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#1205 叢雲の進化とトリプラースラ砦攻略会議

下のガルダの宮殿に戻った俺は全滅状態のみんなと一人佇んでいるガルダを目撃する。当然その中にはシルフィも含めており、俺はシルフィに駆け寄る。


「シルフィ!」


「うぅ…無事にヴリトラを倒す事が出来たんですね」


「よかった…うん。シルフィが教えてくれた情報のお陰だよ。ありがとう」


シルフィが生きていることに心底ほっとしていると次に俺の目に入ったのはシルフィの顔に入った殴れた痕だった。


「邪竜討伐おめでとう。インドラの依頼も達成できたみたいだし、水も地上に流れ出したよ。ここに用事がもうないなら彼らと一緒に早くこの山から出て行ってくれないかな?」


「いや、たった今、用事が出来た」


「タクト!?」


「タクトお兄ちゃん!?」


俺がガルダに殴りかかると当たり前のように止められた。


「僕と敵対するつもりかな?」


「それは俺の台詞だ。人の妻を殴っておいて無事で済むわけねーだろうが!」


俺とガルダが格闘戦を行うが俺の攻撃は悉く止められ、正確に重い拳が俺を襲うが俺は一歩も引かない。悔しいが今の俺ではガルダに勝てない。それでもこいつだけは一発殴らないと気が済みそうにない。


「腹ががら空きだ!」


「うら!」


俺はわざと腹を開けて攻撃を誘い込むとカウンターとも言えない相打ちを狙った拳がガルダの顔を捉えた。お互いに吹っ飛ぶが明らかに俺のほうが深刻なダメージだ。


「ぐ…ぶは!?」


「やれやれ。覚悟を決めた人間のほうが悪魔たちよりずっと怖いね。もうこれで気が済んだかい?」


「あぁ…でも、全然足りない。お前とはいずれシルフィとみんながやられた分も返させて貰うから覚悟しておけ」


「楽しみにしているよ」


俺は死んでいるみんなを蘇生させ、傷付いているみんなを回復させるとみんなに感謝とクエストクリアを伝えて、ヴァナラ村に転移した。


どうやら敵は撤退したらしく、ラーマたちが喜んでいた。その中に白い毛に赤い肌の大猿が黄金のメイスを持ち、称えられている。


猿神ハヌマーン?

? ? ?


この時、俺は初めてインドラがちゃんと約束を守ってくれたと知った。そしてハヌマーンが俺たちの方を見る。


「もう一人の英雄のお帰りだな。お前たちだよな? 俺を復活させてくれたのは?」


「はい。無事に復活されたようで良かったです」


「おぉ! タクトたち! 無事に邪竜を討伐してくれたのだな?」


「えぇ。水が流れだしたのも確認してます。じきに川にも水が流れて来ると思いますよ」


それを聞いた猿たちは大喜びだ。やっと旱魃(かんばつ)から解放されて元の生活に戻れることを考えると喜ぶ気持ちはわかるな。ボロボロ状態のスグリーヴァが言う。


「敵将インドラジットは撤退し、ハヌマーン様は復活。乾いた川にも水が流れて来る。皆の者! 今日は宴じゃ!」


「「「「ウッキー!」」」」


この村を襲ったのはインドラジットだったのか。道理で村の防衛に加わったみんながボロボロな状態なわけだよ。インドラジットは恐らくラーヴァナの軍の中で一、二を争う強者だ。そいつから村を守れたわけだから喜びたい気持ちは分かる。


ただ彼らに宴を開く余力なんてあるのだろうか?俺が質問すると全員が俺を見て来た。俺が用意しないといけないのね。


みんなでフリーティアに戻ると宴の用意を各自でする。俺は料理をしているとシルフィが後ろからやって来ると耳元で囁いて来た。


「今しか言えないので聞いてください。ガルダ神と戦っているタクト。格好良かったですよ」


「っ!」


「…おぉ~。にぃが照れてる」


「お顔がお猿さんみたいなの。お兄様」


「…シルフィ~」


俺がシルフィを睨むとシルフィは撤退していた。俺は見逃さなかったもんね。ちょっとだけシルフィの顔も赤かった!


宴をする前にたっぷりジークに説教をしてから恋火の成長と叢雲の進化をさせることにした。流石に叢雲の進化をラーマたちの前で進化させるのは問題がある気がするからね。先にジークを叱ったのは叢雲への警告も含ませて貰った。


叢雲も苦労はしてきたが進化の苦労はない。叢雲はのんびり屋というかあまり戦闘に興味を示さない性格であることを考えて、強くなっても気を引き締めて欲しかった。


「ギ~」


欠伸をしている姿を見ると本当に心配になるがジークがそうであるように進化した叢雲にもいずれ試練が来る。そのことに期待しよう。というわけでまずは恋火の成長を実行する。


『恋火の成長を実行しました。超集束、瞬間再生、魔力回復、超加速、核爆、奇跡を取得しました』

『虚空切断が時空切断に進化しました』


成長したが身長は伸びていない恋火が元気に言う。


「大人になりました!」


「そうだな~。よしよし」


「んん~。じゃないです! タクトお兄ちゃんはちゃんとあたしを大人に見て下さい!」


「失礼だな。結婚しているんだぞ? 俺はちゃんと恋火を大人に見ているよ」


「そ、そうですか? えへへ」


照れている恋火に心の中で捕捉すると大人に見ているが子供の様に愛でてます。ずっとこんな感じだったし、今更変えれないんだよね。撫でるの止めると自分のことが嫌いになったんじゃないのかと不安げにさせてしまうから、恋火が気にしている子供扱いは治ることは無いだろう。


今回の成長で加護の進化がなかった。これは恐らく恋火たちのクエストがまだなせいだろう。一応装備で宇宙戦闘は可能だけど、出来ればアザトース戦前にクエストを間に合わせてあげたいが、時間的に厳しそうだな。やはり優先度はリースの進化になるだろうからね。


さて、次はいよいよ叢雲の進化だ。進化先はもちろん一つ。


ヴリトラ


一応説明も確認する。


ヴリトラ…時空を操り、旱魃を起こすことで人々を苦しめる邪竜。インドラとは因縁の仲で殺しても何度も復活を繰り返し、永遠にインドラと戦い続けていると言われている。


旱魃がヴリトラによって、起こされると言う事は旱魃が起こる度にヴリトラが復活しているという解釈をしているみたいだな。


それじゃあ、進化行ってみようか。叢雲の前に憎悪悪竜の宝珠を置いて、進化を実行する。憎悪悪竜の宝珠から黒い雲が発生すると叢雲を包み込む。そしてどんどん黒い雲が大きくなると進化の光が漏れだし、シルフィのヴリトラとそっくりなドラゴンが現れた。


『叢雲がヴリトラに進化しました』

『他心通、神感覚、天言、無我、万物破壊、空間歪曲、空間転移、時間遅延、次元圧縮、次元歪曲、戦闘高揚、肉体活性、堅固、疾魔法、時空魔法、死滅光線、変光、獄炎、黒雨、虚無壁、魔力超回復、強化復活、空振、弱化毒、時空切断、重力支配、引力支配、斥力支配、時空支配、斥力場、堕落、次元封鎖、光吸収、毒吸収、雲海、刑罰、覇撃、霊化、道連れ、常闇、怨念、天昇、物理無効、耐性無効、加護無効を取得しました』


名前 叢雲 ダークネスドラゴンLv32→ヴリトラLv1


生命力 235→435

魔力  306→506

筋力  271→471

防御力 152→352

俊敏性 200→400

器用値 193→393


スキル


飛翔Lv24→高飛翔Lv24 竜牙Lv14 竜爪Lv18 竜鱗Lv19→猛毒竜鱗Lv19 竜尾Lv17

魔竜眼Lv17 他心通Lv1 神感覚Lv1 天言Lv1 無我Lv1 

万物破壊Lv1 強激突Lv15 騎乗Lv6 羽投擲Lv13 暴風Lv11→暴旋風Lv11 

空間歪曲Lv1 空間転移Lv1 時間遅延Lv1 次元圧縮Lv1 次元歪曲Lv1 

戦闘高揚Lv1 肉体活性Lv1 堅固Lv1 疾魔法Lv1 闇魔法Lv7 

時空魔法Lv35 威圧Lv4 拡散光線Lv15 死滅光線Lv1 変光Lv1 

多乱刃Lv17 暗黒ブレスLv15→冥ブレスLv15 病気ブレスLv13 獄炎Lv1 呪滅擊Lv11 

呪滅封印Lv10→呪滅封陣Lv10 黒雨Lv1 連撃Lv16→多連撃Lv16 虚無壁Lv1 超速再生Lv16→瞬間再生Lv16 

魔力超回復Lv1 蘇生Lv13→不死身Lv13 強化復活Lv1 竜気Lv21 疾走Lv19→神速Lv19 

空振Lv1 黒霧Lv20→魔霧Lv20 瘴気Lv14 黒死病Lv13→疫災Lv13 神魔毒Lv17 

弱化毒Lv1 時空切断Lv1 夢幻Lv10 暗黒波動Lv17→冥波動Lv17 重力支配Lv1 

引力支配Lv1 斥力支配Lv1 時空支配Lv1 斥力場Lv1 堕落Lv1 

次元封鎖Lv1 光吸収Lv1 毒吸収Lv1 雲海Lv1 刑罰Lv1 

覇撃Lv1 霊化Lv1 竜技Lv17 竜魔法Lv3 逆鱗Lv8 

道連れLv1 常闇Lv1 怨念Lv1 ドラゴンブレスLv19 魔素解放Lv10 

天昇Lv1 物理無効Lv1 耐性無効Lv1 加護無効Lv1 魔竜の加護Lv16→邪冥龍王の加護Lv16


これでよし。すると進化したばかりの叢雲は早速言わんばかりに欠伸をすると丸くなる。


「そういえばヴリトラも昼寝とか言っていたな」


「でもこれは絶対にノワちゃんのせいですよ! タクトお兄ちゃん! は!?」


「…ちょっとこっちに来る」


「どうして叢雲さんのほうに連れていくんですか!?」


ここで和狐がやって来た。


「依頼されていたものが出来上がった報告に来たんやけど、どうしたんどす?」


「あぁ…遊んでいるだけだよ。教えてくれてありがとうな」


「違います! 大ピンチですよ!」


「はいな」


恋火が不貞腐れる。しょうがないので、助けて上げよう。


「これから宴をするぞ。折角だからみんなを呼んで来てくれ」


こうなるとみんなの優先順位は宴になる。恋火、ノワはすぐにリリーたちを呼びに行き、寝ていたはずの叢雲もすぐに起きる。


「俺の召喚獣はどうしてこうなったんだろうな?」


「きっと召喚師なのに料理に手を出すからこうなったんだと思いますよ?」


和狐に言われて自業自得であることを思い知った。その後、ヴァルナ村でお昼の宴が開かれた。リリーたちがなぜか猿たちと早食い対決などし出す中、俺は防衛してくれていたみんなからインドラジットについて話を聞く。


「二刀流の杖を使う魔法使いタイプでありながらガンガン前に出て来るタイプね」


「どっかの誰かさんにそっくりだね」


「俺は杖で前に出たりはしないぞ。たぶん」


「たぶんなんだ!」


リサは俺の呟きを聞き逃さないな。話によると使った魔法は疾、地、雷、木、暗黒だったらしい。スキルは特に雷系を多用して来たそうだ。


後は木属性のスキルの使い方が上手かったらしい。これは恐らくインドラジットの本名から来ている力だと思われる。インドラジットの本名はメーガナーダといい、実際にインドラジットはナーダ使いとして知られている。このゲームではナーダたちは森に生息していることはもう判明しているから木を操るのが上手いのは俺の中では納得のいく話だった。


因みにインドラジットはインドラ、ハヌマーン、ラーマ、スグリーヴァに伝説上では勝っている。ただ今回はハヌマーン、ラーマ、スグリーヴァの三人を同時に相手しなければならない状態でヴリトラの敗北も知った事で撤退を決意した流れらしい。


どれだけインドラジット軍が疲弊していたか分からないが俺たちからすると連戦を避けられたのは幸運だった。ガルダのせいでみんながボロボロだったし、恋火たちの目には見えない疲労は相当なものだったからね。


宴会が終わると今後の話になる。


「まずハヌマーンにはシータの居場所を見つけて欲しい」


「任せてくれ。ついでに敵の情報も調べて来るとしよう」


これは伝説と同じ流れだ。ハヌマーンがシータを探す為に敵の本拠地に潜入して大暴れすることになる。これを鎮圧するのがインドラジットだ。このゲームで同じ流れになるかは謎だな。少なくとも一緒に偵察することは出来そうに無い。


ハヌマーンはそれだけ偵察に長けている能力を他の神から与えられている。俺たちがそこに首を突っ込める状況じゃないので、信じるしかない。インフォも来ないしね。


「頼む。後は奴らのあの強固な砦をどう攻略するかだな」


「それはラーマが一度一人で攻めた砦のことか?」


「そうだ。まずはあそこを落とさなければどうしようもない」


「トリプラースラの砦だな。確かにあの砦が邪魔で砦向こうの儂らの仲間と協力できん。まずはあそこを落とさなければいかんだろうな。しかしラーマでも落とせないとなるとどうしたものか…」


ラーマが俺を見て来る。やっぱりハラダヌの弓を使う流れだよな。これ。


「一応ラーマから貰ったハラダヌの弓は修復してあります。これを使えばもしかしたら、砦を破壊出来るかも知れません」


「シヴァ神の弓だからな。確かにそれを使えるのなら破壊出来るだろうな」


「ならば俺が」


「却下。自分が壊したんだろう?」


ラーマが撃沈する。こうなると俺が使う流れになるのだが、トリスタンさんに任せる事にした。アルテミスと契約して、更にクエストで英雄オリオンの力も加えられるようになったことで完全に任せられることになった。


「いざ使うとなると不安ね」


「まぁ、これで壊れるなら最初から壊れる前提だったって事ですよ。気にしないで思いっきり使っちゃってください。砦を壊せないのが一番最悪な事態ですから」


「そうね。思いっきりやらせて貰うわ」


「それなら俺が使ってもいいではないか」


「ラーマが使うと矢を放つ前に壊れる可能性があるから俺は心配しているんだよ!」


俺の指摘に何も言い返せないラーマであった。もちろん誰も反論しない。これはつまり可能性が高いことを示唆していた。というわけでトリスタンさんが使うことで決定する。


ただ村も被害を受けたことで今すぐに砦攻略はすることが出来ず、明日の昼に攻略することが決まった。そしてログアウトのために帰るとイクスと寝るとイクスが突然最初の頃になった制服姿になる。


「準備完了。それでは寝ましょう。マスター」


「ちょっと待ってみようか。それは色々不味い気がする」


「わたしは問題ないですが?」


それならいいのか?なんか学生結婚をしちゃった罪悪感を感じる。いや、俺は学生だからもうこれが現実ならかなりヤバい事態なんだけどね。


「はぁ…その制服気に入っていたのか?」


「はい。可愛い服ですし、マスターが最初に選んだ服ですから」


イクスからしたら、特別な服になってしまったわけか。どうして制服なんて選んだんだ。過去の俺。お前のせいで俺は現在とんでもない状況になっている気がするぞ。


「それでは、寝ましょう。マスター」


「あ、あぁ…」


イクスは本当に何も気にしていないようで俺も何も考えないようにして、ログアウトするのだった。

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