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#1244 ロイゴル戦

みんな「新年、あけましておめでとうございます!」


リリー「タクト! 振袖だよ! 振袖! どう? どう?」


イオン「新しい年になってもリリーは変わりませんね」


ノワ「…むぅ。胸が苦しい」


ユウェル「わたしも苦しいぞ」


イオン「…」


タクト「どうどう。黙って剣を抜かない。折角の新年なんだから物騒なことは無しでのんびり過ごそうぜ」


恋火「え? 神社に行ってはくれないんですか?」


和狐「新年は神社に行かないといけまへん! 特に狐の神社がオススメどす!」


リビナ「私利私欲、駄々洩れだね」


セチア「ここは対抗して、神社を作るべきでしょうか」


ブラン「私の場合だと教会になりますね」


リリー「教会はダメだよ!」


ブラン「な!? 酷いです! リリーお姉様! なんでダメなんですか!」


タクトを除く全員「屋台がない!」


ブラン「そこがやはり重要なんですか! もっとしゅへの感謝をですね…皆さん」


ファリーダ「じゃあ、ブランは屋台が嫌いってことね」


ブラン「そうはいってません!」


タクト「はいはい。神様への感謝の気持ちも屋台も大切ってことでいいだろ? 神社行くなら早く行かないと地獄を見るぞ」


セフォネ「どうなるんじゃ?」


タクト「潰されて、最悪離れ離れになるな。特にセフォネは大変だと思うぞ」


セフォネ「新年の神社は恐ろしいところなのじゃな…では、タクトの頭は妾が貰うのじゃ! ここから絶対に潰されることも迷子になる事も無いからの」


リリー「あぁ~! ずるいよ! セフォネちゃん! そこはリリーの特等席だよ!」


アリナ「寧ろか弱いアリナの特等席なの」


燎刃・リアン「…」


イオン「二人の抜け駆けを感知しました」


燎刃「え? こういうのは早い者勝ちではないんですか?」


神社に行く前に俺が潰されました。因みにリリーたちがくっついて離れない状況で誰も俺たちに近付こうとする人はいませんでした。

ロイゴルと戦っているリリーたちも大苦戦していた。


「ほらほら! 飛び回ってばかりいたら、死んじゃうぞ~!」


ロイゴルはたくさんある手から空拳を連打しまくっていた。周囲だけでなく上下までほぼ全域を攻撃範囲だった。ただこいつの能力は最初の戦闘である程度、分かっている。魔神としての能力は宇宙空間での風属性の使用と無限魔力だろう。これとクトゥグアの戦闘力を比べるとやはり弱く感じる。


そして風属性と雷属性の切り替わるタイミングが仮面ではっきりとわかるのはかなり戦闘がしやすい。もっとも戦闘スタイルが滅茶苦茶いやらしかった。まず全ての手から風輪の上位スキルである大気輪を飛ばして来た。あの大気輪はロイゴルが操ることでみんなを追尾している。


その上で現在攻撃している全方位攻撃だ。誰も逃げ切ることが出来ずに必死に攻撃を耐えているが空拳に触れると破裂し、ガードしても破裂した衝撃でダメージを受けてしまう。


このまま逃げ続けてもダメージを受け続けるしかないので、みんなは決断する。


「「「「影分身!」」」」


まず銀たち、忍者たちと千影が仕掛ける。


「大気弾!」


全ての手から大気の弾が無数に放たれて、影分身が消し飛ぶ。すると影分身の後ろに隠された苦無や手裏剣がロイゴルに襲い掛かる。ここで仮面が変化する。


「電磁場! あははは! 無駄無駄! ほーら! 返すよ! っ!?」


「ドラゴンダイブ!」


リリーの突撃を見たロイゴルが武器を操って、リリーにぶつけるが普通の苦無と手裏剣なので、リリーにほとんどダメージは発生していない。


しかしこの突撃は躱され、そのタイミングでリリーは蹴り飛ばされる。だが、リリーの勇気ある突撃は無駄にはならない。ロイゴルの視界に次々突撃してくるプレイヤーとアリナたちの姿を見る。


「雷拳!」


無数の雷速の拳で襲い掛かったアルさんの召喚獣が次々拳でぶっ飛ばされる。だが、その中、拳を受けながら突撃しているのはブランだ。流石に神盾アイギスは雷拳ではびくともしない。


「シールドタックル!」


「そんな攻撃、通用しな」


ブランの背後に付いて来ていたシフォンがロイゴルの動きを見切る。


「聖剣解放!」


「雷化!」


「逃げられた!? あ」


シフォンの背後にロイゴルが現れる。


「あははは! 荷電」


ここで神短剣ハーフバリアサクスがレールガンで飛来し、ロイゴルは回避を選択する。


「あは! 邪魔しないでくれる?」


「邪魔なのはお前のほうなの」


再び高速戦闘が発生する。雷属性状態のロイゴルにはまず通常時に武器での攻撃はほぼ出来ない。電磁場で武器が弾かれてしまう。しかしさっきのように電磁場が展開されるより先に攻撃されると避けるしかないわけだ。


それに雷化は常時できるものじゃない。アリナや他の風のドラゴニュート、ホークマンがレイブンたちがしつこく距離を潰して、追い詰めていく。そして切れたタイミングで一斉に襲い掛かると仮面が変化し、風属性になる。


「衝撃放射!」


みんなが吹っ飛ばされるが後ろからシフォンとレイジさんたち、銀たちが一斉に襲い掛かる。


「霊化!」


全員の攻撃を回避したがレイジさんが反応する。


「そこや! 貫け! アキレウスの槍!」


霊化で実体化したロイゴルをアキレウスの槍が貫く。そこにリリーたちや銀たちが一斉に身体を武器で貫いた。全員が確かな手ごたえを感じた時だった。


「電弧放電」


みんなが感電する。仮面は風属性のままだ。


「あははは! やられちゃったね。兄さん」


みんなが痺れた体で上を見ると雷の仮面のロイゴルがいた。


「あぁ…流石にむかついちゃったな。弟よ。衝撃放射!」


そしてたくさんの武器に貫かれた風のロイゴルも生きており、みんなをぶっ飛ばした。


「どういうこと?」


シフォンがそういうとロイゴルが答える。


「改めて自己紹介しようか? 俺の名前はロイガー」


「僕の名前はツァール!」


「ロイゴルは俺たち二人を指す名前だ。俺たちは二人で一つの命を持つ。故に俺たちはどちらかが死んでも生きてられるんだよ」


つまり二重人格だと思っていたけど、それぞれ別の神として分離できたってことかな?そしてこいつらは不死ではないが二人同時に倒さないとどうやら殺せないらしい。しかもそれに失敗すると倒された方は全回復するみたいだな。


問題は同時に殺すときのタイム差だ。ピッタリ同時ではないと思うがピッタリのつもりで止めを合わせないといけない。


「アリナちゃん。風の方をお願い。リリーは雷の方と戦う」


「リリーお姉様? そういうことなの…そういうことなら風のほうはアリナが相手をするの」


リリーの本気の顔を見たアリナは察する。


「じゃあ、ボクはアリナの手伝いかな?」


「私がリリーお姉様ですね」


リビナがアリナ、ブランがリリーに付く。そしてプレイヤーたちもそれぞれの判断で戦力を分けた。


「戦力を分けて、俺たちに勝てるかな?」


「あははは! 楽しみだね! 兄さん!」


二柱の魔神はお互いに距離を取る。まぁ、倒す条件が同時撃破ならまず視界内での戦闘はしないだろうな。見えていたら止めの攻撃を合わせるのは難しくはあるがそこまでの難易度じゃない。


戦闘を見ると二人はどうやら強さは一人の時と変わらないようだ。分かれたからステータスを半分ずつするような弱い設定にはしていないらしい。ただ何もデメリットがない訳ではない。シフォンたちの目にはボスの生命力だけが半分になっているのを確認している。更にさっきまで発動していた超加速のバフは一度消滅してしまうようだ。


この勝負で厄介なのが断然に風属性の魔神であるロイガーだと思う。同時撃破をしなければいけないのに回避や武器を風で吹き飛ばしてしまうロイガーにみんなは苦戦している。


一方で雷属性であるツァールとの戦いではリリーが頑張っていた。電撃を喰らいながらリリーはがんがん距離を潰して攻撃している。


「あははは! 何、必死にやってるの? どうせみんな死ぬんだから頑張るだけ無駄だよ?」


「リリーはタクトの召喚獣だから雷の神には負けれない。だから必死にもなるよ。それにリリーは死なないし、頑張ることは無駄じゃない。タクトとみんながリリーに教えてくれたの。頑張ることで未来は変えられるって!」


俺がスサノオと契約し、雷の刀を持ったことでリリーはスサノオ以外の雷の神には負けれないと思ったらしい。俺の事で本気モードが発動したリリーはとにかく強い。


「あは! 雷轟!」


「星渦!」


降り注ぐ雷が星の渦に当たることで相殺される。そして黒雷を受けながらリリーが突っ込む。


「あははは! 普通の雷じゃ、止まらないならとっておきを喰らいなよ! 大雷霆!」


「光球!」


ツァールの大雷霆を光球で止める。お互いに超爆発するがリリーはすぐさまツァールに襲い掛かる。


「あはは! 荷電!」


「やぁ!」


「おっと…球!」


「光化! はぁ!」


荷電球を作り出すより先に攻撃したリリーだったが後ろに躱され、荷電球が放たれるが光化で躱してぶっ飛ばした。


「あははは! はぁ…逆鱗! 雷化!」


さっきまで五月蠅い笑い声が消えると逆鱗状態で雷化して来た。分かれたことで雷化を二回出来るようになっていたのか。流石にこれはリリーには荷が重い。


「雷化! あたしが相手するであります」


「邪魔するよ…今から僕をぶっ飛ばしたこいつを殺すんだからさ!」


どうやらツァールは攻撃くらうとぶちギレするタイプらしい。そんな相手に千影が対戦する。ステータスではツァールに勝てない千影だが、一歩も引かず、応戦している。ここに来て、原初海竜の太刀をツァールは相当嫌がっている。


俺たちも敵の武器について知らないがそれは向こうも同じだ。俺たちの星にある武器の基本的な情報はナイアーラトテップから伝えられている可能性はあるだろうが俺たちが持っている武器の情報の全てが渡っているはずがない。


ツァールは原初海竜の太刀で雷が斬られる上に大海壁で防がれている。水は電気を通してしまう性質を持っているので、雷が水の壁に当たるとまず水に電気が流れる。この結果、千影に雷は届かないのだ。もちろん電気が流れた水と自分が接触していたら、感電するけどね。千影は海流支配で水を完璧にコントロールしているからツァールは相当苛立っている。


「こうなったら、ぶち抜いてやるよ! 荷電砲! ぐふ!?」


「そんなチャージが必要な攻撃、させるはずがないやろ」


レイジさんがツァールの背中からアキレウスの槍でぶち抜いた。


「あ、ははははは…無駄だよ。僕は兄さんが死なない限り何度でも蘇る」


「そうやな…だからこうするんや」


「天鎖!」


「神鎖!」


「「「「ダマスカスワイヤー!」」」」


みんなの鎖やダマスカスワイヤーがツァールを拘束する。これで後はロイガーのほうを倒すだけだ。そのロイガーは戦闘スタイルを一切変えずに戦闘している。この戦術が最強だと思っている戦い方だ。


その意識を変えたのは、リビナの炎帝の鞭だった。伸縮自在に伸びる五つの鞭にロイガーは大苦戦させられている。


「ほらほら! どうしたのさ!」


「この! 調子に乗るな! 下級の魔神風情が!」


「その下級の魔神に苦戦しているお前はボクより更に下って分かって言ってる?」


炎帝の鞭のお陰なんだけどね。それもリビナの力だから深く言うまい。まずロイガーの風は炎帝の鞭に全て弾かれていた。基本的に風は金属に勝てないからな。良くて傷付ける程度だが、その傷が再生の炎と自動修復で治ってしまうので、ロイガーは攻略法に苦戦している。


「大気輪!」


「無駄無駄! ほいほいほい!」


無数の大気輪がみんなに放たれるが炎帝の鞭が動き回って、大気輪に触れると爆心の効果で爆発することで大気輪を吹き飛ばしてしまう。元々風は火に弱いがそれが露骨に出ている。


「この! クトゥグアみたいでむかつくんだよ! その武器!」


ここでロイガーはリビナに接近戦を挑む。しかしロイガーは自分の戦闘スタイルを捨てることの代償を理解していない。リビナの鞭を掻い潜って、リビナをタコ殴りにしようとした瞬間だった。無数の武器がレールガンで襲い掛かり、ロイガーは攻撃を喰らいながらも距離を取る。


アリナたちやシフォンたちの攻撃を止めたことでみんなを自由にさせてしまった。結果、空間にいくつもの武器がロイガーを狙う状況になったのだ。


更に遠距離から一斉の狙撃がロイガーに襲い掛かる。風でガードしようとしたけど、相手が悪かった。


「流石、対戦車ライフルは射程も威力も段違いですね。反動も凄いですが」


「最強の狙撃銃ですからね」


対戦車ライフルは名前の通り、戦車の装甲をぶち抜くために開発された狙撃銃だ。この銃はライヒ帝国で開発されて、シリウスさんたちから与一さんなどのプレイヤーに貸し出されている。


戦車の装甲をぶち抜く徹甲弾の前では流石に暴風壁でもガードは厳しい。良くてコースをずらせるくらいだろう。それを理解した上で与一さんたちは一斉に攻撃して、多少コースがずれてもどれかは当たるようにした。


「く…お前ら、もういい。全員即刻消してやる! 魔神技! ダストプラネット!」


ロイガーの周囲に謎の紫色の風が発生するとその風が拡大していく。ここでまた与一たちの対戦車ライフルの一斉狙撃が行われるが今度は防がれてしまう。そしてその様子をはっきりアリナは見ていた。


「みんな! 離れるの! あれはたぶん灰燼スキルの力を持つ風なの!」


ゴーレムたちのロケットパンチが風に触れた瞬間、塵になったことで確定する。みんなが各々のスキルで攻撃するがびくともせず、どんどん範囲が拡大していく。奇襲も考えられたがロイガーの時空支配で不可能。ここでシフォンはリビナの炎帝の鞭で起きていたことを思い出し、レッカに通信を送る。


『詠唱完了。準備はいい?』


「いいよ。レッカ君」


みんなが武器を構えると真っ赤な魔方陣がダストプラネットの手前に展開される。


「禁呪! ビックバン!」


宇宙誕生の爆発の衝撃波でダストプラネットは吹き飛ぶ。


「何!?」


「「「「ドラゴンダイブ!」」」」


「「「「バードストライク!」」」」


包囲していたアリナとホークマンたちが突撃技をすると全員が無数の手で掴まる。その後ろからリビナが炎帝の鞭を振るうがこれも読まれて捕まってしまう。


「甘いよ」


「それはこっちの台詞なの」


下からレールガンの武器が飛来して、手を撃ち抜く。アリナはリビナを掴んでいた手を撃ち抜いた。こうして解放されたリビナは鞭を振るうと炎帝の鞭はロイガーに巻き付き、拘束するとロイガーは燃え上がる。


「この程度…っ!?」


「聖剣解放!」


『いくよ! リリーちゃん!』


『うん! 天涯両断!』


ツァールの止めは滅茶苦茶頑張ったリリーに任せた。


「『やぁあああああ!』」


「やめろぉおおおおお!」


「くそぉおおおおおお!」


ロイガーとツァールは光の斬撃を頭から受けて、消し飛ぶのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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