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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
アスタロト戦
1357/1718

#1273 アスタロト領、市街地戦

町の中での戦闘ではプレイヤーが圧倒的に有利だと思っていたのだが、思いのほか、デーモンたちが善戦する展開となった。というのも町の中のデーモンたちは斧に盾という組み合わせでタンクをする戦術を取って来た。


これには理由があり、まず建物や空からの攻撃で普通に爆弾が投げられてくるので、そこに小道にタンクがいると当然渋滞し、より爆弾の効果が上がる。最もプレイヤーたちも馬鹿じゃないので、爆弾をリサなどの師範たちは蹴り飛ばすなどして逆にデーモンたちにダメージを与えていた。


後の理由してはプレイヤーたちの町破壊進行の阻止が挙げられるだろうか。プレイヤーたちは最初に建物を破壊すれば、敵の待ち伏せや編成が分かると思っていたのだが、大技をタンクのデーモンに阻止されることで思うようにいかなかった。


そしてプレイヤーが苦戦する理由は後二つある。一つは町の道が迷路のようになっている点だ。この構造のせいで何度も敵のグレーターデーモンたちに挟まれる展開となった。


最後の一つはエクリプスによるバフの解除。どうやら建物内に魔法使いタイプの悪魔がおり、そいつらが料理バフや通常のバフを解除することでかなりの攻略のスピードダウンになっているようだ。


ここで俺たちが城門の入り口をぶっ壊して、城門付近に陣取る。これで最悪の事態に備えて退路は確保した。流石の修復能力も夕凪が上にいる状態では発動することはなかった。そして城門を制圧した鉄心さんたちが城門から飛び降りて、迷路に突入していた。既に城門の上には与一さんやシリウスさんの部隊の狙撃部隊が配置について、援護態勢に入る。


これはメルたちから連絡が入り、どうやら結界発生装置がある建物を破壊しないと迷路は抜けれないらしいのだ。なのでメルたちが入った入口付近だけでなく、色々な所から入らなければならず、これに鉄心さんたちが動くことになった。


空のほうは相変わらず数の多さにみんなが戦い辛そうにしている。というより大きい召喚獣が完全に狙われており、我慢比べに負けた者からやられる展開だ。かと言って、戦線を上げないと地上部隊に負担がかかり過ぎる。なので多少の無茶を承知で押し込んでいる形だ。


「アスタロトの召喚獣対策が際立っているな」


大型の召喚獣が封じられると召喚師としてはかなりきつい。その上、飛行戦力も呪滅コンボ持ちの悪魔を編成することで封じられた。この二つを抑えられると今まで活躍して来た召喚師たちはかなりきつい。


逆にルークのように亜人特化の召喚師のほうが今回の戦いでは安定した戦闘を見せた。こういうことが起こるから戦略というのは面白いのだ。それからしばらくするとインフォが来る。


『全ての結界装置の破壊に成功しました。結界が解除されます』


結界装置を守っていた敵の存在は夕凪の上からセチアの目で確認出来た。


ガーディアン・デーモンLv65

通常モンスター アクティブ 討伐対象


カーディアン・オーガLv65

通常モンスター アクティブ 討伐対象


二体とも大型のモンスターでプレイヤーたちを苦しめた。何せこいつらは平気で自分たちの建物を巨大ハンマーや斧で破壊して来たのだ。建物に挟まれて、身動き取れないところにその建物を破壊する攻撃が横から来たら、悪夢としか言えないがそれをなんとか止めるほどにプレイヤーたちのレベルは上がっていた。


他にもカーディアン・オーガは分銅鎖、ガーディアン・デーモンはモーニングスターなどを使って来たがそれぞれ別れた部隊がしっかり撃破したみたいだね。


どうやらオリジナルのエクスカリバー持ちのプレイヤーが活躍したようだ。この中には俺たちとは別でレギオンを組んでオリジナルエクスカリバーを手に入れた人たちが入っている。今や普通のエクスカリバーは結構出回っている時代だ。そうなるとやはりより強い武器を求めてオリジナルエクスカリバークエストには挑まないといけないだろう。


とにかくこれでアスタロトの根城の前の広場への道が解放された。シフォンとメルたちの部隊がなだれ込むと当然敵が陣取っている。


ヘルカイザー・デーモンLv70

通常モンスター アクティブ 討伐対象


ゴッドオーガLv70

召喚モンスター アクティブ 討伐対象


バフォメットLv65

召喚モンスター アクティブ 討伐対象


スケルトンキングLv65

召喚モンスター アクティブ 討伐対象


リッチLv65

召喚モンスター アクティブ 討伐対象


この他にも大量の悪魔やスケルトン、ゴブリンなどが大集結していた。


「「「「うーわー」」」」


そういうのも無理はないだろうがそんな余裕がある状況でもない。一斉に雑魚敵がメルとシフォンの部隊に襲い掛かる。当然そんな敵にやられるみんなではないが敵の編成と場所が悪かった。


まずリッチが結界を展開して、バフォメットに対する魔法破壊を封じて来るとバフォメットの魔王魔法デモンズ・ウィークンが発動する。これは全体に全ステータス減少のデバフを与える魔法だ。


そこに漆黒の鎧と大剣の魔剣を装備したヘルカイザー・デーモンとゴッドオーガ、王様の装備をしたスケルトンキングの覇撃と王撃が部隊を襲う。


「英雄技! パラディヌス・ラウンドテーブル!」


「精霊技! シルフィード・カーテン!」


メルの前に光の円卓の盾が現れ、シフォンの前には緑色の風のカーテンが出現すると敵の技を無効化して、弾け飛ぶ。二つとも前面防御型の必殺技だ。メルのはギャラハッドから教わった技みたいだね。


「危なかった…っ!?」


メルが咄嗟に攻撃を躱すと兜に銃弾が当たる。


「メルさん!?」


「大丈夫! 躱せた! それよりも狙撃! 城の中からだよ! 注意して!」


「敵が来るぞ!」


「どうします? 城から狙撃される状態じゃ、広いところでは戦えません。今いるここも狙撃可能位置であることは確定してますよ」


狙撃には狙撃で対抗するのが一番いい。しかし敵の狙撃手もかなりの手練れだった。次々位置を変える上に城門にいる与一さんたちの牽制と広場に対する狙撃をやっている。ここで城門にいる与一さんたちが敵の狙撃手について話し合う。


『何人いると思います?』


『最低でも四人はいますね。別々の所からほぼ同時の狙撃を四か所確認しました』


『ふ! こっちも空からの奇襲も来ますし、困りましたね』


『城を破壊してもすぐに直りますしね。今は撃たせないように牽制し続けるしかありません』


それほど敵の狙撃手は建物に隠れて、狙撃するという狙撃手の基本がしっかりしている敵だった。あのブルーフリーダムの狙撃手ちゃんの跳弾攻撃でも倒せないのはかなりのやり手としか思えない。


メルとシフォンの部隊が粘っていると結界を破壊した部隊が次々集まって来た。ここでメルたちは広場に一気に出て、攻勢を仕掛けるがこれを察知したアスタロトが仕掛けて来た。


「そろそろ頃合いね…さぁ、あなたたちの復讐を叶えてあげれる時が来たわ。グリモリウム・ウェルム! 地獄門!」


破壊された結界装置の場所から赤褐色の禍々しい光の柱が出現する。


「あれはヘルズゲート!? それをあんなに一辺に解放した!?」


シルフィが驚く中、夕凪の上にいる俺の背後に空間の穴が出現すると真っ赤な魔剣が現れるとそれを俺は察知して回避すると装備は変化しているが見知った敵が現れた。


「はっはー! この時をずっと待っていたぜ!」


ゼパルだ。そしてゼパルはあの時同様に決闘フィールドで俺を閉じ込めた。


「あの時の屈辱、返させて貰うぜ! っ!?」


ゼパルがそういった瞬間、俺は恋白でゼパルの右手を斬り裂いた。


「てめぇ!」


「これであの時、タクトお兄ちゃんの右手を斬った落とし前は付けさせて貰いました」


「女の声? っ!?」


恋火が俺の変化を解く。今のリリーとイオン、セチア、夕凪が空間歪曲などを見逃すはずがない。わざとこいつを夕凪の中に誘い込んだのだ。相手はアスタロト。地獄に関する悪魔であることは分かっていたから当然今まで倒した悪魔の再登場くらい予想するよ。ネビロスという前例もあったしね。


これを聞いた恋火は俺の手を斬ったゼパルと戦いたいと言ったことでこの作戦をした。俺、本人はずっと夕凪の中でシンクロビジョンで外の様子を伺いながら、隠れていました。なのでリリーたちの会話も全部夕凪の中からシンクロスキルでするしかなかった。夕凪の上にいる俺が会話していないことに気付かなったゼパルの落ち度だ。


「あなたが申請した決闘です。もう逃がしません」


「逃げる? ふざけんなよ。お前をボコボコにして、あいつを苦しめてやるよ!」


それを聞いていたリリーとイオン、セチアは笑いすら出ず呆れる。三人は識別スキルは持っていないがそれでもある程度の実力差は感覚的に把握できる。その上、初手で恋白を受けたことで半減もゼパルに発動している。三人から見て、もうこの決闘の勝敗はついていた。


そして恋火が狙うように俺にもどうしてもこの手で倒したい悪魔がいた。そいつはシルフィを狙う。


「死ねー! シルフィ姫! っ!」


「俺の妻に何しようとしているんだ? お前」


そいつは元フリーティアの子爵でシルフィをゾンビイベントの時に暗殺しようとした豹の悪魔オセだった。そいつは危険なオーラを放つ短剣でシルフィを刺そうとしたが夕凪の口から出た俺が短剣を手にした手首を掴んで阻止した。


「な!? 貴様は私を罠に嵌めた人間か! この! 離せ! 暗黒ブレス!」


直撃するが大したダメージじゃない。多少あの時より強くなっているんだろうがレベル差は絶望的だ。


「そんな攻撃、効くはずないだろ? 夫として二回も妻の命を狙った落とし前は付けさせて貰うぞ」


「何をする気だ!? やめろ!」


「大雷霆!」


俺の手から発生した大雷霆でオセは消し飛ぶ。するとアスタロトの加護で蘇生し、シルフィをまた狙う。


「馬鹿め! 油断ぐえ!?」


今度は首を捕まえて、締め上げる。


「私を狙うのはもう諦めた方がいいですよ。最強の夫が私の傍にいてくれますから」


なんかバカップル全開な気がして来た。最初に妻アピールしたのは俺だけど、シルフィに言われると恥ずかしくなる。ここにはリリーたちとタラスクしかいなくて助かった。


「いいよな。無限蘇生ってさ。そうは思わないか? 退屈していたから俺のスキル上げに協力してくれよ。星核!」


一方ゼパルも恋火との実力差を思い知る。


「はぁあああ!」


「動くの禁止です」


「はぁ? っ!?」


斬りかかろうとしたゼパルは言霊で動きが止まると恋火は首に恋輪を置く。


「言い残す言葉はありますか?」


「何した!? てめ」


恋火は首を斬った。それを見たリリーたちが言う。


「恋火ちゃん、タクトに似て来たね」


「えへへ~。そうですか?」


「喜ぶところじゃないですよ。恋火」


「そうなんですか!? 居合斬り!」


復活して、斬りかかって来たゼパルに対して恋白を使ったカウンターの居合斬りで胴体を横に真っ二つすると消滅する。もう一撃で死んでいる時点で実力差は歴然なんだよな。ここで他のみんなにも名持の悪魔たちと通常の悪魔の群れが襲い掛かる。


「これは遊んでばかりもいられないか…」


それはそういうとオセを旭光近衛で袈裟斬けさぎりにして仕留めた。アスタロトの加護を無効化して仕留めればちゃんと倒せるみたいだな。それは恋白でも確認したみたいだから確定だろう。俺はリリーたちと合流する。もう隠れている意味がないからね。


ここで俺は死者の書を取り出す。するとヘルズゲートから現れた悪魔たちとアンデッドモンスターたちが一斉に夕凪のほうを見ると夕凪に殺到する。ヘルズゲートから現れたという事は冥界出身の悪魔という事になる。よって、死者の書の呼び寄せる効果の対象だ。


夕凪の結界に無数の悪魔がまとまりつき、夕凪はあっという間に黒い塊となった。


「シャー?」


「あぁ…例の作戦で行こう。セチア」


「はい。行きますよ。夕凪さん! 大精霊召喚! お願いします! セフィロトの木の精霊様!」


セフィロトの木の精霊が召喚される。これで準備よし。


「やっていいぞ。夕凪」


「グォオオオオオ!」


夕凪の身体全体から後光の光が放たれ、悪魔たちが消し飛ぶと呪撃コンボが発動するが夕凪に発動したコンボは全て弾けて消える。セフィロトの木の精霊の安全エリア効果による無敵化だ。ダメージは無力化されるが封印効果は受けるがこれは神仙の加護が無力化した。


そして夕凪の蛇が隣にいるシルフィのタラスクに触れるとタラスクにもセフィロトの木の精霊の効果が付与された。この裏技はサバ缶さんたちが最初の頃に実験で立証されたものだ。


実験内容は安全エリアにいる人と外の人が手を繋いだ状態で外の人が攻撃を受けるとどうなるかという物だった。結果は安全エリアの効果が適応された。これが棒などの武器ですると安全エリアの効果は適応されなかったそうだ。


つまり安全エリアの中の人と直接触れることが出来れば外の人にも安全エリアの効果が発生することが確認された。これを知ったサバ缶さんたちは安全エリアから手つなぎで攻略すれば最強説を唱えたが最強でもしたくないや気色悪いなどボコボコに叩かれたらしい。


武器を使った間接的な接触がダメな理由は恐らく安全エリアからロープなどが使えてしまうからという結論が出ている。理由を聞いて確かにこれを許したら、ダメだろうなと思った。


「ありがとうございます。夕凪ちゃん。タラスク! 思いっきりやっちゃってください!」


「グォオオオオオオ!」


タラスクの身体から水晶や隆起した岩が空に放たれて、次々爆発するとタラスクの口からドラゴンブレスが放たれ、敵を薙ぎ払うと呪滅コンボがタラスクを襲うが夕凪同様に無力化される。成功だな。


しかしここでセフィロトの木の精霊の効果時間が切れてしまう。まぁ、無敵効果の時間は短い物だ。ここで俺も死者の書をしまう。


「ありがとな。セフィロトの木の精霊」


「ありがとうございました」


セフィロトの木の精霊は笑顔で消えた。そして夕凪は再び結界を展開すると完全に張られる前にウァレフォルとマルバスが侵入して来た。狙いは当然俺だ。リリーとイオン、恋火が迎撃態勢になるがその心配はなかった。


襲い掛かったウァレフォルとマルバスは夕凪の背中から突如発生した木が腹に直撃すると同じく生えた木の根に身体が拘束されると夕凪の背中に隆起した岩が現れ、そこに叩きつけられて、胴体が隆起した岩に突き刺さる。


夕凪の樹木操作と大地支配は自分の背中も対象だったのか。これは夕凪の背がより安全になったな。木の壁や岩の壁とか作りたい放題じゃん。何なら背中に城とか自力で作れそう。流石にそれは夕凪や俺への羞恥心があるので、やめておく。


岩が突き刺さった二体の悪魔に夕凪の蛇が神水を放水して、二体の悪魔が絶叫する。ここで俺は銀たちに連絡を入れて、瀕死のこいつらを倒して貰った。忍者は足が速くて本当に便利だ。


戦場を見ると上位プレイヤーが中央を抑え、伝説の武器を手に入れたプレイヤーや新たに神と契約したプレイヤーたちがカオスゲートの制圧に向かっており、敵部隊とカオスゲートを守る名持の悪魔たちの討伐に成功し、カオスゲートの封印作業はゴネスの神官たちで英雄技を取得しているなら誰でも使える英雄技ルーンプリアーで封印された。


ルーンプリアーは指定した場所を封印する英雄技だ。今回の様にゲートや妖精の輪など封印の他にも設置されているアテナの像などのアイテムなどを封印することが出来る。中々使い方が難しい技だが、大規模戦闘では活躍する技なのかも知れない。


カオスゲートが全て封印されたのを確認すると召喚師たちが一斉に制空権の制圧に動く。流石に第五進化の全力や亜人の最終進化に到達しているし、シルフィのドラゴンたちもプレイヤーたちの動きに合わせた。これはもう空の有利性は時間の問題だろう。


後を残すのは城門付近の戦闘だけだ。召喚師たちが動いたことで空からの襲撃が激減したのを確認し、広場に突撃する。


「グォオオオオオ!」


「ぬん! はぁあああ!」


「グォ!?」


ゴッドオーガの魔剣解放からの覇撃をマグラスさんはデュランダルで受け止めると地面が砕けるがしっかり耐えた。そしてゴッドオーガの大剣の魔剣を弾くとゴッドオーガが宙に浮く。凄い筋力上げたな。マグラスさん。そのマグラスさんがデュランダルを構える。


「バスターカリバー!」


ラグラスさんのバスターカリバーが直撃するが流石にこれだけでは倒しきれないがラグラスさんのギルドメンバーが次々バスターカリバーをお見舞いして倒しきった。周りに居た人たちがラグラスさんの動きに完全に合わせているのが凄い所だな。


しかしここでバフォメットがゴッドオーガの蘇生に入るがバフォメットの首が斬れる。バフォメットの背後に現れたのは特徴的な紫の鞘を持つ侍だった。あの人が月読と契約したボサボサの髪にポニーテールスタイルの侍さんだ。


「ふぃー…危ない危ない…おっと!」


月読の契約者さんがスケルトンキングに攻撃されると跳躍で躱す。それを見たリッチが杖と魔導書で詠唱する。


「残月」


そういうとリッチの杖と魔導書、首に胴体、両手足が斬られて、倒れ込む。これには恋火も驚愕する。


「なんですか!? あの攻撃!? タクトお兄ちゃん!」


「太刀を抜いていなかったな…見えない程の速さで抜いたとしても斬撃は見えるはずだ。それを隠す技の可能性もあるけど、俺たちには空間から斬撃が発生したように見えたが…恋火はどうだ?」


「あたしはここからだと…」


「見えないか…ごめんな。たぶんあの技は空間に斬撃を設置する罠タイプの技だと思う」


恐らくあの太刀の力で姿を消した時に既に罠を設置終えていたんだろう。厄介な技だ。どこにいつ設置されたのか俺には分からなかった。しかし俺の予想が当たっているなら月読は長期戦向きの戦闘スタイルみたいだな。


姿を消してからこの技で空間に罠を設置してから月読の戦闘が始まるとみるべきだろう。月読と戦闘するなら開幕速攻で押すのが攻略法っぽいな。


ここでバフォメットとリッチが消えた時に発生した魔素が紫の太刀に吸収されて、月読の契約者さんにバフが発生する。扱いが難しそうだが、やっぱり強いね。しかし折角のバフはすぐに消される。


「本当にバフ解除がうざったいな」


「今までが結構楽過ぎたんだと思うよ」


「そりゃそうか」


「炎輪! お二人共! 呑気に話していないで頑張ってください! 折角蘇生役を倒したんですから!」


「そうだね…それじゃあ、一気に決めようか。日輪!」


鉄心さんが新しい太刀を天に掲げると日輪スキルがスケルトンキングを包み込んで消し飛ぶ。これで残すはヘルカイザー・デーモンだけだ。


「グォオオオオオ!」


口から溶ブレスを吐き、火山雷を降らせながら、大剣の魔剣を力任せに振るってくる。周りのゴブリンたちもいるので、中々距離が潰れない中、ここで移動要塞からタスラムが発射される。


これをヘルカイザー・デーモンは大剣で受け止めるが爆発に包まれる。


「グォオオオオオ!」


ここで逆鱗を発動させて、プレイヤーたちに襲い掛かった。突然の突撃に対して満月さんたちが大盾を構えて、防御に入るが蹴られた攻撃とその後の回転からの尻尾の一撃はガードしたが、最後の魔剣からの覇撃で一部の重装歩兵のプレイヤーが吹っ飛ばされた。


「グォオオオオオ!」


ここでヘルカイザー・デーモンは上段に構えを見る。これはやばいが俺が出るまでもなかった。動いたのはマダムさんだ。


「己の姿を映し、作り給え! 八咫鏡(やたのかがみ)! 神鏡解放(しんきょうかいほう)! 神鏡技(しんきょうわざ)! 現身(うつしみ)!」


ヘルカイザー・デーモンの目の前に同じ姿と構えをしたヘルカイザー・デーモンが現れ、大剣の魔剣同士がぶつかり合うとお互いに弾けて、出現したヘルカイザー・デーモンは消えてしまう。あれが鉄心さんが天照大神のクエストで手に入れた八咫鏡か。


八咫鏡は三種の神器の一つで天照大神が岩戸隠れした時に八咫鏡に映る自分の姿が気になり、天照大神が外に出るきっかけを作ったことから三種の神器に数えられている。


そしてみんなのピンチを救った現身は八咫鏡を向けた敵と同じ敵を一瞬だけ召喚し、同じ攻撃をぶつける事でどんな攻撃も相殺してしまう必殺技だ。この技の強い所はどんな攻撃も相殺できる所にある。同じ技、同じ見た目、同じステータス、同じ動きの攻撃が放たれるので、確定の相殺を可能にしている。因みに技を使用した後に荷重操作などを使っても現れた敵は同じタイミングで追加スキルを発動することが確認されているそうだ。


バランスを崩したヘルカイザー・デーモンにみんなが襲い掛かる。


「精霊技! ヴルカンダンス!」


「精霊技! ノームダンス!」


「精霊技! ウンディーネダンス!」


「精霊技! スヴァルトダンス!」


シフォンと同じ精霊騎士たちがそれぞれ契約した精霊の連続攻撃技を浴びせると他の勇者や大英雄たちが斬撃を集中させて、倒しきった。その後、残りの悪魔の掃討戦が行われて、いよいよアスタロトの城の攻略が開始される。


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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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[一言] 木の根で岩盤に光速で叩き付けるのか……www
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