#1257 フェンリルの鉤爪
夢にまで昨日のシルフィの顔が出てきてしまった俺です。我ながら相当重症だなと思います。学校の休憩時間に二人っきりに海斗となれたので、聞いてみた。
「で、昨日はどうだったんだよ」
「…言える訳ねーだろ」
「それを昨日聞いて来たんだよ」
「…反省してる」
何があったか非常に気になるが相当気まずい空気になったんだろうな。俺はリリーたちのお陰である程度、耐性が出来ていたと思うけど、海斗はいきなりサラ姫様と寝る訳だからかなり緊張したことが伺える。そして昨日の自分の対応をちょっと後悔しているかな?これ以上の考察は止めておこう。
学校が終わり、自宅に帰るとゲームにログインするとベッドには俺とイクスだけで食堂に行く途中でシルフィと合流するとまた顔が少し赤くなる。
「お、おはようございます」
「おはよう。ご飯、いいかな?」
「そうですね。私も一緒に行きます」
すると先にアーレイとサラ姫様が食堂にいた。声を掛けると二人がビクッと反応する。
「よ、よぅ」
「あ、あぁ…タクトとシルフィお姉様か…これから食事か?」
「はい」
「一緒に失礼しますね」
俺たちが席に座るとアーレイとサラ姫様たちは気まずそうだ。なんだろうね?この空間。お互いに無言の食事が続く中、シルフィが口火を切る。
「昨日、何かありました?」
「な、ななな、何も無かったぞ! あぁ…そうだ…何も…うん。何もなかった! 間違いない!」
サラ姫様の顔は昨日のシルフィとそっくりな真っ赤になり、とんでもない動揺っぷりを見せた。その様子にアーレイも頭を抱える。何かあったと言ってるようなものだからな。
「そうですか」
シルフィが話を流したので、俺もそれに合わせよう。さて、今日の予定はまずいつもの武器チェックと生産作業をしてからシルフィと一緒に延期していたゴルゴーン島の攻略をする予定だ。夜はヒラニヤプラに行ってからオシリス戦だな。後はリースにエンゲージリングを渡す感じか。後は時間が余るかどうかだな。そんなわけで最初に鍛冶の成果から確認する。
魔狼神王の鉤爪:レア度10 籠手 品質S+
重さ:80 耐久値:6500 攻撃力:6500
効果:神殺し、不死殺し、星間行動、神足通、荷重操作、重力支配、重力場、英気、万物切断、魔力切断、時空切断、金剛爪、金剛装甲、神速、超加速、魔素支配、多乱刃、魔素刃、光吸収、魔霧、常闇、即死、防御無効、耐性無効、加護無効、狂戦士化、逆鱗
アダマントとグラビティサイトの合金とフェンリルの牙から作られた狼専用の鉤爪。神を殺す事に特化しており、その斬れ味は上級の神でも殺す力を有する。アダマントとグラビティサイトが加わったことで更に爪の威力が増すように作られている。
神鎧スプリームアルマーズ:レア度10 魔法鎧 品質S+
重さ:10 耐久値:10000 防御力:10000
魔法鎧効果:神殺し、全属性耐性、半減、神気、光速激突、威圧、神障壁、多重障壁、暴風壁、神鎧、堅城、衝撃無効、絶対防御、全反射、乱反射、電弧放電、瞬間再生、超電磁、電磁支配、強化復活、陽光、光化、雷化、雷光、全滑走、環境無効、重力場、電磁場、重力支配、物理無効、流星群、大雷轟、武器破壊、妨害無効、魔法無効、支配無効、神の加護、原初の加護、巨人の加護、大地母神の加護
宝玉効果:全属性アップ(究)、魔法再時間短縮(究)、魔力超回復、天候支配、炎熱支配、物理支配、海流支配、粒子支配、魔素支配、時空支配、宝玉解放、宝玉全解放
刻印効果:無限のルーン、封殺、呪滅撃
オリハルコンとグラビティサイト、原初の砂の合金と最高級の宝石、内側にはテューポーンの鱗で作られた山羊専用に作られた究極の魔法鎧。全てのダメージを半減させてしまう能力があり、魔法に対しては攻撃を受け付けない。更にテューポーンの鱗であらゆる攻撃は暴風と雷で弾かれてしまう天災の鎧となっている。
グレイは全ての足に装備された鉤爪を確認して、俺の方を見ると大きく頷いた。どうやら納得がいったようだ。
エアリーの鎧についてはセチアが刻印効果について相談を受けていた。エアリーが覚えそうなスキルを避けて、選んだのが封殺と呪滅撃だった。アマルテイアが誰かを封印した話や呪った話は聞かないからね。これでスキルで選ばれたら俺のミスでしょうがない。
ここからは注文の時間だ。ヘーパイストスとセチアはテューポーンの杖の製作をお願いすると二人は険しい顔になる。
「どうかしたのか?」
「それがエンシェントエルフの知識によると封印石や神石を使った魔法杖は作れないみたいなんです…封印石や神石の魔力に宝玉が耐えられないのが原因のようですが」
「その通りですね。それだけ封印石や神石に宿っている力は巨大すぎると言えます。ただ原因が明確ですから宝玉を僕らの力で強化すれば作れる可能性はあります。特にパンドラの力はゼウスの力ですからね。不可能を可能にすることぐらいの力はあると思います」
「確かにそうですが…それだとかなり強引な魔法杖になるので、かなり劣化した武器になりませんか? それでも十分な力はあると思いますが」
結局どうするかは俺に委ねられると俺は魔法杖を選択した。
「本当にいいんですね?」
「あぁ…今までにない武器くらい作らないと全知全能の神に勝てない気がするしな。かなり負担をかけると思うが頼む」
「任せて! おじ様!」
「負担なんてとんでもない。不可能な武器の作製に挑戦することが出来ることほど鍛冶師として嬉しいことはないですよ」
ヘーパイストスたちがやる気満々のようなのでたぶん作製してくれるだろう。俺はみんなを信じるだけだ。次にパンドラたちに新しい注文をする。
「パンドラには余ったフェンリルの爪でアリナの二刀流の細剣を作ってくれないか?」
「いいよ! でも、細剣ってどんな剣?」
俺は細剣、即ちレイピアについて説明する。
「刀身は名前の通り細くて、先端が鋭く尖っているのが特徴的な剣だ」
「んん~…わかんない」
「そうだよな…みんなならシャムシエルが使っていた剣で伝わるんだが…しょうがない。絵を描くか」
「どんな剣か一応は分かったけど…おじ様、絵が下手だね」
俺はパンドラの容赦ない絵の感想に大ダメージを受けた。絵が下手糞なのは自覚してます!それでも伝わったんだから良いほうだよ!ここでアリナが聞いて来る。
「お兄様の絵の下手さはさておき、この剣はどういう剣なの? お兄様」
「…刺突に特化した剣だ。もちろん斬ることも出来るが見た目の通り、向いていない。細剣はまず通常の片手剣よりも軽く、基本的には剣を振る速度が速い。その上、攻撃が突きに特化しているから剣よりは色々考えなくていい武器なんだ。その代わり攻撃を避ける技術とかは要求されてしまう武器だけど、アリナなら使いこなせるだろう」
寧ろアリナが二刀流を覚えた時点で俺にはもう細剣の二刀流しか選択肢がないと思ったほどだ。
「うーん…お兄様が絵の下手さを話題にしたくないのは分かったけど、細剣の強さはいまいち分からないの」
「だよな…まぁ、こればっかりは実戦で教えるのが一番いい。ただ今言えることは剣士としては結構怖い武器なんだよ」
「そうなの?」
「あぁ…何せ二刀流なら絶え間なく突きを放つことが出来るし、攻撃が突きと限定されると言う事はその突きという攻撃に全神経を集中することができるんだ。対戦してみたら、分かると思うけど、ただ一撃必殺の突きを当てるのみと考えている人は怖いぞ」
それがフェンリルの爪で作られているなら更に脅威が増すだろう。金属にはアダマントとグラビティサイトを指定した。目指すは神すら倒す一撃必殺の突きだ。作り自体は簡単と言われたので、明日には完成させてくれるそうだ。
次に和狐たちにはファリーダのためにフェンリルの皮を使った鎧を注文した。これが完成次第ラーに挑む事になるだろう。アポピスにフェンリルの鎧を着たファリーダで負けたら、お手上げです。
聖杯はちょっと保留する。夜にいくヒラニヤプラともし余った時間があるならリベンジしたい相手がいるので、今日の最後に使う事としよう。それじゃあ、シルフィと合流して、ゴルゴーン島を攻略に向かった。




