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#1240 ソトース戦

俺たちは敵を識別する。


ソトース?

? ? ?


ヨグ=ソトースじゃなかったのか。ソトースはヨグ=ソトースの支えている神だ。別の話ではヨグ=ソトースの親になったりするがこのゲームでは登場順から考えて支えている神の設定が有力

かな?


その姿は一応は人型。黒い神官服に有名宇宙生物バトル映画の宇宙人のような異常に尖った顔に光る眼が六つある敵だった。そいつが自分の顔を手を触れる。


「なんという大失態だ。折角ヨグ=ソトース様からシュブ=ニグラスを与えられたと言うのに…これではもう…お前たちとお前たちの星にいる生物全てを皆殺しにするしかないな」


そう言うと凄い殺気と共にソトースは暗黒の翼を展開した。


「聞こえているな! 機械人形の契約者よ! 最後通告だ! こいつら全てを皆殺しにされたくなかったら、私と一対一で戦え!」


「言われてますよ。マスター」


『メル。嫌だねって伝えておいて』


なんで勝負が決している戦いでしかも雑魚相手に出て行かなければいかないのか。理解出来ない。それにこいつはみんなを下に見すぎだ。メルが伝えてくれるとソトースが言う。


「そうか…なら全員殺すとしよう!」


そういうとソトースは神官服から一つ目が沢山ある剣を取り出すとメルに襲い掛かる。しかしガードしたのはメルではなく、デュランダルを持つマグラスさんだった。


「剣を使うというならお前の相手は俺がしよう」


「ふん。雑魚が調子に乗るな!」


お互いに距離を取るとソトースの剣から刃が急に生えるとそれがチェーンソーのように高速回転する。


「ぜやー!」


「く! おぉおお!」


二本の剣が火花を散らして、ぶつかり合う。


「ふははは! 無駄だ! お前の剣、諸共消えるがいい! っ!?」


恐らく武器破壊を狙う剣なんだろうが相手が悪かったな。逆にチェーンソーの刃がデュランダルにぶつかったことで破壊される。


「な、なぜこちらの武器が壊れるんだ!?」


「教えてやるよ。異星の魔神。この聖剣デュランダルは不滅の刃と呼ばれ、破壊することが出来ない俺たちの星でもトップクラスの武器だ。お前が使っている武器とは格が違うんだよ」


デュランダルの斬撃が放たれ、ソトースは距離を取ると怒りの様子を見せる。


「なんだと…ふん。それならこちらにも考えがある。伸縮!」


ソトースの剣が鞭のように動き回る。それをマグラスさんは受けては弾くことで相手に思った通りの動きを封じていく。しかしマグラスさんは剣に周囲を囲まれる。


「死ね!」


「ふん」


マグラスさんは下に下がって、攻撃を躱すとソトースとの距離を詰める。こういう伸びる剣は接近戦が一気に弱くなるからな。


「戻れ!」


「せあ!」


流石に剣が元に戻るより先にマグラスさんの斬撃のほうが速い。


「死滅光線!」


「く…はぁ!」


「ぬん!」


死滅光線を躱したことで剣が元に戻る時間を与えてしまい、再び斬撃の応酬になる。この斬り合いはマグラスさんが押している。そう思った瞬間だった。突然オリハルコンの鎧を擦り抜けマグラスさんの身体が斬られた。


「が!?」


「ふん…調子に乗るからそうなるのだ」


「何? 今の?」


「一瞬、マグラスさんの動きが止まった?」


俺はイクスの目でしっかり敵の能力を見させて貰った。それをマグラスさんに伝える。


『マグラスさん、あの剣の目です。あれが恐らく魔眼でマグラスさんの時間を一瞬止めました』


「なるほど…それがその剣の本当の能力か」


「気が付きましたか…しかし手負いのあなたに何か出来ますかね?」


「ふ…出来るさ。何せ利き腕を失った状態で敵を圧倒した奴を知っているからな!」


マグラスさんは襲い掛かるが体に激痛が走る。どうやら時間経過で生命力の減少が増加していく特殊な毒になっているようだ。


「苦しそうですね!」


「そうでもないな」


「何!?」


マグラスさんは停止の魔眼が発動したタイミングで目を瞑り、その状態でソトースの攻撃を止めた。


「く…爆破の魔眼!」


「ふん…せい!」


ソトースは異常事態に一度距離を取ると剣の魔眼の一つが赤く光った瞬間、マグラスさんは横に動き爆発を回避して、斬りかかる。魔眼スキルの弱点をマグラスさんはよく知っていたな。魔眼スキルは見ないと発動しない弱点がある。そして見たとしたも魔眼の視線から外すことが出来たなら一応回避可能なのだ。


「く…石化の魔眼! また目を…はぁ!」


「お前、剣士向いてないな」


マグラスさんはまた目を閉じて攻撃を受け止めると逆に相手の剣を弾き飛ばす。そしてそのままの流れで暴風のような重い斬撃を連続で繰り出す。


「マスター…これは」


「野生のフェンリルと同じだな」


「しかしあいつらは戦闘経験は豊富なはずです」


「だろうな。だから原因は強すぎる兵器にある。強すぎる兵器を持ち過ぎた故に対人戦闘の経験がほぼないんだろう。あるにしても訓練レベルだな。他の星の強い奴らと対人戦闘を繰り返していて、あの程度のはずがない」


現代でも核を積んだ大陸間弾道ミサイル、戦艦からのミサイル攻撃、空母打撃群による絨毯爆撃、核爆弾や水爆、生物兵器、ドローンなど現代で本気の戦争が発生したら、対人戦闘はほぼ起きないはずだ。対人戦闘で兵士が死ぬぐらいなら大量殺戮兵器を使ってから人がいなくなった土地を占領したほうが兵士という国力を失わずに済むからね。


最も世界中から非難されて、孤立化。世界中から同じ兵器で攻撃を受ける覚悟くらいは必要かも知れない。もちろんこういう兵器が使われることは早々ないから現代でも対人戦闘は発生し、各国の軍隊はしっかり訓練をしているはずだ。


それに比べてアザトース軍はシュブ=ニグラスやアブホースの艦隊で色んな星を潰して来た。その結果、対人戦闘をする機会がほぼなくなったんだろう。大気圏外から地上を攻撃すれば簡単に占領出来るだろうからな。


対するマグラスさんはロランさんから直接デュランダルの使い方を学び、訓練をして来た。他の最前線にいるみんなも英雄や死んだ英雄たち、神の試練を受けている人たちだ。対人戦闘で差が生まれるのは必然と言える。


「ぐぞ…いいがげんにじね!」


「おぉおおお!」


「魔神波動!」


至近距離から魔神波動がマグラスさんに直撃する。わざと喰らったな。マグラスさん。


「ふははははは! 私の勝ち」


「覇撃!」


奇跡の効果で復活したマグラスさんがソトースに上から覇撃を浴びせた。その結果、まだ残っていたアブホースに激突する。奇跡はマグラスさんがロランさんとの訓練で獲得したスキルだ。何せ彼らは現在ゴネスにいる。デュランダルの聖人と関係がある剣だし、奇跡を覚えても不思議はないだろう。


「ぐ…は」


「殺してくれてありがとよ。おかげでさっきまでの痛みは無くなったぜ」


「ぐぅうう…おのれ! おのれおのれおのれ! 下等種族が調子に乗るな! 死滅光線! 拡散光線!」


なりふり構わず体中から光線を放ち出した。強くはあるのだが、かなりの小物だな。ナイアーラトテップのほうが遥かに強い。まぁ、ナイアーラトテップは生身で俺たちの星に来るぐらいの実力者だったからな。最強の船を操っているだけで自分を最強だと勘違いする奴と比較するのはちょっと失礼か。


「全艦にレーダーに気を付けるように言ってくれ」


「敵が来ますか?」


「たぶんな。今、戦っている艦隊と同規模かそれ以上の戦力が来る可能性が高い」


「分かりました。全艦に通達します。同時に周囲への警戒も指示しておきますね」


イクスも立派になったものだ。戦闘を見るとマグラスさんがソトースを真っ二つにしたところだったがくっつくと肉片の腕がマグラスさんを掴もうとする。


「往生際が悪い! はぁああああ!」


斬り刻むと肉片の腕に隠れて、マグラスさんに接近するとソトースのもう一つの手に謎の真っ黒な宝玉を取り出す。


「私は負けん! この辺りにいる全員をこいつで皆殺しにしてくれるわ!」


自爆アイテムか。最後にヨグ=ソトースへの忠義を示す姿勢は評価してあげてもいいな。


「妖精技! フェアリープランク! 慌てて使っちゃった。えーっと…ごめんなさい」


シフォンが使ったフェアリープランクで自爆アイテムとシフォンが手に持っていた石ころが入れ替わる。


「女! ぐぼ!?」


「シフォンちゃん、謝らなくていいよ。最初から一対一で戦うとは言ってないし、私たちまで巻き込む自爆アイテムまで使われそうになったんだからね」


「そう…ですよね?」


「「「「そうそう」」」」


誰もソトースの味方をしない。まぁ、自爆されそうだったんだから味方するはず無いんだけどね。


「はぁあああああ! これで不屈はもう使えないだろ? 終わりだ! カラミティカリバー!」


結局奇跡は使ったけど、切り札を使わずに倒してしまった。いやー、みんな強くなっているね。そう思っているとアンたちが報告する。


「超次元レーダーで敵反応あり。前方からシュブ=ニグラス級、三。アブホース級、測定不能な数が来ます!」


俺はみんなにこの事を伝えるとみんなの前に横に並ぶシュブ=ニグラスが三体にアブホースの大艦隊が更に追加されるのだった。これは相当な長期戦になりそうだな。

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