#1348 ヨトゥンヘイム転送魔方陣破壊作戦
今日でお盆休みの連続更新は終わりとなります。
『動物保護』のほうが完結を迎えたことで燃え尽き症候群状態なので、また一週間ほどの遅いお盆休みを頂こうと思います。次回の更新予定は8月23日の23時です。それでは小説をお楽しみください。
俺たちはユグドラシルを降りるとまずヨトゥンヘイムに入るとオーディンに教えられていた場所に向かう。だがヨトゥンヘイムは巨人の世界だ。当然ヨトゥンたちが山ほどいる。
「相手にせず、最短でいくぞ」
「「「「え?」」」」
「そのえ? はどういう意味かね? 君たち?」
みんなで顔を背けられた。シフォンまでそんなことをされたら、俺はもう終わりですよ。そんなことを思っているとオイフェは影転移を試すが流石に弾かれる。
「巨人にそんな脳が無いはずだからロキの仕業ね」
「私たちの技に対応出来る者となるとヘルの可能性もあるが」
「オーディン様の話が事実ならロキの仕業でいいと思いますよ」
「そうか。まぁ、いずれにしても直接いくしかなさそうだ。我々を止めれるか試してやろうじゃないか」
スカアハ師匠、やる気全開だな。まぁ、自分の国が襲われたんだ。やり返せるチャンスならやる気も出るか。
「「「「オォオオオ!」」」」
下から無数の氷山が飛んできた。それを俺とシフォン、スカアハ師匠たちを乗せているスピカが回避していく。
「相手はやる気だぞ? タクト」
「無視です。無視。どうせただで転送魔方陣の破壊をさせてくれるとは思えませんからね」
「そうね。下手に戦闘して強い奴と不利な状況で戦うのは避けた方がいいわ」
「むぅ…確かに門番のような奴がいるなら雑魚は無視したほうがいいか…では、急いで向かうとするか。頼むぞ。ヴァルキリーの少女よ」
「は、はい!」
リースは二人のお姉ちゃんを乗せて、緊張しているな。まぁ、俺もこの二人を乗せて騎乗するのは遠慮したい。俺たちは次々飛んで来る氷山や猛吹雪をシフォンが暴風壁でガードしながら目的に向かうと魔方陣を発見したが氷の武器や防具に完全武装したヨトゥンの集団が守っていた。
「あれは排除しないととてもじゃないが破壊は出来ないぞ」
「でしょうね…やりましょう」
「えぇ」
「行きます!」
スカアハ師匠とオイフェ、シフォンがそれぞれヨトゥンたちに襲い掛かると氷の鉄球が投げ込まれる。それを回避した瞬間に氷山が飛んできた。それをシフォンは普通に躱して二人はリースとスピカが助ける。
その隙に俺とコノハが襲い掛かる。すると一斉に極寒ブレスを放ってきたが二人揃って強行突破した。
「残念。ゴールデンフリースのロングコートで氷には強いんだよ」
「オォ!」
「へ! 旭光近衛を止めれるか? 雷光刃!」
旭光近衛の雷光刃がヨトゥンの氷の斧と激突すると氷の斧にひびが入り、そのまま防具ごと一刀両断した。俺の攻撃を見たヨトゥンたちは俺を攻撃しようとしたがコノハの影分身の突撃に襲われると俺の雷光刃の居合斬りで胴体が斬れる。
「いい判断する奴が多いな」
俺の斬撃の危険度を理解して伏せることで斬撃を躱したヨトゥンたちは少なくとも旭光近衛のヤバいさに気付いている強者だ。
「さて、ずっと戦って来なかったんだ。ここら辺で暴れさせて貰おうか?」
「ホー!」
「コノハはずっと暴れていただろう?」
「ホー?」
首を傾げれた。暴れるうちに入っていないと主張しているのかとぼけているかのどちらかだな。いずれにしても俺の性格そっくりだ。
俺の挑発にヨトゥンたちはまんまと引っ掛かり俺の戦意を向けるが空からゲイボルグが降ってきて、シフォンが高速の二刀流の斬撃で一気に倒すと一方でリースがスピカと超連携で突撃した。その結果、ヨトゥンたちはそれぞれが新たな敵に向く。
「雷光刃、超電磁、電子分解、雷光! さっきの斬撃とはわけが違うぜ? 居合斬り!」
残りの巨人たちの胴体が切断される。防具が結構粘っていたけど、流石に旭光近衛の斬撃には耐えられなかった。しかし彼らは胴体が真っ二つにされたのに不屈の効果で死ぬことが出来ない。そんな彼らに死を告げる梟が影分身で増やしてドヤ顔でヨトゥンに乗っかる。
「「「「ホー…」」」」
「「「「オォオオオー!」」」」
「「「「ホ! ホー!」」」」
完全に挑発して、怒ったヨトゥンに攻撃されるとそれを躱して、思いっきり逆ギレでつついて倒した。
「酷いな」
「ゲイボルグを刺しながら言う言葉じゃないわよ…姉さん」
「そうか?」
「これで全滅ですね。破壊をお願いできますか?」
二人が転送魔方陣の破壊に挑んでいるとヨトゥンたちがやって来る。
「二人を守るぞ」
「うん!」
「はい! 行きますよ! スピカさん! 主様より先に行かないと倒されてしまいます!」
「ヒヒーン!」
二人が超連携で突撃するとシフォンもそれに続く。俺とコノハは獣魔魔法で援護するわけだが、ここでゆっくりリースの力を確認することが出来た。
騎乗装備のお陰か超連携中の動きの自由度が増している。俺とかだと旋回するのに結構大回りしていたり、動きに結構制限を受けていたのだが、リースにはそういう超連携の欠点を感じない。
逆に言うとそれはスピカにも自由を与えているということで二人ともが今の自分たちに何が出来るのか探っているように戦闘している。その戦闘に巻き込まれるヨトゥンたちには同情してしまうな。
「終わったぞ」
「お疲れ様です」
「魔方陣にトラップまで仕込むなんてオーディン様が私たちに指名した理由がよくわかったわ」
「あぁ…我々の魔術だったし、我々以外だと神かワルキューレたちぐらいしか解除出来なかっただろう」
もし二人がウィザードオーブの戦争で亡くなるルートがある場合、ここでの話が変化していたってことだね。この他にも今までのイベントが結構戦争イベントでは影響が出ているんだよな。
俺はこの事をセチアたちに連絡を入れて、セチアたちからプレイヤーに情報が伝えられる。その後も俺たちは次々ロキが設置したと思われる転送魔方陣を破壊していく。
その中には山にある魔方陣があり、そこにはベルグリシたちがいた。俺たちは結構防御力に強い敵とは相性が悪い編成なのだが、ここでリースとスピカの超連携が圧倒的な強さでベルグリシたちを蹂躙した。これを見た俺はぼやく。
「うーん…ロスヴァイセの装備、俺も欲しくなってきたな」
「馬に乗る者は欲しがる装備ではあるでしょうね」
「だがな。タクトよ。実力でこの域に到達してこそ強者だぞ? ヴァルキリーの少女も装備に頼る戦闘には気を付けることだ。最後に頼れるのは今までの積み重ねであることを忘れるなよ?」
「「はい!」」
スカアハ師匠には頭が上がらない俺たちである。ここまでは順調だった俺たちだが、ヨトゥンヘイムにある最後の転送魔方陣のところで二人が魔方陣の破壊作業をしている時に遂にボス級の敵が現れた。
「そこまでだ! デストロイヤースマッシュ!」
「ホー!」
「やらせません!」
コノハとリースが縦で二刀流の氷の戦斧を止めるが押し込まれる。
「シフォン!」
「うん!」
俺とシフォンが襲撃すると二人にもう一度戦斧を叩きつけて、その反動で俺たちの攻撃から放たれると九つの首から極寒ブレスが放たれる。これを俺がランパードを重ねてガードした。ここで識別に成功する。
スリヴァルディLv80
ボスモンスター 討伐対象 アクティブ
トールが倒したヨトゥンだ。そのヨトゥンが俺たちに戦斧を向けて、言って来る。
「神の味方をする愚か者どもよ。今こそ我ら巨人同盟の怒りを知るがいい!」
「神の味方をしているならお前らも一緒だろうが。それに喧嘩を売ったのは俺たちじゃない。お前たちが転送魔方陣で俺たちの世界に侵略して来るから敵対することになったんだ。そこらへんを間違えないでくれるか?」
「黙れ黙れ黙れ! お前たちが全て悪いのだ! 我々こそが正義だ!」
「あっそ」
彼らは彼らで神に苦しめられてきた種族だ。同情の余地はあるが子供じみた言い分に付き合うほど、暇じゃない。この後にはムスペルヘイムとヘルヘイムにも行かないといけないのだ。俺がやる気になるとシフォンが前に出る。
「この人は私が相手をさせて。タクト君たちはこの後の敵のために力を残さないと」
「ふぅ…分かった。じゃあ、俺たちは二人の守りに入ろう」
「させるか!」
「爆風波!」
跳びかかって来たスリヴァルディをシフォンは吹き飛ばして、阻止すると神速で接近戦を挑む。それを見たスリヴァルディは全ての首の目は冷凍光線が放たれる。これをシフォンは斬り裂いて間合いを詰める。
これを見たスリヴァルディは地面を踏みつけると氷原操作で地面に氷の剣山が出来る。これを見たシフォンは後ろにジャンプして躱す。
スリヴァルディはシフォンに接近されるやばさを理解しているな。やはり名持の敵は強い。しかしシフォンは飛行して、距離を詰める。これに対してスリヴァルディは全ての口から猛吹雪を出して、シフォンを吹き飛ばした。
「ふん」
「ふぅ…」
二人とも、かなり冷静に戦闘を進めている。するとここでスリヴァルディが動いた。
「倍化! ぬん!」
ウェルシュドラゴンが持つ倍化を使えるのか。スリヴァルディという名前は三倍強いという意味らしいからそこから倍化のスキルが使えるのだと予想される。
これでスリヴァルディの筋力が倍に増加した。シフォンはスピード特化タイプ。オリハルコンの鎧は装備しているがリースたちが手こずった筋力の倍の攻撃は流石にくらうとやばい。
シフォンもそれを見て理解するがシフォンは迷わず接近戦を挑む。俺もシフォンの立場なら絶対に接近戦を選択する。何故ならシフォンも超加速の効果で俊敏性があがっており、シフォンの回避能力ならまず攻撃が当たることはないからだ。
そしてシフォンはそれを実演する。逆に筋力が倍化したことでスリヴァルディはシフォンに接近戦を挑んでしまうのが致命的なミスとなる。シフォンが早すぎてどの首もシフォンの動きをとらえきれずに次々放たれる斬撃に斬り刻まれる。
「うざったい! 氷爆!」
「う…」
スリヴァルディは真下に氷爆を使用して、接近戦を挑んでいたシフォンは爆風で怯んでしまう。
「そこか! 覇撃!」
「神剣解放! 神剣技! ゼピュロス・カロケリ!」
シフォンのオリハルコンの剣が解放されるとシフォンの姿が消えて、覇撃が外れる。しかしスリヴァルディには仕留めたように見えたらしい。大笑いしているとスリヴァルディに灼熱の熱風が包み込んで炎上しながら体が斬られる。
「ぐぉおおおおお!? なんだ!? この風は!?」
「ギリシャ神話の西の風だよ」
シフォンが契約した新たな神の名はアネモイ。ギリシャ神話で東西南北の四つの風の神の総称だ。このゲームではアネモイという名で登場し、四つの風を操る神として登場した。
シフォンが使った技はそのうちのひとつで春と初夏のそよ風を運ぶ西風ゼピュロスの力で夏の力が色濃くで出ており、熱風と旋風刃を合わせた技となっている。発動した瞬間に体が風になることでシフォンはスリヴァルディの覇撃を躱してみせたことからカウンターの技であることが分かるね。
最後はシフォンがグランドサザンクロスで全ての首と胴体を真っ二つにして、勝負ありだ。
「お見事~」
「えへへ。ありがとう。でも神剣解放を使っちゃったからまだまだだね」
「いえ。今のは意図的に使っただろ? 別に使わなくていい場面に見えたぞ?」
「あ、あはは~」
笑って誤魔化した。シフォンの速度なら普通に覇撃にカウンターを合わせる事も逃げて反撃も出来ていたはず。それでも神剣解放を使った理由は自分の新しい神剣の性能を見て起きたかったとしか考えられない。まぁ、追及するほどのことじゃないし、何も言わないでおこう。とにかくこれでヨトゥンヘイムにある全ての転送魔方陣の破壊に成功した。
これで地上にヨトゥンやベルグリシ、通常の巨人たちが送られることは無くなっただろう。次に示されている場所はムスペルスヘイムだ。スルトに襲われる可能性が高いそうな場所なので、慎重に行くとしよう。




