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#1238 最強の召喚獣二体の強さとアザトース軍の母艦

撤退した俺たちをクトゥルフたちは追跡して来た。まぁ、そう来るよな。そんな君たちに俺たちの強さを見せつけてあげよう。俺はシンクロビジョンで黒鉄とリンクし、黒鉄がクトゥルフたちをロックオンする。


そしてクトゥルフたちの側面から無数のホーミングレーザーとミサイルがクトゥルフたちに炸裂する。次元転移で本隊から全く違う方向からの攻撃だ。


「反転! 仕留めるぞ!」


「「「「はい!」」」」


黒鉄の容赦がないミサイル攻撃は続く中、俺たちはUターンする。これに対してクトゥルフたちは攻撃を受けながら、黒鉄と俺たちを狙う部隊に別れた。集中砲火をばらける事で攻撃の集中を減らす狙いはいい。ただ戦力を分けるということはそれだけ部隊の強さも分散することを意味している。


俺たち相手なら三人で十分だと思われるのは心外だね。お前たちが例え異なる星の神であったとしても神は神。この奇襲に耐えられるか?


『来い! 優牙!』


「ワオーン!」


俺の声が聞こえた優牙が時空を食い破ると時空の穴に飛び込み、その中を光速で移動すると敵と俺たちを捕らえた。そして俺たちに向かって来ているクトゥルフの背後に時空の穴を開けると同時に大きな口を開けた優牙が真ん中のクトゥルフの胴体に噛み付いた。


突然の優牙の奇襲にクトゥルフは絶叫を上げて、身体全体から毒を噴射し、背中の触手から死滅光線を優牙に放つが優牙がびくともせず、クトゥルフの胴体に優牙の牙がどんどん食い込んでいく。


他の二体も援護しようとするが一体は巨大化したサフィの突進を受け、もう一体はみんなの超連携が炸裂する。


「あなたの相手は私とサフィさんがしてあげます」


「お前の相手は私たちだ」


「仲間の一人は諦めてね。あぁなったらあいつを殺すまで優牙ちゃんは絶対に引かないからさ」


チロルが言う通りで優牙は殴られても一向に離すしたりしなかった。


「ま、ギルマスと遭遇したのがお前らの運の突きや。ほれ」


レイジさんがそういうと二つの魔導砲が直撃したクトゥルフの二体が爆発する光景が背後に発生する。これでも生きているのだからやはり強いね。ただ黒鉄相手に一対一でいいのかな?


クトゥルフのミサイル攻撃と体の前面や側面から放たれる機関砲を受けながらクトゥルフはなんとか黒鉄との接近戦に持ち込む。黒鉄は斥力場を発生させるがそれはクトゥルフに効果はなく、黒鉄の顔に巨大な魔拳が決まる。


しかし黒鉄はびくともせず、拳を握ると神の光が宿り、お返しとばかりにクトゥルフの顔面に神拳が決まり、ぶっ飛ばす。しかし踏ん張ったクトゥルフは黒鉄を見るとレールガンロケットパンチが顔面にまた決まると今度は爆心による爆発まで入るともう一発が腹に決まる。そして手首が無くなった黒鉄の両手には砲台が現れていて、エネルギーが集まると二つの神波動がクトゥルフに直撃すると爆散した。


そして同じくらいの時間で優牙がクトゥルフの胴体を噛み千切ると胴体を失ったクトゥルフは首と足だけでも攻撃してようとするが口を開けた優牙にブラックホールが発生し、それに吸い込まれてクトゥルフは倒される。


これが最強の召喚獣二体の力か。相性もあるんだろうけど、圧倒的だ。そして優牙は俺を見る。


「黒鉄が相手していたもう一体も頼む」


「ガウ!」


黒鉄のミサイル攻撃を受けながら特攻しているクトゥルフの背後から優牙の噛みつきがまたしても決まる。あれだけのミサイル攻撃を受けながら背後からフェンリルに襲われたら、溜まらないよな。


ここでみんなとリアンとサフィと戦っていたクトゥルフたちがなぜか俺を狙い出した。しかし俺とダーレーはクトゥルフたちをおちょくる。攻撃をひたすら回避して、その隙にみんなが次々攻撃を当てていく。


そんな俺たちの戦術にクトゥルフたちは謎の声をあげる。まぁ、表情からするとたぶん戦えと怒っているんだろうけど、俺たちにはこの後、奇襲をするという任務があるのだ。だから他のみんなも切り札を使っていない。


「タクト君に怒るくらいなら」


「まず私の相手をしてから怒って欲しいものだね!」


メルと鉄心さんがクトゥルフをバツの字に斬る。そしてリアンが戦っていた方ではブルーフリーダムのリーダーとレイジさんが同じくバツの字に斬った。復活はみんなのそれぞれのスキルで封じされているが顔だけで目から放射熱線や肩の触手が攻撃して来る。こいつらは完全に消し飛ばされないとダメだな。


俺やメルたちに攻撃を集中していた彼らの頭上からリアンが神槍カリュブトライデントを構える。


「私の故郷を壊した報いを受けて貰います! 喰らい尽くしてください! カリュブトライデント! 暴食!」


クトゥルフ二体がカリュブトライデントに発生したブラックホールに吸い込まれて、終わる。そして優牙と黒鉄の戦闘も既に終わっていた。


「これじゃあ、こいつの強さがそこまで分からないね」


「強いことは間違いないな。黒鉄の斥力場や重力砲が効いていなかった」


「そうなんだ。だとすると物理無効がある感じかな? しぶとさもあったし、厄介ではあるね」


「メルさん、そこはクトゥルフ二体を相手に別の戦闘を見ていたギルマスにツッコミを入れるところやで」


レイジさんの指摘に答えると回避はダーレーがしてくれるので、俺は余所見が出来るんです。ここでイクスに戦闘した敵のことを伝えると答えが返って来た。


『アブホースとクトゥルフは奴らの主戦力でわたしたちの星での戦闘にも無数の彼らとわたしたちは戦っていたそうです』


戦争でいうところの戦車や戦艦の役目がこいつらって事か。能力からするとアブホースが空母、クトゥルフが戦車って感じだな。更に敵の奇襲の迎撃に向かった部隊は交戦中になったらしい。向こうにはシフォンやアーレイたちがいるから大丈夫だろう。


「タクト君」


「あぁ…俺たちは予定通り敵部隊に奇襲を仕掛ける! 黒鉄と優牙は一度本隊に戻ってくれ。行くぞ!」


俺たちは敵部隊に向かうと無数のアブホースを見つけた。その中にはコインヘン、スターヒュドラ、グロス・ゴルカ、クームヤーガも多数いるがイクスが言ったように主力はアブホースみたいだ。


「敵部隊、発見!」


「行きますか? タクトさん」


「ちょっと待てくれ。妙だ。アザトースの船は何処にある? 見えるか?」


みんなが探していると謎の声が聞こえて来た。


「お前らのような虫けら相手にアザトース様がわざわざ出向くと思っているのか?」


全員が警戒態勢になると俺たち全員が動けなくなる。何かに締め付けられている。そして敵が姿を見せた。


シュブ=ニグラス?

? ? ?


惑星級の大きさの敵が姿を見せた。迷彩と空虚スキルか。そして俺たちが捕まっているのはシュブ=ニグラスから生えている無数の触手だった。触手の中には口が生えているものや爪が生えているのもいた。


それよりも目立つのが正面にあるデーモンの顔だ。デーモンの惑星に生えている多種多様な触手はかなりのインパクトがある。


シュブ=ニグラスはアザトースの次に強いヨグ=ソトースと妻として知られている女神だ。このゲームでは母艦みたいだな。そう考えると先程の声はヨグ=ソトースと考えるべきか。ここで俺たちに電撃が襲い掛かる。


「「「「あぁあああああ!?」」」」


「「「「きゃあああああ!?」」」」


俺たちが攻撃を受けながら自分たちに発生している異常事態を認識する。身体から力がどんどん抜けているのが分かる。精霊眼で見ると触手が俺たちの魔力を吸っているのが分かった。精霊眼では魔力しか見れないが恐らく俺たちのステータス全てが吸われているんだろう。


そして俺はこの瞬間、理解した。エクスマキナたちを壊滅に追い込んだのはこいつだ。ステータスを何より魔力を吸収するこいつはエクスマキナたちにとっては最悪の敵と言える。なら俺はこいつに負ける訳にはいかない。


「電磁…支配!」


俺に発生している電撃を逆に触手に流す。しかし触手はびくともしない。


「ダーレー! 人化だ!」


「そうか! 人化! おら!」


ダーレーが馬から人モードになったことで拘束から抜けると霸王戟で俺を縛っている触手を斬ろうとしたが斬れなかった。そこまでステータスがダウンしてしまっているのか。だが、ダーレーは諦めなかった。


「なめんじゃねーぞ! 捨て身の一撃! 覇撃!」


ダーレーの一撃は俺たちを触手から解放してくれるがダーレーは倒れ込み、俺が支えると周囲にはシュブ=ニグラスの触手とクトゥルフたちに囲まれていた。


「奇襲失敗だな。お前たちがいる領域はシュブ=ニグラスの時空支配の効果範囲だ。仲良く全員死ぬがいい」


俺たちが覚悟を決めた瞬間だった。


「「「「聖剣解放!」」」」


エクスカリバーの聖剣解放が敵部隊とシュブ=ニグラスの触手に炸裂する。敵の奇襲部隊と交戦していたシフォンたちがやって来た。


「大丈夫!? タクト君! メルさん!」


「あぁ…助かったよ。シフォン、みんな」


「えぇ!? えへへ~」


「照れている場合じゃないわよ! シフォン!」


俺はシフォンに抱きかかえられて、触手からの噛みつき攻撃を回避する。


「何があったの? タクト君」


「あの惑星級の奴から生えている触手に全ステータスを食べられた。だからあの触手にだけは触れちゃダメだ。正直全員動けそうにない」


「そうなんだ。とにかく撤退しないと」


「そう上手く行くかな?」


触手はすぐに復活して、襲い掛かって来る。ここで聞こえるはずがない声が聞こえた。


「フェンリル! やっちゃってください!」


触手に空から降って来た無数の毛針が突き刺さる。そして俺たちとシフォンは何かに回収される。俺の目に入ったのはスクリームペガサスに騎乗するシルフィの姿だった。


「シルフィ?」


「はい。間に合って良かったです。タクト」


「助かったけど、なんでシルフィが…ん?」


「あぁ…その…なんだ…すまん…タクト」


シルフィの後ろにはサラ姫様まで乗っていた。そこで俺はアーレイを睨む。


「アーレイ…」


「いや、俺は悪くねーよ!?」


「いいえ。サラ姫様を連れて行くと言ったアーレイが悪いわよ」


「それをシルフィ姫様に聞かれちゃって、アーレイ君はどうすることも出来なかったんだよ。まぁ、そのおかげで私たちは先にここに来れたんだけどね」


話が大体わかった。そして俺が一生懸命引き留めた努力が完全に無に帰したこともね。


「ステータスもないし、やる気も失せたわ~」


「そんなことを言っている場合では…っ!? タクト!?」


シルフィのスクリームペガサスが回避行動をしたことで俺は振り落とされてしまう。そして触手が俺を狙う。ただ俺にはある確信があった。シルフィが俺の所に向かって、リリーたちがじっとしていられるはずがない。


「「「「「ドラゴンブレス!」」」」」


ほらね。リリーたちの一斉のドラゴンブレスで触手は消し飛ぶがすぐに復活する。復活速度はテューポーン並みだな。なおも触手は俺を狙うがイオンが俺を回収する。


「タクトさん! 良かった。間に合いました」


「イオンちゃんとタクトを援護するよ! みんな!」


「あいつらは妾に任せよ! 生物創造! いでよ! グリード!」


セフォネがグリードを出すとグリードは死針で敵本隊に攻撃する。これに対して、敵艦隊も攻撃を開始するがここで俺たちの後方、敵から見ると前方に炎の目が出現する。


「消し飛びなさい! シャイターン・アイン!」


炎の目から敵艦隊に向けて破壊の光線が放たれる。しかしこれは吸収されて、本隊は無傷だ。これでは艦隊を守る巨大バリアみたいなもんだな。というかこれはもう奇襲攻撃というかガチンコバトルになりそうな状況だ。


「全員! 撤退!]


「「「「えぇ~!? あ、はい。わかりました」」」」


俺がリリーたちを睨むと急に素直になった。自分たちが命令無視でやって来た自覚があるみたいだな。それでも後で怒りますけどね。


「アルさん! チロル!」


「チャフ散布! いきます!」


「私たちも!」


スタングレネードのようなものをみんなが投げるとその中から謎の粉と共に細かい金属片が飛び散る。すると敵艦隊の光線が俺たちに届く前に粉の空間であちこち飛び交う。


チャフに仕込まれていた謎の粉の正体はグリーンキャラピラーの最終進化である月光蝶(げっこうちょう)が持つ反射鱗粉(はんしゃりんぷん)だ。鱗粉が漂っている空間に光線や波動系の技を使うと攻撃が当たるまで反射し続けるスキルで攻守に使用される。


敵にこの鱗粉に浴びせると反射する攻撃を使うとあちこち飛び回って、最終的に自分が喰らう事になる。守りは今、使っているように反射できる攻撃をこちらに届けなくさせることが出来る。


そしてもう一つ仕込まれた金属片は現実のチャフにも使用されている物だ。チャフの用途はレーダーによる探知の妨害。ここに何故金属片を使うのかというと金属は電波を反射する性質を持っている。


これにより、電波を使うレーダーはチャフが散布された奥まで電波を届かせることが出来ない上にチャフで反射された電波をレーダーが拾うことで間違った情報を与えることが出来る。


これのお陰で俺たちが敵軍と距離を取ることが出来たがクームヤーガたちが追跡していく。


「もう! しつこい!」


「倒しますか? タクト」


「無理だ。数が多すぎる。それに大丈夫。俺たちの一仕事はどうやら終わりみたいだ」


俺たちの撤退先から無数の光線が飛んで来て、俺たちの後方から迫ってきているクームヤーガたちに直撃して、次々墜落する。本隊の攻撃範囲まで来れたら、もう大丈夫だ。こうして俺たちは奇襲作戦で得た情報を伝えることに成功するのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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