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#1241 デストロイヤーユニットとギャラクシータロス

それぞれのシュブ=ニグラスから声が聞こえて来る。


「まさか我々が前線に立つことになるとはな…全く何をしているんだが」


「ま、あいつじゃ荷が重かったって話なんじゃないの? どう思う? 弟よ」


「あははは! 僕もそう思うよ! 兄さん」


「そう言っていると私たちも負けますよ。何と言っても彼らはナイアーラトテップを倒しているんですからね」


ナイアーラトテップを知っている?それに右側から二人の声が聞こえたぞ。


『たぶん敵はクトゥルフ神話の四元の支配者じゃないかしら? ナイアーラトテップが土属性と考えるなら数が合うし、二人の声が聞こえるのも納得が行くわ』


ルインさんの予想にサバ缶さんたちの意見も一致する。クトゥルフ神話の一つの話には四元の支配者という四柱の神が登場している。火の王クトゥグア、水の王イタカ、そして双子神で風の王であるロイガーとツァール。そして土の王がシュブ=ニグラスという話がある。


このゲームの事を考えるとシュブ=ニグラスは土の王とは考え辛い。だとするなら前の戦いで戦ったナイアーラトテップを土の王と仮定したほうがしっくりくる。


『このままぶつかるのは危険ですね。艦隊やプレイヤーの消耗が激しすぎます』


『予定通り撤退の指示をお願いします』


『任せて下さい』


俺たちの艦隊のあちこちで信号弾が放たれるとプレイヤーたちはノアズ・アークの艦隊に全力で戻る。


「俺たちに背を向けるか…身の程を知れ! 核爆!」


「あーあー…これじゃあ、あいつらが一瞬で全滅しちゃうじゃん」


「あははは! 楽で良いんじゃない? 兄さん」


「そう簡単な話ではないようですよ?」


「核爆!」


真ん中のシュブ=ニグラスの口から放たれた真っ赤な星は突然発生した同じ真っ赤な星が少し下で激突し、ぶつかり合った状態で上に上がっていくと何もない宇宙空間で二つの核爆発が発生する。


「ほぅ…」


「へぇ…中々やるじゃん」


「あははは! 面白そう!」


「彼女たちのようですね…ナイアーラトテップを倒したのは」


新たな敵艦隊と俺たちの艦隊の間にシルフィが指揮しているリリーたちが現れ、陣取る。核爆をぶつけたのは燎刃で攻撃を上に打ち上げたのはファリーダだった。ここで次々中継基地で待機していた召喚師たちが撤退中のノアズ・アーク艦隊に転移して一斉に召喚獣たちを召喚する。因みにリリーたちは自力でやってきている。


「核爆を使ったあいつがタクトが話した炎の王が乗っている船で間違いなさそうね」


「ならあたしたちが相手ですね!」


「相手にとって、不足ありません!」


「みんな、気合い入り過ぎないようにしよな? またタクトはんに怒られてしまうよ」


中央の艦隊に恋火、和狐、ファリーダ、燎刃が狙いを定める。ここには敵が火属性ということでシルフィは火力がある虎徹、黒鉄、ダーレー、狐子、月輝夜、コーラル、ハーベラス、シルフィのフェンリルを選ぶ。


更に他の召喚師たちも各自の判断で参加メンバーが選ばれている。


「アリナは右側なの」


「ボクもだね」


「私も手を貸しましょう。敵は二柱。リリーお姉様も助けてくれますか?」


「任せて!」


右側には二柱の神がいて、風の王であることからシルフィはスピードがあるリリー、リビナ、ブラン、アリナ、グレイ、ゲイル、白夜、ロコモコ、ヒクス、千影、スピカ、リースを選んだ。


「水が相手なら私たちが相手をするしかないですね。リアン」


「もちろんです。イオンお姉様」


左側は水の王であることからイオン、リアン、コノハ、チェス、優牙、伊雪、サフィ、クリュス、蒼穹、ルミが選ばれた。


最後に自分たちの後方、敵部隊全体を相手にするシルフィと共に戦うメンバーとしてセチア、ノワ、セフォネ、ユウェル、アラネア、ぷよ助、エアリー、ルーナ、ミール、ディアン、ストラ、ジーク、リオーネ、夕凪、叢雲、スキアーが選ばれた。


「これがナイアーラトテップが言っていた召喚獣か…中々楽しめそうではあるがまずは我々と戦う資格があるのか試させて貰わんとな」


敵艦隊と召喚獣とエクスマキナの艦隊とのバトルが勃発する。するとリリーたちは押される。さっきまでより敵艦の数が圧倒的に多い上にシュブ=ニグラスの触手の動きも能力も違っていた。


三つのシュブ=ニグラスの共通としては下手に前に出ていない。あくまで艦隊の補助役に徹している動きをしていた。これが恐らくシュブ=ニグラスの本来の戦い方なんだろう。そりゃあ、数で勝っているなら味方の損害を最小限にする動きをするだけで自然と勝ちになるのが道理だ。


結果、俺たちは攻撃をしながら後退を余儀なくされている。


「あぁ! もう! 倒しても倒してもキリがいないよ! シルフィ!」


「困っちゃいましたね…今は作戦通り、敵をどんどん削るしかないです」


「ですね。夕凪が進化してくれて助かりました」


リリーたちも確実にアブホースやクトゥルフたちを倒しているのだが、シュブ=ニグラスの触手に邪魔されて、ガンガン前に出れていない。結果、戦いは長期戦の様相となり、みんなは夕凪の中で休憩しては出撃を繰り返している状況だ。


ここまでの戦いでの俺の感想としてはシュブ=ニグラスを操縦している奴が違うだけでここまで更に厄介になる物かと感心している。


「マスター、敵艦隊、第一防衛ラインを突破。第二防衛ラインにノアズ・アーク艦隊が展開中。更に後方より補給物資が来ています」


補給物資は今回、アポが手配してくれているエクスマキナの艦隊の武器弾薬エネルギーを補給してくれるものだ。これはなんとしても守らなければならないものだ。そうじゃないと長時間戦闘は出来ない。


『シルフィ、補給するから援護して欲しい』


『了解です』


「リリーちゃんたち、タクトの指示です。行きますよ。これが終わったら、タクトが作ってくれたお弁当を食べれますからね。頑張りましょう」


「「「「おぉー!」」」」


リリーたちが攻めてくれている間に先に補給を済ましたノアズ・アーク艦隊がエクスマキナ艦隊の前に出てくれて、エクスマキナ艦隊は補給体制になる。


これを見た敵艦隊は速度を上げて、一気に距離を詰めて来た。この瞬間、艦隊が触手から離れる。それよりも補給阻止を優先した形だ。数で勝っているとこういう強引な攻めも一つの作戦と言える。補給を阻止出来たら、一気に勝ちが近付くからね。


こちらも支援要請でロボたちを展開して断固守る構えだ。しかしどんどん俺たちと艦隊の位置が縮まって来る。


「そろそろ頃合いだな。イクス、暴れてこい」


「イエス、マスター」


イクスが席を立ち、外に出る。


「マスタータクトのデウスエクスマキナ、イクス。これよりマスターの命により、敵部隊の殲滅を開始します。デストロイヤーユニット、換装!」


イクスにデストロイヤーユニットが装備される。ステータスがこちら。


名前 イクス デウスエクスマキナLv36


生命力 600

魔力  600

筋力  600

防御力 600

俊敏性 600

器用値 600


スキル


高飛翔Lv46→超飛翔Lv46 堅牢Lv1 多重兵装Lv47 時間遅延Lv22 神感覚Lv33 

神瞳Lv42 千里眼Lv44 光速激突Lv24 白熱刃Lv16 万物切断Lv24 

魔力切断Lv5 時空切断Lv12 武器破壊Lv23 溶断Lv13 溶接Lv12 

遠距離狙撃Lv48 必中Lv45 透過Lv22 詳細解析Lv30 量子演算Lv47 

指揮Lv28 多照準Lv42 次元照準Lv18 行動予知Lv45 遠距離索敵Lv46 

魔力感知Lv36 反射Lv26 神装甲Lv35 瞬間再生Lv1 魔力超回復Lv40 

太陽炉Lv12 多連射Lv40→無限連射Lv40 無限連撃Lv15 神速Lv1 超加速Lv33→極加速Lv33 

転瞬Lv7 星虹Lv19 神バリアLv33 電磁場Lv1 空間把握Lv24 

次元拘束Lv18 瞬間換装Lv18 格納Lv12 神リンクLv39 支援要請Lv30 

超連携Lv28 遠隔魔力充電Lv26 電弧放電Lv16 誘導弾Lv1 追尾光線Lv28 

拡散光線Lv18 光閃Lv12 重力球Lv5 殲滅砲Lv1 魔導砲Lv1 

衛星砲Lv9 荷電砲Lv6 極零度砲Lv1 星波動Lv18 神波動Lv22 

放射熱線Lv14 雷化Lv4 光化Lv14 光分身Lv8 星核Lv1 

リミッタ解除Lv4 DEMバーストLv10 起死回生Lv1 不屈Lv1 神威解放Lv3 

機神の加護Lv25


さぁ、俺たちの金を注ぎ込んだ力を見せて貰おう。ユニットの全武装が展開されるとイクスはやられに出て来た敵全てをロックオンする。


「エクスマキナフルバースト!」


両手のカラミティキャノンから黒と赤の極太の破壊光線が左右に放たれると射線上にいるアブホースの艦隊をぶち抜き、核爆発でクトゥルフ諸共消し飛ばす。


更に両肩に装備されているツインバスターキャノンは上のアブホース艦隊をぶち抜き、イクスのお腹に装備された絶対零度砲は中心に放たれ、これに触れたアブホース艦隊は氷付き、粉々に崩れ去る。


これもクトゥルフ諸共だったがそれよりも驚いたのが魔力を吸収するはずのシュブ=ニグラスの触手まで凍らせて葬り去った。流石にシュブ=ニグラスの障壁まで破壊することは出来なかったが敵をビビらすには十分すぎる一撃だ。


更に無数に放たれたミサイルもアブホースを撃破している。これは流石にクトゥルフまでは倒せなかった。


「イクスお姉様より補給要請」


「イクスお姉様に魔力補給を実行します」


マザーシップからイクスに虹色の光線が放たれるとイクスの魔力が全回復する。


「魔力全回復を確認。エクスマキナフルバースト!」


これがマザーシップとデストロイヤーユニットの殲滅コンボ。魔力の消費がとんでもない量になるデストロイヤーユニットの弱点を見事にフォローしている。


「敵軍が崩れた! 一気に行くよ! 全軍突撃!」


復帰したプレイヤーたちがそれぞれ決めた相手に突撃していく。しかしここで艦隊の防御にとってしていたシュブ=ニグラスが艦隊が減ったことで攻めに転じて来た。お返しとばかりの破壊光線が次々放たれ、エクスマキナの艦隊に被害が出る。


「この!」


「リリーちゃん! ここは撤退です! みんなも今は前線で戦っているプレイヤーたちを信じましょう」


シルフィがそう言うとリリーたちは夕凪に集まり、休憩とご飯を食べる。シルフィがちゃんと指示してくれて助かった。


「艦隊の被害状況は?」


「現在三十パーセントが被弾。ナノエクスマキナたちによる修復はもう開始しているようです」


「優秀だな」


『マスター、ミサイル残弾ゼロ。このまま援護を続けますか?』


「もう突破口は十分に開いた。マザーシップの魔力も心配だし、一度戻ってくれ。イクス」


流石のマザーシップもデストロイヤーユニットの連続攻撃では魔力回復が追い付かなかった。ここは一度引き際だろう。


そしてプレイヤーたちは前回同様にアブホース艦隊を倒しながら、触手を狩っていく。ただ触手も簡単には斬らせて貰えなかった。くねくね自在に動いて、プレイヤーたちを苛立たせている。そして武技を使ってしまったプレイヤーは触手に狙われて、吸い取られるがすぐさまメルたちが助けに入る。


「す、すみません」


「一度引いて、回復班の治療を受けて。みんな、厳しいけど武技の使用は極力避けてね」


「「「「はい!」」」」


「タクト君から聞いたが確かにさっきとはまるで別物だな」


みんなが苦戦をしていると相手も戦術をここで変えて来た。


「火山弾!? でも、どこに…まさか狙いは艦隊!?」


ここで敵は狙いをプレイヤーから艦隊に変えて来た。しかもシュブ=ニグラスたちは距離をどんどん詰めて来ている。艦隊がシュブ=ニグラスの触手の範囲に入ったら、終わりだ。エクスマキナの艦隊もノアズ・アーク艦隊もエネルギーは魔力だから一溜まりもない。


「敵艦隊、第二防衛ライン突破されました。シュブ=ニグラス、作戦領域に到達!」


「頼むぞ。ヘーパイストス、パンドラ」


敵艦隊の頭上から複数の鋼鉄の巨人が飛来する。サバ缶さんたちとギャラクシータロスだ。それを敵もすぐに察知して、迎撃に動く。


「「「「覇撃!」」」」


「「「「王撃!」」」」


みんなもそれに合わせて、触手を浮き飛ばすが次々生えて、ギャラクシータロスたちに襲い掛かる。


「パンドラ!」


「全部吹き飛ばしちゃうよ! ミサイル、発射!」


ギャラクシータロスの身体中からミサイルが放たれ、生えた触手や周囲のアブホースを破壊する。だが、それでも迎撃は追い付かず、触手はギャラクシータロスたちにくっつく。


「僕たちが作ったギャラクシータロスを舐めないで欲しいね! いくよ! パンドラ!」


「うん! ギャラクシーカリバー! 彗星溶断(すいせいようだん)!」


ヘーパイストスの力が宿った超巨大な刃がシュブ=ニグラスの障壁を全て破壊、そのままシュブ=ニグラスに刃が突き刺さるが途中で止まってしまう。


「く…吸収能力で出力が」


「大変! ギャラクシーカリバーが!?」


ギャラクシーカリバーがシュブ=ニグラスの装甲である肉壁に取り込まれようとしていた。更にそれはギャラクシータロスまで迫るともうギャラクシータロスは警報だらけだ。もちろんそれはサバ缶さんたちも同じ。


「サバ缶!」


「やむをえません。自爆シークエンス発動! 緊急脱出!」


ロボ本体からコックピットだけ切り離されて、見事な脱出を果たす。これを見たヘーパイストスとパンドラは慌てる。


「逃げたー!?」


「ギャラクシータロスにそんな機能ないよ!?」


「「…食べられるー!?」」


ヘーパイストスは神の力に覚醒し、パンドラもゼウスの力を獲得している。向こうからするとその力は是が非でも獲得したいんだろうな。


『…にぃ、成功』


ノワから連絡が来るとマッカレオンたちが爆発すると銀たちからも連絡が来る。


『呪霊玉班、成功したよん』


ここで三体のシュブ=ニグラスに呪霊玉の呪いが炸裂する。ノワはハデスの隠れ兜を使って、ギャラクシータロスが斬った箇所から内部に潜入することに成功した。銀たちはマッカレオンの自爆で大穴が空いたことで潜入に成功している。


しかし先程よりはダメージが少なかった。こちらのアイテム不足だ。それでも各シュブ=ニグラスに十個ずつ使用している。もっと時間があれば用意出来たんだけどな。これはもう運営を恨むしかない。


「先ほどの攻撃ほどではないな…甘く見られたものだ。ん?」


ギャラクシータロスの胸がスライドする。


「魔力供給全開! お父さん!」


「へーパンドラスマッシャー! 発射―!」


腕や手足から呑み込まれていたのが幸いした。胸のへーパンドラスマッシャーは無事でパンドラが強制的に魔力を供給したことでゼロ距離からへーパンドラスマッシャーが中央ののシュブ=ニグラスに炸裂し、シュブ=ニグラスは炎上すると大爆発する。


ここで一つ落とせたのはでかい。


「やった…パンドラ、大丈夫?」


「はぁ…はぁ…ちょっとだけ疲れちゃった」


パンドラは明らかに顔色が悪かった。自分だけでへーパンドラスマッシャーの魔力を送ったのだ。消耗しないはずがない。ただそれよりもお父さんと作ったギャラクシータロスが大戦果を挙げたことが誇らしげだった。

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「マスタータクトのデウスエクスマキナ、イクス。これよりマスターの命により、敵部隊の殲滅を開始します。デストロイヤーユニット、換装!」 イクスにデストロイヤーユニットが装備される。…
[気になる点] イタカが水!?風に乗りて歩むもので、ハスターの眷属であるイタカが!?水はクトゥルフ以外ダゴンぐらいしかいないからかな?(ダゴンは荒ぶる海神で出たしクトゥルフは何故かモブになったしね) …
[一言] >イクスにデストロイヤーユニットが装備される。ステータスがこちら。 この文章の後が空白でステータス系の表示がないのですが、ステータス表示はしない(「ステータスがこちら」が誤記)のか、ステー…
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