#1243 クトゥグア戦
今年最後の更新となります。リリーたちも敵も強くなってきたことで全体的に物語の一日が終わるスピードが想像以上に遅くなってきたなと思う一年でした。
今年の印象深い話としてはやはりタクトとシルフィの結婚が一番に来ますね。この二人の結婚はもう最初から決めていたことなので、取り敢えず書けて良かったです。残っている話も結構濃密な話ばかりなので、来年に終われるか結構疑問に思ってます。
改めまして、今年一年『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』を読んで下さり、本当にありがとうございます。少しでも読者の皆さんが楽しく感じてくれたら、幸いです。それでは新年最後の更新をお楽しみください。
クトゥグアとの戦闘では一度恋火たちは和狐の回復を受けて、引いていた。プレイヤーたちが代わりにクトゥグアと戦闘をしている。その中にはサラ姫様とアーレイの姿がある。
「はぁあああ!」
「その鎧は厄介だな…しかし」
「くぅううう!」
サラ姫様が攻撃しようとした瞬間の僅かに空いた腹にカウンターの拳が入って、ぶっ飛ばされる。
「実力が伴っていないな」
「サラ!? てめぇえええ!」
アーレイの斬撃は手で刃を掴まれる。
「この! 離せ!」
「あぁ」
「が、ご、は…ごばぁ!? ぐぅううう!?」
クトゥグアが剣を離すとアーレイに腹、腹、アッパー、蹴りのコンボが炸裂して、ぶっ飛ばされる。
「やぁあああ!」
ここでリサが交代するがリサの拳は止められる。
「雷神連拳! おりゃりゃりゃりゃりゃ!」
リサは桜花の神である建御雷と契約に成功した。雷神連拳はその時に獲得した技で雷速で拳を連打する技だ。しかしその攻撃をクトゥグアは受けてもびくともしていない。
「爆破の魔眼」
「きゃ!? あ」
「核爆!」
また至近距離からの核爆がリサに決まり、ぶっ飛ばされる。
「回復するからケーゴ、ユーコお願い」
「おう!」
「任せなさい!」
メルの指示でケーゴとユーコが挑むがクトゥグアは至近距離からの核爆を連発する。これはもう異常事態だ。
「くそ! どうなってやがる!」
「こんなに大技を連発しているのにこいつの魔力、どうなっているのよ!」
これが四元の支配者共通点だった。どの魔神も魔力を気にせず大技を連発している。これはもう彼らの加護による能力と考えるのが普通だ。恐らく宇宙戦闘限定での無限魔力といったところだろう。これをみんなに伝える。
「宇宙空間限定の加護なら領域スキルで無効化出来るはずね」
「しかし向こうも使って来ますよね?」
「二回目の領域スキルが本命にするべきなんでしょうけど、相手が一回目の領域スキルを消さない可能性もあるわ」
「つまりどちらも有利になる領域スキルを使わないといけないわけどすな」
炎属性の領域は向こうに有利になる可能性もあるが取り敢えず無限魔力は消せる。ここをどうするかだな。判断はメルに委ねられる。その間にマグラスさんがクトゥグアと戦闘している。
マグラスさんはクトゥグアの拳を受けてもその状態から攻撃をして、クトゥグアにデュランダルを当てたがデュランダルの刃が刺さった首から再生の炎が発生する。
「回復スキルまで」
「鍛え抜かれた体にいい攻撃だったぞ。お前は強者として認めてやろう。猛爆!」
「ぐぅうう! く!」
これもマグラスさんは耐えて、また核爆が来ると思ったマグラスさんはガードを固める。
「開眼」
クトゥグアの腹の目が大きく見開くと真っ赤な光が集束する。
「不味い!?」
「破壊光線!」
真っ赤な閃光が放たれ、直線上にあった星が木端微塵になる。これを見たカグヅチの刀を持つ侍ちゃんが言う。
「こうなったら、私の神刀解放で」
「ダメだ。君の神刀解放は私たちの切り札だと説明されただろう? 君が使うなら私が使う。しかし今の状況では使えない」
「どうした? 来ないならこちらから行くぞ!」
「ガァ!」
クトゥグアが前に飛び出した瞬間にシルフィのフェンリルが襲い掛かると爪をクトゥグアは回避する。あれだけ受けていたのにフェンリルの爪は脅威らしい。しかしフェンリルの手をクトゥグアは掴むとフェンリルを振り回して、投げ飛ばしてしまう。
ここでハーベラスがブレスを放つがクトゥグアから炎が発生すると炎がまるでバリアのようになって、ブレスをガードされる。
ここで恋火が飛び出した。
「やぁ!」
「ふん…ぬ?」
恋火の攻撃は避けられ、クトゥグアが手を伸ばすが恋火は回避して、突きの構えを取る。
「は!」
「ぬ!? は!」
恋火の突きを躱すクトゥグアは身体を回転させて、裏拳を放つが恋火は後ろに下がって、回避した。そして両者が接近戦で激突すると恋火は負けていなかったが結局ぶっ飛ばされる。しかし恋火はぶっ飛ばされた状態で恋白を振る。
「飛燕!」
「ぬ? せい! ぬ…面白い技だが外したな!」
飛燕の斬撃をクトゥグアが拳で消し飛ばそうとした瞬間、斬撃は拳を躱してクトゥグアに迫るが身体を背後に反らして、回避される。そして恋火に襲い掛かろうとした瞬間にファリーダが迎撃に動いた。ただし手には斧が装備されていない。
「格闘戦で俺に勝つつもりか?」
「そうよ」
「ふん…舐めるな!」
ファリーダと格闘戦になるがファリーダはクトゥグアの攻撃をいなしたり、弾いたりして攻撃の隙を作るとクトゥグアに拳を当てていく。そう、これは俺が使っている格闘術だった。現在のこの状況を恋火たちは俺との訓練に当てはめた。
筋力が強い自分たちがクトゥグアで筋力で負けている俺が恋火たちだ。そう考えると恋火たちは俺の動きを真似する考えに至ったらしい。
「妙な格闘術を使うな」
「私たちの夫が私たちとの訓練で使っている体術よ。厄介でしょ?」
「確かに面白いが全部の攻撃に対処出来るか?」
クトゥグアは拳を連打してくる。それをファリーダは必死に対処しているが対処しきれず、ぶっ飛ばされる。
「ふん」
「や!」
ファリーダをぶっ飛ばした隙を付いたリサの蹴りがクトゥグアの首に命中するがクトゥグアはリサの足を掴もうとするが回避する。
「その程度の攻撃では俺は倒せんぞ」
「みたいだね。だからこれを使わせて貰うよ! 神籠手解放!」
リサが緋緋色金で作られた黄金の籠手に装着された神石から黄金の稲妻が発生する。
「ようやく本気を出す気になったな。その神の力、どれほどの物か試してくれるわ」
「超電磁! 神拳! やぁりゃりゃりゃりゃ!」
雷速の神拳が連打されて、クトゥグアを初めて下がらせる。完全にタコ殴り状態だ。リサの拳の速度にクトゥグアは付いていけていない。そんな状態で何故かクトゥグアは耐えていた。そしてその狙いが明らかとなる。パンチの連打にリサの体力が先に限界が来た。
「ぐぅうう! は!」
「ぬん!」
「きゃあああああ!?」
最後にぶっ飛ばそうとしたリサが大振りの攻撃をした結果、クトゥグアのカウンターがリサの顔面を捕らえて、大爆発する。
「中々いい攻撃だったぞ。久々に戦っていると実感して来た」
今までの戦闘は戦いにカウントしていないらしい。流石にこの発言にはみんなもカチンと来るがそんなことを思っている隙はない。クトゥグアの手に炎の鞭が現れると真っ直ぐリサに襲い掛かる。
「く…神障壁!」
リサは腕をバツにしてガードするが更にぶっ飛ばされる。
『大丈夫!? リサちゃん!?』
『大丈夫だけど、あの鞭やばいよ。お姉ちゃん。貫かれるかと思った』
リサはクトゥグアの鞭を直に受けて、理解した。あの攻撃はリサの心臓を貫くために放たれた攻撃だった。鞭で身体を貫通するなんて聞いたことが無い。鞭は基本的に叩く、縛るのための武器だ。そこに貫くという攻撃手段が加わるのは思っている異常にやばい。
他のプレイヤーたちがクトゥグアに襲い掛かっているがクトゥグアは熱波で吹き飛ばし、再びリサに襲い掛かる。
「核爆!」
「神技! 雷神張り手!」
核爆の球体に黄金の稲妻が発生している巨大な手のひらがぶつかり合うと核爆の球体を押していき、クトゥグアに返してその上で巨大な手はクトゥグアを押して、アブホースに直撃して、爆発する。
「いい技だ。瞬転」
「ガァアアア!」
消えたクトゥグアの進路上に虎徹が時雨を放ち、リサへの攻撃を阻止した。
「次はお前が相手か?」
「グルル…」
虎徹は尻尾の武器を解放して、ぶんぶん振りながら威嚇する。
「ふん…くだらん」
クトゥグアは真っ向勝負で虎徹に襲い掛かる。しかしクトゥグアの拳が虎徹に当たりそうになった瞬間、クトゥグアの視界に桜の花びらが発生するとクトゥグアが桜花爛漫で斬られる。
「ピィ―!」
コーラルが斬られたクトゥグアに突撃し、アブホースに押し付けるがコーラルはぶっ飛ばされる。ここでシルフィの指示でジークと叢雲の拡散光線が飛来するが避けられる。
「いくわよ! 魔神域!」
「ふん。甘いな。俺たちに領域スキルは通用せん。魔神技エリアブレイク!」
クトゥグアは片手を上げて、拳を握るとファリーダの魔神域が壊れて、元の宇宙空間に戻る。領域を変えて来るならまだ良かったな。まさか領域スキルを破壊する技があるとは思って無かった。これだとどれだけ領域を展開しても破壊されるだけだ。
これでもう無限魔力の敵を自力で倒すしかない。
「上等よ! はぁ!」
「ふん!」
「はぁ!」
「やぁ!」
ファリーダの拳は止められるがそれに合わせた恋火と燎刃が左右から襲い掛かり、腹に斬撃を与える。これに対してクトゥグアはファリーダの手を掴んだまま、二人にぶつける形でぶん回して、三人ごと投げ飛ばすとまた核爆を使う。
「どういうことだ?」
「恋火ちゃんの太刀は半減の効果があるはずだよ」
しかし威力が弱まっている感じはしなかった。
「ふん。そんな効果が俺に通用すると思っていたのか? 俺は全てを破壊する。状態異常など効くものか」
全てを破壊する?それならワンチャンあるかも知れない。
『和狐、一つ試したい。いいか?』
『はいな』
俺はメルに俺の意図を説明して、和狐のために時間稼ぎをしてもらう。ここでみんなが次々クトゥグアにおそいかかるのを見て、クトゥグアも異変に気が付く。
『なんだ? 急にこいつらの動きがなりふり構わない感じになったぞ』
次々プレイヤーたちをぶっ飛ばしていく中、クトゥグアは力を溜めているメルや鉄心さんたちを警戒する。上手く後ろに隠れている和狐から気を反らしてくれたよ。
「式神召喚! 来てください! 天逆毎!」
俺が和狐に頼んだ切り札がこれだ。天逆毎はクトゥグアに襲い掛かる。さて、どうなる?
「そんな奴に俺が倒されると思っているのか? 爆拳!」
二人の間に大爆発をするとクトゥグアがぶっ飛ばされる。ここで初めて血反吐を吐いた。効果あり。
「ぐ…がは!? なんだ? 今の攻撃は?」
更に天逆毎が追撃に出て、クトゥグアと戦闘になると流石にクトゥグアも天逆毎の能力を理解する。
「貴様! 俺の攻撃を俺に返しているのか!」
そう。天逆毎が持つ能力は反転。その結果、クトゥグアが天逆毎にした攻撃が反転してクトゥグアにクトゥグアの攻撃を返している。全てを破壊する能力というのは考え物だ。跳ね返されたら、自分も破壊してしまうんだからね。
「術者は…あいつか!」
「日輪!」
和狐が狙われたがここでメルが日輪で攻撃し、クトゥグアはガードする。さっきまでの余裕が完全に消えたな。これを見たみんなは今のクトゥグアには攻撃が入ることを確信する。
「「「「閃影!」」」」
恋火が斬った後に虎徹や侍たちが次々色んな方向から斬撃を喰らわされる。更にアーレイやサラ姫様が中心となった騎士や英雄、勇者のプレイヤーが必殺の斬撃を浴びせる。滅茶苦茶効いているがボロボロ状態でもクトゥグアは炎を出す。
「おのれ…家畜風情がよくもやってくれたな! 逆鱗!」
クトゥグアの身体が真っ赤に染まると周囲に赤い煙のような物が発生すると全員の生命力が急激に減少する。
「これは…放射能だ!」
「全員逃げろ! 距離を取るんだ! 放射能を浴びた者は正常な人に触れると状態異常を感染させるぞ」
このゲームでは放射能は赤い煙で表現されていることを知っているプレイヤーが言った事で全員がクトゥグアから距離を取ってしまう。それを見た鉄心さんが言う。
「引くな! ここでこいつを倒すんだ!」
鉄心さんの言葉にみんなが決意を決めたが遅かった。みんなの間をクトゥグアがすり抜けてしまう。狙うのは和狐だ。
「死ね!」
「神刀解放! 神技! 天斬撃!」
鉄心さんの天照大神の神石の斬撃が上からクトゥグアに炸裂する。白い斬撃は光速で放たれ、クトゥグアのみならず射線上にいた全てのアブホースを一刀両断する。そして斬られた箇所から眩い光が発生すると大爆発した。
流石天照大神の神石。スサノオに負けてないね。
「炎化!」
しかし斬られたクトゥグアは炎となって和狐に迫ると両手に核爆を作り出す。
「超集束! 死ね!」
二つの核爆が合体し、大きな核爆になると和狐に攻撃が当たる瞬間、誰かが割って入る。
「はぁ…はぁ…はぁ!」
和狐を守ってくれたのはマグラスさんだった。デュランダルでガードしたみたいだけど、流石に無理があるが気力で斬撃を放つ。
「ぬぅ! 貴様!」
「神拳!」
炎状態のクトゥグアにリサのレールガンの拳が入る。
「ぐ…炎の俺に攻撃するだと!?」
「私が契約した神様は武術の神様。どんな相手でも戦うことが出来る能力ぐらいは持っているよ!」
物理化の応用かな?流石相撲の元祖とされる神様の能力だ。相撲はまず取っ組み合いをしないといけないからね。この結果、リサの拳が次々決まる。
「これで終わり! 太極波動!」
「ぐぅうう…妖精の輪!」
リサに消し飛ばされるクトゥグアだったが最後にファイヤーヴァンパイという火山雷の妖精が召喚されて、みんなは残ったアブホースの艦隊たちと一緒に戦闘することになるのだった。




