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#1221 スィアチ戦

取り敢えず更新を戻します。しかしまだ修正箇所があり、予約分も余裕がある状態ではないので、またお休みを貰うかも知れません。その時はまたご報告させて頂きます。

俺はシルフィに会うと状況を聞かれ、ユグドラシルを登ってしまったことを伝えると案の定、頬を膨らませる。


「むー…もう登ってしまったんですね…」


「えぇ…でもまだ途中ですから」


「はぁ…こんなことになることは分かってましたし、私もサラのウェディングドレス姿を見れましたからお相子(あいこ)ということにしてあげます。さぁ! 早く行きましょう! タクト!」


ふぅ…ギリギリセーフだった。これで連絡を無視していたら、致命傷になっていたな。約束を守ることは大切だと改めて思い知った。


そして改めて転移するとシルフィはユグドラシルから見える景色に目を輝かせる。


「わぁ! 精霊界の空を召喚獣で見たことはありましたが全然景色が違いますね! 綺麗!」


セチアたちと目を合わせると暫くユグドラシルから見える精霊界の絶景を堪能してから俺たちは雲の中に入る。


「「「「ぷは! ぷ!」」」」


みんな仲良く雲から顔だししている姿につい笑ってしまう。そして俺が雲を掴んで雲の上に乗ると全員が顔だけで待ちの体勢。俺はリクエストに応えて、手を掴んで雲の上にあげてあげる。


「ここがフレイ様がいる天界なんですね! 真っ白です!」


シルフィの言う通りで現時点では雲しかない。ただよく見ると雲の階段が見えており、その階段を登るとヴァルハラに辿り着く。


「タクト様」


「あぁ…分かっているが無視しよう」


「わかりました」


俺の精霊眼が俺たちが今いる空間の異常を教えてくれる。そして上手く隠しているが敵意も感じ取った。恐らくここがアールヴヘイム。シルフィが何もリアクションをしていない所を見ると幻術か結界で景色を変えているな。


俺がこれだとたぶんシフォンはこの異常に気付いているはずだ。それをなかなか言い出せないのがシフォンなんだよな。まぁ、たぶん景色が変ぐらいにしか感じていないだろうがみんなが何も言わないからみんなも自分と同じ景色を見ていると思い込んでいる説に一票入れよう。


解決法も分からないし、ここで無駄な戦闘をしてボス戦とヴァルハラでの戦いが台無しになるのは避けたい。というわけで無視して雲の階段まで歩いて行くと空から情報通りのボスがやって来た。


「そこまでだ! 人間ども!」


識別する。


館主巨人(かんしゅきょじん)スィアチLv72

ボスモンスター 討伐対象 アクティブ


スィアチの姿は背から鷲の翼がある巨人だった。よく見ると防具に鷹の翼がある形のようだ。館主というのはスィアチはスリュムヘイムという館の持ち主であることからこの名前が付けられたのだろう。


「わぁ! 鷹の翼がある巨人なんて初めて見ました!」


「う、うむ…まぁ、巨人でこの姿なのはわしぐらい…ってそんなことはどうでもよいわ!」


純粋に感動しているシルフィの影響を諸受けしてしまったな。ちょっとスィアチに同情する。


「ロキから聞いたぞ。そこの召喚師! 貴様は人間の中でも取り分け危険らしいな! 貴様らをアースガルズの神共に合わせる訳にはいかん! ここで殺させて貰うぞ」


「へぇ…ロキがそんなことを言ったのか。情報ありがとよ。そういう事なら何が何でもこの先に進まないといけないな!」


俺はエアリーとミール、スキアーを変えて蒼穹とコーラル、千影を召喚する。シルフィはティターニアとロードガーゴイル、ジルニトラ、ラードーン、夜叉だ。流石にスルトは場所的によろしくないので、遠慮して貰ってます。もしスルトが現れていたら、絶望していただろうな。


「来るがいい! 召喚師! 巨人の力、見せてくれるわ!」


そういうとスィアチは翼を羽ばたかせて、空を飛ぶ。それを見たセチアが狙撃を開始するがまぁ、これは簡単には当たらない。中々の速度と機動力だ。しかし回避している間にジルニトラと夜叉を乗せたラードーンが距離を詰め、蒼穹とコーラル、千影が真っ直ぐ上を目指して、スィアチの上空を取ろうと動く。


「小賢しい! スリュムバトルアックス! ぬえいい!」


「ギャオオオ!」


「何!? ぐわぁあああああ!?」


氷の戦斧を出したスィアチだったがその一撃をジルニトラは噛んで止めると電弧放電でスィアチを感電させる。風のドラゴンと言ってもドラゴンはドラゴン。筋力あるね。しかもまだ戦斧を放していない。


「この! ぬえい!」


スィアチは溜まらず戦斧を放して、ジルニトラを蹴り飛ばした。しかしすぐにラードーンが噛みつきに掛かる。


「トカゲ風情が! 舐めるでないわ!」


ラードーンを首を掴んで握り潰してしまう。筋力がないわけじゃないんだよな。しかし首の多さでスィアチは対応出来ず、噛みつかれてしまう。そしてまた感電する。


「ぐぅ…おぉおおおおお!」


スィアチは噛み付いたラードーンの首を掴むと振り回そうとする。それはいい判断なんだけどな。スィアチはラードーンの首に既にいない夜叉に気付いていなかった。


「そこまでにして貰おうか。魔素刃!」


「が!? がぁあああああ!」


スィアチの頭に乗った夜叉がスィアチの頭に宵練を突き刺し、魔素刃を使うと魔素の刃が顔を貫通する。それでも根性でスィアチはラードーンをぶん投げた。しかし彼はシルフィの召喚師と戦っている間に完全に動きを止めていた。それは集団の飛行戦闘ではかなり致命的なミスだ。


蒼穹の宝玉から黒雷、氷雷、神雷、荷電光線が放たれ、コーラルからは火山弾が放たれ、スィアチに直撃する。


「ぐぅううう!? 巨人技! スリュムスクリク!」


口から冷気の咆哮が放たれる。それを見たコーラルが身体を燃やすと前に出て、この技を受ける。そしてコーラルはそのまま技を受けながら、距離を詰めていく。寒無効があるコーラルには氷属性は通用しないぜ。


「おぉおおおおお!」


「ピィ―! ピィ!」


「グゥウウウウウ!? この! 離せ! 鳥! がは!?」


コーラルの激突で空からそのまま地面に落下してしまったスィアチの目に離れたコーラルの後ろから現れた千影と夜叉の姿を映る。腕でガードの体勢を取るがスィアチに痛みが発生することはなかった。不思議に思いながら立ち上がるとスィアチの翼が両方斬り落とされた。


「な…き、貴様ら! よくもわしの翼を! 絶対に! 絶対に許さぁあああん! 来い! スリュムバトルアックス! 逆鱗! おぉおおお!」


両手に氷の戦斧を出した怒り狂ったスィアチが俺たちに向かって来た。


「止めて下さい! ロードガーゴイル!」


「グォ!」


「そこをどけぇええい!」


スィアチの氷の戦斧を連続で叩き込むが全てロードガーゴイルに防がれる。教えた通り、盾の守りと回転する槍で上手く氷の戦斧を弾き飛ばしている。生徒が成長してくれて、先生嬉しい!


「タクト」


「あぁ、終わりにしようか。行くぞ! ルーナ! 獣魔魔法だ!」


「こちらも行きますよ! ティターニア!」


「「はい!」」


俺がラージキャタラクトでルーナがプロミネンス。


「「獣魔魔法! プロミネンスキャタラクト!」」


太陽の熱を持つ溶岩の大瀑布がスィアチの上から落下し、飲み込まれる。


「ぐわぁあああ!? と、鳥化!」


スィアチが巨大な鷲の姿になると溶岩の大瀑布から脱出する。逆鱗状態でもこの判断が出来る強さは認めて上げよう。しかし脱出した先を既にシルフィたちに読まれていた。シルフィの魔法はソーラーフレア、ティターニアの魔法が雷魔法の中で一発の威力が一番ある単体攻撃魔法サンダーボルト。


「「獣魔魔法! プラズマフレア!」」


空から荷電粒子砲のような攻撃がスィアチに直撃すると大爆発し、スィアチは麻痺になる。


「あ…が…が…」


スィアチは不屈持ちで生き残ったのが運の突きだ。彼の目には襲い掛かろうとしている召喚獣の姿が見えており、絶望の中、爆散した。戦闘終了のインフォが来るとシルフィが聞いて来る。


「先ほどの戦闘、タクトはどう思いますか?」


「一方的な戦闘になったというのが感想ですね。まぁ、ジルニトラに勝てると思ったスィアチの完全なミスだと思っています」


あの最初の攻防でもう動きが止まっており、蒼穹たちが上を取ってしまった。この瞬間に一方的な戦いになることはほぼ確定していた。やはり飛行戦闘は飛び回りながら戦闘しないと相手に有利なポジションをすぐに取られてしまう。その結果が御覧の通りだ。まぁ、元々の戦力差がかなり酷かったから同情の余地ありだね。


俺の感想を聞いていたみんながなるほどと頷いたところで解体する。


スリュムヘイムの鍵:重要アイテム

ヨトゥンヘイムにある館の鍵。これを使うと安全に館に入ることが出来、館の部屋も開けることが出来る。


これが確定枠のアイテムだ。確率でスィアチの羽衣という防具が手に入り、これを使うとプレイヤーが鳥化が使えるらしい。鳥になって、自由に空を飛びたいという人類の夢を叶えてくれる素敵アイテムだ。


そしてスリュムヘイムの鍵がここで手に入ると言う事はゲームのシナリオの流れ的にはまずここでスィアチに勝ち、ユグドラシルの下に行くのが王道ルートであることが確定する。これを知ったユグドラシルの下の攻略を目指しているプレイヤーたちが上に登ることになり、愚痴を言ってるらしい。


というのも説明にあるヨトゥンヘイムはユグドラシルの下ルートで最初に訪れる場所なのだ。ニーズヘッグの群れを倒したと思ったら、巨人だらけで苦労するらしい。そして一番やばいのがユグドラシルの下ではワープポイントの設置や転移などが出来ないそうだ。


テントを張ることは出来るらしいが外に出ると巨人たちが毎回待ち受けられているらしい。恐らく夕凪の宿泊スキルを使っても結果は変わらないだろう。そこで重要になるのがスリュムヘイムなわけだ。この館は安全エリアで中にはベッドがあるらしく、ログアウトが出来るようになっているらしい。宝箱もあって、ユグドラシルの下層攻略にはまず必要な場所となる。


因みにお世話になっている解錠の木鍵を使うと一応館に入ることは出来るが安全エリアでは無くなり、巨人たちが館内で無限沸きするトラップが発動するらしい。俺ならまずこのトラップに引っ掛かっていただろうね。ユグドラシルの下層攻略プレイヤーの人たちには感謝したい。


さて、これで邪魔者は排除した。残すはみんなが止まっているヴァルハラの攻略だ。

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