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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
神々の黄昏ラグナロク
1426/1718

#1334 ラグナロク、ファストの町防衛戦

海での戦闘と全く違うのがワントワークの地上だった。場所は若木の森からワントワークの都に行く道のりの中間地点より下側の森からヘルズゲートが開いた。


その結果、ゾンビと巨人の群れはファストの町とワントワークの都に別れる結果となった。


「町の人の様子はどうかしら?」


「ゾンビにいい思い出がないので、諦めている人が結構いますね」


「無理もないわ」


「ただ新人の冒険者たちはやる気満々みたいですね」


「ふふ。白夜ちゃんに乗って戦えるんですもの。そうなるのも当然よ」


ここにはまだ弱いプレイヤーたちのために騎乗要員として白夜が位置された。これを知ったプレイヤーたちは歓喜して戦闘準備を整えている。そして指揮官のプレイヤーが指示出しをする。


「なるべく防衛線を上げたいので、奴らが現れた森で迎え撃とうと思います。アウラさんたちは森の外で防衛線を構築してくれますか?」


「私の召喚獣のことをよく理解しているわね。了解よ」


こうしてファストの町からゾンビの大群に向けて、部隊が移動し、森での戦闘が得意な召喚師や猛獣使いが召喚獣を連れて、森の中に入る。先頭には白夜と白夜が出した仲間に最初に騎乗することになったプレイヤーがいる。


「ガウ!」


白夜が敵を察知して、全員を止める。いくら白夜がいて、武器が配給されたとしてもゾンビの大群を相手にするのは緊張もするし、戦えるのか心配もする。そのプレイヤーたちの気持ちを白夜は察知して、自分の力を見せる事にした。


「ガァアアア!」


まさかの初手でゴッドブレスをぶっ放すと正面にいたゾンビたちとヨトゥンが消し飛ぶ。


「うお!?」


「すげー威力…」


「これが幼女サモナーさんの召喚獣の力…」


「「「「…」」」」


プレイヤーたちは感動しているがまだ第一や第二進化の召喚獣はとんでもない威力の攻撃に全員口を開けて、ドン引きだ。しかし敵の数は圧倒的だ。以前のゾンビイベントと同じで空飛ぶ動物のゾンビもいる。


「うわあああ!?」


「敵が来るぞ! せ、戦闘態勢!」


「普通にホラーだよー! これ!」


プレイヤーが混乱すると召喚獣たちも指示されていないので、どう動いていいのか分からない。特に第一進化や第二進化では自分の判断で動ける召喚獣は少ない。ただ白夜は違う。


「「「「ガァ!」」」」


白夜たちが後光で一斉に光輝くとゾンビたちは消滅する。しかしずっと後光を使えるはずがない。後光が切れるとゾンビたちが寄って来る。


「「「「ガァ!」」」」


白夜たちが叫ぶと今度はゾンビたちはとんでもない重圧を付けて潰される。流石にレベルが違いすぎるのだ。


「つ、つえー…」


「ガウ!」


「え? 倒していいのか?」


「ガウガウ」


重圧で動けないゾンビたちをみんなが倒していくとみんなの雰囲気に変化が訪れる。


「ミスリルの槍の一突きで一撃なんだな」


「召喚獣たちも動きが止まっている敵なら大丈夫だ」


「というか幼女サモナーさんの白帝さん、イケメンすぎ」


「白帝さんがいる時点で勝ち確じゃない?」


みんなに戦える自信が付いたのは大きい。ただ敵は雑魚だけじゃないし、白夜が仲間を出せる数にも限りがある。それでも白夜はサポートに徹する。樹海操作で敵を捕まえたり、空からの襲撃を阻止している。


プレイヤーが攻撃をミスしてもしっかり防御し、味方がピンチになると大地支配で壁を作って、守っている。すると一緒に戦っているプレイヤーや召喚獣も白夜のサポートがどれほどのものか理解してきて、戦闘に大体さが出て来た。


戦闘にビビるよりも失敗してもいいから戦闘をした方がずっといい。白夜は意図的にそう言う状況を作り上げた。しかしここで巨人たちがやって来る。


「グォオオオ!」


「うわ!?」


「おいおい…地面が吹っ飛んだぞ…」


「あんな攻撃喰らったらどうなっちまうんだよ…俺たち」


再びプレイヤーたちに恐怖心が芽生えてしまう。ここで白夜は他の人たちを下がらせる。それを見たヨトゥンたちは氷の棍棒を構える。


「「「「ガァ!」」」」


「「「「オォオオオ!」」」」


白夜たちが距離を詰めるとヨトゥンたちは棍棒を地面に叩きつける。しかし白夜たちは転瞬で棍棒の攻撃を躱すとすれ違い様に爪で切り裂き、多乱刃の追撃も発生する。


背後に回った白夜たちをヨトゥンたちは反撃しようとするがそこには白夜たちの姿がなく、また爪で斬られる。それが続けられて、最後は重圧と重力でヨトゥンたちを潰すと樹海と乗っているプレイヤーたちに止めを刺させた。


「あ、ありがとう…」


「何が起きたのかまるで分からなかったぞ」


「気付いたら、別の場所にして、いつの間にか巨人が倒されていた…」


神感覚とか持っていないと中々白夜の戦闘を実感するのは難しい。ただプレイヤーたちはヨトゥン相手だと白夜が圧勝することは理解した。しかしここで火山弾が降って来る。白夜は察知して、攻撃を躱すがプレイヤーたちはムスペルの登場で状況のヤバさを肌で感じる。


「あいつは確かかなり強い巨人だったよな?」


「不味いよ…逃げないと死んじゃう」


「ガウ! ガァアアア!」


じゃあ、逃げようと言わんばかりに白夜がここで一気にスキルを発動させる。


最初に暴旋風で森に複数の竜巻を発生されると地割れでムスペルを地面の底に落とす。そのまま大地支配で押し潰そうとしたがムスペルは地面の動きを止めると噴火を使用する。これに対して、白夜は神撃を放つと追加で彗星と流星群を降らせる。


これを見たプレイヤーたちは勘違いをしてしまう。


「すげー…」


「これなら俺たち、勝てるんじゃないか?」


「ガゥ!」


「「「「ガァアアア!」」」」


白夜の合図で白夜の仲間たちが一斉に撤退を選択する。


「えぇ!? ここで引くのかよ!?」


「ガウ!」


「あ、魔力が少ないのか…あれだけ大技を使えばそうなるか…俺たちの為に頑張ってくれていたもんな」


「ん? うわぁあああ!? 後ろ! 後ろ! 火山弾が飛んできている!?」


「あれで死んでなかったのかよ!? もしかしてそれが分かっていて、撤退を選択したのか?」


白夜もちゃんと計算が出来る子だ。さっきの大技の連発は全て安全に撤退するために敵軍の前衛をしっかり狙っている。追撃が飛んで来ることも白夜は相当済みで神霧を発生させると火山弾を躱して味方と一緒に撤退を放たした。


巨人たちと戦う前に召喚師たちを早めに引かせていたのが結果的にはいい判断だった。前に出過ぎているとムスペルの火山弾で味方がやられていた可能性が非常に高いからだ。


そして無事に生還したプレイヤーたちは情報を交換し合う。当然話は白夜の強さについてだ。


「正直全然いい動きは出来なかったんですけど、相手の反撃とか全部守ってくれるので、安心して戦えました」


「実際に俺たち、無傷だしな。分かり切っていたけど、ここにいていいレベルの召喚獣じゃないわ」


「そんなに凄かったのか?」


「たぶんお前が思っている十倍くらい凄い」


そんなプレイヤーたちの様子を見ていたアウラさんが白夜にお礼を言う。


「たくさんフォローしてくれて、ありがとうね。白夜ちゃん」


「へっへTっ…」


「ふふ。流石に大変だったみたいね…ゆっくり休んでちょうだい」


ここから長い戦闘になる。序盤で戦闘慣れしていないプレイヤーたちに安心感と勝てる気持ちを与えることが出来たのはかなり大きい。アウラさんや指揮官のプレイヤーは白夜を信じてこの大役を任せた。それにしっかり答えた白夜を褒めずにはいらないだろう。


「さて、ここからは私たちの番よ。獣魔ギルドの従業員はゾンビの排除を優先。巨人の相手は私とワントワークから派遣された冒険者ギルドのメンバーが受け持つわ」


「全軍、声掛けを大切に。休憩のタイミングが重要になりますので、お互いに休憩のタイミングの声掛けだけは徹底してください」


「それじゃあ、戦争を始めましょうか。レギオン召喚!」


アウラさんたちが一斉に召喚獣を召喚する。


「行くわよ!」


ここから派手な戦闘が発生していく。白夜も休憩が終わると次の人を乗せて、アウラさんと交代する形で前線に立つ。


しかしここでも敵の数の多さと巨人たちの数が徐々に増えて来たことで防衛線を森から草原にまで下げる。ここを超えられるとファストの町だ。


「ゾンビならなんとかなるけど、巨人の多さはどうしようもないわね…倒すことは出来るけど、こちらも倒す為に魔力をかなり消費しないといけないから」


「後手に回らざるおえない感じですか…籠城戦なんて出来る町でもないし…」


「巨人の多ささえなんとか出来れば押し返せる状況ではあるのだけれど」


結構手詰まり感を感じた時だ。白夜が自分がよく知る気配を感じて空を見る。ここで空からドラゴンブレスが敵軍に直撃し、雷轟が敵軍に降り注ぐ。蒼穹だ。蒼穹はありったけの魔法をぶっ放すと白夜たちと合流する。背中には人が乗っていた。


「伝令で来ました。現在巨人の増殖を食い止める為にユグドラシルの部隊が動いています」


「そう…タクト君が動いているのね」


「では、この状況ももうすぐ変わりそうですね」


「えぇ。そういうことならちょっと本気を出してもいい状況ね。防衛線を上げたほうがいいかしら?」


「そうして貰えると助かります」


アウラさんの召喚獣たちの一部が切り札を使用して、一気に巨人の数と妖怪を減らして、防衛線を押し上げることに成功する。この判断は俺が作戦を成功させてくれると信じていないと取れない行動だ。


そんなアウラさんたちの姿をみて、白夜と蒼穹も気を良くする。自分たちの召喚主がこれほどまでに頼りにされていて、嬉しく感じない召喚獣はいない。


「ガウ!」


「シャー!」


自分たちが本気で暴れるときが近いことを二匹は確信して、その時が来るまで一緒に耐えるのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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