#1212 無限の小さき蛇とフェンリル狩り
11月14日に『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』はなんと四周年を迎えます。三周年の時には四周年前に終わると思ってましたが普通に迎えました。この分だと来年を迎えて、終わりそうです。流石にゲーム終了残り一か月を切っていて、五周年を迎えるとは思いたくないですが後半になるにつれて、一日で書く量が増えてきているので、絶対にないとは言えないのが怖い所です。
さて、四周年では日頃の感謝を込めて、三話更新を致します。時間は7時、12時、23時を予定しています。楽しんで頂けたら、幸いです。それでは、本編をお楽しみください。
俺たちが戦闘態勢になると最初にヨルムンリングの群れが向かって来た。
「フェンリル! 全部食べちゃっていいですよ」
「ガァ!」
シルフィのフェンリルが餓狼を発動させるとヨルムンリングが吸い込まれる。その間、敵のフェンリルは動かない。この姿に俺は危険を感じる。
「逃げろ! フェンリル! 全員、下がれ!」
「ガ!」
フェンリルが餓狼を止めて、下がるとヨルムンリングたちはフェンリルを追跡する。やはりあの吸い込まれている姿は演技か。なら奴らの狙いは接近戦という事になる。フェンリル相手にそんなことをするメリットが奴らにはあるのか?
「フェンリル! 冥ブレスです!」
「ガァアアア!」
フェンリルの冥ブレスでヨルムンリングたちが消し飛ぶ。あれ?弱いな。するとここで俺が良く知る気配を感じ取った。道理で尻尾なんて噛んでいるわけだよ。
「全員、下がれ! ヨルムンリングはたぶん無限属性の蛇だ」
「えぇ!?」
俺がそう言うと消し飛んだヨルムンリングたちが復活するとシルフィのフェンリルに呪撃のダメージを与えた。更にフェンリルに迫る。
「ガァ!」
フェンリルはたまらず爪で攻撃した瞬間だった。ヨルムンリングは自分の尻尾を咥えるのを止めると蛇状態になり、フェンリルの爪に巻き付いて自分の尻尾を再び噛む。
「ガウ? ガァアアアアア!?」
「フェンリル!? どうしたんですか!?」
フェンリルが巻き付いたヨルムンリングの電弧放電でダメージを受けた。あれほどブランを苦しめたフェンリルが電弧放電であそこまでのダメージを受けるのは普通じゃない。
「シルフィ! フェンリルのステータスを見て! 全員、ヨルムンリングからとにかく逃げろ!」
「はい! えっーっと…え…何ですか!? これ!? フェンリルのスキルが全て封じられて、弱体化してます!」
そりゃあ、ダメージを喰らうわな。俺たちが逃げたことでフェンリルの両足や胴体にもヨルムンリングが巻き付く。体の大きなを伸縮で伸ばしているのか。しかし既に弱体化しているフェンリルを何故狙うんだ?
ここでヨルムンリングたちが真っ赤に発光する。なるほど。自爆するのね。
「シルフィ、召喚石に戻して!」
「はい! 戻って下さい! フェンリル! え? 戻せません! フェンリルー!」
召喚石に戻ることまで封じて来るのか…。フェンリルに次々大爆発が発生するとフェンリルが倒れ込む。するとヨルムンリングたちが輪っか状態で蘇生する。
滅茶苦茶凶悪なコンボだぞ。俺たちが絶句していると敵のフェンリルの一体がシルフィのフェンリルを爪で斬り裂くとフェンリルが召喚石に戻る。こんなにあっさりシルフィのフェンリルが負けてしまうとは予想外にも程がある。
これもフェンリルのことをよく知っているロキならではと言えるか。ヨルムンリングは見た感じフェンリルキラーにも程がある。ただこのコンボは全員に有効だ。俺は消沈のシルフィを抱いて下がっているとティターニアが聞いて来る。
「参りましたね…何か作戦はありますか?」
「一先ずあいつらが自爆したタイミングに逃げ出すことは出来そうな感じかな?」
ヨルムンリングのコンボの弱点はここにあると思う。自爆した瞬間、奴らが死ぬわけだから奴らの能力は一度消えるはずなのだ。その瞬間なら奴らのスキルの封印と弱体化は恐らく消える。
「なるほど」
「ただ勝ち方は分かりませんね。ひとまず蘇生を封じないといけない訳ですが無限属性の敵に不死殺しがどこまで通用するか」
試すのも結構厳しいな。下手に接近戦をするとさっきのコンボの餌食になる。
「オォオオオ!?」
「スルト!? どうしよう…このままじゃあ、みんなが」
次は動きが遅いスルトが狙われてしまった。シルフィがフェンリルがやられたことで完全にいつもの勢いを失ってしまっている。ティターニアも前の戦闘の封印を受けたままだ。こんな時だからこそ俺がなんとかしないと。考えろ…無限属性の敵を倒す方法を…どうすればあのリングの蛇を倒せる。
空を飛び回るヨルムンリングを見る俺はこいつらの登場した時のことを思い出した。フェンリルは空間のひび割れから現れたけど、ヨルムンリングはロキの影から現れていた。
「賭けてみるか…ブラン、遮断結界を頼む」
「はい! 遮断結界!」
俺たちはブランの遮断結界に逃げ込むと追跡して来ていたヨルムンリングは遮断結界に弾かれる。こいつら、巻き付かないと何も出来ないのかも知れないと思っているとドラゴンホイールを使って来た。
「セチア、ヨルムンリングの輪っかの中心に木を通すことは出来るか?」
「え? 出来ますけど、何か意味があるんですか? 彼らは思いっきり輪っか状態を止めたりしてますけど」
「ないよ。強いて言うなら嫌がらせ」
全員が俺の衝撃的な言葉に沈黙する。うん、この沈黙の間は結構きついよ。するとセチアが笑う。
「タクト様らしい回答ですね。任せて下さい! 樹海操作!」
「何か考えがあるんですか?」
「今から俺の禁呪を使います。俺の禁呪はクロノディスインテグレーション。範囲内の敵を時空の彼方に飛ばしてしまう魔法です。フェンリルには通用しないかも知れませんがヨルムンリングはロキの影から現れました。時空間に適性がないことに賭けてみる価値はあると思います」
「なるほど…禁呪発動のための時間稼ぎですか。それなら私たちも力になりましょう」
ティターニアがそう言っているとシルフィの前に優牙が現れるとシルフィの顔を舐めた。
「優牙さん…」
「へっへっへ」
「優しいですね…ありがとうございます。フェンリルの為にも今、必死に戦っているスルトの為にも負けれません! タクト! 私に何か出来る事はありませんか?」
「スルトの回復とこれから呪撃を受けても強引な時間稼ぎをしますから。全員の回復をお願いします!」
シルフィがスルトの回復に回ると優牙がやって来る。
「シルフィを元気付けてくれて、ありがとうな。優牙」
「ガウ!」
「グレイ、優牙、リオーネ。フェンリルが恐らく来るぞ。グレイ、切り札を使ってもいい。一人で相手出来るか?」
「ガウ!」
いい返事だ。優牙とリオーネの二体でフェンリルを止めれるのはきついかも知れないがここは踏ん張って貰うしかない。
俺がエターナルソウルラバーを構えて詠唱を開始するとフェンリル二体は危険を感じ取り、ブランの遮断結界をぶっ壊すために動いた。
「ワオーン! ガァ!」
「シャー!」
グレイが切り札を使用し、リオーネも魔素解放で本気モードになるとフェンリルが爪を振りかぶったタイミングで突撃する。
この結果、グレイたちは外に出ることになり、ヨルムンリングたちはグレイたちを狙う。
「「やらせません!」」
「「「「シャー!」」」」
「ヒヒーン!」
セチアとティターニアが操る木がヨルムンリングたちの進路を塞ぐとラードーンのブレス攻撃が決まり、消し飛ぶが蘇生し、呪撃が発動するとスターペガサスが回復してくれる。
そしてグレイとフェンリルの一騎打ちとフェンリルと優牙、リオーネの勝負が始まる。
グレイとフェンリルの一騎打ちはお互いに姿が消えて、爪のぶつかり合いが始まる。グレイの爪は振るう度に風でフェンリルを傷付けるがフェンリルの身体にはあまり聞いていない。対するフェンリルの攻撃は神鎧グレイリリコスアーマーを傷付けた。
ここでグレイは仲間を呼び出し、フェンリルに連携攻撃を仕掛けるが歯が立たない。そしてグレイの仲間が次々、爪で倒されるとフェンリルがグレイに噛み付こうとする。ここでグレイは光化で消えるとフェンリルの背を大胆不敵に踏み台にして、ジャンプする。
グレイの挑発にフェンリルの目が血走る。嫌がらせをする俺の性格がグレイに伝染してしまったな。フェンリルが再びグレイに襲い掛かろうとするとグレイは口から神霧を発生させて、フェンリルの視界を奪った。それでも特攻したフェンリルだったが当然そこにはグレイの姿はなかった。
グレイは本当に俺の作戦をよく理解してくれている。この場面では別にフェンリルに勝たなくていいのだ。俺の禁呪発動のための時間稼ぎが重要。グレイはこれまでの成長のお陰で新たに追加された大地支配、樹海支配でフェンリルを徹底的に足止めに動いた。
これに対してフェンリルが力付くで突破するとグレイの本体を爪でぶっ飛ばした。グレイは踏ん張るとグレイの周囲に風が発生する。それを見たフェンリルも同じように風が発生し、お互いの風が神霧を吹き飛ばしてしまう。
「「ワオーン!」」
二匹の狼が叫ぶと精霊界に天変地異が発生する。お互いの足場が崩れ、空では雷と竜巻が激突する。これに巻き込まれるヨルムンリングが可哀想だが、グレイに呪撃を与えていた瞬間、可哀想と言う気持ちは消えた。
グレイの必殺技とも言える天変地異だが、フェンリルとのぶつかり合いでは流石に勝ち目がなく、健闘したがグレイはフェンリルの天変地異の直撃を受けてしまった。
一方、リオーネと優牙はリオーネがフェンリルの爪とのぶつかり合いで接戦を演じていた。ただ総合的な筋力や防御力では負けているらしく、押されている。
そんなリオーネを優牙が決死の覚悟でフォローしていた。振りかぶったフェンリルの爪に体当たりをして、噛みついた結果、リオーネの爪の覇撃がフェンリルを大きく後ろに下がらせる。しかしその後、優牙はフェンリルに爪で引き裂かれてる。それでも優牙の目は死ぬことはなかった。これぐらいのことは覚悟して突っ込んでいるからだ。
そんな優牙にフェンリルが迫ると今度はリオーネがフェンリルの体に突撃する。だが、この程度ではフェンリルはびくともしない。身体を回転させるとリオーネは爪でぶっ飛ばされる。その瞬間に宝石をばら撒かせるのを見た優牙はリオーネに合わせる。
「ワオーン!」
「ガ! グ!? ガァアアア!」
フェンリルの足と身体が氷獄と氷牢、氷原操作で拘束され、逃げ出す時間が遅れる。
「シャー!」
リオーネの必殺技である宝石解放が炸裂する。二人が並んでその様子を見ていると宝石解放で吹き荒れる魔力の中を巨大な影が発生し、フェンリルが顔を出す。次の瞬間、優牙とリオーネはぶっ飛ばされる。
こうしてグレイと優牙とリオーネは大ピンチを迎えるとセチアの矢が二匹のフェンリルに刺さると宝石解放が発動する。フェンリル二匹は尻尾を振ると毛針が遮断結界に突き刺さり、破壊される。
何の気に無しにした攻撃だったがここでフェンリル二体は俺の禁呪の存在を思い出し、振り返った瞬間、グレイと優牙、リオーネは足に噛みついて、引き留めようとしたがフェンリルにあっさりぶっ飛ばされてしまった。
ここでリオーネが闇転移で二匹のフェンリルの前に陣取る。
「シャー!」
リオーネが狂戦士化と逆鱗を発動させて、捨て身の一撃からの渾身の覇撃を放った。その一撃は二匹のフェンリルの動きを止めるには十分な威力だったがそれ止まり。
「リフレッシュ!」
シルフィがリオーネにリフレッシュをかけたことでリオーネの狂戦士化が解除されて、防御スキルを使えるようになったが二匹のフェンリルに首と胴体を噛まれて、消えてしまう。
二匹のフェンリルが動き出そうとした時だった。二匹のフェンリルが同時に咳込む。リオーネの置き土産である疫病だ。リオーネには加護無効がある。よって、加護で無効にされる状態異常は有効化される。
そして更にリオーネの道連れも発動した。これが決まれば大きいのだが、フェンリルに道連れで発生した手が食べられてしまった。恐らく暴食スキルのせいだな。
しかしここで起死回生でリオーネは結界内で復活する。
「よくやったな。リオーネ。後は任せろ」
「なー」
三人の時間稼ぎのお陰で禁呪の詠唱が間に合った。
「時空の彼方に消えやがれ! 禁呪! クロノディスインテグレーション!」
空に時空の裂け目が発生するとヨルムンリングたちが次々吸い込まれていく。ただここで無事なのがスルトに巻き付いている奴らだ。こいつらを外さないとスルトは救えない。
「今です! ラードーン! スルトに巻き付いている悪趣味な奴らを外しちゃってください!」
「「「「シャー!」」」」
ラードーンのブレスがスルトに巻き付いているヨルムンリングを正確に撃ち抜くと蘇生しようとした瞬間、吸い込まれて時空の彼方に消えた。そして時空の裂け目が閉じると残ったのはフェンリル二体だ。
「スルト!」
「オォオオオ!」
流石のフェンリルもスルトの一撃は回避を選択した。その間に俺は回復する。
「帰ってこない所を見ると賭けには勝ったな。後はフェンリルを倒すだけだ。やるぞ! ブラン!」
「はい!」
「「マリッジバースト!」」
俺とブランのマリッジバーストが発動するとパラス・アテナの槍に神盾アイギス、ヴィーザルサンダルを装備した俺たちが降臨する。みんな、何だかんだで呪撃とフェンリルのせいでボロボロだ。
「悪いが手加減無しだ。ヴィーザルサンダル! 神威解放! 逆鱗! 雷化!」
「ガァアア! ガブゥ!?」
グレイをボコボコにしたフェンリルの腹に潜り込んだ俺の蹴りが炸裂するとすぐに俺たちの姿が消え、フェンリルを蹴りまくる。これを見ていたグレイも参戦し、グレイとの超連携が発動し、二人係でタコ殴りにする。ここで当然別のフェンリルは助けに来る。
「ガァ! ガゥ!?」
フェンリルの爪は神盾アイギスに止められる。神盾アイギスの強さはシルフィのフェンリルとの戦いで既に証明されている。
『インパクトカウンター!』
「ガ!? ハ!? ゴブゥ!?」
カウンターの衝撃波を受けて、爪が弾かれたフェンリルはバランスを崩したところに俺の雷速キックが腹に決まり、狼が出しそうにない声が出た。
そしてボロボロに蹴った後に踵落としで下にいるフェンリルにぶつけるとグレイ、優牙、リオーネがブレスを与える。ちゃんとやられた分は返しておかないとな。
俺は空でパラス・アテナの槍を構えると巨大化させて、二匹に向けて思いっきり投げつけたすると巨大化した槍が上のフェンリルに命中するが刺さりが甘い。それぐらいはブランとの戦闘で知っているんだよ!だから俺はそこに上乗せさせて貰う!お前たちの大嫌いな技でな!
「『アースヘリヤ!』」
俺たちの必殺の蹴りが放たれるとここで二匹のフェンリルの目が変化する。フェンリルの切り札か。
「リオーネちゃん! 封印の魔眼です!」
「なー!」
シルフィの適格な判断でフェンリルの切り札である超覚醒が封印されて、不発に終わる。そしてパラス・アテナの槍の柄にアースヘリヤが炸裂するとパラス・アテナの槍が押し込まれて、フェンリル二体をぶち抜き、精霊界の大地が砕ける。
「「ガァアアアアア~!?」」
フェンリル二体の絶叫が精霊界に響き渡るとフェンリルたちは沈黙し、みんなのレベルアップを知らせるインフォが来る。残念ながら俺のレベルアップは無し。レベルアップしたばかりだから仕方ないのかな?一応最強クラスの魔獣を二体も倒したんだけどな。
俺たちが元の姿に戻るとシルフィとティターニアが拍手してくれる。
「凄いですね! タクト!」
「フェンリル二体をこうも早く倒してしまうとは凄すぎますよ」
「シルフィがみんなに指示出ししてくれたし、ブランとフェンリルの戦いを見てましたからね。最初のフェンリルは隙を見せてくれていたので、なんとかなりました。最初の攻撃が決まっていなかったら、もうちょっと苦戦していたと思います」
「それでも主と私のマリッジバーストの敵では無いですけどね!」
予想外の圧勝でいつもは冷静なブランが熱くなっている。ここでセチアが指摘する。
「それはいいですが同じ装備でこんな結果になったことをブランは一度思い返すべきですよ」
「う…それは確かに…まだまだ主の戦闘から学ばせて貰います」
いつものブランに戻った。ここで俺が自分の見解を話す。
「俺が戦った実感だとシルフィのフェンリルのほうが強かった感じがしたな。いや、なんか違うな。戦闘経験が浅いというか俺たち、最強感を強く感じた。それなのに本来の力を発揮出来ていない感じがしたな」
「最初の戦闘経験の浅さについては野生のフェンリルだからですよ。基本的にフェンリルはモンスターの生態系の頂点に君臨している魔獣ですから自分より弱い敵としか戦闘したことが無かったんでしょう。その点、召喚獣のフェンリルは進化するまでに多くの戦闘を経験しますからそこは決定的に違うところだと思います。ただ私の感じでも野生のフェンリルより弱い感じがしましたね。個体差ではないと思うんですが」
子供の頃からフェンリルだったら、確かに強敵との戦闘経験は持ちにくいのかも知れない。一つ野生のフェンリル攻略に重要な情報を知れて良かった。チロルたちに教えてあげよう。そしてシルフィの疑問点について、俺は一つの結論を出す。
「なるほど。それなら原因はロキしか考えられないですね。野生のフェンリルなら恐らくいきなり襲い掛かって来るでしょう。しかしさっきのフェンリルは俺たち見て、遊んでました。飼い主の性格が映ったのか、それとも命じられていたのか分かりませんが俺としてはラッキーでした」
「あぁ! 確かに動きに野生さを感じませんでしたね!」
野生の強さが飼われたことで失われるのは、現実世界では動物園の動物たちに結構見られることなんじゃないかな?それでも野生の本能のせいなのかそれでも人間より自分が強いと理解しているからか分からないけど、時々事故が発生するけどね。少なくとも動物園の動物と同じ種類の野生の動物が同じ状態で戦ったら、たぶん野生の動物のほうが勝つんじゃないかな?これは俺の推論だけどね。
俺たちはそれぞれでロキのことをぼろくそに批判したのちに解体をした。
魔狼神王の宝珠:レア度10 素材 品質S+
神々すら恐れる最強の魔狼の力が封じ込められている宝珠。全ての第五進化の狼たちを進化させることが出来るアイテム。
フェンリルの牙:レア度10 素材 品質S+
ダイヤモンドに匹敵する硬度とどんな神でも噛み砕く鋭さを併せ持つ牙。牙の中では断トツに神々に恐れられている最強クラスの素材として知られている。
フェンリルの毛皮:レア度10 素材 品質S+
ダイヤモンドに匹敵する硬度とふさふさの肌触りが特徴的な毛皮。世界中の狩人憧れの素材でこの毛皮のコートを着ている狩人は世界最強とまで言われるほどの最強クラスの毛皮として知られている。
おぉ!毛皮を二つもゲット出来た!しかしヨルムンリングは何もなし。あの巻き付きからの封印や自爆を見ていると俺はどうしても鞭素材かフェンリルを拘束したグレイプニルの素材か何かを期待していただけにガッカリである。流石にフェンリルの毛皮はシルフィと分け合おうと思ったときだった。
「さっきはありがとうございます。優牙さん。お礼にキスしてあげますね。チュ」
「ガウ~…ハ!?」
「…」
優牙がロボットのように振り返ると俺と視線が合うと伏せをして、顔を隠すと俺をチラ見するともう一度隠した。完全に悪い事をしたい犬の反応だ。ここでセチアが俺の頬にキスして来た。
「頑張ったタクト様にお祝いのキスです。ふふ」
「むむ…」
今度はシルフィがセチアを睨む。なんだろうな。この関係…召喚師同士が結婚するとこんな風になるものなのかな?そう思っているとブランが来る。
「わ、私も!」
「しょうがないですね。チュ」
「ち、ちが…うぅ~。ありがとうございます」
自分もしたかったんだろうがセチアにキスされてしまったら、お礼を言わずにはいられないブランであった。セチアは上手くブランを封殺したな。落ち着いたところでシルフィにフェンリルの毛皮を渡す。
「いいんですか? 私はあまり役に立てませんでしたし、スターペガサスが進化に到達したので、十分なんですが」
「それはよかった。でも、シルフィも頑張ってくれたからさ。貰って欲しいんだよ。あ、それとも装備出来る子、いない感じ?」
「そんなことはないですが…貰えるなら上げたい子がいますし」
おや?誰の装備を作るのかな?俺が真っ先に思い当たったのはスルトかロードガーゴイルだけど、楽しみにしておこう。
「じゃあ、どうぞ。お礼のキスを貰えると超嬉しいです」
俺の要求にシルフィが困った顔をする。
「子供みたいな要求をしてきますね…恥ずかしいので、目を閉じてください」
俺が引かない様子を見て、シルフィがキスしてくれた。そしてシルフィにフェンリルの毛皮をあげる。さて、シルフィにキスして貰ったし、戻って優牙の進化をさせるとしよう。




