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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
太陽神ラーとラーヴァナ戦
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#1285 アスタロトの報酬とオーディンクエストの情報

夕飯を食べ終わった俺はゲームにログインするとイオンたちが心待ちにしている時間だ。


「そろそろいいかな? 片栗粉を付けてくれ。イオン、リアン」


「「はい!」」


二人は醤油、料理酒、酢、みりん、生姜、ニンニク、塩で作ったタレに漬け込んだ一口大に切った世界魚の肉を取り出し、片栗粉を付けていく。俺はその間に油の用意をして、揚げて料理を完成させる。


世界魚の竜田揚げ:レア度10 料理 品質S+

効果:満腹度全回復、二時間俊敏性上昇(究)、一時間生命力上昇(究)、三時間竜気、二時間海竜の加護、二時間原初の加護

世界魚の肉で作った竜田揚げ。サクサクの衣にジューシーで食べ応え抜群の魚肉は霜降り肉に匹敵すると言われている。隠し味にニンニクを加える事で生命力を上げる効果が加わっている。


世界魚のあんかけ竜田揚げ:レア度10 料理 品質S+

効果:満腹度全回復、二時間俊敏性アップ(究)、一時間生命力アップ(究)、一時間魔力アップ(究)、三時間竜気、二時間海竜の加護、二時間原初の加護

世界魚の肉で作った竜田揚げ。サクサクの衣にジューシーで食べ応え抜群の魚肉は霜降り肉に匹敵すると言われている。この竜田揚げにピーマン、玉ねぎ、人参のあんかけをかけることで魔力を上げる効果が加わっている。


ニンニク、隠し味になるんだね。我が家では普通に作っていたよ。これを山盛りに作りました。まずは楽しみにしていたイオンたちが食べると美味しいと絶叫してくれた。


次にリリーたちが挑戦するとグッドと手で合図してくれる。食べっぷりから見て本当に美味しいらしい。俺も食べてみると魚肉とは思えない肉汁にびっくりした。毎度のことながら空想食材の再現が凄いわ。


そしてお城で待っているシルフィの召喚獣たちにも持っていき、渡してから俺は会議に参加する。そこでは昨日の報酬と今後の暗黒大陸の攻略と日曜日のラグナロクについて議論する。


まずは昨日の報酬についてだが、アスタロトドラゴンからは魔竜剣アスタロトドラグオンという武器が手に入った。ドラゴンキラーの武器で魔剣解放を使うとドラゴンゾンビなどのアンデッドドラゴンを喰らう能力があるらしい。魔剣解放に更に竜石解放まであるそうなのでかなり強力な武器だろう。属性は火と闇だ。


これは議論でアスタロトドラゴン戦に参加したプレイヤーに贈られることになった結果、俺が辞退したことで竜騎士部隊のリーダーの手に渡ることになった。


バアルからはアィヤムルとヤグルシュと約束のコンパスというアイテムが手に入った。この約束のコンパスはカナンという約束の地に行けるアイテムだと予想された。理想郷の設定なのか黄金卿なのかは分からないが同じ系統のイベントが発生するだろう。


アィヤムルとヤグルシュは価値がそこまで高くないので、欲しい人のくじ引きなり、中堅のプレイヤーの手に渡った。問題は約束のコンパスだ。これは価値が高すぎるので、全員のくじ引きの結果、中堅のプレイヤーの手に渡る。後はこの人が誰と一緒にコンパスを使うかだ。


アスタロトからは魔神核デモンスフィアと禁書グリモリウム・ウェルムというアイテムが手に入った。これがアスタロトが使っていた魔導書の正体だ。グリモリウム・ウェルムは真正奥義書のことだ。これで大奥義書のほうはルキフグスかルシファーが持っていることがほぼ確定したと言っていいだろう。みんなの意見としては関係がより深いルキフグスのほうが出る可能性が高いと言う結論になった。


禁書グリモリウム・ウェルムは悪魔召喚がある魔導書でこの魔導書のみの禁呪が発動可能らしい。本来なら魔法使いが持つべきだと思われるが召喚師や精霊騎士など魔法を使う人、全てが立候補してしまう。


ここでひと悶着起きてしまうが最終的な抽選はやはりくじ引きでノストラさんが当たりを引いてしまい、困惑していると欲しい人からの熱視線を受ける事になり、逃げ出した。これも自分で使うのかそれとも誰かに売るのかノストラさん次第だ。


そしてアスタロトの城の跡地で宝箱が発見された。中身に合ったのがこちら。


パンデモニウムの鍵:重要アイテム

暗黒大陸の中心部にあるパンデモニウムに入るために必要な鍵。全部で三つあり、全て揃える事でパンデモニウムに入ることが出来る。


これは一つだったけど、他の宝箱からは各世界の冥界の鍵が二つずつ発見された。流石地獄の魔神だな。会議で俺に欲しい冥界の鍵はないかと聞かれたが特にないと答えると引かれた。これは中堅の参加プレイヤーギルドに配られることになった。


パンデモニウムがサタンの本拠地の名前で間違いないだろう。説明の通りならこれで残り二つ手に入れないといけないことになる。こうなると残りの鍵を持っているのはルシファーとベルゼブブで間違いないだろう。


一応サバ缶さんたち調査隊がアスタロトの領地の先を確認しに行くと城壁と結界が放たれており、城壁のところには一か所だけ門があり、そこに鍵穴を確認出来たそうだ。恐らくそこに使うのがこの鍵なのだろう。代表してブルーフリーダムのリーダーが管理する話が出た。


「なぜ僕たち!? もっと大きなギルドの人が管理するべきじゃないですか!」


「大きなギルドなほど狙われるリスクがでかくなるだろ? その点、個々人の強さもあり、フットワークが軽いブルーフリーダムは鍵を守りやすいんじゃないか」


「言いたいことは分かりますが」


「分かるなら決定だな。お前も少しは重責を背負え。アスタロト戦で選ばれたプレイヤーなんだからな」


マグラスさん、容赦ない。こんな流れでブルーフリーダムがパンデモニウムの鍵の管理をすることになった。これでアスタロト戦の話は終わりだ。


次に今後の暗黒大陸の攻略についてだ。アスタロトの領地だが左右がベルゼブブとルシファーになっており、ルシファーの領地にはアスタロトの領地から入れなくなっているらしい。恐らくラーヴァナを攻略した後からその次の領地を解放すると行けるようになるとプレイヤーが全会一致で結論付けた。


腐臭フィールドが問題のベルゼブブの領地攻略にはエリクサーラピスが協力することになった。アインシュタインさんが自慢げに言う。


「儂は完全ではないにしろエクスマキナの星の復活に手助けした男じゃ。臭い匂いなんぞ国中に空気洗浄機を設置すればいいだけじゃろうが」


それで地球の空気が良くなるなら誰も苦労しないよね。でもこういう発想は嫌いじゃない俺がいる。巨大隕石が地球に落下するなら地球の側面にロケットエンジンを配置して一斉点火すれば地球動かせないかな?とか結構本気で考えたことがあるのを思い出した。


「原因を取り除かなければ無意味だろ?」


ニュートンさん、容赦ない。流石にこれにはアインシュタインさんも口を尖らす。


「それくらい分かっておるわ。冗談が通じない男じゃのう。まぁ、儂がエクスマキナの星で作った防具服なら腐臭くらいは通さんからあれを戦闘できるように改良して量産さればいいじゃろう」


「エジソンには私から言っておこう」


これでベルゼブブの攻略に一歩前進した。ただプレイヤーの数とか考えるとどうしても時間がかかるらしい。これはしょうがないね。


ラーヴァナは土曜日に攻略することが正式に決定した。流石にインド神話の話なので参加者がかなりの数が集まる。ただ流石に他の暗黒大陸の攻略する時間を潰すのは勿体ないので、最終戦のみ大規模戦をすることにした。


そして俺以外のみんなの動きだが、結構ばらける事になった。侍の桜花部隊と鉄心さんが率いる部隊は西側エリアの完全制圧を目指し、南エリアを解放したルークたちの部隊は北側エリアの制圧、パラディンロードが中心となる部隊は東エリアの完全制圧を目指す事になった。


これはアスタロト戦でみんなが自信を付けたのがかなり大きい。マリッジバーストを超える切り札を使っても最強クラスのボスに勝てるのか?心のどこかでみんな不安だったっぽい。全体的に伝説の武器の保有率がかなり上がって来たのもアスタロト戦で実感できたから効率重視でいいという結論に至った。それでも不安な声は出たのは俺が目立ち過ぎた弊害だと思われる。俺が戦闘に参加したら、勝ち確定じゃないんだけどね。


次に日曜日のラグナロクの話をする。より正確に言うとオーディンから示されたクエストについての話だ。まずミョルニルのクエストをクリアしたプレイヤーから情報が伝えられる。


「キルケーの変身薬を使って、フレイヤに化ければ取り敢えずクエストは成立する。男でも大丈夫でどうやらボスのスリュムはフレイヤの顔を知らない設定みたいだから女性なら誰でも素で大丈夫みたいだ。何故かキルケーの変身薬を使って他の女性に変身した場合は無理だった。シャドールームを使えばパーティー戦も出来る。ただ精神的なきつさとボスのスリュムがミョルニルを使って来る問題がある」


ミョルニルを使って来るんかい。いや、そりゃあ盗むんだから手元にあるなら戦闘で使用するだけどさ。納得が行かないところはあるな。いや、これには色々引っかかる所があるぞ。そもそも盗めているならスリュムにミョルニルが使われることはないはずだ。俺が指摘すると案の定の神の名前が出て来た。


「ロキの仕業だよ。あいつが変装を暴露して戦闘になる流れになった。それを加味してミョルニルを盗み、巨人たちを突破して城の外に脱出出来ればクエストクリアになるらしい」


そういう事ね。後は一番気になる精神的なきつさについて、聞いてみる。


「一言で説明するならくそきもセクハラおやじ」


「「「「なるほど」」」」


これ以上は誰も聞かない。その説明だけでヤバさは伝わって来る。女性はもちろん男も精神がやられると言うのは相当なレベルだろう。これはもうリリーたちやシルフィにはさせられないな。やるなら不本意ながら俺がフレイヤになるしかない。やりたくないがリリーの為だ。俺の精神を生贄に捧げよう。


そして肝心の雷鎚ミョルニルの鑑定について聞いてみると成功したらしい。ただし聖杯では出すことが出来ない武器だった。つまりヘルメスの交換チケットを使う事になるのだが、ここでみんなは当たり前のことを言ってくれる。


「雷鎚ミョルニルや神槍グングニルはラグナロクのクエスト後に貰える可能性があるわよ? タクト君」


「あ…その可能性があるのか」


グングニルは分からないけど、雷鎚ミョルニルなら貰える可能性は高く感じた。何故なら俺たちが取り返しているからだ。今まで通りなら一つのパーティーがクリアしていたら、なんとかなりそうだけど、念のためにクエストをクリアしておいた方が良さそうという結論に至る。


みんなの中でどうしてもトールのクエストに違和感を持つ人が多かった。それにもしミョルニルが出なかった時の為に鑑定だけでもしておく必要があるからこういう結論となった。


次にグレイプニルの一件はどうやらヴェインリーフが協力を渋っているらしい。


「あのくそ王様…こっちが交換条件を飲んだら、次から次に要求を上げてきやがった」


「これはアプローチの仕方がたぶん違いますね。このクエストの裏側にクリアに必要なクエストが隠されている感じだと思います。ヴァインリーフのどこかでクエストのフラグが発生しているはずなので、まずはこれを探すところからですね」


「分かった…ルイン」


「えぇ。手が空いている人に聞き込みをお願いしてみるわ」


みんなの装備やポーションとかの用意しないといけない生産職も忙しいんだけどね。本当に生産職は縁の下の力持ちだと思う。頭が下がるね。


最後にレーヴァテインのクエストの話をして貰った。


「スコルとマーナガルム、ムスペルの大群に追われながらどこにあるか分からない宝箱に入っている鍵を探すクエストだった…予想通り灼熱地獄のフィールドで熱さに対策が必須のフィールドだぞ」


ムスペルはスルトの進化前の炎の巨人だ。クエストに挑んだプレイヤーによると炎の大剣にしっかり鎧を装備していたと聞いた。これにスコルとマーナガルムの大群に追いかけられながら宝箱を九つも見つけないといけない。このクエストは時間がかかるだろうね。


これで会議は終了。俺たちはフリーティアに帰った。

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