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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
太陽神ラーとラーヴァナ戦
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#1301 暴食のラークシャサ

今日で連続更新は終わりでいつもの更新ペースに戻します。

ラークシャサたちが逃げる方向から超巨大な何かがせり上がる。


「何だ!? あれは!? あれもラークシャサなのか!?」


「私たちが見たスルトぐらいの大きさはありませんか!?」


「なんてことを…まだ六か月立っていないはず…無理矢理クンバカルナを目覚めさせたのか! お前たちは!」


ヴィビーシャナがもう敵の正体を言ってしまったが一応識別する。


クンバカルナ?

? ? ?


クンバカルナはインドラジットとヴィビーシャナの兄弟の一人だ。ラークシャサの中では一番の巨体を持っているのが特徴でそのことから山の名前にまでなっている。


服装は上はほぼ裸で下はだぼっとしたズボンを装備しており、体型はポッチャリ。髪は黒で口には牙があり、腕は四つ。装備している武器は現時点では白い曲剣が二本で上の腕に装備している。


「ほわ~…大きい~」


「呑気なことを言っている場合じゃありませんよ! リリー!」


「あぁ~! 寝たりないど~!」


クンバカルナが欠伸しただけで大気が震えて、俺たちは音で耳を抑えて、倒れ込む。


「く…クンバカルナ! 私だ! ヴィビーシャナだ! 話を聞いてくれ!」


ヴィビーシャナが声をかけるが聞こえるはずがない。


『お兄様! 敵の大群がこっちに向かって来ているの! あっちから!』


耳がやられたことでアリナは通信で知らせてくれる。俺はアリナが言う方を見ると土煙をあげながらこちらに向かってくれている象の大群とそれに乗るラークシャサたちを視認した。そして撤退していたラークシャサたちも反転する。


そしてクンバカルナがこちらに向かって動き出すと一歩だけで大地震が発生する中、ヴィビーシャナが一人でクンバカルナの元に向かう。


「何しとんねん! あぁ! もう!」


レイジさんが一緒に行こうとするとクンバカルナが拳を振りかぶると力強く握りしめる。完全にヴィビーシャナを狙っている。


「え…」


「嘘やろ!? 間に合え! 雷化!」


「次元震だど!」


レイジさんが先にヴィビーシャナを掴んで回避しようとしたが次元震が放たれたことで二人は遥か遠くまでぶっ飛ばされると墜落で地面にクレーターと土煙が発生する。


「ぐ…がは!?」


「あ…大丈夫ですか?」


「あんな攻撃受けて大丈夫なわけあるかー! 何考えとんねん!」


レイジさんの怒りはごもっともだ。ただ文句を言える程には元気らしい。


「すみません…でもクンバカルナは私と同じ心は優しい奴なんです。話せばきっと分かってくれるはず」


「お前たちがおらたちの敵かー! 魔拳!」


俺たちの所にクンバカルナの拳が放たれて、巨大隕石が落下したような衝撃波が地上を襲う。


「完全に攻撃しとるように見えるんやけど?」


「そ…そうですね…インドラジットはガルダ神の攻撃を受けたし、クンバカルナを(そその)かすならシュールパナカーかな?」


シュールパナカーはインドラジットたちの兄弟で唯一の女性だ。ラーヴァナにシータを奪うように唆して、ラーマたちとの戦争の引き金を引いた人物として知られている。因みに普通の神話ではクンバカルナを起こすように指示したのはラーヴァナである。ここはゲームのオリジナル展開だね。そもそも戦争の流れがこんなに早く進むはずがない。


「いくよ! みんな! ドラゴンブレス!」


「攻撃を集中するよ!」


「狙撃部隊は象の部隊を狙います!」


みんなが一斉攻撃した命中するがクンバカルナはびくともしない。


「それなら天涯両断!」


「ぶった斬れ! デュランダル!」


リリーの天涯両断と巨大化したデュランダルの斬撃がクンバカルナに命中するとクンバカルナの身体に攻撃がめり込むが斬れない。


「ふん!」


「わ!?」


「何!?」


クンバカルナが気合いを入れるとまるでゴムに弾かれるように斬撃が弾かれてしまう。するとマグラスさんには足、リリーには拳が迫る。


「マグラス!」


「リリーお姉様!」


「こっちに来ちゃダメー! みんなも逃げてー!」


「次元震だど」


リリーがぶっとばされる。幸いにもリリーが逃げ出すことを指示したお陰でこの攻撃はリリーだけにとどまった。そのリリーも防具のお陰で大ダメージを受けただけでなんとか無事だ。ただこれを見て、黙っていられない子がいた。月輝夜だ。


「グォオオオオオ!」


「なんだ? チビ助。おらと戦うつもりなのか? おらは強いど。雷轟!」


「グォオオオオオ!」


二人の雷轟がぶつかり合う。


「なかなかやるでねーか。けどもおいらのパワーに勝てるか?」


クンバカルナの曲剣の一撃が月輝夜に放たれると月輝夜は神剣イガリマで受け止めると押し込まれる。それでも攻撃を止めたことに大きな意味がある。それをクンバカルナも認める。


「おいらの攻撃を止めるなんて本当にやるでねーか。お前がはじめてだど。楽しくなってきただ!」


別の腕の攻撃が月輝夜に迫るとシルフィのスルトがこれをレーヴァテインで止めてくれた。


「恩返しはちゃんとしないと行けませんからね! スルト! 怪力! 溶断です!」


「グォオオオー!」


「お!?」


スルトがクンバカルナの斬撃を弾くと距離を詰めてレーヴァテインの斬撃を放つ。これを見たクンバカルナはなんとその巨体で後ろにジャンプした。そして着地すると俺たちまで跳ねてしまうほどの衝撃が発生する。そんな出鱈目な奴だが、目が白目になっており、腹に真っ赤な線が発生していると燃え上がる。


「いっだ~!? 死にかけたど! お前さんも強いんだなぁ~」


スルトの斬撃を完全に躱しきれなかった。その結果、レーヴァテインの即死効果でクンバカルナの滅茶苦茶ある生命力を一気に全損させたらしい。これがレーヴァテインの力か…出鱈目な強さだね。ただこいつも不屈持ちで耐えたようだ。本来なら追撃で死ぬはずだが、炎が効いていないな。


「みんな! 攻撃して!」


メルの支持で一斉攻撃する。これに対してクンバカルナは口を開く。


「暴食!」


こちらの攻撃が全て吸い寄せられる上にプレイヤーや猿のセリアンビーストたちたちまで吸い寄せられるとクンバカルナに食べられてしまう。そして食べた分だけ回復してしまった。


「化け物め! よくも俺様の眷属を食べやがったな!」


「ハヌマーン様に続け!」


「「「「おぉ!」」」」


「迂闊に飛び込むな!」


ラーマが警告するが遅かった。


「神技! ハヌマーンホイール!」


「なんだぁ? お前?」


雷の刃を発生させながら回転するハヌマーンをクンバカルナはあっさりはたき落してしまう。しかしその隙に追随していたアンガダとスグリーヴァが距離を詰めている。


「グランドサザンクロス!」


「王撃!」


「霊化だど」


クンバカルナの巨大が姿を消す。これは神話の通りなら滅茶苦茶やばい攻撃が来る!


「上だ! 全員この場から全力で逃げろ! やばい攻撃が来るぞ!」


「魔神技! マラヤマウンテンだど!」


クンバカルナの手に山が出現するとそれをアンガダとスグリーヴァに叩きつけて、そのまま地面に落下するとまたとんでもない衝撃波が発生して俺たちまで吹っ飛ばされる。


「いって~…アテナが使っていた技ぐらいの威力はあったな」


「アテナ様ってあんな攻撃してくるんですね…」


「うん。島を投げつけられた」


「神様って何でもありですよね」


俺はシルフィに手を差し出し、起き上がられると砂煙を払うと目の前に象の大群が現れる。お前らは無事だったんかい。俺はシルフィの前に出ると象の突進を手で止めると鼻を掴んで投げ飛ばした。俺、凄くね?


「え? 兄ちゃん?」


「…兄様が象を投げた」


妹たちに見られて、引かれた―!?そこは憧れて欲しい。いや、象を投げる人間に憧れたら、色々ダメか。


「あいつを殺せー!」


「時間停止。誰を殺すと言いましたか?」


時間停止で突如イオンが象に騎乗しているラークシャサの背後に現れる。


「っ!? 魔人技」


「流水乱舞。遅すぎます」


バラバラにされて終わった。一方他の象たちも黒鉄や夕凪たちに突進を逆に弾かれると次々吹っ飛ばされていく。中でも悲惨なのがクリュスとゴルゴーンに狙われた象たちだ。二人とも蛇が象に噛みつくとそれを普通に持ち上げて、噛み殺している。


そして弓を放つ敵が少なくなったことでヒクスたちも本領発揮し出す。象に乗っているラークシャサたちを空に拉致すると空中でみんなしてボコボコにする。残された象たちはディアンたちに襲われて終わる。


戦況を見ても象とラークシャサは怖くないがやはり問題はクンバカルナだな。俺も旭光近衛で首を狙ったが刃が弾力で弾かれてしまう。それなら突きで思ったが突きまで弾かれた。


他のみんなもチャンレンジするが現時点で一番のダメージを与えたのはレーヴァテインだ。そのレーヴァテインを持つスルトとメルたちの攻略で持つことになったユーコが挑むがレーヴァテインの恐ろしさを知ったのはクンバカルナ本人だ。当然警戒しており、クンバカルナがジャンプして着地する度に隆起した地面がスルトやユーコに襲い掛かった。地面から飛び出して来る攻撃は剣では防げないからな。


「丈夫な上にあの弾力は厄介だな…」


「クンバカルナの弾力装甲です。それにクンバカルナは全属性耐性に堅城も持っています。正直真っ向勝負を挑むのが一番いいでしょう」


「ヴァサヴィ・シャクティを使うべきやろか?」


レイジさんが手に持つヴァサヴィ・シャクティを見て言ったが俺はそれを勧めない。クンバカルナはボスじゃない。確かに化け物レベルで強いがレーヴァテインが倒せない敵ではないことを証明した。それならやはりこいつは実力で倒すべきだろ。


「ほならやっぱり化け物には化け物で対抗するしかないって感じか?」


「だな…」


ここで召喚師たちがマリッジバーストを使った状態で切り札を使うがクンバカルナの攻撃の前に成す術がない。


「スルトも早さがないので、困った状況ですね」


「グォ…グォ?」


俺は悔しそうな月輝夜の声を聞いた瞬間にあるアイデアが閃いた。切り札を温存しつつ、巨大でパワーがあり、尚且つスピードも保つ方法がある。ただこれをするには月輝夜に覚悟を問わないといけない。


「みんな、シルフィ。悪いけど、時間稼ぎをお願い出来るかな? リースは残ってくれ。俺は月輝夜とちょっと話がしたい」


「わかりました。指揮は私がしますね」


「任せて! タクト! いっくよー! みんな!」


みんながクンバカルナに挑んでくれている間に俺は月輝夜と話す。


「月輝夜…あいつに勝ちたいか?」


「グォオオオ!」


「勝ちたいよな。俺にはお前をあいつに勝たせる方法がある。ただしそれをすると俺がいつも抱えているもの全てを月輝夜が背負うことになる。その覚悟があるか?」


「グォ…グォ!」


月輝夜は俺の言葉の重みを理解して、怯むがそれを受け止めて、しっかり頷きを返して目から絶対に勝つという意志を感じた。


「そっか…なら俺はお前を信じて俺の力を託すとしよう。リース。俺に融合スキルをくれ」


「え…それって、まさか」


「あぁ…俺と月輝夜が融合する。これなら恐らく巨大さを維持して、尚且つ速さをパワーを兼ね揃えることが出来るはずだ。頼めるか?」


「わかりました。恩恵! 融合スキルを主様に!」


「ありがとな。リース。いくぞ! 月輝夜! 融合!」


俺が月輝夜の中に入ると月輝夜が雄叫びを上げて、変化する。


「なんだぁ?」


俺と融合した月輝夜は身体が青く染まり、青髪のオールバックロングヘア―になった。これで月輝夜がもし負けたら、俺も死ぬことになる。俺の死はリリーたちがいなくなることを意味している。だから俺は月輝夜に覚悟を問わなければならなかった。


『この戦闘、お前に任せる。思う存分やってくれ』


「グォオオオオオ!」


「姿が変わって、格好いいど。お前。っ!?」


雷速で月輝夜がクンバカルナとの距離を詰めると地面を強く踏み込み、クンバカルナの顎に向かって荷重操作に魔拳を加えたアッパーが直撃する。


「がう!? なんだら! お前!」


みんなを苦しめているクンバカルナが危険な拳が月輝夜に振るわれる。しかし一撃必殺クラスのパンチだが、速さはない。月輝夜は冷静にクロスカウンターを決めて、クンバカルナを殴り倒す。


「急に強くなっただ…っ!?」


「グォオオオ!」


「覇撃!」


レーヴァテインの覇撃二連続が倒れているクンバカルナを襲うがボールのように跳ねて回避する。


「なんなのよ! あいつ!」


「落ち着いて、ユーコ。レーヴァテインが頼りなんだから今は戦況を見守ろう」


メルの言う通りでやはりこいつの止めはレーヴァテインが現状一番いいと思う。だから俺たちの仕事はこいつをボコボコにして、レーヴァテインの一撃を決める手出しをすることだ。


ここでボールになったクンバカルナが回転して、こちらに突撃して来た。


「みんな! 逃げて!」


「引かれたら、終わりだぞ!」


こんな勝負に巻き込まれるプレイヤーたちには非常に同情するが今はこれを何とかしないといけない。


『やれるよな? 月輝夜?』


「グオ!」


月輝夜は神剣イガリマを地面に斜めに突き刺すとボール状のクンバカルナが神剣イガリマに乗った瞬間に神剣イガリマを持ち上げ、クンバカルナを空に打ちあげた。


「おわー!? けどもおらの技を忘れているど? 魔神技! マラヤマウンテン!」


『お前に空は似合わなねーよ! あいつに空の戦闘を教えてやれ! 月輝夜!』


「グォオオオオオ!」


月輝夜が雷化を使用すると再び拳がクンバカルナに決まる。そしてクンバカルナが手に持った山にも拳が次々放たれて、山が破壊される。


「お、おらの山が!? っ!?」


「グォオオオオオ!」


クンバカルナに月輝夜の拳が次々決まる。しかし雷化の時間の間には決めきれない。


「よくも好き放題殴ってくれたぞ! お前! デモンクラッシャー!」


クンバカルナが渾身の拳が月輝夜に迫る。本来なら空が飛べない月輝夜にこの攻撃を回避する手段はないが空に既に浮いている月輝夜は上昇して回避してしまう。


「あ?」


クンバカルナにとっては意味が分からない現象だったのだろう。この巨体で翼がないのに空を自由に飛べることなどあり得ないと…しかし俺と融合した月輝夜にはスサノオの加護が追加されているので、これが可能なのだ。


「グォオオオ!」


月輝夜が空で回転するとクンバカルナの頭に踵落としが決まり、勢いよく落下するのを見た月輝夜は魔素解放で腕を増やすとオーガラッシュを発動させる。


これを腕でガードしようとするクンバカルナだが、ボコボコに殴られて、地面に落下するとポッチャリなお腹にデモングランドクラックを発動させる。


「ぐえぇ~!?」


こう言ってはいるが踏みつけた月輝夜は弾力装甲でトランポリンのように空に跳ねてしまう。非常に楽しいがここは邪魔になるので、魔素化で消えよう。俺たちが魔素化して消えたことで変わりに空から現れたのはジャンプしてレーヴァテインにを突き刺す姿勢になっているスルトだ。


「まっずいど~!?」


「やれてくれ!」


「スルト! 止めて下さい!」


スルトの攻撃がヴィビーシャナとシルフィの声で止まる。


「た、助かったど…」


「感謝します。異国の姫よ。私が分かるか? クンバカルナ」


「ヴィビーシャナ! お前さんがおいらを助けてくれたのか?」


「私は懇願しただけだ…クンバカルナ。どうして私たちに攻撃してきたのだ? 理由を聞かせてくれ」


クンバカルナは話をする。話を纏めるとこんな感じだ。まず象に乗っていたラークシャサたちに起こされて、シュールパナカーからラーマがラーヴァナの妻を奪う為に国に攻め込んで来て、国の大ピンチだから戦って欲しいとお願いされたという感じらしい。


「おおよそ間違ってはいないが…シータのところだけ酷い曲解をされているな」


流石にラーマもこれには頭を抱える。確かにこれならラーマはかなり悪者に見えてしまう。ヴィビーシャナが正しいことをクンバカルナに伝える。


「そ、そんなの嘘だど! ヴィビーシャナは妻欲しさにこいつらの仲間になったって、おいら聞いただ!」


「ラーマ殿が妻を奪う話のはずが…どうして私までそこに加わるんだ…」


確かに意味が分からない状況になっているな。嘘をつくのが上手いのか下手なのかシュールパナカーはよく分からないキャラであることは分かった。


「言われてみれば変だど」


「言われる前に気付け! はぁ…でもこれでお前も分かっただろ? 今回の一件は完全に兄上たちが悪い。兄弟の過ちは兄弟である我々が正すべきだとお前なら思ってくれるよな?」


「う…うぅ…言いたいことは分かる…分かるけども…うおおおおお! 逆鱗!」


クンバカルナが起き上がるとジャンプして、俺たちとの距離を取ると逆鱗を発動させる。


「おいらは兄弟を信じるどー! 邪魔する奴は皆殺しにしてやる! 天変地異!」


フィールドに暗雲が発生すると無数の雷と巨大竜巻が発生するがここはセチアや和狐たちが結界で防いでくれる。しかしずっと耐えられる攻撃でもない。


「…大馬鹿者め…すまないな。私のわがままに付き合わせてしまって…もう十分だ。これがクンバカルナが自ら選んだ道だと言うならその道を尊重しよう」


「俺にも大切な兄弟がいるからな。気持ちは分からないでもない。兄弟を信じる気持ちも兄弟の力になりたいと思う気持ちも悪ではないと俺は思う…だが、敵だと言うなら倒さねばならない。すまないがユーコ殿。頼めるか? あの優しいラークシャサを眠らせてやってくれ」


「任されたわ。レーヴァテイン! 魔剣解放!」


ユーコがレーヴァテインの魔剣解放を使うとレーヴァテインに黒炎が発生する。これに対してクンバカルナも自分の武器を構える。


「グランドサザンクロスだど!」


「カラミティカリバー!」


レーヴァテインの黒炎のカラミティカリバーとグランドサザンクロスが激突するとグランドサザンクロスは負けて、クンバカルナにカラミティカリバーが直撃する。


「おらはまだ負けて…っ!? いない…ど…」


クンバカルナが不屈で耐えたように見えたが一歩踏み出したところで倒れて、力尽きた。そして戦闘終了のインフォが来る。


『ファリーダの魔神技のレベルが40に到達しました。魔神技【デモンズノヴァ】を所得しました』

『アリナの二刀流のレベルが15に到達しました。二刀流【カウンタークロス】を所得しました』

『ルーナの精霊剣のレベルが40に到達しました。精霊剣【ミラージュスラッシュ】を所得しました』

『ルーナの妖精技のレベルが30に到達しました。妖精技【フェアリーサークル】を所得しました』


流石に長期戦だったからスキルのレベル上げがでかいな。そして俺たちは一斉にレーヴァテインを見る。


「今のがレーヴァテインの魔剣解放の効果か」


「妖刀解放と同じ効果みたいね…ほら。回復しているわ」


「大規模攻撃の即死特化で敵の生命力まで吸収するなんてぶっ壊れ装備にも程があるね」


「よくよく考えると期間限定の装備クエストみたいなものですからね。強い武器になるのはしょうがないかと…それにしてもやりすぎではありますね。いよいよこのゲームの終わりが近い装備が出て来たって感じですね」


最後に最強武器を与えて、プレイヤーを気持ちよくさせてゲームを終わらせるか…それも一つの終わり方ではあるんだけど、楽には勝たせてはくれないと思うな。それをある意味ではクンバカルナが証明してくれた。


俺たちは手分けして、ラークシャサたちを解体する。阿修羅の矢にラークシャサの武器と鎧が手に入った。ラークシャサの武器は鬼の専用装備なのに月輝夜は対象外の武器だった。


「オーガと鬼は違うってことなんですね」


「「「「納得いかん」」」」


オーガ持ちはみんな激おこだ。結局俺の取り分はシルフィの夜叉に全部上げた。


「ありがとうございます。よかったですね。夜叉」


「まぁ、俺の専用の武器だしな」


「お礼をちゃんと言えないんですか?」


「あ、ありがとよ」


夜叉がシルフィの圧に負けた。凄い圧を感じたぞ。俺たちが震える中、クンバカルナの解体をレイジさんがすることにした。手に入ったのがこちら。


アイラーヴァタの牙:レア度10 素材 品質S+

インドラの聖獣アイラーヴァタの象牙。海と聖なる力が宿っている象牙で主に槍や剣の素材として使用され、曲がった刃の武器を作ることが出来る。


インドラがクンバカルナと対戦した時にインドラは負けており、その際に自分の聖獣であるアイラーヴァタの象牙が折られている。クンバカルナはそれを武器として持っていたわけだな。


それにしてもとんでもない被害が出た。ただ倒された猿のセリアンビーストたちはハヌマーンが蘇生薬を持ってきてくれたが薬の数が足りず、俺たちも出す事になった。部隊の立て直しはすることが出来たがプレイヤー側の損耗も激しいので、ここでテントを使い、休憩を取ることにした。俺たちは夕凪の中でゆっくり休憩だ。


そしてハヌマーンから次の攻略先について、話がされる。


「この荒野を抜けた先が森で森の中央付近に湖がある。その湖の中央に島があって、その島にラーヴァナとシータがいるはずだ」


「その森を支配しているのはインドラジットです。あいつはその森にある祭壇で儀式をすることで無敵の力を手にします。その状態のインドラジットとは絶対に戦わないで下さい。彼の儀式の効果が終わるまで耐え、彼の儀式を邪魔することが一番の攻略法だと思います」


この話もほぼ神話の通りだ。


「耐えるなら俺たちの仕事だが…」


「完全に俺を狙って来ると思いますよ?」


「滅茶苦茶気に入られてましたもんね」


「確かにあそこまで嬉しそうなインドラジットを見てるのはインドラとの戦闘以来だと思います。ただあいつは戦闘での勝利に固執する奴です。必ずしもあなたを襲うとは限りません」


ヴィビーシャナにそう言われると納得せざるを得ない。それにゲームである以上、神話の通りに攻略する必要もないという意見が出る。


「祭壇を破壊か制圧するとインドラジットの無敵は解除されませんか?」


「どうなんでしょう…そんなこと起きたことが無いので、わかりません」


それはそうだろうな。これらの意見を聞いたラーマが結論を出す。


「話を纏めるとまず部隊は分けるべきだろう。一つの部隊はインドラジットと最初に戦う部隊でもう一つはインドラジットの祭壇を見つけて破壊か無敵が解除されたインドラジットを倒す部隊だ。私はタクトと共に戦わせて貰う。インドラジットの相手はラクシュマナ、頼めるか?」


「任せて下さい。兄上」


俺の役割はインドラジットの足止めに決まった。もちろんデスペナルティなんてごめんなので、俺たちの部隊に念のためにミライを配置させて貰う。これでミライがやられない限りは大丈夫だ。安心して無敵のインドラジットと戦える。


俺はここで一旦ログアウトして休憩することにした。インドラジットとの決戦は16時からだ。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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