#1260 魔神ゴルゴーン討伐戦
俺たちは空から様子を伺っていると洞窟から超巨大な紫色の蛇が次々姿を見せると巨大な青銅の手が現れ、島が割れると割れ目から巨大な紫色の蛇の尾が姿を見せる。最後に黄金の翼が洞窟の跡地から現れて、女魔神が姿を見せた。
石化魔神ゴルゴーン?
? ? ?
こいつがこの島のラスボスか。流石にサマエルやテューポーンは超えていない感じはするがクエストで戦ったエキドナ・リバースよりは強そうに感じる。すると髪の毛だった巨大な蛇たちとゴルゴーンは俺のほうを向く。やっぱり狙われますよね。
「アテナの契約者ーーーーー! 魔神技! デモンクラッシャー!」
このほぼ島全域の大きさの敵でデモンクラッシャーはやばいって!?しかも速い!
『ホー!』
コノハが回避してくれて、俺はゴルゴーンの腕を旭光近衛で突き刺すと星光刃で腕をぶち抜き、そのまま斬り裂いた。すると切り口から次々蛇が現れた。気持ち悪!?
それが終わると復活スキルで腕は元通りになる。そして髪の毛の蛇と尻尾が俺に襲い掛かって来るがクリュスがここで激突する。
「原初の海の女神か…」
「えぇ…似た者同士、白黒付けましょう?」
「ふ…その忌々しい盾を持っていようが同じミスは二度とおかさんぞ!」
クリュスにゴルゴーンが激突する。どうやら毒での戦闘は原初毒があるクリュスに分があるようだ。だがクリュスの水の攻撃は一切ゴルゴーンに効果があるようには見えない。水属性と土属性の女神の激突だ。属性の相性的にクリュスのほうが分が悪い。
更にゴルゴーンを傷付ける度に島には無数の蛇が落とされたことで知らない間にクリュスの尻尾に蛇たちが噛みついたりしていた。それの対処のためにクリュスも生物創造でティアマトの十一の怪物を召喚し、蛇たちに対応する。
「今の内です! ティターニア!」
「はい!」
「「マリッジバースト!」」
妖精姿のシルフィが降臨する。
「行きますよ! みんな!」
シルフィの召喚獣たちも戦闘に参加するが傷付くたびに蛇がどんどん増えていく。
「タクトお兄ちゃん!」
「ちょっと待ってくれな。まず回復とあの復活を封じないとやばそうだな。っ!?」
「捕まえた。これでその盾は使えまい」
クリュスはイージスを持つ手を髪の蛇に噛まれてしまう。そういうとゴルゴーンは俺たちのほうを見た。そしてゴルゴーンの目に魔方陣が展開される。やばい攻撃が来る。
「「ヒヒーン!」」
「「やらせません! 超連携」」
スピカに乗ったリースとスクリームペガサスに乗ったシルフィは超連携を発動させるがゴルゴーンは片手を振って、二人をぶっ飛ばした。
「「きゃあああああ~!?」」
二人の悲鳴が聞こえて来た。既に島中が蛇だらけの状態で落下するとどうなるかは想像しやすい。出来れば助けに言ってやりたいが、そんな余裕は俺にはない。
「魔神魔法! アルゴル・アイン!」
ファリーダのシャイターン・アインのゴルゴーンバージョンか。
「恋火! 俺たちの後ろに!」
『ホー!』
コノハの盾が絶対防御を発動させるとダークグリーンの閃光がゴルゴーンが向いている方向全域に放たれる。俺たちは辛うじてガードしたが島の森や島の海、自分が生み出した蛇まで全てが石化する。
まるで島が一瞬で大陸になったようだ…これが魔神ゴルゴーンの実力か。ここで地面で烈日の閃光が発生するとリースとシルフィが空に戻って来た。
「はぁ…はぁ…助かりました…リースちゃん…う!?」
「く…毒で体が…」
どうやら致死毒と麻痺毒を受けたらしい。この二人が状態異常を受けると言うことは溢れ出る蛇たちにゴルゴーンの加護が付与されているな。
「潔く我が子に喰われておればよかったものを…そんなに死にたいなら殺してやろう」
ゴルゴーンが腕を上げて、二人を狙う。
「恋火! 凍らせろ!」
「はい! 雪月花!」
恋火の斬撃を受けて、ゴルゴーンが氷結するがすぐに氷結は解除される。しかしその間にロードガーゴイルが二人を避難させてくれた。そして俺の所には夜叉が来る。
「俺が時間を稼ぐ。早くマリッジバーストを使え」
「頼む…やるぞ。恋火」
「はい!」
「やらせるか!」
ゴルゴーンの蛇たちが来る。
「影分身! 魔素刃! 時空切断!」
夜叉はゴルゴーンの髪の毛の蛇たちに分身を使い、受け止めながら、攻撃までする。だが、質量が違い過ぎて、押される。それでもその時間が俺たちのマリッジバーストを可能にした。
夜叉の分身が消え、髪の毛の蛇たちが俺たちに向かってくると一瞬で髪の毛の蛇たちの首が溶断で切断される。
今回の俺の姿は恋火とのマリッジバーストと同じ状態でそこにコノハの翼と梟の兜があるデザインとなっている。手には旭光近衛と恋白があり、周囲にはコノハの槍と盾がある。
融合した後にマリッジバーストなどを使うとどうなるか検証しておきたかったんだが、やはり上書きされるんだな。
「貴様!?」
「行くぜ…雷光!」
『溶断! 狐炎之舞!』
雷速の速度で溶断の斬撃が踊るように放たれ、髪の毛の蛇がバラバラになっていく。溶断での復活はなく、斬り口から現れる蛇も姿がない。どうやら溶断には隠れた能力があったみたいだな。
しかしこのまま接近戦を許してくれる相手でもなかった。
「ゴッドブレス!」
ゴルゴーン本体の口から特大のゴッドブレスが放たれるとコノハの翼が羽ばたき、俺たちは緊急回避すると同時に影分身が発動する。
「ドラゴンブレス! 石化光線!」
残っていた髪の毛の蛇が一斉に口からドラゴンブレス、目から石化光線を放って、俺たちの影分身を消して来た。しかし全て消したところでゴルゴーンの視界に入っていたのは全て影分身であることをゴルゴーンは知る。
「何!? どこだ!? っ!?」
俺たちは大きすぎるが故に出来たゴルゴーンの影から飛び出す。俺たちは影分身に紛れて、最初に斬った髪の毛の蛇の巨大な肉片が落下することで生まれた影に隠れて、石化した森の影の中を進ませて貰った。
「雷化!」
『狐炎之舞!』
雷化状態でゴルゴーンの身体を斬り裂きながら上げっていく。そして狐炎之舞の最後の斬撃が終わると俺はゴルゴーンの顔正面まで跳び上がり、構える。
「雷光刃! 英雄技! 霹靂閃電!」
「魔素化!」
俺の必殺の斬撃は躱されると魔素が俺たちの周囲を包み込むと俺たちはゴルゴーンの手に捕まる。雷化状態でも掴んで来るかよ。
「このまま握り潰してやるよ」
「そう簡単に行くかな?」
『ホー!』
「く…!?」
俺たちの身体が烈日の閃光に包まれて、ゴルゴーンはダメージと共に目潰しも喰らう。その間に俺たちは変化で身体を小さくして、手から脱出する。
「食らいやがれ!」
「そこか! 魔神波動!」
ゴルゴーンの手から魔神波動が放たれる。馬鹿め。引っかかったな。俺たちが回避するとその後ろには伝説解放されたイージスを構えたクリュスの姿があった。
「アテーナイ・カスレフティス!」
「っ!? あぁああああ~!?」
流石にこの一撃はゴルゴーンをぶっ飛ばすほどの威力を誇った。更に倒れたゴルゴーンに俺たちは追撃に出る。
「魔神技! 夜天魔楼撃!」
俺たちの切り札発動を見送った夜叉はクベーラとなり、ゴルゴーンの本体と髪の毛の蛇と尻尾に紫の光の柱に照らされる激痛がゴルゴーンに襲い掛かる。
「ぐぅうう! 女神技! フェンガーリ・ダクリュオン!」
『爆炎之太刀!』
俺たちが攻撃を加えて、空を見ると波紋が発生し、弓矢が降っていく。ステアノ―が使った女神技か。しかし俺が動く必要は無さそうだ。
「神剣グラム! 神剣解放! 神剣技! シグ・ヴォルスング!」
神剣グラムの風の斬撃が弓矢を吹き飛ばす。ここでゴルゴーンは更に流星群を使ってから防御を固めて、まずは立ち上がろうとする。対する俺たちは立ち上がらさせない。
「グランドサザンクロス!」
「冥波動!」
「聖剣解放!」
「グォオオ!」
俺たち、クベーラ、シルフィ、ロードガーゴイルのテンペストペネトレイターがゴルゴーンに命中するが身体が持ち上がっていく。するとそこにクリュスが突撃して、強引にゴルゴーンを倒すとゴルゴーンの残りの蛇とゴルゴーンの手足にクリュスの蛇たちが噛みついた。
「あなたには地面がお似合いよ」
「貴様に妾たちの何が分かる! デモンクラッシャー!」
ゴルゴーンがクリュスの蛇に噛まれたまま、デモンクラッシャーをクリュスに放ってきた。その結果、クリュスは吹っ飛ばされるがその際に離れた蛇をゴルゴーンが掴んで地面に逆に叩きつけて、起き上がろうとする。
ここで二匹のスクリームペガサスが突撃して、起き上がりを阻止した。俺たちがこのまま一気に畳みかけようとした時だった。ここでゴルゴーンの代名詞とも言えるスキルが発動する。
「石化の魔眼!」
俺たちは一斉に目を閉じるがそれをゴルゴーンは承知していた。
「砂嵐!」
ゴルゴーンが翼を羽ばたかせると砂嵐が発生し、俺たちは吹っ飛ばされた上に視界が砂で覆われる。
「旋風刃! ダメか…恋火、コノハ」
『あたしは大丈夫です! 寧ろ光栄ですよ』
『ホー!』
「そっか…それじゃあ、行くぞ! お前の力の一旦を俺たちに見せてくれ! 旭光近衛! 神刀解放!」
旭光近衛の刀身が蒼色に染まると稲妻が発生する。
旭光近衛(神刀解放):レア度10 刀 品質S+
重さ:150 耐久値:11000 攻撃力:9000
効果:刀【嵐影湖光】、神殺し、竜殺し、不死殺し、破魔、万物切断、時空切断、魔力切断、万物吸収、英気、神気、電磁場、超電磁、電子分解、溶接、電弧放電、雷光刃、黒雷、雷雨、天雨、大嵐、雲海、雷光、光速激突、雷轟、荷電光線、日光、浄炎、空振、多乱刃、旋風刃、天候支配、海流支配、電磁支配、重圧、烈日、後光、陽光、神速、全滑走、超加速、大瀑布、大海波動、神波動、蘇生、復活、光化、雷化、耐性無効、加護無効、物理無効、神威解放、次元震、帰還、覇撃、奇跡、太陽の加護、破壊神の加護、スサノオの加護
刻印効果:無限のルーン、瞬間回復、魔力超回復
青生生魂と緋緋色金の合金にスサノオの力が宿った本来なら存在することすらない創造神すら想定していない刀。その輝きは闇を払い、その刃は斬ったあらゆる物を吸収し、持ち主に力を与える。
スサノオの嵐の神としての力が解放されたみたいだ。これは好都合だ。初めてのスキルだが、早速試して見よう。
「大嵐!」
俺たちの周囲に大雨と暴風が発生し、砂嵐と激突する。流石に砂嵐を全て吹き飛ばすまではいかなかったが俺たちの周囲の砂嵐はなんとかすることが出来た。
「どこにいった?」
『気配があちこちに…恐らく分身を使われました』
「だな…下手に立ち上がる音に反応して飛び出すとやられるか…」
みんなと連絡を取り合うとどうやら砂嵐に捕まっているみんなから狙われているみたいだ。
「完全に誘ってやがるな」
『あたしたちが仲間を助けに行かないと仲間が死んじゃうって事ですか?』
「あぁ…なんとも魔神らしい考え方だ」
元女神なんだけどな。アテナへの憎しみは理解する。人間でも怪物に姿を変えられたら、その人間を恨むのは当然だ。それでも俺は元女神なら思考まで魔神化して欲しくないと思ってしまう。その瞬間に元女神の怪物は本当の意味で魔神になると思うからね。
「流星群! 彗星! 石化光線! 石ブレス!」
ゴルゴーンの殺戮を楽しむ声があちこちから聞こえて来る。それを聞いた俺は旭光近衛を真上に構えて、みんなにずぶ濡れになることを伝えてからスキルを使用する。
「大瀑布!」
俺たちの頭上に滝の水が落下して、砂嵐もゴルゴーンも大瀑布に呑み込まれる。流石の砂嵐もこれには一溜まりもない。その瞬間、暴れていた石分身のゴルゴーンたちも大瀑布のダメージを喰らったことで分身が消えていた。
しかしゴルゴーンはそんな中、翼で大瀑布を止めており、本体は魔方陣を展開していた。砂嵐の間、立ち上がってからずっと詠唱していたのか。
「宇宙魔法! アルゴル!」
俺たちの頭上に血の色をした星が落下してくる。これを見たクリュスとスクリームペガサスたちはすぐに空に上がる。
「私たちで破壊するわ! お父様たちはそいつをやって!」
「任せろ」
俺が旭光近衛を構えると周囲の水から蒼い光が発生し、大地からは緑色の光が発生すると旭光近衛の刀身に宿って、空色の光の刃が旭光近衛に発生する。
嵐影湖光の四字熟語の意味は山の新鮮な精気と湖面の輝きのことで山と湖の美しい景色を指す四字熟語だ。つまりこの技は水と土属性が追加される必殺技だ。
「嵐影湖光!」
「重力場!」
俺たちの姿が消え、ゴルゴーンが自分の周囲に重力場を発生させる。
「ふふ…手出し出来」
俺たちがゴルゴーンの背後に現れるとゴルゴーンの首に空色の線が入っていた。そしてとんでもないソニックブームが発生するとゴルゴーンの首が跳び、炎と雷が追撃効果がゴルゴーン本体と首に発生する。
「な、何故だ!? どうやって斬った!?」
「旭光近衛には物理無効がある。だから物理現象は俺たちには効かないんだよ」
この首に使っていいのか分からないが取り敢えずキビシスを取り出すとキビシスはゴルゴーンの首を勝手に大きくなって、包み込んでくれた。封印完了と倒した証明くらいにはなるかな?
「この袋…妾にまで使うか! この! 出せ! 出せぇえええ!」
なんか大きな袋から聞こえて来るけど、無視する。空ではスピカたちが光球をぶつけてからクリュスの蛇たちの一斉のドラゴンブレスにクリュス本体の口からゴッドブレスが放たれるが破壊されずに落下して来ていた。
しかし最後はスピカたちの惑星魔法ジュピターとアルゴルが激突して、破壊に成功するとコノハが勝手に俺たちを影の中に避難させてくれるとアルゴルから真っ赤な光が発生し、それを浴びたみんなが石化する。
「星の破壊がトリガーで発生する魔法だったのか…助かったよ。コノハ」
『ホー!』
俺は魔導書を出して、みんなの石化を治すとシルフィたちが首無しのゴルゴーンに総攻撃を開始する。その裏で俺たちは詠唱を開始した。首が無くても暴れ回るゴルゴーンは流石だが、翼と両手、尻尾を失い、身体が島の大地に沈むと生き残っている蛇たちにゴルゴーンの身体が包み込まれる。最後まで母を守ろうとする蛇たちは立派だね。止めは俺たちが決める。
「行くぜ。コノハ」
『ホー!』
「残らず全部消してやるよ。禁呪! クロノディスインテグレーション!」
ゴルゴーンと島に放たれた蛇たちは時空の穴に吸い込まれて、消滅すると時空の穴からアイテムが落ちて来た。ここでやっとインフォが来た。
『おめでとうございます! ゴルゴーン島の石化魔神ゴルゴーンを撃破しました。アークティックに行けるようになりました』
『特殊クエスト『ゴルゴーン島を解放せよ』をクリアしました』
『クリュスの竜技のレベルが20に到達しました。竜技【ドラゴンダイブ】を取得しました』
女神二柱にゴルゴーンを倒しても俺のレベルアップは来ないんかい。リースは二レベルアップで他は一レベルアップだから俺が来てもいいと思うんだけどな。
アテナのクエストで島を解放せよとか書かれていたからフィールドボスな感じはしたよね。そして解放された場所の名前はアークティック。つまり北極が解放されたことになる。これはチロルに伝えないといけないな。恐らくペンギン系の召喚獣の故郷の可能性が高いからね。俺は氷系の素材アイテムが欲しいなら行くことを考えるけど、エデンにアザゼルの研究所がある所も氷のフィールドだから行くことはないかも知れない。
それじゃあ、落としたアイテムを一応鑑定しよう。
石化魔神の宝珠:レア度10 重要アイテム 品質S+
石化の魔眼を有する魔神の力が宿った宝珠。メデューサが進化するために必要なアイテム。
ゴルゴーンの魔眼:レア度10 素材 品質S+
上級神すら石化させることが出来ることから魔眼の中でも最高峰の魔眼の一つに数えられている。武器やアクセサリーに使われるがアクセサリーのほうが使い勝手がよく、人気がある。
ゴルゴーンの首:レア度10 素材 品質S+
ゴルゴーンの首から上の部分。盾や鎧に埋め込むことで装備を強化することが出来る強化素材。その顔はあらゆる存在に恐怖を与え、魔除けの効果があるとされている。武器や防具に作る際には能力を封じる特殊なアイテムが必要となる。また作っても見た目が怖過ぎるのが難点。
これ、貰えるのかな?首はゴルゴーンを倒した瞬間から何もしゃべらなくなったけど、見るのが怖い。とにかくアテナにクエスト達成の報告に行きますか。そう思っているとシルフィのロードガーゴイルがゴルゴーンが現れた所に四つの宝箱を発見してくれた。優秀な子だ。危うくスルーするところだったぜ。
出て来たのはこちら。
反射鏡:レア度9 素材 品質S-
光を反射されることに特化した鏡。主に盾に使われるが鎧や剣に使うことが出来る。またこの鏡から更に強化することもことでより強力な反射鏡を作ることが可能。
ゴルゴネイオンメダル:レア度10 素材 品質S
ゴルゴーンの首をかたどったメダル。硬貨としては価値が全くないメダルで魔除けの効果と石化の魔眼の力があることからネックレスによく使われる。見た目が怖いので、女性にプレゼントするのには向いていないアクセサリー。
ゴルゴネイオンメダルが三つも出てきてくれました。ネックレスならすぐに作れそうだね。反射鏡は完全にイージスを手作りしろと言っているな。しかし残念ながら俺は強化する方法を全く知らない。これは生産職に相談だな。
宝箱の確認が終わるとそれを見守っていたシルフィがお願いしてくる。
「あの…タクト? ゴルゴーンの宝珠なんですけど、頂いてもいいですか?」
「いいけど、もしかしてメデューサを召喚していたの?」
「…はい。すみません! なんか言い出しにくくてですね」
俺との最初の戦闘でいきなりメデューサと戦う事になったんだから言い出しにくくもなるだろう。俺も自分の都合を優先したから配慮が足りなかったな。
「それはそうだろうな…でも、なんか納得がいったよ。初めてアテナがシルフィの前に現れた時の反応はスターペガサスの召喚師ってだけじゃなかったんだな」
シルフィはあの段階で既にフレイと契約しているのだ。それなのにアテナの登場でかなり驚いていた。アテナと関わりがある召喚獣を少なくとも二体召喚しているならアテナへのあの反応は俺の中では納得がいった。
「あ…あれは急に現れたら、誰でも驚きますよ。まぁ、実際に存在は知っていましたし、いつかお会いしたい女神様だとは思ってましたけど…」
「なら今から会いに行こうか」
「へ?」
俺はシルフィたちを連れて、アテナの神殿に転移すると目の前にアテナがいた。
「ゴルゴーンの討伐お疲れ様~。フリーティアのお姫様も手伝ってくれてありがとね」
「い、いえ! きょ、恐縮です!」
滅茶苦茶緊張してますよ。するとアテナがシルフィの目の前にやって来る。
「君が手にした宝珠は過去のボクの過ちが詰まっている…ボクからの身勝手なお願いだけど、新たなゴルゴーンを幸せにしてやって欲しい」
「アテナ様…任せて下さい!」
「ありがとう。いい子と結婚出来て良かったね。タクト」
「はい」
「うんうん。幸せそうで何よりだよ。それじゃあ、クエスト報酬とゴルゴーンの首をくれるかな? そのままの大きさじゃ、大きい鎧にしか使えないからね。特別にサイズを小さくしてあげるよ」
これは嬉しい。正直どう使おうか困っていたんだよね。キビシスを出すとアテナは手を受けるとキビシスがどんどん小さくなって、人間の首サイズまで小さくなった。
「因みにこの中身はもう石化しているから安心してみていいよ」
「あ、そうなんだ…本当だろうな?」
「ふふ。どうかな?」
これは言っている事は本当だな。アテナが驚かせば良かった顔をしたのを見逃さなかったぞ。そしてアテナから今回の報酬を貰う。
アテナの神石:レア度10 素材 品質S+
女神アテナの力が宿った石。守護女神として圧倒的な守りの力と戦略の女神としての力が宿っている。
ありゃ。これは盾や防具に使う神石っぽいな。まぁ、戦略でアテナも槍使いであることを考えると槍もありなんだろうけど、悩むな。俺のプランとしてはブランにアテナの神石を使った槍を与えて、ブリューナクをリースに上げることで北欧神話でリースを固めようと思っていたんだけど、クリュスの盾してリースにイージスを渡すのも有りな気がする。
いや、ここは予定通りで行こう。下手にブレるのは良くないと思う事にした。ここで俺たちはアテナに別れの挨拶をして、フリーティアに戻った。
そして島でシルフィがメデューサをゴルゴーンに進化させた。それを見送った俺は和狐にゴルゴーンの首を預けてクリュスのアイアース・アスピスの強化を依頼し、ユウェルとアラネアとリースにゴルゴーンの魔眼を使った指輪を依頼した。
リースの刻印のレベルがまだ低いので、アクセサリー系で一気にレベル上げをさせる計画です。
鎧のほうは伊雪に任せた。
これで今日の午後はお終い。部屋に呼んだのは和狐だ。いつも通りリクエストを聞くと予想外のお願いが来た。
「恋火みたいにして欲しいどす…」
「あぁ~…和狐は結構そういうの嫌がるタイプだと思ってた」
「それは恋火の前やと姉としての威厳を保たなあきまへんから…」
「二人きりの時は甘えたいと」
和狐は顔を赤くして頷く。この分だとリリーたちがいても甘えさせるのは難しいだろうが本当に二人っきりの時は積極的に甘やかして行こう。そんなわけでベッドの中でたっぷり撫でで和狐が完全ダウンしたのを確認してからログアウトした。




