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#1217 スキルアップ大会の総仕上げ

俺が集団戦に最初に選んだ相手はクリード。選んだ理由はもちろんアザトース対策だ。流石に今から準備するのはヘーパイストスたちでは無理だが、プレイヤーの鍛冶師なら十分に間に合う。ヒクスの電磁投射装置や槍持ちの武器として使いたいところだ。


選んだメンバーはリリー、セチア、恋火、イクス、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、ファリーダ、グレイ、コノハ、アラネア、エアリー、ぷよ助、狐子、ルーナ、ミール、ヒクス、ディアン、ストラ、サフィ、蒼穹、コーラル、ハーベラス、リオーネ、ルミ、スキアー、リースだ。


さて、島だから許させる下準備を整えてグリードを出す。


「「「「「シンクホール!」」」」」


『『『『『グラビティ』』』』』』


グリードの下にシンクホールで大穴をあけて、グラビティと重力支配で一気に穴に押し込む作戦に出る。


「グォオオオオオ!」


グリードが身体中の棘を発射する。ここでリリーが新らしい魔法を発動させる。


「いっくよー! セイントドラゴニックシャワー!」


上空に展開された巨大な魔方陣からレーザーが光の雨のように降り注ぐとこれに触れた棘が次々撃ち落とされる。セイントドラゴニックシャワーは天雨や神雨と似ている技だが、範囲と威力が大きく何より攻撃回数が圧倒的に多い魔法だった。


これだけの魔法なので詠唱時間が長いのがネックだが、この光の雨を受けたグリードは大穴に無理矢理押し込まれる。ここで俺も新魔法をお披露目しよう。


「ウルトラバイオレットレイ!」


魔方陣から巨大な真紅のレーザーが放たれて、グリードの身体をぶち抜くと燃え上がる。ウルトラバイオレットレイは日本語では放射線という意味だ。その効果は一言で言うなら防御無効の熱線攻撃。どんな防御スキルもすり抜けて、ダメージを与えることが出来る。よって、この魔法は回避するしかないのだが熱線なので、滅茶苦茶速い。出来れば魔法を破壊するのがベストでそれが出来ないなら魔方陣の展開を確認してすぐに回避行動に出るしかないかなり凶悪な魔法だ。


どんどん使っていこう。


「ヴォルケーノ!」


大穴に落としたグリードの真下の魔方陣から火山が現れると噴火する。ヴォルケーノは日本語で火山という意味だ。この魔法は噴火時に発生するマグマのダメージと噴火後に飛んで来る火山弾の雨による広範囲攻撃の一つの魔法で二種類のダメージが発生する珍しい魔法だ。


一番ダメージが出るのは俺がグリードにしたケースで真下から噴火のマグマダメージを受けた後で火山弾のほぼ全てを受ける事になる。


次は新しい氷魔法だ。


「オーロラベルト!」


魔方陣からオーロラが発生するとオーロラの帯が四方の上からグリードに襲い掛かるとグリードが氷結する。オーロラベルトはオーロラが発生しやすいとされるエリアを示す言葉だね。


どうやら追尾性能と連続ダメージが可能な魔法らしい。複数も狙うことが出来るみたいだけど、オーロラの帯が遅いのがネックだな。基本的には単体技で足が遅い敵が複数いるなら使っても良さそうな魔法だ。


「パーマフロスト!」


地面が氷結し、グリードも氷結するが現在凍っているので、あまり意味がないと思いきやグリードには睡眠の状態異常まで発生していた。パーマフロストは永久凍土という意味だ。効果はダメージと共に加護や耐性、無効スキルを無視して氷結と睡眠を付与させる魔法。


氷結と睡眠のせいでほぼ自力での脱出は不可能な魔法だな。そう思って、攻撃するとグリードの睡眠が解除される。基本的には相手の動きを封じることに特化した魔法も見て良さそうだな。効果範囲がフィールドの地面なので、集団戦ではかなり強そうだけど、フィールドが凍るのがネックだね。


いきなり大ダメージを受けたグリードに更なる魔法が次々降り注ぐ。一応訓練なので、最後まで魔法のスキル上げはしてあげたい。そして恋火が新しい仙術を使う。


「自然採気! すー…はー…ん!」


恋火が深呼吸すると恋火に緑色のオーラが発生する。自然採気は自然に存在する気を自分に取り込む自己強化スキルだった。このスキルが発動している間、筋力と防御力の上昇に加えて、生命力と魔力の回復量が上昇する。


「あたしもみんなと戦いたかったですー!」


恋火のストレスが限界を迎えたらしい。そのストレス発散相手をさせられるグリードには同情してしまうな。最後はファリーダが決める。


「デストロイヤースマッシュ!」


強烈な斧の一撃が決まり、グリードは地面に落下し、地面が割れる。デストロイヤースマッシュはグランドスマッシュの強化版のような技だ。地面を砕くだけでなく斧を振った時に発生する衝撃波で敵を攻撃することも出来、これを敵が浴びると身体が一瞬動かなくなるらしい。


大振りな技なところが弱点だが、これにカウンターを浴びせるのはかなりの勇気が必要だな。少なくとも俺はこの技を使うファリーダにカウンターはしない。何故なら炎化でカウンターを無効化されたら、この恐ろしい技が直撃することになるからだ。


ここで戦闘終了を知らせるインフォが来た。


『エアリーのレベルが30に到達しました。成長が可能です』


解体するとお目当てのグリードの頭蓋が手に入った。もう一つ手に入れたいので、後一戦したいところだが、その前にエアリーを成長させよう。


『エアリーの成長が完了しました。空間障壁、星虹、自然波動、物理無効、星獣の加護を取得しました』

『エアリーの魔力回復スキルが魔力超回復スキルに進化しました』


これでよし。メンバーはリリーだけイオンと変えた。戦術はさっきと同じだが、リリーの魔法がイオンと変わる。


「行きます! オーシャンプレッシャー!」


周辺が青色の世界に染まるとグリードが苦しそうな声を挙げながら棘を放つがその棘が次々水圧に潰される。オーシャンプレッシャーは海の水圧を体現する魔法だった。硬い相手にはそこまでのダメージは見込めない魔法だが、動きを遅くする効果がある。なお普通の人なら恐らく水圧で潰され、硬くても恐らく動けなくなるだろう。


更にグリードの死棘のようにスキルや武器もこの水圧の効果を受けて、耐久値がゴリゴリ減る恐ろしい魔法だ。時間経過で消えてしまう魔法なので、さっさと決めよう。


「テンペストペネトレイター!」


ブランの槍が雷と嵐を纏って、突撃するとその後ろでリースが剣を上に掲げる。


「英雄技! ゲイル・ソラス!」


リースの周囲に光の槍が十本現れるとリースは剣を向けた方向に光の槍が放たれ、支えると閃光と共に爆発した。結構強い技だな。ここでファリーダの新しい魔法が発動準備が完了した。


「いつでも行けるわよ! ミール!」


「はい! 植物召喚! ゲルセミウム・エレガンス!」


穴の周囲から黄色い花を咲かせて植物が生えて、グリードの身体に巻き付き、拘束する。もちろんそれだけではない。


「グブォ!? グギャアアアー!?」


グリードは血反吐を吐くともがき苦しみだした。ゲルセミウム・エレガンスは現在確認されている毒草の中で最も強い毒草と言われている植物だ。このゲームでは神魔毒、致死毒、弱化毒、永遠毒、耐性無効、加護無効、大物殺しの効果を持っており、触れた瞬間地獄の苦しみを味わうことになる。


現実でもこの毒草は虎が一口食べただけで殺してしまうほどの毒でしかもその毒は長い間消える事はない。そんな毒を受けたグリードにファリーダが救いの一撃を与える。


「魔神魔法! シャイターン・タイヤール!」


炎の悪魔の目が出現するとその目から光線ではなくワインレッドの魔力の奔流が放たれ、グリードに直撃すると木端微塵に砕け散った。クリードも角でガードしようとしたみたいだったけど、出来なかったらしい。


それもそのはずでこの魔法は破壊特化の魔法でこの魔法で破壊されたスキルは戦闘の間、使用することが出来なくなる魔法らしい。


それは結界や障壁を貼り直すことが出来ないことを意味していた。しかも対象がスキルなので、神道魔術の結界を使って、破壊されたら、他の神道魔術まで使えなくなることを意味している。

なんというか俺が放ったウルトラバイオレットレイが霞むよと思っているとインフォが来る。


『リアンのレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『サフィのレベルが30に到達しました。成長が可能です』


今度はリアンとサフィの仲良しコンビの成長が来た。みんな順調に強くなっているね。そう思っているとファリーダが呟く。


「凄い魔法ね」


「ん? 知らなかったのか?」


「え、えぇ…何よ。悪い?」


「いや、そんなことは無いがファリーダが知らないってことは前のファリーダが使えなかった魔法ってことだろ? 前のファリーダを越えれたような気がして、嬉しかっただけだよ」


俺がそうというファリーダは顔を背ける。


「今更何言っているのよ。タクトとマリッジバーストをした時から前の私は超えていたわ。前にも言ったけど、前の私は魔神になってすぐに封印されたのよ? そもそも超えて当然でしょ」


「それはそうなんだけどな」


やはりファリーダにはラーに勝つことを現時点で目標にしているからそれを成す為にまずは前の自分を超えて欲しいと思っていた。一つ越えれたことはかなり嬉しい知らせた。


「お兄様の笑顔を見て、ファリーダお姉様は照れ…むぎゅ」


「それ以上、言ったら燃やすわよ? アリナ」


首を掴まれたアリナは黙るしかありませんでした。さて、そんな大ピンチのアリナを無視してサフィの成長を実行する。


『リアンの成長が完了しました。時間遅延、超加速、流動、時空操作、慈雨、起死回生を取得しました』

『リアンの海流操作が海流支配に進化しました』

『サフィの成長が完了しました。空間障壁、空振、超加速、次元転移、不屈を取得しました』

『サフィの海ブレススキルが大海ブレススキルに進化しました』


次はグリードを再び解体するとグリードの頭蓋と共に新しい素材が出た。


グリードの鱗:レア度10 素材 品質S+

真紅の鱗でとげとげが付いているのが特徴的な素材。防具や盾の素材として使われるが防御よりも攻撃面が目立つ装備となる。絶滅種の素材として非常に貴重な素材。


とげとげアーマーかぁ…魔王の幹部とかが装備しているイメージがある鎧だが悪くない。ただ全員に装備した姿を想像してみたがあまり似合いそうにない。強いて上げるならやはりリビナかファリーダ、クリュスぐらいだろうか。それを感じ取った三人の視線が突き刺さってます。


ここで素材を確認していたセチアが言う。


「鎧全体に考えなくてもいいのではないでしょうか?」


「どういう意味だ?」


「例えばですが鎧の肩部分だけこの素材を使うと面白そうな気がします」


なるほど!肩から棘が発射される鎧になるのか!それは浪漫がある。この素材は確保決定だな。これでグリード狩りは終わりする。


さて、ウォーミングアップはこれぐらいでいいだろう。訓練の総仕上げとしてフェンリルに挑む。こっちはレギオンで挑むので、相当強くなることが予想されるが訓練の成果を試すにはいい相手だろう。経験値も恐らく一、二を争うレベルで高いだろうしね。


選んだメンバーはリリー、イオン、セチア、恋火、イクス、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、ファリーダ、グレイ、コノハ、優牙、アラネア、ぷよ助、狐子、ルーナ、ミール、ヒクス、ディアン、ストラ、月輝夜、蒼穹、コーラル、ハーベラス、リオーネ、ルミ、スキアーだ。


準備を整えて、フェンリルを出すとリリーたちが一斉に飛び出すとフェンリルはすぐさまそれを感じ取った。


「ワオーン!」


「「「「っ!?」」」」


フェンリルが雄叫びを上げると身体が大きくなっていき、月輝夜の二倍の大きさまでになってしまった。これがフェンリルの超覚醒か?この大きさならオーディンを食べたと言われても納得してしまうな。


「えーっと…タクト?」


「倒すしかなさそうだぞ。やり直させてくれる相手じゃないだろうからな」


「それは同意します。隙を見せて、通用する相手じゃありません」


ブランが言うと重みが違うな。レベル上げを意識した布陣になっているし、先のフェンリル戦で切り札を結構使っているのが裏目に出たな。やはり強い敵は甘く見たら、やばい事になると再認識させられた。


「そっちがそう来るならこっちもやるしかない。頼むぞ! 優牙!」


「ワオーン!」


優牙が超覚醒を使うと同じく巨大化していく。


名前 優牙 フェンリル(超覚醒)Lv1


生命力 380→480

魔力  680→780

筋力  502→602

防御力 609→709

俊敏性 490→590

器用値 373→473


スキル


噛み砕くLv47 万物破壊Lv12 星間行動Lv6 天耳通LLv46 他心通Lv10 

第六感Lv46 金剛爪Lv43 天眼通Lv42 堅城Lv12 恐怖の魔眼Lv25 

威圧Lv1 先制Lv31 時空支配Lv26 空間歪曲Lv17 空間転移Lv5 

空間捕食Lv8 防御無効Lv44 耐性無効Lv45 時間遅延Lv26 時空切断Lv11 

瞬間再生Lv16 魔力回復Lv16 魔力喪失Lv30 暗黒魔法Lv24 氷魔法Lv47 

時空魔法Lv43 宇宙魔法Lv3 毛針Lv37→死針Lv37 餓狼Lv50 暴食Lv8 

魔力吸収Lv31 粒子分解Lv8 戦闘高揚Lv28 肉体活性Lv10 金剛装甲Lv37 

多重障壁Lv25 瘴気Lv28 神魔毒Lv10 弱化毒Lv1 永遠毒Lv1 

腐蝕Lv10 引力支配Lv12 重力支配Lv10 魔素支配Lv6 天変地異Lv10 

全反射Lv30 乱反射Lv30 冷凍光線Lv25 死滅光線Lv8 拡散光線Lv12 

極寒ブレスLv43 ゴッドブレスLv4 冥ブレスLv6 無波動Lv1 超冷凍弾Lv39 

消滅弾Lv8 不死Lv1 強化復活Lv1 猛吹雪Lv11 次元潜伏Lv29 

影分身Lv24 氷原操作Lv20 神速Lv34 超加速Lv14 転瞬Lv10 

神足通Lv32 騎乗Lv16 強激突Lv30 無我Lv10 空振Lv27 

怪風Lv1 星震Lv8 次元震Lv1 火山雷Lv8 黒雷Lv26 

氷雷Lv10 常闇Lv3 呪滅殺Lv5 呪滅封陣Lv1 道連れLv1 

氷獄Lv14 氷牢Lv16 氷爆Lv10 多連撃Lv33→無限連撃Lv33 多乱刃Lv34→無限乱刃Lv34 

魔素刃Lv29 暴旋風Lv18 雪崩Lv6 即死Lv38 魔素化Lv6 

物質化Lv1 魔霧Lv8 環境無効Lv28 蘇生無効Lv1 復活無効Lv1 

加護無効Lv26 魔狼の咆哮Lv23 月光Lv12 月食Lv10 日食Lv1 

幻月Lv10 重力球Lv3 黒星Lv3 狂戦士化Lv14 逆鱗Lv10 

捨て身の一撃Lv1 覇撃Lv1 神殺しLv3 全属性耐性Lv1 巨人の加護Lv30 

破壊の加護Lv1 ロキの加護Lv33


うん。これは間違いなくやばい戦闘になるな。それもグレイを感じ取ったらしい。


「ガウ!」


「あぁ…優牙だけじゃ、厳しそうだ。月輝夜、頼めるか?」


「グォ! グォオオオオオ!」


月輝夜も超覚醒する。俺が他のみんなにももしもの時のために指示しているとフェンリルと優牙の戦闘が勃発する。


「「ワオーン!」」


お互いに暴旋風でぶつかり合うとはじけ飛び、すぐさま怪風の風がぶつかり合う。ここで月輝夜の覇撃が飛んで来て、巨大なフェンリルの姿が消える。あの巨大さでフェンリルの速さは滅茶苦茶やばい!


俺たちが危険を感じ取り、横っ飛びをする中、ブランだけはその場にとどまり、アイギスを横に構える。


「絶対防御! っ~!」


ブランのアイギスが何十倍もの大きさがあるフェンリルの爪の攻撃を止めた。すげー。しかしブランはパワーで押し込まれる。


「ガァ!」


ここで優牙が噛み付こうとしたことでフェンリルは距離を取りながら息を吸い込む。それを見て、優牙も息を吸い込む。


「「ワオーン!」」


お互いの魔狼の咆哮がぶつかり合うと空を飛んでいるフェンリルのほうが吹き飛ぶ。このタイミングでみんながブレス攻撃をするが次々回避される。


「…和狐、ブラン」


「神岩結界。いつでも行けます」


「よし。後はどう動きを封じるかだな」


俺たちの攻撃を見たフェンリルが吶喊してくる。みんなのブレスを受けながらでも止まらない。ブランは絶対防御を使っているし、間に合わない。


「リアン!」


「はい! 人魚技! ファントムソナー!」


「ワオーン! ワフ?」


フェンリルが俺たちを攻撃すると攻撃が外れて、首を傾げる。


新しい人魚技であるファントムソナーは音波で敵に幻を見せる技らしい。効果範囲は音波が聞こえる範囲だ。つまり地上では自分を中心にかなりの広範囲に幻を見せることが出来、尚且つ水中や地中まで範囲に入っている。残念ながら宇宙は効果範囲外だと思われる。


この技の最大の特徴は声が聞こえない事だ。一瞬の耳鳴りが聞こえた頃にはもう技に掛かってしまっているということになる。その結果、フェンリルは幻影に攻撃してしまったのだ。


そしてフェンリルの腹の下にいることになったリリーたちが攻撃を加えて、流石のフェンリルも予期せぬ下からの攻撃に動揺すると月輝夜のオーガラッシュが横から放たれ、逆サイドから優牙の爪がフェンリルの腹を貫く。


しかしフェンリルは優牙を見ると刺さった爪の箇所から魔素が吹き出し、優牙を捕まえると地面に叩きつけられそうになる。しかしそれはヒクスが魔素をぶち抜いて回避される。


それを見たフェンリルは優牙の着地を狙い、爪を構える。ここで地面からストラが現れ、爪と手足に噛み付こうとするとフェンリルは跳び上がる。


「ここじゃあ! 吸血鬼技! シェイプシフト!」


ここでコノハとハーベラス、コーラル、本気モードのリオーネ、グレイと超連携を発動させた俺と謎のフェンリルがフェンリルの上から襲い掛かり、フェンリルを地面に押さえつけた。


セフォネの新しい吸血鬼技であるシェイプシフトは味方に変身することが出来る技だ。ヴァンパイアを代表する能力でもある。


フェンリルに化けられるのはチートすぎると思うが弱点として装備まで一緒にすることは出来ない。あくまで変身対象は本人のみということだ。


「神岩結界!」


「グゥ…ガァアアアアア!」


ここでフェンリルが天変地異を発動させて、神岩結界を破壊してしまう。更にストラたちも巻き込まれ、吹き飛ばされる。


「グルル…ガフ!?」


フェンリルが血反吐を吐く。フェンリルが地面を見ると罠設置されたゲルセミウム・エレガンスが巻き付いていた。血反吐を吐いたことで天変地異が解除されるとアラネアが地面からダマスカスワイヤーで拘束に挑む。


「ブラン!」


「神岩結界!」


「ここで決めるぞ!」


俺の合図にみんなが動く。


「氷獄!」


まずはイオンが氷獄でフェンリルの下半身を凍らせるとぷよ助とルミの氷牢で更に固める。そこにリリーたちが各鎖スキルで封じに掛かるがフェンリルは次々爪や牙で破壊していく。それを見た狐子とディアンが本気になり、噛みつくと同時に魔素解放を使ったスキアーが地面から現れて、強引にフェンリルを抑え込む。


「ガァアアアアアー!」


「っ!? 逃げろ! 雷化!」


フェンリルは死針を周囲に放ち、狐子とディアンや俺たちまで飛んできた。俺はグレイと共に回避に成功したがみんながどうなったか分からない。分かることはディアンと月輝夜がフェンリルの超覚醒の解除に成功したことだ。


しかもまだ拘束は続いている。ここだ!


「(アルティメットブレス)」


遅延魔法でストックしていた新しい神聖魔法を発動させると俺に虹色のオーラが宿る。


アルティメットブレスは現時点で最強の強化魔法だ。対象は個人で全てのステータスを100も挙げてしまう強化魔法なのだが、強化時間が逆鱗などより遥かに短く消費魔力と詠唱時間も禁呪並みというところが難点。これら全てを解消してくれるのが遅延魔法なのだ。


事前に魔力を消費する遅延魔法ならストックしてから魔力を回復して敵に挑む事が可能で使いたい時にすぐに使うことが出来る。いい事尽くめの遅延魔法だが、ストックした魔法は使わないと無駄打ちになるので、そこだけは注意しないといけない。


「行くぞ! グレイ! 超連携!」


「ガァアアア!」


個人強化のアルティメットブレスだがグレイの共栄の効果で俺に発動した効果はグレイにも適応される。よって今のグレイはアルティメットブレスが付与され、雷化状態にある。その状態で超連携でフェンリルに攻撃を加える。


この強化でも硬い手ごたえなのがフェンリルの恐ろしさだ。しかし俺たちの動きを見て無事だったみんながフェンリルに襲い掛かる。どうやらリリーたちはオリハルコンの鎧のお陰で命拾いしたらしい。


狐子と月輝夜も魔素化や霊化で上手く回避に成功しており、最後の攻撃に参加する。


「グゥウウ…ガァアアアア!」


ボコボコ状態だと思われたフェンリルは身体を回転させて、爪でみんなをぶっ飛ばす。


「イクス!」


「サテライトキャノン。発射します!」


空からサテライトキャノンがフェンリルに落ちるが回避される。まだそれが本命じゃない。


「ファリーダ!」


「今よ! リビナ!」


「ほい! 夢幻泡影。解除するよ」


魔方陣を展開させたファリーダが現れる。その魔方陣を見たフェンリルは一目で危険を察知するが魔素と魔素の手がフェンリルを捕まえる。みんなを助ける為に身体を張った優牙の身体の死針が刺さった箇所から魔素が発生しており、魔素の腕は月輝夜だ。


「魔神魔法! シャイターン・タイヤール!」


「ガァアアアアア!」


ファリーダの魔法にフェンリルは防御スキルを使うしかなく、次々破壊され、遂にフェンリルに直撃する。これでフェンリルで一番厄介な防御スキルは失われたはずだ。


「畳みかけろ! 超連携!」


「「ドラゴンウィング!」」


「ホー!」


「「ピィー!」」


俺とグレイ、リリーとイオン、コノハとコーラルが連携して連続攻撃を与えていく。よし!硬さを感じないぞ!


「ガァアアアアア! ガァ!」


フェンリルは逆鱗と狂戦士化を使い、爪を振って来た。防御スキルを失った以上、攻撃に重きを置くのは見事な判断だ。


「デススライサーなのじゃ!」


フェンリルの腕がセフォネの鎌武技で切断される。フェンリルは直そうとするがデススライサーには蘇生無効と復活無効の力がある。よってフェンリルの片腕は直ることはもうない。


それを見たフェンリルは口を開けて、暴食を発動させるが優牙の口から放たれた無波動で首が消し飛ぶ。それでもまだ攻撃をして来た。その執念に感服するが終わりだ。


「荷電粒子砲、発射します!」


「「「「ガァアアア!」」」」


空から荷電粒子砲とみんなの同時ブレスがフェンリルに直撃し、倒れ込んだ。そしてインフォが来る。


『セチアのレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『和狐のレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『アラネアのレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『ぷよ助のレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『狐子のレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『ミールのレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『蒼穹のレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『コーラルのレベルが30に到達しました。成長が可能です』

『リオーネのレベルが30に到達しました。成長が可能です』


改めて、フェンリルの経験値の多さが証明されたが周りを見るとみんなボロボロだ。


「なんというか訓練する度にボロボロな姿になったな」


「「「「タクト(さん、様etc)もね!」」」」


お互い様か。俺がフェンリルを解体すると毛皮が出た。これで今日の訓練は終了。ボロボロなみんなで温泉に入ってからギルドでグリードの素材を渡して寝るとしよう。その前に先に成長を実行する。


『セチアが成長しました。時間遅延、時空操作、木牢、領域操作、精霊技、原初の加護を取得しました』

『魔力回復が魔力超回復に進化しました』

『精霊技【アストラルアロー】を取得しました』

『和狐の成長を実行しました。超集束、瞬間再生、魔力回復、超加速、核爆、奇跡を取得しました』

『虚空切断が時空切断に進化しました』

『アラネアの成長が完了しました。魔力回復、瞬間再生、物質化、弱化毒、超覚醒を取得しました』

『アラネアの復活スキルが強化復活スキルに進化しました』

『ぷよ助の成長が完了しました。魂探知、毒吸収、大海壁、白霧、爆発無効を取得しました』

『ぷよ助の魔力回復スキルが魔力超回復スキルに進化しました』

『狐子の成長が完了しました。扇、魔力回復、瞬間再生、超加速、溶岩壁を取得しました』

『狐子の狂戦士化スキルが逆鱗スキルに進化しました』

『ミールの成長が完了しました。念動力、大海壁、精霊結界、変わり身、妖精技を取得しました』

『妖精技【チェンジリング】を取得しました』

『ミールの樹海操作スキルが樹海支配スキルに進化しました』

『蒼穹の成長が完了しました。空間障壁、超加速、暴旋風、氷雷、復活を取得しました』

『蒼穹の聖波動スキルが天波動スキルに進化しました』

『コーラルの成長が完了しました。神速、超加速、肉体活性、魔力回復、火砕流を取得しました』

『コーラルの太陽の加護スキルが太陽神の加護スキルに進化しました』

『リオーネの成長が完了しました。瞬間再生、超加速、水晶投擲、物質化、強化復活を取得しました』

『リオーネの堅牢スキルが堅固スキルに進化しました』


これでよし。狐子は俺の予想が的中して扇スキルを覚えたな。取り敢えず温泉に入っていると恋火が甘い声でくっついて来た。


「タクトお兄ちゃん」


「あぁ~…はいはい。明日の朝に少しだけ訓練の時間を作ってあげるよ」


「やったー!」


「恋火、お座りどす」


和狐の不意打ち言霊で恋火は座ってしまう。俺としては和狐に感謝したい。


「何するんですか。お姉ちゃん」


「恋火も大人になったんやからタオル一枚の姿で万歳して立ち上がったら、あきまへん」


「あ…ブクブクブクブク」


自分が何をしたのか理解した恋火は真っ赤になって、背を向けてしまった。恥じらう心があって良かった。


「え? 何かいけない事なの?」


「温泉に今でも飛び込むリリーには分からないことですよ」


「むぅ~、イオンちゃんも入る前に足を滑られて、転んだ癖に」


「それとこれとは全然意味が違います!」


「…どっちもどっち」


ノワの呟きに同意してしまう俺であった。その後、ホームに戻った俺は恋火を連れてクロウさんたちにグリードの頭蓋を使った槍を注文する。


「このままだと普通のゲイボルグになるぞ。ギャラクシーメタルとか使うと少しはアザトースたちに強くなるみたいだが、どうする?」


「それじゃあ、明日の朝届ける感じでいいですか?」


「大丈夫だ。戦いには十分間に合わせて見せるぜ」


「よろしくお願いします」


俺は恋火と一緒にフリーティア城に帰ると笑顔のシルフィがいた。


「訓練は楽しかったですか? タクト」


これはもう絶対に一緒に訓練したかった感じだよ。


「あたしはずっと修行ばかりしてました」


「そうなんですね…可哀想に恋火ちゃん。よしよし」


「んん~」


恋火を優しく抱きしめて頭を撫でるシルフィはとても絵になるが何故か俺の胃がヒリヒリしています。胃なんてゲームの世界にないはずなのにこれはなんでしょうか?運営さん。


「あ、でも。明日の朝に訓練して貰えることになったんですよ!」


やっぱり恋火が口を滑らせたな。何となくこうなると思っていたよ。当然シルフィは目を光らす。


「そうなんですね! タクト?」


「もちろんシルフィも誘いますよ」


「ですよね! それでは明日の朝は早いですし、寝ましょうか!」


「はい!」


シルフィと恋火がベッドに入る。何というかこの二人、似ている所が結構あるのかもしれない。遅れて俺もベッドに入ると恋火が挟まれることになった。


「(あ、あれ? これは非常に不味い気がします)」


「恋火ちゃん、あったかいですね。モフモフです~」


「そうなんですよ」


「やっぱりぃー!? ちょ、やめて下さい! 二人とも! あうあうあうあう~」


シルフィと二人で恋火をモフモフしてからログアウトした。

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[気になる点] セチアの成長におけるスキルが一つ無いのと、アラネアの前に一行余分(恐らくテンプレート)が、アラネア以降の獲得スキルが空白になってます。
[気になる点] ・優牙の超覚醒状態のステータスが書いてないです。 ・セチアの成長の所が「木牢、、精霊技」になっています。 ・和狐とアラネアの成長の間の文の「のレベルが30に到達しました。成長が可能です…
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