#1286 リリーたちの魔導書作製
最初にギルドでチロルたちから約束の聖杯でゴールデンフリースを出して貰った。その後、革を物色していると当然店員のプレイヤーに声をかけられた。
「革素材を探しているんですか?」
「あぁ…魔導書を作ろうと思ってね」
「魔導書で何かいい素材が手に入ったんですか?」
「あぁ。紙素材でね。もう生産体制を整えたから売りに出すつもりだよ。何なら交換でもいい」
俺はパピルス草を見せると店員さんは本気で悩む。どうやら初見素材であることは間違いないらしい。
「分かりました。では、この素材と交換でどうですか?」
「テューポーンの鱗を革にしたのか…でも、いいのか? 明らかにそっちの素材の方がいいぞ」
「そうでもありませんよ? 魔導書の紙素材は需要があり過ぎますし、しかも新素材ならテューポーンの革より儲けになると判断しました」
「そういうもんか…しっかりしているな。それじゃあ、交換で頼む」
これでテューポーンの革をゲットした。他にもいい素材が見つかる。
キャスパリーグの革:レア度10 素材 品質S+
キャスパリーグの皮を加工処理した素材。硬さと共に絶大な魔力を宿しており、対魔法防御の防具や魔導書の素材として利用される。
アヴァロンに向かった時に逃がしたキャスパリーグを誰かが討伐に成功したみたいだね。これはいい素材なので、買う事にした。後は各天使の羽から作られたギルド管理の羽ペンを借りて、帰宅する。
さて、ここからは欲しい皮素材集めの時間だ。狙うのはフェンリルとラードーンにした。ラードーンとは白黒つけないとね。というわけで島に移動して、二匹の狩りを狙う。
まずはフェンリル戦。選んだのはイクス、リビナ、セフォネ、ファリーダ、グレイにした。このメンバーでブラン無しでどこまでフェンリルに通用するかちょっと見て見たい。
俺がフェンリルを出すとフェンリルは真っ先にファリーダに襲い掛かったがグレイがフェンリルと激突するとお互いに弾ける結果となった。グレイは魔狼神王の鉤爪を見て、頷く。さっきのやり取りでこの爪ならフェンリルと戦えると理解したみたいだ。そしてフェンリルもグレイに自分の爪があることを理解しただろう。
お互いが睨み合う中、先に展開していたサテライトキャノンがフェンリルに発射されるとフェンリルはこれを避け、グレイはフェンリルに襲い掛かり、両者が激しいひっかき合いに突入した。するとどうしてもグレイは劣勢になる。神鎧グレイリリコスアーマーがあるから防御では上回っていると思うけど、相性や単純なステータス差で負けているな。この結果はグレイにとっては悔しいと思うところだと思うが、グレイはちゃんと仕事が出来る子だ。
セフォネが生物創造を使おうとしている時にフェンリルは危険を察知してファリーダとイクスを置き去りにして、セフォネに大きな口を開けて突っ込んで来た。
「ぬわぁあああ!? それは不味いのじゃ!?」
「ガァ!」
グレイが横からフェンリルの首に鋭い鍵爪で攻撃を放つとフェンリルの毛皮に突き刺さり、グレイが横から襲い掛かったことでフェンリルはセフォネの横を過ぎ去る。
「あ、危なかったのじゃ…」
「ガ!?」
グレイがフェンリルの爪でぶっ飛ばされる。
「グレイ!? おのれ! 妾を助けてくれたグレイをよくもやってくれたな! お仕置きの時間なのじゃ! 生物創造! ヨルムンリング!」
ヨルムンリングが召喚される。俺はラグナロク前にどうしてもこれを確認しておかないと行けなかった。無事に召喚出来て良かったよ。
「行くのじゃ! ヨルムンリング!」
フェンリルの首にヨルムンリングが巻き付くとフェンリルの能力が封印される。こうなればこちらの物だ。
「リビナ!」
「オッケー! いっくよー! 魔王魔法! パフューム・ビウィチ!」
ピンクの霧が発生し、それを吸い込んだフェンリルは魅了と精神誘導の状態異常になり、正常な判断能力を失う。
「今だよ!」
「一気に畳みかけるわよ! イクス!」
「はい」
「大丈夫か? グレイ。一緒に行くぞ! 超連携だ!」
俺たちの猛攻を受けてもなおフェンリルは反撃せず、そのまま倒されるとインフォが来た。
『ファリーダのレベルが20に到達しました。成長が可能です』
計算通りのレベルアップが来てくれた。残りはスキアーだな。
それにしてもこれがパフューム・ビウィチの力か…これでやろうと思えば相打ちまで狙えるんだからとんでもない魔法だ。とにかく比較的楽にフェンリルを倒せる方法が見つけられたのは良かった。後はヨルムンリングがラグナロクで通用するかどうかなんだよね。これが通用するなら正直グレイプニルを用意する必要がそこまでない。それは俺が先程の戦闘で証明した。
「これなら行けそうじゃぞ! タクト!」
「どうかな? 通常のフェンリルなら効果はありそうだけど、フェンリルの親玉に通用するのかちょっと疑問だな」
「そ、そうか…」
「落ち込まないでくれよ。通常のフェンリルが結構現れる可能性が高いんだ。その時、セフォネの力はみんなを凄く助けて来れるはずさ。誇ってくれ」
セフォネがリビナたちに威張り散らすとお仕置きを受ける。今のは怒られてしょうがないと思うので、助けません。解体すると毛皮だけゲット。まぁ、毛皮があるだけマシと考えよう。
次はラードーンと戦闘する。選んだメンバーは虎徹、ゲイル、白夜、ヒクス、リースだ。ここで俺はどうしても試しておきたいことを実行する。
「頼むぞ。リース」
「はい! 恩恵! 融合スキルを虎徹様に!」
「ガウ!」
「頼むぞ! 虎徹! 融合だ!」
俺に虎徹が融合すると虎の兜に虎徹の刀を持つ尻尾がある俺が爆誕する。今、俺の周りには日本を代表する日本刀が大集結しており、俺の両手には旭光近衛と十拳剣がある。こんな幸せな事はない。
「負ける気がしないな。虎徹」
『ガウ!』
「「「「シャー!」」」」
ラードーンの首が次々ブレスを放ってきた。
「使わせて貰うぜ! 虎徹! 五月雨斬り! おらおらおらおら!」
俺たちは各ブレスを尻尾で持つ剣たちが次々斬り裂き、ラードーンの首に接近するとすれ違いざまに斬り落とした。これに怒ったラードーンは雷轟を発動させるが雷はゲイルに全て落ちる。
「ガウ」
雷はあげませんよ?という顔をされた。俺もスサノオの加護で吸収できるからね。ただ電磁操作が無いので、俺のほうが分が悪い。まぁ、元々ゲイルの邪魔なんてする気はないけどね。
ここでラードーンは強化復活を発動させると超覚醒も発動させる。この瞬間を待っていた。
「封滅の陣!」
ラードーンの周囲に小太刀が突き刺さるとラードーンの全スキルを封じた。これで不死身も封じたし、ほぼ詰みだ。後はみんなに任せよう。
「ヒクスさん。騎乗訓練お願いします」
「ピィ!」
リースはヒクスに乗るとヒクスは全力戦闘を見せる。次々突撃しては空間転移で別の所に移動して突撃を繰り返すヒクスの得意戦闘と白夜の仙郷移動の戦闘にリースを慣れさせるためにヒクスと白夜を選んだ。後はゲイルと白夜のレベル上げも兼ねてます。
「最後は仕留めようと思っていたんだけどな。止めはリースと白夜に取られちゃったか。見事な超連携だった」
「あ、あれは白夜さんが言ったからですよ! 狙っているからって」
「ガウ?」
「そこで知らない顔しないで下さいよ~。白夜さ~ん」
こうは言っているリースだけど、段々戦闘に自信が付いて来て、いい感じだ。慢心せず盾もしっかり使っていたので、安心してみていられた。ここでインフォが来る。
『ゲイルのレベルが40に到達しました。成長が可能です』
『白夜のレベルが40に到達しました。成長が可能です』
狙い通り二人の成長は来てくれたけど、ラードーンは何も落とさなかった。なのでもう一回倒します。メンバーは変えて、ディアンとストラ、月輝夜、スキアー、叢雲で怪物対戦を挑む。
「「「「ギャオオオオオ!」」」」
流石に超覚醒を使って来たが俺が不死身を封じた上で叢雲の加護無効とスキアーの原初の加護がラードーンに突き刺さった。スキアーの毒と叢雲の疫災でラードーンはボロボロになりながら必死に叢雲に攻撃するが虚無壁がブレスを阻み、噛みつこうとすると斥力場で吹っ飛ばしていた。
そして遠距離からディアンの空間捕食で次々首を失い、ディアンを攻撃しようとすると神剣イガリマを装備した月輝夜が立ち塞がる。最後は俺が胴体に旭光近衛を突き刺し、全員が大技を発動させて、ラードーンは倒された。
『スキアーのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
これでラーに挑戦する準備は出来た。まだスキアーのレベルは低い気がしないでもないが行ってもいいだろう。
一方で流石にラードーンがボコボコにされる戦いにストラを参加させたのは反省する次第である。普通にストラが引いている気がする。特に叢雲がストラのトラウマにならないか心配だ。何はともあれ解体すると欲しい物が手に入った。
百龍の鱗:レア度10 素材 品質S+
ラードーンの鱗。全ての属性のドラゴンの力が宿っている鱗で作る装備で効果が多彩に変化することで知られている。防具職人にとっては非常に研究のし甲斐がある素材でオリジナルの協力な防具を作製しやすいので、非常に人気がある。
まさかこんな鱗が来るとは思ってなかった。魔導書に使うとどうなるか楽しみだね。これで一通り素材は揃ったので、魔導書の作製に入ろう。
相性が心配だけど羽ペンのインクにはテューポーンの血液を使う。インクを作製している間に和狐と伊雪にゴールデンフリースとフェンリルの毛皮、世界魚の鱗、百龍の鱗を革にして貰うと結構な量になった。これは他の素材に使ってもいいな。
二人が革作業をしている間にリアンと合わせて成長を実行する。
『リアンの成長が完了しました。海震、星虹、日光、液状化、水爆、妨害無効、奇跡を取得しました』
『水圧操作スキルが水圧支配スキルに進化しました』
『海流操作スキルが海流支配スキルに進化しました』
『水飛沫スキルが鉄砲水スキルに進化しました』
『ファリーダの成長が完了しました。魔神障壁、融解、溶接、火山弾、物質化、領域操作、核撃、物理無効を取得しました』
『魔力回復スキルが魔力超回復スキルに進化しました』
『荷重操作スキルが荷重支配スキルに進化しました』
『ゲイルの成長が完了しました。破魔、黄金障壁、電磁場、電子分解、日光、絶対防御、王撃、荷電球を取得しました』
『電磁操作スキルが電磁支配スキルに進化しました』
『白夜の成長が完了しました。破魔、気力装甲、気力融合、瞬間再生、彗星、石ブレス、王撃を取得しました』
『虚空切断スキルが時空切断スキルに進化しました』
『大地操作スキルが大地支配スキルに進化しました』
『スキアーの成長が完了しました。猛毒竜鱗、砂化、魔素化、魔素支配、地圧操作を取得しました』
『重力操作スキルが重力支配スキルに進化しました』
それでは準備も出来たので魔導書の作製をみんなとしよう。今回魔導書を作るのはリリー、イオン、セチア、和狐、アリナ、伊雪、ルミ、リースだ。そしてみんな魔導書に書きこむ内容を悩む。
「サタンのことが大嫌いは違うし」
リリーの純粋無垢な言葉の刃が父さんに突き刺さった音が聞こえた。
「人への文句よりもっと強い願いを書いた方がいいですよ? リリーお姉様」
「セチアちゃんはどんなことを書いたの?」
「見せません」
「ちっちっち。アリナはとっくに見ていたの」
「アリナ? もし言ったら、ずっとアリナが魔導書に書くまで張り付きますからね?」
笑顔で言うセチアの前に流石のアリナも沈黙した。そしてそれぞれが魔導書を作り終えて、完成品を確認する。
エンゼルタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:60 耐久値:600 魔力:300
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(極)、ドラゴン能力アップ(究)、筋力アップ(究)、神殺し、魔神殺し、破魔、竜気、再生の炎、超電磁、神火、焼尽、黄金障壁、暴風壁、不死身、天候支配、炎熱支配、電磁支配、森林操作、地脈操作、領域操作、守護結界、雷光、放射熱線、荷電光線、雷霆、雷轟、荷電球、奇跡、不屈、神撃、捨て身の一撃、加護破壊、熱無効、破壊の加護、楽園の加護
ミカエルとテューポーンの力がある黄金の竜が描かれた革表紙の魔導書。ラードーンの革の効果で不死身と楽園の力が宿っている。ミカエルの力も加わり、圧倒的な筋力を持つ主に与え、敵を薙ぎ払う能力がある。
ファミーユタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:60 耐久値:500 魔力:250
効果:無詠唱、複合詠唱、水属性アップ(究)、ドラゴン能力アップ(究)、生命力アップ(究)、回復効果アップ(究)、神殺し、魔神殺し、魔力超回復、瞬間再生、竜気、超電磁、暴風壁、大海壁、神水、激流、慈雨、大海波動、瀑布、天雨、天候支配、海流支配、電磁支配、領域操作、荷電光線、雷轟、流星群、彗星、天撃、状態異常無効、蘇生、強化復活、不屈、起死回生、奇跡、加護破壊、水属性無効、破壊の加護、原初の加護
ラファエルとテューポーンの力がある世界魚が描かれた革表紙の魔導書。バハムートの革の効果で原初の海の力が宿っている。ラファエルの力も加わり、圧倒的な生命力と回復能力で持つ主を死なせない能力がある。
アドマイアタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:450 魔力:350
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、魔力アップ(究)、回復効果アップ(究)、神殺し、魔神殺し、英雄殺し、魔力超回復、瞬間再生、魔力吸収、魔力支配、超電磁、暴風壁、魔霧、幻霧、夢幻、全反射、激流、慈雨、天候支配、海流支配、電磁支配、森林操作、地脈操作、領域操作、荷電光線、雷霆、雷轟、天撃、状態異常無効、蘇生、強化復活、不屈、起死回生、奇跡、耐性無効、加護破壊、破壊の加護
ラファエルとテューポーンの力がある愛くるしい猫が描かれた革表紙の魔導書。魔法戦に特化している魔導書であらゆる魔法を強化し、相手の魔法を吸収する力が宿っっている。ラファエルの力と耐性を無効化する力で魔法の撃ち合いでは圧倒的有利で戦うことが出来る。
ディヴァインタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:400 魔力:300
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(極)、英雄能力アップ(究)、神殺し、魔神殺し、大物殺し、破魔、竜気、星気、英気、魔力超回復、瞬間再生、超電磁、黄金障壁、暴風壁、大気壁、電磁場、神火、太陽風、日光、烈日、光合成、天候支配、電磁支配、炎熱支配、森林操作、地脈操作、領域操作、守護結界、放射熱線、荷電光線、英雄波動、雷霆、雷轟、荷電球、衝撃吸収、物理無効、不屈、奇跡、加護破壊、破壊の加護
ミカエルとテューポーンの力がある金色の羊が描かれた革表紙の魔導書。怪物退治の英雄の力が宿っている。かなりミスマッチな組み合わせとなっており、素材本来の力が十分に発揮されていないがそれでも十分過ぎる能力を持つ。
ハピネスタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:300 魔力:180
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(極)、ドラゴン能力アップ(究)、飛行速度アップ(究)、俊敏性アップ(究)、神殺し、魔神殺し、竜気、超電磁、黄金障壁、暴風壁、大気壁、電磁場、電弧放電、雷光、電子分解、超充電、不死身、投擲支配、武装射出、武装創造、格納、爆風波、多乱刃、怪風、天候支配、森林操作、地脈操作、領域操作、電磁支配、守護結界、荷電光線、雷轟、号令、奇跡、加護破壊、破壊の加護、楽園の加護
ガブリエルとテューポーンの力がある黄金の竜が描かれた革表紙の魔導書。ラードーンの革の効果で不死身と楽園の力が宿っている。ラファエルの力も加わり、無数の武器を作り出し、雷速で自在に武器を操る能力がある。
ハーミットタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:400 魔力:300
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(極)、英雄能力アップ(究)、神殺し、魔神殺し、大物殺し、破魔、竜気、星気、英気、魔力超回復、瞬間再生、超電磁、黄金障壁、暴風壁、大気壁、電磁場、日輪、日光、烈日、光合成、天候支配、電磁支配、炎熱支配、森林操作、地脈操作、領域操作、守護結界、放射熱線、荷電光線、英雄波動、雷霆、雷轟、荷電球、衝撃吸収、物理無効、不屈、奇跡、絶対防御、加護破壊、破壊の加護
ウリエルとテューポーンの力がある金色の羊が描かれた革表紙の魔導書。怪物退治の英雄の力が宿っている。かなりミスマッチな組み合わせとなっており、素材本来の力が十分に発揮されていないがそれでも十分過ぎる能力を持つ。
ユールタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:450 魔力:350
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、魔力アップ(究)、回復効果アップ(究)、神殺し、魔神殺し、英雄殺し、魔力超回復、瞬間再生、魔力吸収、魔力支配、超電磁、暴風壁、魔霧、幻霧、夢幻、全反射、激流、慈雨、天候支配、海流支配、電磁支配、森林操作、地脈操作、領域操作、荷電光線、雷霆、雷轟、天撃、状態異常無効、蘇生、強化復活、不屈、起死回生、奇跡、耐性無効、加護破壊、破壊の加護
ラファエルとテューポーンの力がある愛くるしい猫が描かれた革表紙の魔導書。魔法戦に特化している魔導書であらゆる魔法を強化し、相手の魔法を吸収する力が宿っっている。ラファエルの力と耐性を無効化する力で魔法の撃ち合いでは圧倒的有利で戦うことが出来る。
ヘルヤルタクト:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:40 耐久値:400 魔力:300
効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(極)、英雄能力アップ(究)、神殺し、魔神殺し、大物殺し、破魔、竜気、星気、英気、魔力超回復、瞬間再生、超電磁、黄金障壁、暴風壁、大気壁、電磁場、日輪、日光、烈日、光合成、天候支配、電磁支配、森林操作、地脈操作、領域操作、守護結界、放射熱線、荷電光線、英雄波動、雷霆、雷轟、荷電球、絶対防御、衝撃吸収、物理無効、不屈、奇跡、加護破壊、破壊の加護
ウリエルとテューポーンの力がある金色の羊が描かれた革表紙の魔導書。怪物退治の英雄の力が宿っている。かなりミスマッチな組み合わせとなっており、素材本来の力が十分に発揮されていないがそれでも十分過ぎる能力を持つ。
名前だけ違う物もあるも今回結構みんなが名前に拘った。まず俺の名前を使う事は全員が譲らなかったのは見ての通りだ。リリーとイオンはエンゼルファミーユから名前を貰いたくてじゃんけんの結果、イオンが勝利してファミーユの名前を選んだ。エンゼルが天使の意味だし、俺としてはリリーに合ってると思う。本人は不服そうにしているけどね。
他の皆もそれぞれ俺への思いを意識して俺が名付けた。天女とかの結婚相手の名前なんて俺は知らないから仙人にしたりした感じだ。そんな中、アリナだけは俺とずっと一緒にいる事が幸福だという願いを選んだことには驚いた。だが、その理由は納得が行く物だった。
「アリナはもう結婚しているから今の幸せがずっと続けばいいと思うの。もし終わりが決まっていてもアリナは少しでもお兄様と一緒にいる時間を得る為に戦う覚悟なの」
アリナの言葉にリリーたちが大きく頷く。本当にみんな立派になったな。みんなの心の強さの成長を俺は誇らしく思える。俺との旅でリリーたちがここまで成長してくれたって事だからね。俺もそんなリリーたちに負けないように頑張らないといけないなと思う次第だ。
最後にユウェルと和狐たちに新しい依頼をする。和狐たちに頼んだのはフレースヴェルグの羽とヴェズルフェルニルの羽を使った靴をそれぞれ作れる分だけ作ってもらうことにした。
「ロコモコさんの素材を使えば結構作れそうどす」
「結構倒したもんな。全員分の靴を作れそうな感じか?」
「はい。靴履ける人は少ないですからね」
「アラネアも人型になれば履けるんだから作っていいぞ。もちろんリアンや狐子、クリュスたちの分も頼む」
「承知しました」
アラネアは自分を除外していたみたいで驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔に変わって、引き受けてくれた。そしてユウェルだが、俺はユウェルに自分が欲しい装備を作ってもらうことにした。
「じゃ、じゃあ! 鎖とか縄が作りたいぞ! タク!」
「鎖とか縄?」
「忍者の人がそんな武器を使っていた! 縄の先に変なのが付いていて、壁をよじ登っていたり、鎖の先に鉄の塊を付けて投げつけていたりしてたぞ!」
「あぁ…鉤縄と分銅鎖かな?」
鉤縄は忍者の道具の中でも有名な武器だ。武器といってもユウェルの言う通り壁などをよじ登る時に使う道具だね。そして分銅鎖は鎖に付けた分銅を回しながら敵にぶつけて攻撃する武器だ。忍者の人は基本的に鎌に付けて鎖鎌として使うがユウェルはどうやら分銅鎖自体に興味を持ったみたいだ。
「分かった…でも、普通の装備だと勿体ないな」
「タクには何か面白いアイデアがあるんだな!」
「あぁ」
俺がアイデアを話すとユウェルは完全に作る気満々となり、任せる事にした。今日はこれで終わり。俺はリアンを連れて、フリーティア城に向かうとリアンが落ち込んでいるように見えた。
「もしかしてエデンの戦いで落ち込んでいる?」
「え!? えっと…落ち込んでいるというか…もっと上手く戦えたと…あう」
俺はリアンの頭を優しく撫でる。
「俺も色々思う所があった戦いだった…そこでちょっと思う所があったんだが」
「え? なんですか?」
俺が話すとリアンは驚き、あたふたしていたが結局城に付く頃には俺にべったりくっついて、ニコニコになっていた。流石にリアンの様子にはシルフィも気になる。
「いい魔導書を作れましたか?」
「え? 私は作ってませんよ?」
「へー…リアンさんに何をしたんですか? タクト」
「エデンでの戦闘を気にしていたからプレゼントをあげる話をしたら、こうなった」
俺の話からリアンとなってかなり嬉しい武器だとシルフィは理解した。まぁ、俺もあげる条件をリアンに伝えて、リアンは了承したので、明日渡そう。そしてここで俺はシルフィとこの世界の終わりについて話す事にした。
流石に俺も専門家じゃないからリリーたちがどうなるかは分からない。ゲームサーバーの中で生き続けるのかデータだけになってしまうのか本当に分からないけど、この世界が終わっても再会することだけは改めて約束する。するとシルフィは唇を尖らせる。
「それだけの約束じゃ足りないですよ。再会した後も愛してくれることも約束してください」
俺としたことが肝心なことを忘れていたな。確かにこれは約束しないといけない所だ。
「約束するよ」
データの状態になる場合、俺たちの関係性がどうなるか分からないけど、もしみんなが俺の事を忘れてしまうならまたみんなに俺の事を好きになって貰えるように努力しよう。
「はい! それでは寝ましょうか。リアンさんは歌が好きなんですよね?」
「はい!」
とても嫌な予感がします。
「では、タクトに歌を歌って貰いながら寝るとしましょうか」
「え! 先輩の生歌ですか! それは…とても素敵な提案だと思います」
詰んだ。既にベッドに入っているので、逃げ場はない。
「…下手だぞ」
「「別にいいです」」
「はぁ…分かったよ。一曲だけな?」
これを聞いたリアンは現実世界の音楽に滅茶苦茶興味を持つようになり、何度もアンコールを受けたが一曲だけの約束を盾にログアウトした。




