#136 ベースエリアとヤドカリ料理
ご指摘を受けてタクトのレベル上げを確認したら、たいぶ前だったので、昨日の戦闘でレベルを上げました。
そこで俺たちに謎のインフォが流れる。どうやらベースエリアの説明みたいだ。まとめるとこうだ。
・ベースエリアの解放にはボスモンスターの撃破が必要。
・ベースエリア周辺では通常モンスター、通常食物が手に入る。
・ベースエリア周辺の通常モンスター、食物の数は決まっている。
・ベースエリアではログアウトが可能。
・ベースエリア内にいるだけで生命力、魔力が回復する。
・ベースエリアはイベントモンスターに狙われる。
・ベースエリア内に規定の数以上のイベントモンスターが集まるとベースエリアは使えなくなる。
・ベースエリアを乗っ取られるとベースエリアからイベントモンスターが出現する。時間経過で出現速度が上がる。
・ベースエリアを乗っ取られるとベースエリア周辺の食物は毒に浸される。ベースエリアを再度解放しても治らない。
・ベースエリアの再度解放のためにはベースエリア内のイベントモンスターを全滅させることで解放される
これは…嬉しいが酷いな。
「えーっと…このイベントってもしかして防衛イベントだったの!?」
「そうとも言えないわ…守る必要があるのは間違いないけど、食材がなくなった後にイベントモンスターに乗っ取らせてポイント稼ぎが出来るって言いたいんだと思うわ」
「な、なるほど…確かにそんなことが出来ますね」
シフォンも納得しているが、そんなことが出来るなら確かに手の一つではあるな。
「問題は増えたイベントモンスターがベースエリアだけに留まるとは書かれてないことね…もしエリア外に出るならフィールドはイベントモンスターだらけになって、他のベースエリアが危険になるわ」
「大量のモンスターでポイントを稼げるけど、死に戻るリスクが増すってことですね」
「この手のイベントだと死に戻る際のマイナスポイントはかなり大きいと思うわ」
それだとやはり守ったほうが良さそうだな。最悪のシナリオはベースエリアを奪われた挙句、他のベースエリアが解放されていない場合だろう。
度重なる戦闘と満腹度の減少で詰むことになるぞ。
「えーっと。とりあえずこれからどうしよう?」
「そうね…まずはここのこととベースエリアの情報を公開しましょう。私たちだけで防衛は無理よ」
「ですね…とりあえずフレンドに送りますか」
「それと掲示板ね…これは私が行くわ。一応顔が効くからね。タクト君は防衛をお願いできる?」
適材適所だろうな。
「任されました」
「わ、私はどうしたら…」
「シフォンは食材集めね。通常モンスターなら倒せるでしょ?」
「だ、大丈夫です! …たぶん」
たぶんかよ。
「食材はプレイヤーの取り合いになるわ。確保できる内に確保しないと大変な目に遭うわよ」
確かにな。俺も食材集めしないとまずいかも…他のプレイヤーより多くの食材を必要とするからな。
そうと決まればみんなで手分けして集めるか。
「レギオン召喚!」
俺の召喚獣たちを呼び出す。シフォンとトリスタンさんは絶句。
「うわ~…何これ」
「防衛、タクト君だけで大丈夫な気がして来たわ」
いやいや、言い過ぎですよ。普通に無理です。
「リリー、恋火。虎徹たちと一緒にこの辺りのモンスターを倒して、お肉を集めてくれ」
「任せて! タクト!」
「が、がんばり…ます!」
肉集め班はリリー、恋火、虎徹、ゲイル、白夜、狐子、レクスだ。お肉大好き班です。
「イオン、セチアはコノハたちを率いて、リンゴや食べられそうな物を集めてくれ」
「はい!」
「お任せを」
リンゴ集め班はイオン、セチア、コノハ、ひより、優牙、サビク、アラネア、ひまり、ルーナだ。りんごを取るのに向いていそうな子達を選んだ。優牙は察知役。
「俺、グレイ、チェス、黒鉄、ロコモコ、エアリー、ぷよ助、ルートは防衛だ。グレイは警戒を頼むぞ?」
「ガウ」
これでとりあえず大丈夫だろう。
「わ、私は…どうしたら…」
ちゃんと考えてあります。
「シフォンはリリーたちと同行してくれないか? リリーたちじゃ、解体できないからさ」
「え? それだと私がアイテムゲットしちゃうよ?」
「どうせ3人で食料を分け合うんだから、効率重視と考えたんだが」
二人が驚く。
「え!? いいの?」
「タクト君が集めた食料なのよ?」
「あー…流石に召喚獣が多いから食料は多目に貰わないと困るな」
「それはそうでしょうね。食料については集めてから相談して決めましょう」
「そ、そうですね…あはは」
なぜか二人が引いている気がする。
その前にロックハーミットクラブの解体結果を二人に教える。するとリアクションが酷かった。
「土って事は次はドワーフっ娘ね」
「モ、モグラに1票です!」
トリスタンさん、俺の魔石召喚は亜人だけじゃないですよ。
シフォン、なぜモグラを選んだ?
トリスタンさんはログアウト。シフォンはリリーたちと森に向かった。
「ボス戦では全然ダメだったから、頑張らないと」
シフォンは気合を入れていたが、嫌な予感がする。まぁ、リリーたちには守ってあげてくれとお願いしたから大丈夫だろう。
俺は留守番しながら、ヤドカリ料理を作る。
俺がなぜ作るのか?それは二人が料理スキルを持ってなかったからだ。俺が理由を聞くと。
「…戦闘オンリーだから」
戦闘オンリーでも兵糧がないのは死活問題じゃないでしょうか?トリスタンさん。
「わ、私も持ってない…で、でも料理自体はするんだよ!」
シフォンは何をアピールしているんだろうか?料理するならスキル取ればいいのに。
というわけで料理出来るのは俺だけみたいなので防衛という名の留守番の間、料理することになった。
ヤドカリは食べられるらしいが、ヤドカリ料理は流石に知らない。ザリガニ、エビ、カニと同じ調理法でいいのかな?
鍋に湖の水を入れる。一応鑑定したが水は大丈夫みたいだ。俺は魔法で火を点ける。
鍋の水が沸騰し、ヤドカリを茹でてみる。出来上がったのは、こちら!
ヤドカリの茹で上げ:レア4 料理 品質E
効果:満腹度45%回復
ヤドカリを茹でた料理。シンプルな料理だが、素材の味を最も楽しめる料理。
効果は満腹度の回復のみか…ショボいな。まぁ、ただ茹でただけだから仕方ないか。では、殻を割って、食べてみる。
あ、甘い!というか美味いぞ!
…ご馳走様でした。ヤドカリよ。疑って悪かった。お前、美味しいよ。エビクラスだ。いや、超えているかも知れない。ヤドカリ、恐るべしだ。
じー
そこで、グレイたちからの視線攻撃炸裂。
「あー…これは味見だからな? ご飯はみんなが集まってからな?」
じじー
うぅ…美味しかったからついがっついてしまったのが仇になってしまった。
だがここでグレイたちだけに餌をあげるとリリーたちの恨みが怖い。
初めての食材だから、余計に怖い。
ここは心を鬼にしよう。しかしただの茹で上げだけではな。
「メ~」
ロコモコの声で思い出した! そうだ。俺には食材を手に入れる方法があるじゃないか!
アイベックスの山羊乳:レア度4 食材アイテム 品質D
アイベックスの採乳で手に入る乳。通常の山羊乳より濃厚の味が特徴。
雲羊の羊乳とアイベックスの山羊乳をゲット。
そして俺はやりたかったことを実行する!
雲羊の羊乳に発酵を使う!するとインフォが流れる。
『チーズかヨーグルトを作ることが出来ます。どちらを作るか選択して下さい』
しゃー!チーズとヨーグルトが作れるみたいだ!とりあえずチーズを選ぶとチーズが完成した。
やったぜ!鑑定してみる。
雲羊のチーズ:レア度4 食材アイテム 品質D
雲羊の羊乳を発酵することで手に入るチーズ。塩気が強いのが特徴。
熱を加えるとトロトロに溶けて、美味。
塩気が強い羊乳のチーズと言えばペコリーノかな?色もあってるし。
ペコリーノはイタリア産の羊のチーズで有名なチーズだ。サラダやリゾット、何よりパスタでよく使わる。カルボナーラは絶品だ。パスタが作れたら、絶対に作ると今、決めた。
そしてサラダに使えるということはもちろん生で食べる。
やばい。めっちゃ食べたい。だけど…
じじじー
「わかってるよ…俺も我慢するって」
グレイたちに言ったからにはここで食べるわけには行かないな。
全員が集まり、ヤドカリ料理は大好評だった。ただ茹でただけだが、どうやらシフォンとトリスタンはまだ最初の町にいて、主食はボア肉らしい。それは御愁傷様です。
食事が終わり、満腹度回復。そしてこれからの事を相談する。
「このあとはどうします?」
「とりあえずは食材集めね…」
「え? 結構集めたと思いますけど」
シフォンが言う通り食べるだけなら十分すぎる量が集まっている。食材はボア肉とリンゴが大量。セチアは採取でキュアリーフと渋苦草を持ってきた。
そりゃ、サバイバルには薬は必要だ。でもね…過去に味がフラッシュバックするんだよな。
「とりあえず、飢え死の心配がなくなっただけよ。食材を生産職に渡すとポイントが貰えるのよ?」
「あ!? そうでした」
「ここからは手分けしましょ。防衛するときは協力する感じね」
ん?なんでだろう?シフォンが聞いてくれる。
「え? ずっと一緒じゃダメなんですか?」
「タクト君に頼って、ポイントを稼ぎすぎると叩かれるわよ?」
「う…確かにそれは怖いですね」
あー…そういうことが起きるのか…確かに怖い。その後、それぞれ食材を集めることになった。
名前 セチア エルフLv23→Lv24
生命力 30
魔力 76→78
筋力 22→23
防御力 17→18
俊敏性 21
器用値 76→78
スキル
杖Lv9 弓Lv4 木工Lv6 採取Lv8→Lv10 調薬Lv5 風魔法Lv3 火魔法Lv5 水魔法Lv12
土魔法Lv13 木魔法Lv15 樹魔法Lv5 エルフの知識Lv10 精霊召喚Lv3
名前 ロコモコ クラウドシープLv2
生命力 52
魔力 20
筋力 5
防御力 32
俊敏性 20
器用値 6
スキル
体当たりLv3 危険察知Lv2 逃げ足Lv1 育毛Lv2→Lv3 採乳Lv2→Lv3 耐寒Lv1
名前 エアリー アイベックスLv5
生命力 43
魔力 19
筋力 25
防御力 17
俊敏性 33
器用値 18
スキル
角擊Lv2 登攀Lv1 危険察知Lv3 跳躍Lv1 疾風Lv2 光魔法Lv6 採乳Lv2→Lv3