#1292 破壊と太陽の鷹神
新たに降臨したのはラーの目がある黄金の額当てとホルスの目のネックレスを持つ黄金の鷹の翼を持つ人型の太陽神だ。
ホルアクティ?
? ? ?
武器はセトとホルスが使っていた剣の二刀流。俺たちが戦闘態勢になるのを見て、ホルアクティが言う。
「では、行くぞ」
ホルアクティの額当てにあるラーの目に破壊の力が集まる。それを見た俺たちは一斉に迎え撃つ体制になる。
「神技。ラー・アイン」
全てを破壊する太陽光線と俺たちの波動技がぶつかり合うが一瞬で負けて俺たちは吹っ飛ばされる。防御無効に破壊の力まである火属性と爆属性、光属性の攻撃か…俺が耐えられたのは防具のお陰だな。今の一撃で普通は終わっていたぞ。
「捨て身の一撃! 光速激突!」
ホルアクティが真っ赤に染まると俺に向かって突っ込んで来た。下手なスキルで止めれる攻撃じゃない。俺がカウンターを狙う体制になるとホルアクティは剣を構える。
「雷光刃! 森羅万象!」
「神技! ホルアクティ・ダストストーム!」
ホルアクティは黄金の砂塵嵐となって、俺に突撃して来た。そして俺の必殺の斬撃と激突すると火花が散る。この砂塵嵐、まるでドリルだ。そもそも捨て身の一撃が加わっている時点でカウンターが出来ない攻撃をされたことで俺は詰んでいた。
俺は弾かれて、黄金の砂塵嵐の斬撃に身体を抉られたかのような攻撃を受けた。意識が飛びそうになった瞬間だった。俺の脳裏にスサノオが浮かんで負けるなと言われた気がして、目を見開く。そうだよな。太陽神には負けられないよな!スサノオ!
「ぐぅううう! 星光刃!」
刹那のやり取りの結果は俺は爆心の効果で爆発すると地面に倒れ込む。直撃は避けたけど、俺の胴体はボロボロな状況だった。そしてホルアクティは俺のほうを見ると倒れ込む。ホルアクティの背と胴体には星光刃が貫いた斬撃の後が残っていた。砂と雷では相性が悪かったが光なら話は別だ。我ながらあの一瞬でよく攻撃出来たものだよ。
「弾かれ、斬撃を受けて後にあそこから星光刃で貫いて来るとはな…恐ろしい人間だ」
「俺はファリーダの召喚師で夫だからな。お前に簡単に負ける訳にはいかないんだよ」
俺が回復ポーションで回復しているとみんながホルアクティに襲い掛かる。
「初手で決めれなかったとすれば我も真の姿を見せざるおえんな…鳥化!」
ホルアクティから黄金の光が発生すると部屋の天井が消し飛び、サンドウォール砂漠の夜空に太陽の光を放つ巨大な黄金の鷹が降臨した。
パ・ホルアクティ?
? ? ?
どうやらここからはかなり戦闘フィールドが広がるらしい。
「それがあなたの本来の姿って訳ね。前の戦闘ではずっと剣で飛び回って攻撃してきた癖に」
『それが有効だったからな。しかしそちらに嵐の神と契約した人間とアポピスがいるなら戦術を変えざるおえん』
「スキアーとセフォネはタクトを守りなさい。相手が空を飛んでいる以上はどうしょうもないわ
」
「分かったのじゃ」
セフォネが俺に寄り添い、スキアーは俺たちを身体で隠してくれる。
「ノワ」
「…ん。夜空を飛ぶなら邪竜が相手をする。…叢雲も本気出す。…竜化!」
「ぎー!」
ノワが竜化を使い、叢雲が天昇を使った。そしてファリーダが叢雲の頭に乗る。それを見たパ・ホルアクティが言う。
『我こそはサンドウォール砂漠の夜に現れし、魔物を破壊する太陽神にして破壊神なり! 汝らの闇で我に勝てるというのなら勝ってみせよ!』
「言ってくれるじゃない…お望み通り勝ってやるわよ!」
『…ん。にぃの命を狙った罪は重い。…叢雲、あいつは絶対に許しちゃダメ』
「ギー!」
そしてサンドウォール砂漠の夜空で怪獣大決戦が始まる。
『ゴッドブレス!』
『…ドラゴンブレス!』
『火山弾!』
「デモンクラッシャー!」
ゴッドブレスとドラゴンブレスが激突し、大爆発するとパ・ホルアクティは口から火山弾を放つとファリーダがデモンクラッシャーで破壊する。
『暴旋風!』
「ギー!」
パ・ホルアクティは次に暴旋風を発動させると叢雲が暴旋風で激突させるとこれは互角に終わった。
『…闇転移。…魔素刃!』
『陽炎! 羽投擲!』
『…影分身!』
ノワがパ・ホルアクティの背後から奇襲をすると陽炎で躱されて、パ・ホルアクティの羽投擲がノワたちに降り注ぐがノワは影分身を盾に使うことで阻止する。すると影分身たちが爆心の効果で爆発すると呪滅コンボが発動されるがパ・ホルアクティが太陽の輝きを放つと呪滅コンボは無力化される。
『神技! ゴッドウィング!』
『…竜技。ドラゴンウィング!』
ノワとパ・ホルアクティの翼が激突する。
『溶断!』
『…むぅ~! あぅ!?』
ノワが片羽を失い、また溶接の効果で復活を封じられ、爆心の効果で爆発して墜落する。しかしパ・ホルアクティは容赦なく、ノワに追撃を加えに入る。
『捨て身の一撃! 光速激突!』
『…ドッペルゲンガー』
ノワの守るようにもう一人のノワが現れるとパ・ホルアクティを受け止める。しかしそれは僅かに時間稼ぎにしかならなかったがノワにはそれで十分だ。
『…ドラゴンテイル!』
『ぬぅ!』
パ・ホルアクティが止まったことでノワのカウンターが決まる。それが致命的な隙となった。
『…ドラゴンブレス!』
「ギー!」
「魔神波動!」
『光化!』
これはパ・ホルアクティも光化で回避するしかなかった。そして捨て身の一撃を使ったことでパ・ホルアクティはピンチを迎えるがここからが冷静だった。光化からの攻撃には繋げず、距離を取ると再生の炎で回復を図る。叢雲とファリーダが攻撃を当てようとするが超加速と神速、残像で攻撃を当てられない。
「ギー!」
『通用せぬよ。黄金障壁!』
叢雲が黒雨を降らせるがガードされて、回復を許してしまう。その間にノワは俺たちの所に墜落して来て、ノワは竜化を解除すると俺たちは回収する。
「…にぃ、ごめんなさい」
「謝る必要なんてないさ。見事なカウンターを決めてくれたんだからな」
「…ん」
空では叢雲とファリーダがパ・ホルアクティに翻弄されていた。超加速と神速のスピードに加えて、鷹としての空での機動力が圧倒的に不利だ。何よりファリーダと叢雲がして欲しい接近戦をしてこない。
どうやら最初に叢雲から潰すように動いており、爆破の魔眼と羽投擲で叢雲のダメージが蓄積されていく。戦闘ではこういう冷静な判断が出来る者が一番強いんだよな。
「ギー!」
叢雲が強引に距離を潰そうとするが相手にされず、全身が赤くなると放射熱線の拡散光線が放たれ、ファリーダも必死に対処するが数発命中する。このままでは詰んでいる。しかし俺たちにはまだ対太陽神の切り札がある。
『神技! ホルアクティ・ハブーブ!』
パ・ホルアクティが二人の周りを物凄い速度で回ると叢雲を包み込むほどの黄金の砂嵐が発生し、二人は砂嵐の風に巻き込まれながら砂の熱で体が焼かれて、墜落する。
『今回はここまでのようだな』
「…ふふ。それはどうかしら? 前のあなたがファラオを呼んだようにこちらにもあなたの天敵を呼び出せる子がいるのよ」
『何? っ!』
パ・ホルアクティが俺たちを砲を見るとセフォネの姿がそこにあった。
「確かに空中戦ではお主には勝てぬ! かと言って無視したのがお主の敗因じゃ! 生物創造! いでよ! 最強の魔狼! フェンリル!」
セフォネが召喚したのはフェンリルだ。そのフェンリルがパ・ホルアクティに襲い掛かるが速度で上回るパ・ホルアクティに攻撃は当たらない。
『大したことないな』
そういうパ・ホルアクティだが、パ・ホルアクティの攻撃もフェンリルには通用していなかった。その結果、追いかけっこが発生するのだが、ここでセフォネがフェンリルを追加召喚する。
『く…』
「シャー!」
パ・ホルアクティはこれ以上のフェンリルの召喚を阻止しようと動くがスキアーが邪魔をし、俺が旭光近衛を構えた瞬間、危険を察知してパ・ホルアクティは回避行動を取った。俺もスキアーに護られていただけじゃない。パ・ホルアクティのように超加速を発動させ続けていた。攻撃をしない分、超加速による俊敏性の増加速度は俺の方が上だ。それを感じ取り、回避行動を選んだのだろうがフェンリルが二匹になったことで俺はパ・ホルアクティに王手を出している。
フェンリルもどんどん超加速で俊敏性が上がっており、二匹のフェンリルに追い込まれていた。それでも対処出来ていないのは俊敏性の差によるところが大きい。しかしセフォネが三匹目を召喚した。二匹でギリギリの戦闘だったからこれはもう詰みだろう。
『く…! ぐわぁあああ!?』
遂にフェンリルの爪がパ・ホルアクティの右翼に命中し、バランスを崩すと右足にフェンリルが噛みつき、別のフェンリルが左翼を噛み千切った。ここでパ・ホルアクティは最後の勝負に出た。
『神技! ホルアクティ・ダイブ!』
身体全身を燃やし、灼熱の太陽の怪鳥となったパ・ホルアクティが俺たちに決死の突撃をして来た。
「神刀解放! 超電磁! 雷光刃! 雷光! 神速! 転瞬! ぶった斬れ! 旭光近衛! 嵐影湖光!」
俺とパ・ホルアクティが激突する。
「『おぉおおおおお!』」
せめぎ合ったがパ・ホルアクティの顔に電子分解の効果が発動して、そのまま頭から真っ二つして旭光近衛の不死殺しと溶接、吸収効果が発動する。最後はセフォネが召喚したフェンリルたちが残骸を食い荒らして、戦闘が終了した。ここでまた回復ポーションを使う。
「…気分が悪くなってきた。…にぃ~。にぃ~。…ジュース」
「おえーなのじゃ。タクトよ。そろそろ血を」
「はいはい…」
俺はここでみんなに料理バフを与えるとファリーダがジュースを飲みながら言う。
「ここまで苦戦させられるなんて計算違いにも程があるわね。でも次からが本番よ」
「分かっているよ」
俺たちがそう言うと完全に食われたパ・ホルアクティがホルアクティの姿に戻っていう。
「まさかあそこからこんな方法で逆転を狙うとは見事だ。お前たちは我が四番目の姿を見せるに値すると認めよう。さぁ! ゆくぞ!」
いよいよ前回ファリーダが負けたラーの四番目の姿が降臨しようとしていた。




