#1279 アリナのレイピア訓練
二人の成長を実行する。
『セチアの成長が完了しました。魔力飛行、格納、巨木壁、寄生木、寄生種、石波動、奇跡を取得しました』
『魔力回復スキルが魔力超回復スキルに進化しました』
『樹海操作スキルが樹海支配スキルに進化しました』
『阻害無効スキルが妨害無効スキルに進化しました』
『恋火の成長が完了しました。溶接、猛爆、溶ブレス、捨て身の一撃、不屈、奇跡、破壊の加護を取得しました』
『炎熱操作スキルが炎熱支配スキルに進化しました』
『魔力回復スキルが魔力超回復スキルに進化しました』
『天撃スキルが神罰スキルに進化しました』
セチアはミールが覚えているスキルを結構覚えたな。そして遂にフライトなどの魔法無しで飛行が可能になったか。何気に妨害無効も覚えて、今までより魔法をたくさん使えるようになった。
新しいスキルでは巨木壁を覚えた。巨大な木を自分の前に作り出し、敵の攻撃をガードするスキルだ。樹海支配で木を作るよりずっと早いので、防御に使うならこっちのほうがいいだろう。
恋火の成長は攻撃に全振りだな。捨て身の一撃から不屈で暫く生き残り、倒されても奇跡で復活する流れが見える。
ここからは生産組と訓練する組に分かれる。俺はまずアリナにレイピアの戦い方を教えるが実際に見た方がいいと思ったので、フェンリルレイピアをアリナから借りて、ブランと対戦する。
「はぁああ!」
「せい!」
「く!? っ!?」
「せい! せい! せあああ!」
ブランは最初に斬りかかって来たが俺の突きが来たことでガードするとそこから連続の突き攻撃を一生懸命弾いていると渾身の突きで剣は弾かれ、後ろに下がる。俺はブランに剣を取らせて、再度戦闘する。
今度の俺はブランの斬撃を躱してからのカウンターの突きを披露した。この攻撃は見事にブランに突き刺さる。そしてシャムシエルが見せた手首の動きだけで突きのコースを変える技と真っ直ぐな突きだけでなく、姿勢を低くすることで下から突き上げるような技を教えた。
「おぉ~! 流石剣大好きのお兄様なの!」
「シャムシエルと全然違いました…なんというか主の突きのほうが全然重かったです」
「だろうな。ステータス以外にその原因があるんだが、なんだかわかるか?」
「はい! 足の踏み込みであります!」
「流石千影だな。正解だ」
突きの威力は腕力と腕の振りだけで決まらない。野球のピッチャーがボールを投げる時に足を踏み込むのと同じで下半身で作り出した力を上半身に伝えることでより突きの威力が上がるのだ。
シャムシエルは飛行していたから足の踏み込みの力を生み出せていなかった。これがブランが感じた差だ。
「最初に見せた通り、何でも踏み込めばいいという問題じゃない。ブランとの戦闘を見ればわかるけど、踏み込むということは相手にしてみると攻撃が遅れる上に攻撃するぞという合図にもなる」
「だからお兄様が見せてくれたように踏み込みを使わない速く隙が少ない突きと手首の技とかが必要になるってことなの?」
「そういうことだ。後は実戦あるのみだな」
俺とアリナの訓練をすると徐々にアリナもレイピアの使い方が分かって来た。そしてそれが分かって来るとアリナ独自の動きも出てきて、かなりいい形になって来たと思う。
「そろそろ行くぞ!」
「望むところなの!」
俺が攻めに出るとアリナは攻撃を躱してから、突きを放って来る。それを俺も躱して、反撃するがアリナに躱される。そこからは両者の攻撃の躱し合いとカウンターの応酬となった。
結果はアリナのスタミナ切れで終わった。普段ここまで接近戦をしないからな。ずっと極限の緊張状態を続けるのはアリナにはきつかったみたいだ。
「つっかれたのー!」
「お疲れ様。だいぶ様になって来ていたぞ」
「アリナもお兄様に惜しい攻撃を何回か出来て、手ごたえを感じたの」
「それは良かった」
実際に危ない攻撃が何度かあった。俺としてはアリナの速さと空での機動力、動体視力、反応速度を体験したことで改めてアリナの才能とレイピアとの相性の良さを確認出来た。
アリナの次はノワ、リース、ダーレー、狐子、ルーナ、伊雪、ミール、千影、ルミ、リビナ、リアン、ブラン、ファリーダ、セフォネ、イオン、リリーの順番で訓練し、テューポーンの魔法封印杖の感触を確かめだ。
「…剣術を教えるにぃは嫌い」
「片手剣スキルを取りたくないと言ったのはノワだろ? 無いなら余計に剣術を教えないといけないんだから厳しくするのは当たり前だ」
「…失敗した」
ノワは完全ダウンしたところで別のところで訓練している魔法のほうに向かわせた。他のみんなも訓練が終わった人から魔法の訓練に向かわせている。そしてリビナ、リアン、ブラン、ファリーダ、セフォネ、ダーレー、狐子、千影、ルミ、リース、イオン、リリーとは本気の戦闘をさせて貰った。そうじゃないと必殺技系のスキルが育たないからね。
みんなと戦闘して思ったがみんなの技量は確実に上がってきている。俺もいくつかいい攻撃を貰ってしまった。そんな中、最後に訓練したリリーが言う。
「リープリングの荷重ハンマーじゃ、勝てないよー! タクトー!」
怪物王の魔法封印杖はもう棍棒や斧の領域になっている。雷光刃を使うとドラゴンの翼の装飾に雷光刃が発生し、斧のようになった。ヘーパイストスの仕業だ。また凄いの作ってくれたな。
「それじゃあ、神様の中でも最強クラスのハンマーを取りに行くか?」
「え!? 欲しい!」
「ただ問題があるクエストなんだよな」
もちろん話に出ているハンマーはミョルニルだ。一応リリーに分かりやすく説明する。
「えぇ~…それは嫌~」
「うん。そう言って貰えてよかった」
リリーなら自分がやるとか言い出しそうで怖かった。俺が訓練している間に他のところでは魔法の訓練がされており、生産を終えたみんなも参加していた。
「そろそろ切り上げるぞ」
「「「「はーい」」」」
ここでインフォが来る。
『イオンの槍のレベルが40に到達しました。槍【スクリューランサー】を取得しました』
『リビナの魔王魔法のレベルが30に到達しました。魔王魔法【ラストアローレイン】を取得しました』
『ブランの炎魔法のレベルが30に到達しました。炎魔法【ヴォルケーノ】、【ウルトラバイオレットレイ】を取得しました』
『ブランの神聖魔法のレベルが30に到達しました。神聖魔法【リヴァイブ】、【ジャッジメント】を取得しました』
『セフォネの同時詠唱のレベルが30に到達しました。同時詠唱の最大数が1増加しました』
『アリナの二刀流のレベルが10に到達しました。二刀流【ミーティアエッジ】を取得しました』
『伊雪の神聖魔法のレベルが30に到達しました。神聖魔法【リヴァイブ】、【ジャッジメント】を取得しました』
『ミールの神聖魔法のレベルが20に到達しました。疾魔法【タービュレンス】、【フライト】を取得しました』
『千影の太刀のレベルが40に到達しました。太刀【剣突】を取得しました』
『千影の神道魔術のレベルが30に到達しました。神道魔術【大祓】を取得しました』
時間は短かったので、そこまでの訓練になっていないがまぁ、いいだろう。リビナの新しい魔王魔法だけ気になったので、見せて貰った。
「いっくよー! 魔王魔法! ラストアローレイン!」
上空にピンクの魔方陣が展開されるとそこからピンクの矢が無数に降り注いで来た。この矢に当たると魅了と混乱、泥酔の状態異常になるらしい。この瞬間にラストは終わりを意味する言葉ではなく、強い欲望の方であることが分かった。
「流石に即死の矢を降り注ぐ魔法じゃないか」
「期待させて残念だったね! でも、これはリリーたちに当てると大変なことになるって理解している? タクト」
確かにこの魔法はある意味では即死よりも怖いかもしれない。少なくとも正常な動きはまず出来なくさせる魔法だ。レベルが上がって来るとフレンドリーファイアーが滅茶苦茶怖いからな。恐ろしい魔法ではあるのかも知れない。
ここでセチアとミールからいい報告が来た。
「パピルス草が十分な数を取れるようになりました」
「流石に回帰があると速いな…なら少しずつ紙を作っていくか」
ただこの仕事はユグさんに頼まないといけないだろう。草から紙を作る技術を俺たちは持っていないからね。
「ペンもあるし、後は革だな」
「革ということはフェンリルですか?」
「だな。他にも良さそうな物があったら、聞いて来るし、その場で買うかも知れない」
「では、楽しみにしてますね」
セチアは自分が魔導書候補に入っている気でいるな。まだ持っていない子がたくさんいるんだよ。俺がそう思っていると後ろでミールが苦笑いしているのが印象的でした。
さて、それじゃあ、貯まった仕事をしているシルフィを呼んで助けてあげるとしますか。たぶん負担がグラン国王様にいくだろうけど、頑張って貰いたい。俺が連絡をするとシルフィは予想通り超特急でやって来て、俺たちはエデンに向かった。




