し切れましたが二度と戦いたくないですね」
「それは…大変ですね。私では勝てる気がしないな」
センターさんのメンバーはハヤブサ、ヒヨコ、ヒヨコ、レッドウルフ、バットだ。空を飛ぶ戦力に片寄っているから確かに少し厳しいかもな。
「バットってどうですか? 仲間にしていないんですよ」
「夜特化で特徴は吸血スキルですね。攻撃と同時にHPを回復出来ます」
ほう。ということは長期戦向きってことか。
「まぁ、コウモリなので防御力無いんですけどね…」
ダメじゃん。まぁ、俊敏値さえあれば…そこまでありそうではなかったな。
「タクトさんの召喚獣を識別させてもらいたいですが、意味ないんですよね…」
「禁止されましたからね。やっぱりホースやゴーレムが原因かな」
「それもあると思いますが、わざわざ国で分けましたからね」
ん?どういうことだ?
「イベントごとにそれぞれの国と関わりを持たせたら、意味がありません。わざわざ他の国に行く必要がなくなりますから」
あー…確かにイベントで他の国の召喚獣を識別出来たら、俺たちが他の国に行く必要がなくなるのか…当然その国独特の装備やアイテムもイベントごとに売買できたら、苦労がなくなるわけだな。
「それでもタクトさんの現在の召喚獣をみたいのですが、ダメでしょうか?」
センターさんにお願いされたら、仕方ないかな。
『幼女を召喚してくれ!』
『羊ちゃんを召喚して!』
「…すみませんが、またの機会ということで」
「ははは…それが良さそうですね」
はぁ〜。困ったもんだ。
「大変そうね」
「笑ってますよ。ルインさん」
人の不幸は蜜の味とはよく言ったもんだ。とりあえずルインさんたちに食材を渡し、ユウナさんたちが料理を作る。
「タクト君はこのあと、どうするつもりかしら? 出来れば防衛のためにここにいて貰いたいんだけど」
「大丈夫ですよ。流石に夜の探索は危険そうですから、ベースエリアの防衛に回ります」
「助かるわ。攻略組の人たちも結構いるみたいだけど、ここに来るのに時間がかかりそうなのよ」
あぁ、ということは強い人はやはりスタート地点から遠くに設定されているのかな?
その後、俺は夕飯のために先にログアウトさせてもらった。