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#1208 黒き八雷神と析れる八雷神

俺たちがたくさんある襖を開けて先に進むと中庭に出た。どうやらこの屋敷は中庭を囲うように作られているようだ。


「いい中庭だな~」


「この中庭の良さに気が付くとはいい目をしてますね」


中庭の松の影から金髪ロングヘア―の女神が現れた。


「ちっ…なんだよ。結局俺まで戦う事になったのか。面倒くせーな」


更に屋根の上から黒髪のボサボサヘアーの神が降りて来た。


黒雷神くろいかづちのかみ

? ? ?


析雷神さくいかづちのかみ

? ? ?


黒髪が黒雷神で女神のほうが析雷神だ。第一印象は黒雷神のほうはちょっと不良っぽい感じがした。さっきの若雷神の話にも出て来たし、第一声が舌打ちだったので、ほぼ間違いないと思う。


そして析雷神は落ち着いた優しいお姉さんっぽいと感じた。メルとよく似ている感じなんだけど、なんだろうな。落ち着いた雰囲気として心にゆとりを感じると言うか明らかにメルは負けているなと感じた。もちろん本人に言うと大戦争に発展するので、口が裂けても言いません。


「もう…そんなこと言ったら、ダメですよといつも言ってるでしょ。黒ちゃん」


「俺を黒ちゃんと呼ぶなといつも言っているよな!」


「「「「黒ちゃん…ぷ」」」」


「よーし。お前ら、いい度胸だな。今すぐぶっ殺してやるから掛かって来いよ」


面倒くせーとかさっき言っていたのに気が変わるのが早い神様だな。まぁ、完全に挑発した俺たちが悪い訳だけどね。


「こらー! そんなぶっ殺すとか言ったらダメでしょ! ここまでやって来た彼らにはそれなりの礼節を見せるのが八雷神としてあるべき姿だと私は思うな」


「そんなこと知るかよ」


「天罰!」


黒雷神が析雷神が取り出した槍杖で頭を叩かれて、地面に下半身が埋まる。戦う前に結構なダメージが入っていそうな状態だが、それよりも析雷神のパワーに驚いた。この雰囲気でこの怪力は反則だろ…絶対に怒らしたら行けないタイプの女神だと思ったが、こういうタイプって相方を倒すと物凄く怒るタイプなんだよね。メルがそれを証明している。


まぁ、それにビビっていてはこの勝負に勝てない気がするし、覚悟を決めよう。


「いってーな! どうせ戦うんだから何言ってもいいだろうが」


「そういう心掛けがだめと言っているんです!」


「へいへい…よっと。こいつがそう言っているから準備が出来るまで待ってやるよ」


なんか黒雷神とは性格は全然違うけど、待遇が似ているせいか親近感を感じるな。そういうと黒雷神は漆黒の大剣を取り出した。なんかわざわざ武器を見せている感じが俺を試している感じがするんだよね。


そんなわけで編成を変える。選んだのはノワ、燎刃、虎徹、ゲイル、千影だ。そしてノワと燎刃が黒雷神、虎徹と千影が析雷神と相対する。ゲイルは俺を隠すように陣取った。


「…嫌な気配をする剣を持ってやがるな。面倒くせー」


「…言葉と顔が一致していない」


「黒ちゃんは戦闘大好きですから。あなたたちみたいにいい勝負が出来そうな人を前にするとぎらついてしまうんですよ」


「だから黒ちゃんいうなって言ってるだろう!」


うーん…どうしても彼ら二人を見ていると俺と佳代姉と比較してしまう。調子が狂いそうだが、彼らが若雷神と土雷神より強いのはほぼ確実。気合いを入れて相手をするとしよう。


「先手は譲ってやるよ」


「では…っ!?」


「カラミティカリバー!」


先手を譲ると言ったのに雷光でいきなり燎刃の前に現れると斬りかかって来た。それを見た燎刃は大剣をガードしようとする。すると大剣が重斬の魔竜剣をすり抜けて来た。だが、ここで守護竜刀の多重障壁が発動し、燎刃は吹っ飛ばされ、多重障壁が何枚も壊れるが無傷で襲撃を耐えた。


「…礼儀がなってしませんね」


「殺し合いに礼儀なんてあるわけねーだろう? 殺した奴が勝者、殺された奴が敗者だ。単純明快何でもありだからこそ殺し合いは楽しいんだよ!」


それは事実なのだが、戦いの考え方は人それぞれだ。俺は黒雷神の考え寄りだが、恋火や燎刃、千影は戦いに礼節を求めている。だからこそ三人の戦いを俺は綺麗だといつも思う。そして俺はその戦闘を支持して来た。


恋火たちはいつも自分たちの戦い方が正しいのか聞いて来る。これに対する俺の答えはこれだ。


「たぶん戦い方に正解なんてないと思う。だから自分の戦い方を信じるのが大切なんじゃないかな? 相手の戦い方が嫌だと思うならそれに勝つことで証明すればいい。そういう戦う理由があってもいいんじゃないかなと俺は思うよ」


燎刃は俺のこの言葉を思い出して、重斬の魔竜剣を強く握り、飛び出した。


「はぁあああ!」


「おらぁあああ!」


二人が斬り合うと何度か重斬の魔竜剣をすり抜けてきた。その度に燎刃は後ろに下がって回避する。透過に特化した大剣か。厄介な武器だ。時々ぶつかり合うのが嫌らしい。だが、燎刃は見事に見切っている。しかし燎刃は回りが見えていなかった。


「あ!?」


今戦っているのは中庭だ。そこにある飛石に思いっきり後ろに下がった時にぶつかってしまい、後ろに倒れる。燎刃ってこういううっかりミスが時々あるんだよね。


「馬鹿が! カラミティカリバー!」


「…影竜」


「っ!?」


武技を発動させるタイミングを狙っていたノワが影竜で黒雷神をぶっ飛ばす。


「ち…狙ってやがったのか」


「…ナイス」


「え…も、もちろん狙いました! えぇ! 狙いましたとも!」


思いっきりこけている状態から慌てて言われても説得力が全然ない。まぁ、燎刃にこういう演技が出来ないことはみんなが知っていることだ。当然そこにはノワも含まれており、ノワは燎刃がうっかりミスをするところを待っていた感じがするな。


「満々とやられたが次はねーぞ!」


そして黒雷神は素直過ぎる。思いっきり悪役みたいなことを言っていたのに根の性格は素直なんだろうな。これは面白い戦いになると思っていると俺にぐねぐね曲がる雷が襲い掛かって来た。それをゲイルが対処する。


「やはり雷使いの召喚獣ですか…」


俺が析雷神を見ると千影と虎徹が雷を受けてダウンしていた。さっきのヘンテコな雷のせいだな。


「ずいぶん変な雷を使うんですね」


「雷神ですから。神技! 析雷轟(せきらいごう)!」


無数の雷が放たれるが俺たちのほうに向かって来ていない。そう思っていると雷が枝分かれてして俺たちに襲い掛かって来た。


それを再びゲイルがガードすると一瞬でゲイルとの距離を詰めて来た。


「荷電刃! 電子分解!」


「避けろ! ゲイル!」


「ガウ!」


ゲイルは空に逃げて、俺と析雷神が相対する。


「召喚獣を逃がしますか…それなら覚悟は出来ていますね?」


「もちろん」


俺たちが激突する。析雷神は槍杖の扱いが物凄く上手かった。ただ攻撃や防御を繰り返すだけでなくくるくる回して、攻撃のフェイントまで入れて来た。これを見た俺は伊雪と戦わせてあげたかったと心底思った。


そして俺たちがぶつかり合っていると千影と虎徹が復帰する。


「流石スサノオ様がお認めになられた方ですね…召喚師でその武芸と戦闘の勘、末恐ろしく感じましたよ」


「あたしたちの自慢のお館様でありますからこれぐらいは当然のことであります」


「ふふ。おまけに召喚獣全てと仲良しですか。友達いない黒ちゃんに見習って欲しいです」


「いるわ! うお!?」


黒雷神がこっち見て叫んだ瞬間、ノワが斬りかかった。


「…惜しい。あ…どんまい」


「どんまいの意味はよく知らねーがお前が俺を馬鹿にしたことはわかったぞ! 神技! 黒雷轟(くろらいごう)


無数の黒雷が俺たちに降り注ぐ。黒雷は防御スキルをすり抜けて来る。防ぐ方法は電磁操作などで操って攻撃を逸らすか躱すか魔力切断やスキルの激突などで消し去るしかない。その内、この技は回避と魔力切断を封じる攻撃だった。それほど黒雷の数がやばい。


「ガァアアア!」


俺はゲイルが守ってくれて、ノワは影に潜ることで回避成功したが他のみんなは直撃を受ける。


「ち…厄介だな。影使い」


「はぁあああ!」


「おっと。ゲイルはやらせねーよ。それに!」


「く…あ」


俺は槍杖を弾くと上に飛びあがるとゲイルが荷電爪でぶっ飛ばして、中庭から屋敷の襖を突き破って屋敷の中に消えた。


「ゲイルを甘く見ていると怪我するぞ」


「析雷神!? てめぇら! っ!?」


黒雷神の影からノワがルーンノワールで斬りかかる。


「おせーんだよ!」


上段から振るわれた大剣がノワを斬り裂き、大地が抉られる。


「手ごたえがない? っ!?」


再びノワが黒雷神の影から背後を取り、斬りかかった。これを黒雷神は心眼を使い、ギリギリで回避した。最初の攻撃はノワのドッペルゲンガーだ。


「あっぶねぇ…」


「…惜しい。でも、お前だけはにぃの所には行かせない」


「言うじゃねーか。こそころ隠れるしかない弱虫が」


「…怒りを周りにぶつけることしか出来ない人からはそう見られても仕方がない」


ノワの言葉が黒雷神に突き刺さる。この勝負はノワの勝ちだな。ノワが影を使うのはそれがノワの戦い方だからだ。影を使うから弱虫という理屈はおかしい。そもそも弱虫ならまず戦いを選びはしない。戦えている時点でその人は弱虫じゃないのだ。


逆にショックを受けている黒雷神はノワに図星を指されたとみるべきだ。ノワは人のことをよく観察しているからな。こういう人を見る目は他のみんなより優れているのかもしれない。あ、人じゃなくて神だったか。


「はぁあああああ!」


「ぐわ!?」


この完全な隙を燎刃が突いて、ぶっ飛ばす。相当なダメージを受けたはずだが、ノワの動きに合わせることが出来たのは燎刃ならではと言っていいだろう。


「…大丈夫?」


「はは…正直かなり痛かったですがまだまだ戦えます」


「…ん」


ぶっ飛ばされた二人が左右の襖から雷光で出て来る。俺たち側は復活した千影が迎え撃ち、ノワ側は燎刃が対応する。


「やってくれたな。今のは効いたぜ!」


「そろそろ本気で戦わせて貰いますね?」


「望むところであります!」


どちらの戦いもお互いに譲らない展開となった。千影のほうの戦闘は析雷神と戦い方が同じタイプのようだった。パワーよりもテクニックタイプと言えばいいのか。もちろん雷神として速さはかなりあるのだが、それよりも槍杖の使い方に目が行ってしまう。


対する千影も雷の速さとテクニックが売りだ。互角の戦闘になるのは無理もない。ただ析雷神は電子分解が使える分、武器の必殺の威力がある。それを警戒しないといけない千影と千影が使っている如意金剛錫杖の他の武器を気にしないといけない析雷神という構図だ。


手札の多さでは千影のほうが上回っている。それを千影は見せて、析雷神は焦り始める。


「鬼夜叉! 風林火山の軍配!」


「く…今度は薙刀に団扇…その前は厄介な糸だったし…やり辛いな。早く全部見せてくれないかな!」


そういうと析雷神は千影が格納でしまったタイミングで前に出る。そのタイミングを千影は狙っていた。


「乾坤圏!」


「な!?」


乾坤圏で槍杖を横から叩いて、弾くとそのまま回転していた千影はもう一つの乾坤圏で析雷神をぶっ飛ばすと更に投げ突けてダメージを与える。


「やっとやり返せたでありますよ。格納」


「やってくれますね…はぁああ!」


「やぁああ!」


一方黒雷神はノワと燎刃を相手に戦闘を続けている。


「ち…黒雷!」


「…黒雷」


黒雷を撃ち合いは互角に終わる。


「ブレイブサラマンドラ! はぁあああ!」


「神撃! 超集束! おらぁあああ!」


燎刃は炎のドラゴンを宿した一撃を放ち、黒雷神は大剣に神撃を宿した一撃で激突するとこれも互角でお互いにぶっ飛ぶ。


「…ドラゴンブレス」


「いって…あぶね!?」


空に逃げた黒雷神に再び燎刃が斬りかかり、斬撃の応酬になると燎刃が押すようになってきた。どうやら黒雷神はパワータイプなのに余り筋力強化のスキルが少ないみたいだ。それが燎刃が押すようになってきた要因だった。


「しつけーな! 黒雷!」


「うぐ…はぁあああ!」


「が!? 俺の雷を喰らいながら突っ込んで来るかよ…俺もまだまだって事か」


ぶっ飛ばされた黒雷神が空に上がる。


「いいぜ。認めてやるよ。お前たちの強さをな。神威解放!」


黒雷神の背中に黒い雷鼓が背中に出現する。一方で千影が仕掛ける。


「空衝脚! 二連!」


「く! く!」


回転しながら放った連続の空衝脚をなんとかガードする析雷神だったが千影は間合いを詰めており、如意金剛錫杖で突きを放つ。しかしこれもギリギリでガードされた。


「…甘いですね」


「それはどうでありましょう? 巨大化! 伸びよ! 如意金剛錫杖!」


「な!? きゃあああああ!?」


巨大化し、伸びた如意金剛錫杖が八雷神の屋敷に突き刺さる。もう家の中、滅茶苦茶だろうな。お邪魔したのに家を滅茶苦茶にするとか完全に俺たちは悪役だな。


「やってくれますね…誰が屋敷の掃除をすると思っているんですか! 私なんですよ!」


「それはごめんなさい。でも、そこは家族全員でしましょうよ」


「それをしてくれる家族なら苦労していません!」


伏雷神あたりは手伝ってくれそうな感じを受けたけど、ダメなのか。というかこれは析雷神は全部一人でやってしまうから周りは手伝わなくていいかと思っているパターンな気がするな。析雷神の言葉を聞いて、顔を逸らしている黒雷神は面倒臭いから手伝わないタイプと見た。


「黒ちゃんも本気になったようですし、私も本気を出しましょう。神威解放!」


析雷神の頭に鬼の角のようなものが生え、背中から謎の枝が雷鼓のように展開される。やっぱり怒らすと怖いタイプだったんだな。


「いくぜ! 神域!」


俺たちは真っ黒なスーパーセルに上下を挟まれている空間に転移する。もうこの状況からしていい予感が全くしない。


「黒雷!」


黒雷神が下のスーパーセルに黒雷を放つとスーパーセルから激しい黒光りが発生すると雷轟のような黒雷が下から放たれた。それを俺たちは戦闘空間が広がったことでなんとか回避するが下から降った黒雷は上のスーパーセルに入り、更に増幅して上から下に放たれた。


これでは無限に黒雷の数と威力が増幅していってしまう。なんとかしないといけないと思っていると析雷神の背中の木の枝が展開されると黒雷がその木の枝に吸い寄せられ、急にコースが変化した。その結果、みんなが攻撃を受けると止まったことで降り注ぐ黒雷を受けてしまった。


「無限に雷を増幅するフィールドに避雷針で雷を操っているのか」


「えぇ。そして避雷針で受けた雷を超充電で私の力に変換して、私たち雷神の加護で雷を吸収することで生命力と魔力を回復します」


「因みにそこの影使いやお前の雷も強化することが出来るぜ。最も俺たちが相手じゃ意味ねーけどな」


厄介な組み合わせだ。というかこのままじゃあ、ジリ貧になる気がする。ゲイルで守りを固めてもそれを見た彼らはゲイルを潰しに来るだろう。流石に本気となった彼らを相手に切り札無しで守り切れるとは思えない。


「仕方ないな…行けるな? 虎徹?」


「ガウ!」


「よし。お前の切り札に相応しい舞台だ。お前の神威解放の強さを俺たちに見せてくれ!」


「ガァアア!」


虎徹が神威解放を発動される。


「へ! やらせるかよ!」


「その判断は遅すぎましたね!」


二人が襲い掛かって来ると俺は黒雷神、ゲイルが析雷神にぶつかる。


「邪魔すんなよ! 黒雷!」


俺は直撃するがスサノオの加護が黒雷を無効化する。


「効かねーよ!」


「ガウ!」


「何!?」


「きゃ!?」


俺たちが二人を押し返したことで虎徹の神威解放に成功する。


名前 虎徹 剣聖虎Lv34→毘沙門虎(びしゃもんとら)Lv34


生命力 240→320

魔力  254→334

筋力  584→664

防御力 206→286

俊敏性 416→396

器用値 331→411


スキル


噛み砕くLv34 破魔Lv1 神風爪Lv38 太刀Lv50 多刀流Lv50 

格納Lv1 念動力Lv5 帰還Lv5 空間跳躍Lv38 天耳通Lv35 

第六感Lv33 空虚Lv28 無我Lv24 天眼通Lv38 他心通Lv34 

神足通Lv37 強撃Lv41 重圧Lv30 転瞬Lv40 旋風刃Lv34 

覇気Lv47 神気Lv37 仙気Lv38 気力支配Lv21 内気功Lv23 

瞑想Lv17 万物切断Lv44 魔力切断Lv39 虚空切断Lv31 衝撃貫通Lv28 

神鎧Lv1 気力装甲Lv28 溶断Lv33 雷光Lv41 神速Lv25 

多連撃Lv42 多乱刃Lv39 超集束Lv18 透過Lv28 神鎌鼬Lv43 

暴旋風Lv1 暴風壁Lv1 衝撃放射Lv1 覇撃Lv17 神虎砲Lv27 

空振Lv25 戦闘高揚Lv38 肉体活性Lv1 神感覚Lv42 慧眼Lv28→心眼Lv28 

残像Lv27 先制Lv32 後光Lv1 封殺Lv1 神罰Lv1 

神域Lv1 太極波動Lv1 妖刀解放Lv26 退魔刀解放Lv8 宝刀解放Lv18 

神剣解放Lv10 破壊の加護Lv8 勝利の加護Lv1 神仏の加護Lv26


降臨した虎徹の周囲に無数の光の刀と光の槍が展開されていた。


「毘沙門天の神使(しんし)かよ!」


神使とは神の使いのことを指す。グレイの神狼や干支に登場する動物などが神の使いとされている。虎徹の毘沙門天の虎というのは寅年の寅だ。


「この地に現れるとは、不敬にも程があります!」


毘沙門天の使いである虎徹が日本神話の黄泉の国に来ることは最も許容できないらしい。しかしこの理論は既に破綻している。


「あ、俺。神仏習合の神様と契約しているんで俺を入れている時点でその主張は無効ですよ」


「「…」」


二人が沈黙してしまった。俺を入れたってことは神仏習合を承認したのと同義だからね。恨むならゲームのシステムを恨んでくれ。


「ガウ?」


「あ、やっちゃっていいよ」


「ガウ! ガァアアアアア!」


虎徹が神域を発動すると神域が入れ替わる。その世界は壁に毘沙門天の像が無数にある黄金の建物の中だった。


「こいつは…」


「まさか毘沙門天の宝物庫の中!?」


そして虎徹の神域の効果が発動する。二人の武器が勝手に二人の手から離れてしまう。


「な、なんだ!?」


「武器の強奪…いえ、これはまさか武器支配!?」


虎徹は神域に入ると全ての武器と防具が虎徹の支配を受ける事になる。これが虎徹の神域の効果だった。この瞬間、虎徹は俺の天敵であることが確定する。俺の強さを支えて来てくれた武器と防具が使えなくなった時点で俺は大打撃を受ける。


そしてこの世界にはもう一つの効果がある。それが無限の武器創造。これにより、フィールド全体に無数の剣や刀、槍が出現し、一斉に二柱の神の方を向く。


「ガウ!」


「「電磁場!」」


電磁場に無数の武器が突き刺さる。本来なら弾かれてしまう攻撃だが、毘沙門天の虎となった虎徹には勝利の加護が与えられている。全ての剣が輝くと電磁場を破壊し、二柱の神が無数の武器にめった刺しにされる。


ここで奇跡が発動し、二人は切り札を解除された状態で復活する。


「くそ! 厄介な虎になりやがったな!」


「来ますよ! 黒ちゃん!」


「「雷化!」」


四方八方から無数の武器が飛んで来る空間に素手では流石に難しい。回避をするためにも雷化が一番の対策ではあるだろうな。


「ゲイル」


「ガウ! ガァアアア!」


ゲイルが神格覚醒を使う。これで詰みだ。


「へ! それがどうしたって言うんだよ!」


「行けません! 黒ちゃん!? 私たちは今、雷になっているんですよ!?」


雷になってしまった彼らは電磁場や電磁支配の影響を諸に受けてしまう状態だ。当然ゲイルは電磁支配で黒雷神を操ると虎徹の武器に飛ばして串刺しにした。


「黒ちゃん!? よくも! 黒ちゃんを! 逆鱗! あぁああああ!」


雷化を解除して宝物殿の壁を蹴って、拳を握って来た。その拳がゲイルに決まるがオリハルコンの装備を着て、本気となっているゲイルにたとえ神の拳であっても早々通るはずがない。逆にゲイルが反撃し、攻撃を躱したところに虎徹の剣が降り注ぎ、勝負ありだった。


神域が解除され、虎徹が元に戻る。虎徹はみんなと比べるとかなり遅い神威だから何かあるとは思っていたが滅茶苦茶強かったな。黒雷神が抗議してくる。


「その虎は反則だろう…」


「反則の神域を使用したのはそっちも同じだと思うが?」


「そうですね…一つ聞きたいことがあるのですがいいですか?」


「どうぞ」


「最初からあの二人の切り札を使うつもりでしたか?」


俺は肯定した。その上で付け加える。


「虎徹の神威解放と神域の効果は俺も初見で知りませんでした。だからこそ展開が読めませんでしたよね?」


「なるほど…他心通対策まで考えていましたか…もし神域を覚えていない中、他の誰かが使えばいいことですからね。あなたとそちらの獅子さんなら守れると考えていましたか」


「はい」


「はぁ~…完敗だよ。黒ちゃん。大人しく掃除頑張ろうね」


「はぁ? 誰がやるか」


そう言うと黒雷神はさっさと逃げ出した。


「こらー! 待ちなさい! あ、宝箱なら中央の木の陰にあるからね。待てや! ごらぁあああ! 手伝いなさいー!」


あーあー。析雷神のキャラが最後に崩壊して、メルになってしまった。彼女には出来れば最後まで最初の頃の彼女のままでメルの参考になる存在でいて欲しかった。


さて、宝箱を見よう。


生弓矢(いくゆみや):レア度10 強弓 品質S+

重さ:200 耐久値:2000 攻撃力:3000

効果:矢無限、神殺し、不死殺し、破魔、神気、冥気、覇気、万物貫通、戦闘高揚、超集束、王撃、伝説解放、神威解放、王の加護、勝利の加護、神の加護

スサノオから大国主神の手に渡った桜花という国を作ったと言われている神の弓と矢。大国主神はこの弓と矢を使い、次々八十神を射抜いたとされている。神威解放を使うと生命力を筋力に変換する特殊な力が発揮され、解除しないと全ての生命力を吸い取られる危険性があるかなり危険な武器。


もうこれは妖刀か何かになっていませんか?まぁ、元の持ち主がスサノオであることを考えると変に納得がいってしまう。とにかくこれは帰ったら、セチアにあげるとしよう。


今までのペースだと次で最後となるだろう。俺の新しい刀のために頑張るぞ!

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