#1289 ブランのアテナの槍
夕飯のコロッケを食べた俺はゲームにログインすると下でシルフィがいた。
「女神様に変装した感想を聞かせてくれませんか? タクト」
「最悪だったよ。シルフィに声をかけなくて正解だった」
「なんでですか! リビナちゃんたちだけ見てズルいですよ!」
「なるほど。シルフィに言ったのはリビナか」
俺がリビナを睨むと逃げ出した。いいですよ。ご飯抜きです。散々巨人たちを生命力を吸ったんだし、大丈夫だろう。
ここで俺はリリーたちと夕飯を食べながら午後の予定を話す。
「ギルドで聖杯を使わせて貰ってからファリーダの最後の試練に挑もうと思う」
「いよいよね」
「む? 緊張しておるのか? ファリーダ」
「それはそうよ。ところでタクトと子供遊びをして楽しかったかしら? セフォネ」
二人の間で火花が散る。俺は二人は宥めるとへ―パイストスがやって来た。
「ブランさんの槍が完成しましたよ」
「本当ですか!」
「食事中だぞ。ブラン。ヘーパイストスもまずはご飯を食べてくれ」
「「…はい」」
俺のこの姿を見て、セフォネは俺をお母さんとか主張して、リリーたちの間で議論が発生した。結論はご飯を作ってくれるお父さんという主婦ならぬ主夫という結果になった。さて、ご飯も食べたことだし、武器の確認をしよう。
神槍リープリングアテナ:レア度10 槍 品質S+
重さ:50 耐久値:12000 攻撃力:12000
効果:神殺し、魔神殺し、大物殺し、不死殺し、火属性アップ(究)、神聖属性アップ(究)、万物貫通、武器破壊、破魔、防御無効、鼓舞、放射熱線、強激突、光速激突、神気、英気、神障壁、溶岩壁、瞬間再生、魔力回復、巨大化、炎熱支配、荷重支配、重力支配、溶断、電子分解、紅炎、焼尽、熱風、電弧放電、雷光、雷霆、雷轟、神火、神雷、神雨、慈雨、後光、烈日、陽光、流星群、溶波動、海波動、雷波動、神波動、煉獄、炎化、雷化、光化、神撃、慧眼、回復領域、強化復活、奇跡、神槍解放、神威解放、加護無効、耐性無効、巨人の加護、聖人の加護、ヘーパイストスの加護、アテナの加護
刻印:帰還、超集束、超電磁
オリハルコンとアダマント、グラビティサイトの合金の槍にアテナの神石に聖骸布を使ったリープリングの旗を取り付けた槍。合金とヘーパイストスとサイクロプス三兄弟の力も加わることで突撃すると正面にいる敵を焼き貫き、通った背後を焼け野原にする力を持つ。
これは旭光近衛を超えてないか?少なくともスキルの数やステータスでは上回っている。流石にこれを知ったブランは慌てて、俺が持つべきと主張したけど、当然却下だ。
「ブランの装備はほぼ完成したと言っていい。後は防具と余裕があれば双剣と装飾品って感じだ。一応それが最後の武器になる可能性が高いことは覚悟してくれ」
「あ…わかりました」
ちょっと残念そうなので頭を撫でて上げた。俺も最後の装備と聞くと確かにガッカリしちゃうからな。そしてみんなでギルドに行き、昨日に引き続き約束の聖杯を使わせて貰う。と言っても俺がお願いしたのはアルさんでアルさんの聖杯分はチロルたちが使う事になった。そんな無茶を聞いて貰って俺が交換したのはアルさんが発見した天狗の専用装備だ。
崇徳天皇の羽団扇:レア度10 専用装備 品質S+
効果:天狗の召喚獣全ステータス+10、妖気、冥気、神魔毒、毒霧、大気壁、暴風壁、爆風波、旋風刃、獄炎、焼尽、煉獄、黒雷、雷轟、天候支配、大気波動、炎波動、雷波動、冥波動、疫災、怨念、影分身、雷化、魔素化、道連れ、不死身、号令、常闇、魔素解放、王の加護、魔神の加護
大魔縁となった崇徳天皇が持つ大天狗の羽団扇。桜花に厄災を起こす羽団扇で暴風や火災、雷を発生させ、人々を毒や病で苦しませる能力を持つ。天狗の神としての能力も宿っていることから天狗の専用装備となっている。
アルさんは崇徳天皇と戦闘したらしい。以前にも言ったと思うが崇徳天皇は日本三大怨霊に数えられているほど、無茶苦茶強い怨霊なのだが、ゲームの説明にあるように天狗になった話が存在している。
そんな彼が現れたのは保元の乱の後に彼が船で渡ったとされる讃岐。今でいうと香川県だ。讃岐うどんで有名な所でゲームでは俺が受けたそばクエストと同じようにうどんクエストがあると聞いた。クエストを受けたいけど、受けに行く時間がない。
アルさんによると疫病で苦しんでいる讃岐の人たちがいて、その原因を取り除くために山に向かうとお寺があり、そこで戦闘が発生したそうだ。かなり強くなっているアルさんがマリッジバーストに神威解放。伝説の武器の解放まで使ってなんかと倒せるほど強かったそうだ。
ただその報酬はかなり大きく、聖徳太子から選択式の報酬が行われて、桜花の武器シリーズが手に入るらしい。その中には村正や正宗、虎徹が持つ刀など日本を代表する刀や天下三名槍などがあったらしい。それを聞いた俺は無茶苦茶挑みたくなったのは言うまでもない。
この破格の報酬は聖徳太子がどれだけ崇徳天皇を危険視しているかを表しているんだろう。何せ対天皇にとって最強の怨霊だからな。この報酬には俺は納得がいっている。
そんな最強の怨霊でこのゲームでは天狗の神に位置している崇徳天皇の羽団扇を千影に渡す。
「はぁ…凄い力であります」
「千影なら大丈夫だと思うが力に飲まれるなよ?」
「…は!? は、はい! 承知しているであります! お館様!」
ちょっと心配だけど、大丈夫だと信じよう。これで今日の装備確認は終わり。次にヘーパイストスへの依頼をする。俺がお願いしたのは錫杖だ。この錫杖でいい装備が現状少ないので、チャレンジして貰う価値は十分にある。
「うーん…形が似ている杖になっちゃいそうですけど、いいですか?」
やはりギリシャ神話とは無縁の武器だから苦手みたいだな。こればっかりはしょうがない。
「大丈夫だよ。あ、それなら少し近接戦闘を意識した武器にして欲しい。みんな錫杖は近接戦闘で使うことが多いからな」
「どうしても魔法は杖のほうが強くなるので、しょうがないと思いますよ。でも、近接戦用の杖か…ちょっとみなさんの戦闘を見せて貰ってもいいですか?」
「もちろん。和狐、伊雪、千影頼めるか?」
「「「はい」」」
三人がそれぞれ使って見せた。こうしてみると同じ武器でもそれぞれ微妙に動きが違っていることがわかるな。和狐はしっかり足を地面につけて戦うタイプで伊雪は錫杖をよく回して、敵を牽制しながら戦うタイプ。千影はアクロバティックな戦闘を披露した。
最後になぜかブランの戦闘を見たヘーパイストスはイメージが固まり、依頼を受けてくれた。これは結構期待値が高いな。これで依頼は終わり。それじゃあ、いよいよ長く続いたファリーダのクエストに決着を付けさせて貰うとしよう。




