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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
神々の黄昏ラグナロク
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#1360 スコル戦

恋火たちがハティと戦闘を開始している頃、スコルの方でも戦闘が始まると空のあちこちで爆発が発生するド派手なバトルが勃発した。原因はスコルの爆心と猛爆、焼尽スキルだ。


「…イオン、もっと頑張る」


「イオンが頑張らないとボクたち、近づけないよ!」


「分かってます! だから頑張っているでしょ! でも、水が爆発で吹き飛ばされるんですよ!」


流石に大海ブレスの水は爆発で無効化はされないがそこは溶岩壁や溶ブレスで対応される。そこを蒼穹と別方向から狙い、躱したところで叢雲が接近戦を挑むが爆心と猛爆を喰らって、怯んだところに爪や牙で襲い掛かって来る形だ。


叢雲も次元歪曲で前足を捕まえようとしたが力で強引に突破されてしまった。ただこれだけ力があるにも関わらずスコルは遠距離戦を挑んで来ている。それがイオンたちにはかなり不気味に見えていた。


「ラストアローレイン! 何狙っているんだろう? こいつ」


「…虚無壁。影死針。わからない」


「多乱刃! 今は様子を見るしかないですね…このままで終わるはずがありません」


しかしその後も口から火山弾を放ったり、目から日光、全身が赤く発光すると放射熱線の拡散光線を使って来るだけだった。


「単純で接近戦を嫌っているだけ?」


「そんなはずないでしょ。火属性なんだよ? 絶対に罠だって」


「…ん」


「しかし避けてばかりいては勝負が付かないのは事実ですよ。少なくとも焼尽をなんとかしたいところですね…あれが邪魔で飛び込めません」


「ギー!」


伊雪の言葉に反応した叢雲が叫ぶとスコルがいるフィールドが雲に包まれる。叢雲の雲海スキルだ。しかしこれになんの意味があるのか分からないでいると叢雲がスコルに接近する。ここでスコルに異常が発生した。焼尽スキルが不発したのだ。


「あ…湿気!」


イオンはすぐに叢雲の狙いに気が付いた。雲海、つまり雲は水滴または氷の粒で出来ている。つまりこの中で焼尽スキルを使っても雲の水滴に触れて、焼尽スキルの火の粉が消火されてしまったのだ。


俺も雲海スキルにこんな使い方があるとは思わなかった。いつもみんなから色々勉強させて貰っているよ。そしてここでイオンたちが一斉に襲い掛かるとスコルは熱風でイオンたちと雲海は吹き飛ばした。


「うわっとっと。ねぇ…これ絶対に変だよ」


「罠じゃないですね…何かを警戒している感じがします」


「ナー」


「リオーネ? え? 草薙剣がどうかしましたか?」


「「「それだ」」」


火属性であるスコルは防御力が高くない。攻撃は最大の防御というのが火属性の基本的な考え方だ。しかし相手に一撃で自分に致命傷を与える敵がいた場合は下手に接近戦が出来なくなる。例えその攻撃を回避できたとしても回避した瞬間に生まれる隙を狙われることをスコルは理解して、接近戦を嫌っていたのだ。


こうなって来るとイオンたちは戦術も考えやすくなり、戦闘もしやすくなってくる。ただイオンたちの動きの変化を感じ取ったスコルも本来の動きを見せて来た。イオンたちが接近戦を果敢に挑んで来たのを見て、爪と牙で応戦してくる。


こうなると流石炎属性なだけはあって、イオンたちは筋力で押されてしまう。しかしこれはスコルが最初から警戒している流れだ。つまり今のこの状況はイオンとスコルがいつ仕掛けるかのにらみ合いをしている状況となっている。


「リオーネ。準備出来た?」


「ナー」


「出来たっぽい。仕掛けるよ。みんな! 叢雲! 蒼穹! お願いね!」


全員が一斉に距離を取ると蒼穹が雲海を発動される。すると蒼穹が自分の宝珠を雲海の中に入れると宝珠から雷轟が発動する。その結果、雲海が雷雲状態となり、それに包まれているスコルは逃げ場などなく、感電する。


「ガァアアア!? グゥウウウ! ワオーン!」


スコルが吠えるとスコルの周囲に火炎旋風が発生し、雲海の雲を巻き上げてしまう。そしてその火炎旋風はイオンたちに向かう。


「伊雪! 合わせてください! 氷旋風!」


「はい! イオンお姉様! 暴風雪!」


氷旋風と暴風雪が合体した竜巻と炎の竜巻が激突し、蒸気を発生させて、お互いに弾け飛ぶ。そして蒸気がお互いを呑み込んだタイミングでイオンが仕掛けた。


「神剣草薙剣! 神威解放!」


神の気配を感じたスコルは距離を取るが叢雲がまた雲海スキルを使用したことで視界が取れない状況となり、先に雲を熱風で吹き飛ばす。その瞬間にイオンが飛び出して来た。それを見たスコルは獄炎爪を発動させて、イオンを迎え撃つ。


しかし爪を振るうとイオンが幻となって消えてしまう。


「夢幻泡影。残念だったね。イオンばかり気にしているから雲の中に隠れているボクらを見逃してしまうんだよ」


「ナー!」


リビナの幻から醒めたスコルの周囲には宝石がばら撒かれており、スコルが七色の閃光に包まれると大爆発にする。


「神剣技! 雨過天晴!」


イオンが上からスコルを真っ二つにしようとした斬撃はスコルが横に体をずらしたことで両右足を胴体の一部を切断するにとどまる。これだけでも斬撃の範囲と斬れ味は相当なものなんだけどね。


「ガァアアー!? グゥウウウ! ガァアアーーー!」


ここでスコルは失った両右足を溶岩と物質化で作り出した。この状態でまだ戦おうとしている意志は見事なものだが、既に魔素解放を使ったリオーネが距離を詰めている。


「ナー!」


「ガァアアー!」


「伸びよ! 観音菩薩の錫杖!」


「ガァ!? ガァアア―!?」


リオーネが金剛爪を止めようと放った右の爪を伊雪が観音菩薩の錫杖を伸ばして、こついたことでリオーネから攻撃が外れて、金剛爪がスコルの右目に炸裂する。


ここでスコルは全身から炎をまき散らして、強引に距離を取ると当然みんなは追撃してくる。ここでスコルは火山灰を口から吐いて、イオンたちの視界を逆に奪った。そして幻狼がイオンたちに襲い掛かる。


「…まずい」


「スコルの宇宙魔法が使われてします!」


「ガァアア!」


ここでスコルの宇宙魔法、コロナが発動する。空に皆既日食の時の太陽が出現するとイオンたちは強烈な紫外線で肌が焼けて、火傷の状態異常と継続ダメージを受け続ける。


これがスコルの宇宙魔法だ。広範囲に防御不可能な紫外線を放ち続ける魔法で止めるには魔法を破壊するか魔法の維持に魔力を使うので、スコルの魔力を無くすことで消滅させることができる。


因みにこの効果を知った女性プレイヤーからは女の敵の魔法と呼ばれています。ゲームにまで紫外線からは逃げられないという現実を突き付けられたのが気に喰わないんだろう。


後、コロナと紫外線の関係は恐らくない。コロナは皆既日食の時に肉眼で見る事が出来るガスの層だからね。皆既日食で言うと太陽の周囲で白く見えるところがコロナだ。後、注意点として皆既日食の時は太陽を直接見たらいけないと教わっていると思うけど、通常の太陽も直接見ると紫外線で目にダメージを受けるので、直接見るのはやめましょう。


「「「「いだだだだだ!?」」」」


イオンたちがピンチの中、ここでスコルの全身が真っ赤に発光する。炉心暴走だ。更に逆鱗まで発動されてイオンたちに襲い掛かる。


これに対してリオーネが迎え撃つとリオーネの爪は弾かれるとその反動で持ち上がってしまった体にスコルの獄炎爪が貫いてしまう。流石にこの状態のスコルを相手ではリオーネの防御ではどうしようもなかった。


しかしリオーネはそれを承知で挑んでいた。スコルの手から炎が消えると宇宙魔法のコロナも消滅する。リオーネの魔力枯渇だ。更に封印の魔眼まで発動して炉心暴走が解除される。それでもまだ逆鱗が残っている。リオーネの腹から抜かれた爪がまた振舞われ、リオーネはされるが起死回生で猫状態で蘇生する。


そこをスコルは狙うが逆鱗を発動された叢雲がスコルをぶっ飛ばした。


「ギャオオオオオ―!」


怒り狂った叢雲がスコルをボコボコにする。魔力を失ったことで、両右足の維持も出来なくなっているから両手が使える叢雲にボコボコにされるのは当然だ。


それにしてもここまで感情をむき出しにした叢雲は初めて見る気がする。仲間を大切にして、仲間のために本気で怒ることが出来る。こういうところもノワにそっくりだ。


「…逆鱗」


その戦闘にノワも参加して、ルーンノワールが次々スコルのスキルを封印していく。


「「「「これで…終わり!」」」」


そして最後はリオーネも含めて全員の大技がスコルに炸裂して、スコルは倒された。


「ふぅ…強かったですね」


「…つんつん」


「ひゃあああああー!?」


日焼けしたイオンの肌にノワが奇襲をした。


「ノ~ワ~」


「…可愛い悪戯心」


「それで許されると思っているんですか! この! この!」


「痛い!? 痛い!? イオン、多い!」


ノワの肌を連続で軽く叩くイオンにノワは抗議するが最初にしたのはノワなので、弁護の余地はない。


「日焼けした肌って、こんなに痛いんだね…それに火山灰まであって、黒くなっているし…こんな姿でタクトに見せる訳には…いや、ちょっと反応が気になるかも」


「ショックで倒れたら、どうするんですか? リビナお姉様」


「いや~…流石にそこまでは…行くかも」


「「行きそう」」


イオンとノワまで賛成するが流石に肌が日焼けしたり、黒くなったぐらいではショックで倒れたりはしません。テレビで見たことがあるコギャルやガングロになったら、寝込むけどね。イオンたちがあんな風になったら、現実逃避レベルです。


「妄想はここまでにして、援軍に向かいましょう」


「こっちのほうが早く片付いたみたいですね…ただ向こうと勝負が付きそうなので、先に向かってしまいましょうか」


「「賛成~」」


そんなわけでリオーネはここで一旦離脱し、イオンたちはフェンリルとの戦闘に参加するために上に向かうのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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