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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
神々の黄昏ラグナロク
1419/1718

#1327 ゲブラー砂漠の決戦

識別結果はエロヒム・ギボールのままだが、俺たちの目の前には血の巨人というか血のゴーレムのような存在がいた。一応背後に光輪があるから神であることは間違いなさそうだ。因みに生命力は全回復している。


「あれだけ理屈を重視していたのに最後がこれかよ」


流石にこれにはツッコミを入れさせて欲しい。その謎の存在が口を開くと有名な一言を言う。


「私の血である」


最後の晩餐でイエス・キリストが弟子たちにいった有名な言葉だ。つまりこの血の神は聖杯と関わりがある可能性が極めて高い。


「ファリーダ。あの血は聖水や神水レベルにやばい代物だ。絶対に浴びるんじゃないぞ」


「わかったわ」


ここでまた血の神が口を開く。


「必死に命を助けようとした…なのに何故責められなければならない?」


「「「「え?」」」」


「私が現場にいれば救えた命だった! 眠れないほど働かされたのにたった一つの手術ミスで責められるのか! 救えない命だった…それでも自分にあいつぐらいの腕があれば救えたかも知れない! 初めての手術で人が死んだ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


「「「「…」」」」


それは外科医たちの悲痛な叫びだった。そういえば社長は元医者だったな。社長の意志が関係しているか分からないが俺には医者が抱えている闇そのものに聞こえた。そしてこの誰にも言えない気持ちの発狂を聞いたみんなは動揺している。


「タクト…これ。どうするのよ」


「とても苦しそうで悲しそうです」


『倒してしまってもいいんでしょうか?』


「…倒そう。いや倒さないといけないと思う」


みんなが俺を見て来る。


「これが必死に命を救おうとした人たちの叫びだとするなら命がある者としてこの世から消して上げないといけない。それが救いになることもあると思うんだ」


『そう…ですね。命を救うという行為は言葉で表せないくらい素晴らしいことです。それがこんなマイナスな感情になってしまうなんて悲しすぎます。私たちが彼女を倒すことでマイナスの感情が消えると言うなら倒さないといけないですね』


みんなに戦う意志が生まれて、武器を構える。そして俺たちが襲い掛かろうとすると血の神の体内から何かが生まれて、俺たちそれぞれに襲い掛かって来た。


「これって…私ですか!?」


「私たちを生み出すなんて舐めたことをしてくれるわね!」


「ん!? みんな! 危ないぞ! 地面から何か出て来る!」


ユウェルの警告すると砂漠から血の手が現れ、俺たちを掴もうとしてきた。さっきから危険予知の反応が半端じゃないぐらいに反応している。あの血液に触れちゃいけないことは分かるが事態は悪化する。


『津波!』


砂漠の地面から血が噴き出すと津波となって押し寄せて来た。


『まずいぞ! タク! 地面にも血が流れてて、潜れない!』


「舐めんじゃないわよ! 旱魃!」


ファリーダが旱魃スキルを使用すると血の津波も血の手も砂漠に広がって来た血も全てが蒸発し、血の神も発狂するが消滅には至らない。旱魃とは本来なら雨が長期間降らないことで深刻な水不足状態になることを指すがこのゲームではフィールド全域の水属性攻撃を蒸発させることで無力化するスキルとなっている。


また使用範囲内にいる敵に火属性の持続ダメージも与えるスキルだ。ここまでのスキルになると最早領域スキルレベルに感じているが領域スキルは一度発動すると解除するまで効果が持続するが旱魃スキルは効果時間がある。最も領域破壊とかで影響を受けないスキルだからどっちがいいかは状況によるだろう。


とにかく血も水分だ。旱魃スキルの蒸発範囲に含まれていたらしい。しかしホッとしてはいられない。まだ俺たちの偽物が残っていた。こいつらはもう作り出された生物で蒸発の枠内には収まっていないらしい。


俺たちが戦闘をしていると血の神の口にとんでもない魔力が発生する。


『ゴッドブレス!』


「全員! 逃げろー!」


ゴッドブレスとは思えない禍々しい赤褐色のブレスが放たれると直撃した砂漠を真っ赤に染めた瞬間、核爆発のような爆発が発生する。


「おいおい…く!」


『こんな神がいるのに私たちの分身まで相手にしないといけないんですか!?』


「そういうことらしいな!」


このままだとまた血が発生して、ジリ貧状態になるだけだ。仕掛けるなら早くしないとみんなが持たなくなる。


『ブラン!』


『はい!』


『待ちなさない。二人とも。ここは砂漠よ? 私が切り札を使うわ』


『ファリーダ…』


俺たちが感動しているとファリーダの照れ隠しか誤魔化して来た。


『その代わり後でソーマ酒を飲ませてもらうからね』


「『お酒が飲みたいだけですか(かよ)!?』」


『当然よ。何せ私は魔神だからね』


ファリーダが自分の分身の攻撃を弾くと距離を取る。


「いくわよ! 神格解放!」


ファリーダから灼熱の炎が巻き上がると天にプロミネンスを発生させている太陽が作り出されて、その太陽からかつてサンドウォール砂漠に降臨した炎の女魔神が現れるとエデンの砂漠に降臨する。


名前 ファリーダ イフリータ(神格解放)Lv26


生命力 512

魔力  764

筋力  919

防御力 445

俊敏性 544

器用値 564


スキル


戦斧Lv50 魔拳Lv43 尾撃Lv1 二刀流Lv48 舞踊Lv10 

帰還Lv10 格納Lv12 灰燼Lv18 精霊眼Lv43 爆破の魔眼Lv38 

第三の目Lv1 強激突Lv43 無我Lv47 危険予知Lv48 魔力感知Lv44 

念動力Lv44 神感覚Lv45 転瞬Lv51 荷重支配Lv45 魔神覇気Lv54 

魔力超回復Lv40 魔力飛行Lv46 紅炎Lv48 空間歪曲Lv23 空間転移Lv29 

時間遅延Lv38 焼尽Lv34 融解Lv20 溶接Lv19 溶断Lv39 

時空切断Lv40 陽炎Lv39 炎熱装甲Lv42→灼熱装甲Lv42 大地支配Lv1 魔神障壁Lv20 

溶岩壁Lv29 魔霧Lv36 炎魔法Lv31 暗黒魔法Lv31 爆魔法Lv57 

時空魔法Lv57 超集束Lv25 憤怒Lv30 獄炎Lv39 再生の炎Lv42 

万物破壊Lv54 防御無効Lv49 戦闘高揚Lv52 肉体活性Lv46 魔力支配Lv45 

炎熱支配Lv37 引力支配Lv34 重力支配Lv44 重力場Lv12 焼失弾Lv40 

火山弾Lv15 消滅弾Lv33 魔神波動Lv37 溶波動Lv30 冥波動Lv26 

熱波Lv39 太陽風Lv1 黒雷Lv31 火山雷Lv32 大噴火Lv6 

溶岩流Lv14 溶ブレスLv26 ゴッドブレスLv1 多連撃Lv50→無限連撃Lv50 多乱刃Lv52 

流星群Lv20 彗星Lv5 捨て身の一撃Lv12 魔神域Lv5 魔神技Lv41 

魔素解放Lv36 魔素化Lv14 炎化Lv14 物質化Lv16 放射熱線Lv32 

死滅光線Lv33 拡散光線Lv12 星震Lv33 次元震Lv12 爆心Lv41 

煉獄Lv10 覇撃Lv25 魔神撃Lv1 魔神魔法Lv26 惑星魔法Lv9 妖精の輪Lv16 

精霊門Lv3 魔軍Lv14 核撃Lv7 黒星Lv5 旱魃Lv3 流砂Lv1 

砂嵐Lv1 蒸発Lv1 厄災Lv4 領域支配Lv3 領域破壊Lv1 

耐性無効Lv41 物理無効Lv4 加護無効Lv41 炎精魔神の加護Lv45 破壊の加護Lv47→破壊神の加護Lv47


神格解放を使ったファリーダの大きさはクリュスに匹敵している。姿の変化は全身が炎に包まれており、真っ赤なロングヘアーに火竜のような尻尾に額には第三の目が開眼している。


ここでファリーダは自分の分身をパンチで潰すと爆心と紅炎の効果に加えて、重力場を発生させると潰している自分の分身も重力場に囚えることに成功し、瞬殺する。


「私はこの世で一人で十分よ。さぁ、始めましょう? 砂漠の神と砂漠の魔神の戦いを」


溶岩と血の流れが激突するとファリーダは前進する。これに対して、血の神は血飛沫で血液の弾丸を放ってくるがファリーダの灼熱装甲が血を蒸発させる。


「本来なら火は水に弱い。けどね私の場合は例外よ。私は火の魔神であると共に砂漠の魔神でもある。雨を降らせず、地上に旱魃をもたらし、砂漠を生み、人間を苦しめる。それが私よ!」


血の津波と溶岩流が激突する。お互いの支配の能力がぶつかり合い、不自然に血と溶岩が動き回りお互いが呑み込もうとぶつかり合っている。


この勝負はつかず、お互いに息を吸い込むとゴッドブレスが激突するとこれも互角に終わる。その互角で発生した爆発の衝撃波で俺たちは普通に吹っ飛んでいる。そして焼尽による火の雨と神雨が空でぶつかり合いながら、砂の手と血の手がお互いにぶつかり合う中、お互いの距離が詰まっていく。これが神と魔神の対決。なんて戦闘だ。


そして勝負はここで殴り合いに突撃する。最もスキルを使った殴り合いだ。それだけでとんでもない衝撃波が発生し、世界が震える。


「私は魔神! あなたが溜め込んでいるマイナスの全ての感情を肯定してあげるわ! 全部消し去って挙げるから安心して眠りなさい!」


「消せるものなら消して見なさい! この血がある限り、私は不滅よ! あなたに砂漠の中まで染み込んだ血の全てを消せるのかしら? 惑星魔法! マーズ!」


「やってやろうじゃない! 惑星魔法! マーズ!」


ファリーダはそう言っているけど、やれるなら今すぐにやっているはずだ。それをしていないということはファリーダに血の神が言うようなことは出来ないことを意味していた。ならば当初の予定通り、彼女との決着は俺たちが付けよう。


『で、でも主。主の禁呪を持ってしても彼女の言うようなことは不可能ではないでしょうか?』


『そうだろうな。だからこいつを使うのさ。俺の考えが正しければこの神書ネクロノミコンに眠っている禁呪ならこいつを倒す条件を全て満たせるはずだ。でも、そのためには』


『目の前の敵を倒さなければいけないということですね』


『そういうことだ。シルフィ。こいつらは一対一の勝負に固執している。連携で倒そう』


『わかりました。行きますよ! ティターニア! マリッジバーストです!』


俺たちが対戦していると横からシルフィが俺たちの分身を斬り裂くとそのシルフィを追っていたシルフィの分身を俺たちが槍で貫いた。俺たちと同じように他のみんなもお互いの相手を交換するように敵を見事に倒して見せた。


そして俺たちは禁呪の発動に入る。


「神書ネクロノミコン」


神書ネクロノミコン(神威解放):レア度10 魔導書 品質S+

重さ:40 耐久値:300 魔力:1000

効果:禁呪【ビッククランチ】、無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、神気、星気、魔力超回復、魔力吸収、虚無壁、次元転移、次元封鎖、星渦、星波動、流星群、彗星、惑星、黒星、蘇生、強化復活、魔軍、創造神の加護、異星の加護

宇宙の創世神話が書かれていると言われている魔導書。圧倒的な宇宙と死の力が宿っており、力を解放したことで宇宙に終焉をもたらす禁呪の封印が解かれる。


俺の予想通りの禁呪が来た。これなら発動すれば終わりだ。しかし自分を消滅させるほどの力が発生したら、流石に気付かれる。しかしそれは隙にしかならずファリーダのコンボ攻撃が炸裂する。


「シャイターン・ラッシュ! 第三の目! 大噴火! 砂嵐! 彗星! 流砂!」


シャイターン・ラッシュで血の神をボコボコに殴るとファリーダの第三の目から光線が直線に放たれると光線が当たった地面が核爆発による連鎖爆発が発生する。その後、血の神の地面が大噴火を起こすとことで空に打ち上げられると砂嵐に巻き込まれて、体の自由を奪われる。


そして空から彗星が落ちてきて、地面に落下すると大爆発を起こし、流砂で血の神の下半身が砂に囚われる。


「動きを封じて!」


「任せろ! ファリーダ! 地圧操作!」


「魔素解放! 変化! この大蜘蛛の姿で縛って挙げましょう!」


ユウェルが地圧操作でファリーダのフォローに回るとアラネアが魔素解放を使用し、妖術の変化を使うと巨大な大蜘蛛の姿となり、大量の糸が一瞬でばら撒かれて、血の神の拘束に入る。


「甘いわね。侵食」


アラネアの糸が血に染まっていく。しかしここでロードガーゴイルの神岩結界が発動する。この瞬間、血の侵食は止まる。


「そんな結界、壊せば終わりよ!」


「壊してもまた私たちが貼り直します。もう終わりです」


「そう言われて何度も手術をして来た人間は命を救う行為を諦めて来た! 外科医の神である私がそれをするわけにはいかないのよ!」


彼女は何度も岩を破壊し、一瞬の隙に俺たちに攻撃をして来たがロードガーゴイルが必死に守ってくれたお陰で禁呪の準備が整った。


「天地開闢のビックバンと対になる宇宙終焉の禁呪であなたが溜め込んだ負の感情を終わらせましょう」


「『宇宙魔法! 禁呪! ビッククランチ!』」


血の女神の中心部に黒い球体が現れる。次の瞬間、ブラックホールを遥かに超える吸引力が黒い球体から発生し、血の神は一瞬で黒い球体の中に消えると砂漠の砂も全てが吸引されていく。


ビックバンが宇宙の膨張ならばビッククランチは宇宙の収縮だ。宇宙はビックバンと呼ばれる大爆発から宇宙が始まり、今なお宇宙は膨張を続けるという説がある。しかしその説によると宇宙の膨張が大きくなりすぎると重力によって、膨張が収縮に転じてしまうらしい。これがビッククランチだ。


宇宙が収縮に転じるとやがて宇宙は特異点と呼ばれる場所に収束する。この後、どうなるかも様々な説がある。収束して宇宙が終わるのか、それともビックバンが特異点で発生し、また宇宙が始まるのか。俺たち人間が一生知ることがない難題だと思う。そもそもこれは人間が作り出した理論の一つだしてね。


重要なのはこのゲームでのビッククランチの威力だ。最初に発生した黒い球体が恐らく特異点という設定なのだろう。その特異点が全てを呑み込み、消滅する。そこに残った世界は空の世界だった。


そして勝利を知らせるインフォが来る。勝てたのはホッとしたけど、余りの威力に俺は絶句している。


「なんて威力の禁呪だ…地上でこんな魔法使えないぞ…う!?」


「きゃ!? は、はれ?」


俺たちの魔力が切れて、マリッジバーストが解除されると俺とブランは倒れ込む。


「久々に見る光景ね」


「いつの間に元に戻っているんだよ」


「本気モードの姿はあまり見せたくないのよ」


「なんで?」


「すけべ」


聞いただけなのにすけべ扱いは酷くありませんか!?シルフィに聞くとファリーダの味方をされました。


「わからないんですか? 女性の姿で巨大化すると色々大変なんです。これで分かって下さい」


「あぁ~…了解。理解しました」


俺は全てを察した。そして俺が全部悪い事に気が付きましたよ。そして俺の隣には首を傾げるユウェルと千影の姿があったが君たちは知らなくていいことにしました。巨大化することは多分ないし、純粋なままでいるならそれが一番いいよ。


その後、俺たちはみんなに支えられて、家に帰ることが出来た。そこで家で回復をしているとファリーダにお詫びを要求されたので、謎の激辛アイスを上げて、機嫌を取っていると会議の時間を迎えた。

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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[気になる点] ・神格解放時のステータス上昇がない。 ・インフォの内容がない。
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