#1317 ラーヴァナ戦
イオンたちがシーター救出に向かった同時刻。俺たちはラーヴァナの城に攻め込んでいた。
「邪魔だよ! カラミティカリバー!」
「雪月花! 太極ブレス!」
「消し飛びなさい! デモンクラッシャー!」
「燕飛! 剣突! 回天!」
「ガァアアア!」
リリー、恋火、ファリーダ、燎刃、虎徹が前衛で大暴れしている。次々襲い掛かって来るラークシャサたちを次々吹っ飛ばしている状況だ。
「うーん…暇だな」
「前に出てはいけませんよ? 主。我慢してください」
「私たちも我慢しているんですから」
「タクトはんがやられてしまったら、みなはんの勝利を台無しにするかも知れないんどすよ?」
「わかっているって」
俺の護衛をしてくれているブラン、セチア、和狐に怒られてしまった。実際にラーヴァナ討伐を任されて、ここで死んでしまったら色々台無しになって、後からみんなに激怒られることになるだろう。なので、みんなの意見の方が正しいので、大人しくみんなの活躍を見守るとしよう。
戦いを見ると一言で言うとレベル差と武器の装備の差があり過ぎてラークシャサたちが対応できていない。なんとか突破口を開こうと通路に配置されている扉を開けて、奇襲しようとするが弓矢を構えた瞬間にアリナが投げたフェンリルレイピアに貫かれてしまう。
それでも意地の弓矢を放ってきたが護衛のぷよ助が弓矢を取り込み、消滅させる。悪いけど、俺が彼らの立場なら勝機が考えられない。ワンチャンあるなら城を崩して生き埋めにするくらいだろうか?それでも俺たちは対応しちゃうけどね。
「バレバレなの。どうするの? お兄様」
「奇襲は心臓に悪いから潰してきていいぞ」
「じゃ、いってくるの。白夜さん、お手伝いお願いするの」
「ガウ!」
白夜は仙郷移動で壁をすり抜けて奇襲を逆に仕掛ける。
「爆轟なの!」
逆にアリナは部屋ごと吹き飛ばした。瓦礫から起き上がる彼らの前にグレイがおり、食べられて終わった。流石にラーヴァナの城は広く、五階建てで攻略はスムーズでも時間はかかってしまう。
その間にラークシャサたちの決死の戦闘を見ることが出来た。凄かったのが恐らく部屋が武器庫でそこにある爆薬を使って、俺たちを吹っ飛ばそうとしてきた。これは上手だった。敵が爆破役の一人しかいないから俺たちは一人なら問題ないと判断したところにこれだったからね。
しかもちゃんとリリーたちではなく、俺たちを狙って来たことを俺は称賛したい。ただ普通の爆発じゃ、ぷよ助の自動防御の敵じゃない。ここだけが彼らの誤算だった。瓦礫まで完全防御していたからね。
他にも弓矢が通じないことから扉から接近戦を挑もうした猛者もいたが彼もぷよ助を斬ったが意味はなく、そのまま捕まり、壁に磔にされるとそのまま体ごと消化された。こうしてみるとぷよ助がラークシャサ相手にかなりハマっているな。
俺の心配がないせいかみんなガンガン前に出て、戦っていたが流石にこれは注意した。完全に慢心だったからね。戦線が伸びたことで分断されると前後に挟まれたリリーたちが各個撃破の危険が高まる。
そうは言ってももしそうなったら、みんなはすぐに俺たちの言う方に向かってきて、分断した部隊をぶっ壊す火力があるからそこまでの心配はないんだけど、そんなことをさせないほうが相手の勝利の芽を摘むことになるので、容赦なくやらせて貰う。
ここでユウェルから連絡が来た。
『タク、たくさん牢屋がある部屋を見つけたんだが、どうすればいい? みんな女性で助けて欲しいと言っているんだが』
『ちょっと待ってくれ…。インドラに確認が取れた。救出してやってくれ』
『分かった! ぶっ壊すから離れててくれ!』
ユウェルが見つけたのは、ラーヴァナがこれまでの征服戦争で手に入れた王や聖仙、半神たちの妻や娘だった。彼女たちを助けたことで報酬アップである。檻から救出する方法が破壊であることには突っ込まないで欲しい。そしてそれからしばらくすると今度はイクスから連絡が来た。
『マスター、制圧完了しました。ユウェルが救出した人たちはシフォンたちに任せましたので、そちらに合流します』
『頼む』
俺たちがのんびり敵をぼこしていたので、イクスたちのほうが先に攻略してしまった。これでラークシャサたちの絶望感は更に増したことになった。
「ぐるぐるぐるぐる! 間に合ったぞ! タク! は!?」
「…お先」
「転がらないと合流出来ないのは大変だね~。ユウェル」
「ずるいぞ! みんなして転移して!」
これは後で転移出来る装備を欲しがりそうだな。さて、全員集結して、外も制圧出来ている。後はボス部屋前の制圧だけだ。階段をあがると親衛隊と思われる巨大なラークシャサたちがいた。
「よくも我らが王の城を滅茶苦茶にしてくれたな! 異国の召喚師風情が!」
「もはや生きては帰さぬぞ!」
「それは困ったな。こっちはお前たちを全滅させてから家に帰る予定なんだが?」
「「「「困った困った」」」」
あぁ~。またリリーたちに変な影響を与えてしまった。全然困った様子を見せない俺たちにラークシャサたちが逆鱗を使用して、襲い掛かって来た。
「…影竜」
一番前のラークシャサの足に影竜が尻尾で足払いをするとラークシャサが転んだことで後ろの走っていたラークシャサたちも巻き込まれる。そして彼らが目の前を見るとリリーたちからとんでもない魔力が発生していた。
彼らは盾を構えようとしたが団子状態で倒れている状況で盾を構えられる奴は一番上の奴だけだった。
「く…」
「フェアリープランク」
彼の持つ盾が大根に変化する。はい、詰みだ。全員仲良くボス部屋の扉まで吹っ飛ばされる。
「ぐは!? おのれ! は!?」
「矢舞雨!」
「ワオーン!」
「ガァアア!」
「木の葉斬り!」
セチアの矢舞雨、グレイの毛針、虎徹の時雨が襲い掛かり、必死にガードしている彼らに間合いを詰めた千影が木の葉斬りが決まり、防ぎきれなくなった彼らは倒させる。
「解体してっと。今までのラークシャサと変わらないな。それじゃあ、料理バフと回復してから挑むとしますか」
「「「「はーい!」」」」
準備が出来て、俺たちはボス部屋に入るとそこには今までのかなりヘンテコな怒り心頭の魔神がいた。
羅刹魔神ラーヴァナLv84
ボスモンスター 討伐対象 アクティブ
識別出来ちゃった。ごめんね。ラーヴァナは身体が青い魔神で腕が最大の特徴は十の頭、二十の腕を持っていた。十の頭は横一列に円を描くように配置されている状態だ。腕については背後から生えている腕まであり、本当に二十あるか数える気にはなれない。
武器は腕が二十もあるので、多種多様な武器を持っている。ざっと見た感じだとサーベル、大剣、矛、三叉槍、鎖、斧、戦斧、ハンマー、ハルバード、薙刀と実に多彩過ぎる。一番多いのはサーベルだ。恐らくこれがメイン武器だと思われる。他の金の武器と違って、この武器だけ銀で綺麗な武器であることから間違いないと思う。
そして防具は金の鎧だ。自分のポリシーか知らないけど、腕は鎧に守られていない。これは恐らく斬られても復活するから守る必要はないという判断かな?
俺がボスを分析しているとラーヴァナが早速怒りをぶつけて来た。
「小僧共…随分と暴れてくれたな? 俺様の兄弟をぶっ殺した上に俺様の奴隷まで逃がしがって! ただで済むと思ってないよな! 超覚醒!」
ラーヴァナの筋肉が膨れ上がり、血管が浮かび上がると頭に漆黒の角が生えた、ユウェルが解放した彼女たちがトリガーでラーヴァナが強くなるのか。まぁ、報酬がアップするなら難易度上昇を甘んじて受けよう。
「今回の戦争で死んでいった他のラークシャサたちは入っていないぞ? まぁ、いいか。俺が口を挟む問題じゃないからな」
王なら国の為に戦って死んだ民も大切にして欲しい思うがそれは俺の考えだからな。国の為に戦って死ぬことは当然のことと考える場合もあると思う。俺は全く理解出来ない考えだけどね。それよりもこいつには聞きたいことがある。
「お前と戦う前に一つだけはっきりさせたい。なぜシーター姫を誘拐した?」
「は! そんなもん綺麗な娘がいるならそれは全て俺様のものと決まっているから俺様のものにしただけだ!」
「「「「もの?」」」」
リリーたちの怒りのボルテージが上がった。もちろん俺も上がっているが取り敢えず知りたいことは知れて良かった。
「そうか…つまりお前は自分の意志でシーター姫を誘拐したわけだな? それを知れて良かったよ。これで遠慮なくお前をぶっ潰せる」
シュールパナカーがラーマを悪者に仕立て上げて、ラーヴァナがシーターを助けるために誘拐したのなら少し話が変わって来ると思っていたのだが、心底魔神をしていて安心した。
「ふん。あまり粋がるなよ? 小僧。俺様は魔神ラーヴァナ! ラークシャサたちの神であり、欲しいものは全て殺して奪うのが俺様だ! だからお前をぶっ殺してお前らの装備もお前の女も全部奪ってやるよ!」
リリーたちが俺の怒りのボルテージが爆発したことを感じ取る。
「やれるもんならやってみろよ!」
俺たちの戦闘が始まる。最初にリリーたちが飛び出すと強欲門が使用されて、無数の武器がリリーたちに降り注いだことでリリーたちは後ろに回避行動を取るとラーヴァナの武器から神波動が次々放たれる。
「なるほど…神々から奪った武器なら神波動を使えるのは道理ではあるな」
「余裕そうだな? 小僧! 格納! おぉおおおおお!」
次々、自分の持ち武器まで投げ出しては格納で新しい武器を取り出すと投げて来る。こちらもセチアなどが狙撃で反撃するが流石に次々飛んで来る武器が相手ではどうしようもない。
「斥力操作だぞ! 効いてない!?」
「ガァ!」
「物理無効だ! ガードしろ!」
ユウェルの斥力にゲイルの電磁支配でも武器を止める事は出来なかった。この物理無効は武器たちの能力だと思う。この武器がインドラジットがインドラたちに勝った時に手に入れた物と言う設定なら電磁支配や物理無効などを有していても不思議ではない。
しかしその武器投擲ラッシュの前に立ちはだかったのが意外にもリビナの鞭だった。鞭は弾き飛ばすことに特化しているし、リビナの炎帝の鞭は鞭の数に合わせて、念動力で自在に動くので、次々武器を弾き飛ばしている。
それでも鞭の間を抜けて来る武器に対してはブランの神盾アイギスで弾かれる。
「小賢しい盾を持っているな…しかし俺の前では通用せん! バスターカリバー!」
ブランが銀のサーベルから放たれたバスターカリバーを受け止めるとキャッスルランパードが一撃で破壊されて、ブランは吹っ飛ばされる。これでこいつの銀のサーベルの正体がはっきりした。神盾アイギスのキャッスルランパードを一撃で破壊出来る武器なんて同じクラスの武器でないと出来るはずがない。
ならばあのサーベルはチャンドラハースだろう。チャンドラハースはラーヴァナが破壊神シヴァから貰った剣だ。破壊能力に特化していても不思議じゃない。
ブランの神盾アイギスが負けるのは予想していなかったがこちらもただやられっぱなしではない。
「ふん…っ!?」
「ガァアアア!」
「く!? 舐めるな! 虎風情が! っ!?」
バスターカリバーを使ったことでラーヴァナに武器投擲が止んだことで虎徹が襲い掛かると流石に武器も腕も多いので、虎徹の斬撃は全て止められてしまう。しかし虎徹の突撃に合わせた俺とリリー、恋火が腕を斬り裂き、アリナがフェンリルレイピアで鎧に一撃当てるがこれは貫通しなかった。
「舐めるな!」
「やらせないよ」
「甘いです」
「バーストアロー!」
ラーヴァナは他の腕で俺たちに反撃しようとしたがリビナの炎帝の鞭が武器に巻き付き、イクスとセチアの狙撃で俺たちを攻撃しようとした武器が弾かれる。これで俺たちはフリーだ。俺たちは更に腕を斬り裂き、虎徹を止めていた武器を持っていた腕が斬られたことで虎徹もフリーになる。
虎徹と俺たちがラッシュ態勢になったところで光化で消えたラーヴァナは俺たちにまた武器を降らせて、俺たちは回避する。ラーヴァナを見ると腕は元通りになっており、武器は帰還で回収していた。これはうざい事になったな。溶接の効果が無効化されている。まぁ、腕が斬り放題なので何かあるとは思っていた。
そしてまた武器の無限投擲が開始される。リビナと虎徹が武器を弾き飛ばして応戦する。
「ははははは! どうした? 何も出来ていないぞ?」
「ならお前の武器投擲を破ってやるよ。イクス」
「イエス、マスター。ジェノサイドユニットに換装します」
ジェノサイドユニットに換装したイクスは次々飛んで来る武器を弾き飛ばして、ラーヴァナに接近していく。よく見ると弾かれる武器が飛んできている武器に当たっていたり、弾かれた武器が壁に反射して、飛んできている武器を弾いたりしている。
相変わらずの恐ろしいほどの計算能力だ。これを見る度に俺はイクスにはもう勝てないと実感させられるんだよね。
「なぜ近付いてこれる!? おぉおおおおお!」
ラーヴァナは何が起きているのか理解出来ていないみたいだ。まぁ、何が起きているのかわかったとしても信じたくない光景だとは思う。それほどまでにイクスの計算能力はずば抜けている。ここでラーヴァナは切り札を使わさせられる。
「ええい! 来い! プシュパカ・ラタ!」
俺たちとラーヴァナの間に巨大な黄金のチャリオットが現れると稲妻が発生する。まずい。この大きさで突っ込まれたら、逃げ場がない。
「ガァアアア!」
ゲイルが俺に視線を送るとプシュパカ・ラタに体当たりする。
「ふん! そんな攻撃でこのプシュパカ・ラタを止められると思うなよ! 他の奴らと一緒に轢かれるがいい! 超電磁! 光速激突!」
「ノワ!」
「…ん!」
ラーヴァナの部屋はぶっ壊れるとゲイルは吹っ飛ばされて、地面に墜落してしまうのだった。
長くなるので、区切ります。




