#1234 黒鉄クエストとアトランティスの秘密
俺がやって来たのはアトランティス。俺はオーケアニスに要件を伝えて、ポセイドンに面会する。
「アトランティスの試練を受けると言う話じゃが、どれを受ける?」
「ゴーレムの試練をお願いします」
「良かろう。では試練の内容はこれじゃ」
インフォが来て、試練内容が表示される。
特殊クエスト『アトランティス研究所の試練』:難易度SSSSS
報酬:神金属の宝珠
アトランティス人が管理する研究所の最奧に封印されている神金属の宝珠を奪取せよ。
まぁ、最高難易度が来るのは当然だろうね。そして俺はポセイドンに案内され、部屋の一つに入ると転移装置が稼働し、俺が転移すると俺の目の前に近未来都市の景色が広がった。どうやら俺はその都市の広場に転移したらしい。
「なんじゃこりゃ」
普通に空飛ぶ車やバイクがあり、乗っている人は前が防弾ガラスになっているフルフェイスマスクを装備していた。あれがアトランティス人なんだろうか?
「ここはアトランティスの地下じゃ。彼らはわしらが保護している人間でこの都市で儂らの武器や防具を作って貰っておる。そしてお主たちがこれから向かって貰うのはあの中央に見える塔の横に見える少し小さな建物の地下にある秘密の工場じゃ。どうやって辿り着くかは自由、建物を壊しても良いぞ。準備はよいか?」
普通に町を破壊や地下の破壊を許可して来たな。それだけ自信がある都市と言えるかも知れないが一つだけ俺の中でほぼ確信していることがある。
恐らくスタートと同時に周囲にいるアトランティス人は敵になるだろう。黒鉄の巨体で空飛ぶ車やバイクを相手にするのは相当厳しい。
俺は黒鉄を召喚し、神剣エスカトンリープリングを装備する。もしこいつらと戦闘になるなら町中の大乱闘は避けられない。だからこそポセイドンは町での戦闘を許可した。
クエストのことを考えると恐らくアトランティス人は全員がオリハルコンの装備だろう。流石にどんな武器を使って来るかまでは分からないが町の中という狭い空間で魔導書を守り切れる自信はない。とはいえ最低でも回復魔法は必要になるだろう。結果、魔法剣を使うのが一番いいという結論になった。
「いつでも行けます」
「うむ。では試練を開始する!」
そういうとポセイドンは消えて、アトランティス人たちが一斉にこちらを見ると完全武装の装備に変化する。
アトランティス・ストラティオティスLv75
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ストラティオティスはギリシャ語で兵士を意味している。レベルから見ても地上の兵士たちよりずっと強いことが分かる。普通にちょっとした英雄クラスぐらいのレベルはあるんじゃないかな?そして俺の視界にいるバイクや車に乗っているアトランティス・ストラティオティスたちは青い銃を構えた。
「一気に突っ切るぞ! 黒鉄! 先頭を行ってくれ! 後ろは俺がフォローする!」
銃から放たれたのは青いエネルギー弾だった。それがアサルトライフルという形で連射される。対する黒鉄は腕を盾にして、銃撃を受けながらも突撃し、広場を抜けることに成功する。
そして黒鉄に守られた俺は強行突破を果たした後にアトランティス・ストラティオティスたちに魔法を放つと神バリアで防がれて、空飛ぶ車の下が開くとそこはウェポンベイとなっており、ミサイルが発射される。更にバイクは側面からミサイルポッドが現れて、ミサイルが連射された。
「人類の夢を兵器化するな!」
撃ち落としたがミサイルも神バリアで守られており、しかも追尾型だった。
「ランパード!」
建物と建物の間にランパードを貼ることで障害物を検知したミサイルたちは壁に当たる直前で上昇し、また追って来た。流石にあんな誘導ミサイルは現代には存在しないだろう。
今度はギリギリでランパードを展開し、破壊に成功するが効率が悪すぎる。
「障害物に当たって爆発するならこれが一番いいか!」
「「「「「グラビティ!」」」」」
重力でミサイルを地面に強引に落として爆発させた。ここで真上を空飛ぶ車が複数通ると無数の爆弾が落とされた。
「「「「「ランパード!」」」」」
建物と建物との間に天井を設置することで爆撃からなんとか守る。
「完全にSFゲームだな…いぃ!?」
今度は通路からバズーカのような物を構えているアトランティス・ストラティオティスたちが現れる。
「「「「「ランパード!」」」」」
「止まると的だ! とにかく研究所を目指すぞ! 前の敵をぶっ飛ばせ! 黒鉄!」
黒鉄のレールガンロケットパンチとバズーカから放たれた放射熱線が激突し、これは黒鉄が押し勝ち、バイクに乗ったアトランティス・ストラティオティスにレールガンロケットパンチが炸裂した。
「神バリアが発生しなかった? 攻撃中は展開できないのか」
一ついい事を知れた。俺たちが大きな道に出るとバイク部隊が現れ、バイクからアサルトライフルと同じエネルギー弾をバイクの前にあるバルカン砲で撃って来た。
「黒鉄! 前の敵に電気網!」
黒鉄から電気網が発射されると流石にバイクは急には止まれず、電気網にバイクの部隊は捕まるとそのまま黒鉄に引かれる。そして背後から詰めて来る空飛ぶバイクを見て、俺はいい事を思いついた。
「「「「タービュレンス!」」」」
「「「「神バリア!」」」」
乱気流を神バリアでガードされるがそれぐらいは理解している。いくら神バリアでも吹き荒れる乱気流を受けることでバイクはバランスを崩し、建物に墜落した。建物の損壊分は突っ込んだバイクの運転手が弁償してください。
次に空飛ぶ車の部隊が来る。
「黒鉄! 背後の上! 誘導弾!」
黒鉄のミサイルは撃ち落とされる。しかし爆煙から俺が現れると空飛ぶ車に乗っているアトランティス・ストラティオティスは神バリアで守られるが俺はそれを破壊するとアサルトライフルで俺の斬撃を止められる。だが、俺はアトランティス・ストラティオティスの頭を掴むと外にポイ捨てした。
「さて、どうやって運転するんだ? これがアクセルでこれがブレーキだろ?」
しかし何をしても動かず、目の前に建物が迫って来たので、脱出すると空飛ぶ車は建物に突っ込み、爆発する。いつか来るかも知れない空飛ぶ車の時代にこんな事故は起きて欲しくないね。ここで俺の背後からアトランティス・ストラティオティスがオリハルコンソードで斬りかかって来た。
「残念だったな。地上の人間には我々の乗り物は扱えないんだよ」
「セキュリティーがしっかりしているもんだな。というかこんな強いならアトランティスがピンチの時に戦えよ。お前ら」
「これだから地上の人間は無知で困る。我々アトランティス人はポセイドン様たちに守られる事を条件にこの町で暮らしている。故にアトランティスを守るのはポセイドン様たちであって、我々ではない」
そうやって、神様におんぶにだっこ状態になるからポセイドンに見捨てられて、アトランティスは海底に沈むことになるんだよ。状況から考えるとたぶんポセイドンは彼らにもアトランティスの防衛に参加するお願いをしていたと思う。何せアトランティスの大ピンチだ。少しでも戦力を集めるのが普通だろう。
しかし恐らくポセイドンのお願いは彼らに拒否された。言い分は彼が言った言葉そのままだろう。もう海底に沈んでいるから彼らにいつか天罰が下されるかは分からない。ただ一説ではアトランティス人は神への信仰心が失われたことで自分たちの能力が徐々に失われて行ったと言われている。
この能力がゲームではスキルの事を指すなら彼らに未来はないな。そう考えた瞬間、アトランティス・ストラティオティスが叫ぶ。
「そんな未来は来やしない!」
俺の思考が読まれたか…これもアトランティス人が使えたとされている能力だ。叫んだ彼は俺を弾き飛ばして手にグレネードのような物を出すと俺に投げつけて来た。俺はスサノオの加護で飛行し、躱すと空中で大爆発する。
「時限式のグレネードか。厄介な物持っているな」
俺はそのまま飛行し、黒鉄と合流を果たす。それを見ていたアトランティス・ストラティオティスが言う。
「乗り物に乗らず、飛行出来るのか…劣等種風情が我々より強い事などあってはならない」
「そうだ。乗れ。ポセイドン様の命令で戦っていたが全力であいつを倒すぞ」
「あぁ!」
その後は町のあちこちで戦闘が発生する。俺は壁になってくれている黒鉄を回復しながらの戦闘だ。
そんな中で一番活躍したスキルは電気網だった。場所が市街地なので、限られた空間での戦闘に加えて、相手が乗り物や人間なのでかなり強い。
しかし流石に何度も見せると電気網が通用しなくなる。そこで俺は考えた。
「黒鉄、電気網を建物と建物の隙間を利用して、天井のように張れるか?」
黒鉄は俺の指示通りに電気網が俺たちの上に張られる。今まで敵に向かっていた発射していた電気網が急に建物に張られている敵の反応は馬鹿にした反応だった。
「なんだ? あれは?」
「ミスしたんだろう? 一気に畳みかけるぞ」
「おう!」
バイクに乗ったアトランティス・ストラティオティスの部隊が電気網を通り過ぎて、俺たちに突っ込んで行く。かかった。
「「「「グラビティ!」」」」
「ぐ!? 我々を落としても無駄だ! は!?」
空飛ぶバイクだからね。地上に落下しても普通のバイクになるだけだ。ただし、落下した先に電気網があったら、話は別。仲良く感電して貰った。
そして研究所に近付くと別の部隊が現れた。今度は円盤型の乗り物に乗っている。ドローンのようにプロペラがある訳じゃない。この部隊の特徴は両手が自由に使える事だった。体重移動で乗り物の進行方向を決めているところを見るとバランススクーターのほうが近いのかも知れない。
そいつらの武器はアサルトライフル二丁でとにかく撃ちまくって来た。俺が黒鉄に守って貰っているとビームサーベルやビームランスを持った別部隊が俺を狙って来た。
「ぶっ飛べ! 大気震!」
全員が空を飛んでいたことが完全に仇となり、全部隊がぶっ飛び建物に激突した。しかし研究所の扉は開かない。
「研究所の扉をぶっ壊せ! 黒鉄!」
黒鉄の衝撃放射が炸裂して、研究所の扉を破壊する。そして相手が立て直すよりも先に俺たちは研究所の中に入るとランパードを何枚も使い、入り口を閉めて、一息付くのだった。




